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知事発言集・平成19年度本庁部課長・出先機関の長合同会議

ページ番号:0011208 更新日:2007年4月11日更新

はじめに

 皆さん、おはようございます。
 「ふり返れば未来」という言葉があります。これは、山口きらら博の総合プロデューサーでした東京大学名誉教授・故木村尚三郎先生の言葉です。
 その本来の意味は、「いくら前方に目を向けても未来は見えてこない。過去をふり返り、同じ先の見えなかった前近代の生き方、生きる知恵に学ぶとき、はじめて未来が見えてくる」ということです。
 私も、平成8年、1996年8月に山口県知事に就任し、11年目に入っておりますことから、これまでをふり返りながら、私が進めてきた県政への基本的な取り組み姿勢について、まず申し上げたいと思います。
 幹部職員の皆さんには、内容を十分にご理解いただき、平成19年度も、私と共通の認識に立って、適切な組織運営や業務の執行に努めていただきますよう、よろしくお願いいたします。

1 県政への基本的な取り組み姿勢

(1)県民との信頼を基本にした県政の推進

 最初に、県民の皆様との信頼を基本にした県政の推進についてです。
 私は、政治行政は、「正直」でなければならないと考えています。正直であってはじめて県民の皆様の信頼が得られるとの考え方のもとで、平成9年、1997年7月に制定した山口県情報公開条例も、「原則として県民の不利益になるもの以外は公開する」としているのです。
 また、私が就任以来モットーにしております「しっかり聞いて しっかり実行」も、「正直=信頼」という県民の皆様との太いパイプがあって、はじめて実現できるものと考えています。
 昨年は、地方分権を一層進めていかなければならない重要な時期にもかかわらず、他県において、行政の信頼を失墜させる残念な事件が発生しましたが、これを他山の石とし、職員の皆さん一人ひとりが、「自分も県民の一人であり、県民に説明できないことは絶対にしない」との意識を常にもって、県民の皆様との「信頼」、「信」を基本に、私の好きな野球で申し上げれば、県民の皆様と常にキャッチボールをしながら、業務の執行に当たっていただきますよう、お願いいたします。

(2)「自立・協働・循環」による「住み良さ日本一の元気県」づくり

 次に、「自立・協働・循環」による「住み良さ日本一の元気県」づくりについてです。
 私が知事に就任しました前年、平成7年、1995年5月に、地方分権推進法が5年間の時限立法として成立しました。
 私は、そのような状況の中で、21世紀は必ず地方分権の時代になると確信し、地方の自立のためには、県民力を高める大きな舞台が必要だと考え、21世紀のスタートに当たり、「山口きらら博」を開催しました。
 そして、この成功が、「やればできる」という自信に繋がり、同時に得たものが、県づくりのキーワードである「自立・協働・循環」という大きな資産です。
 私は、この資産を昨年の県民パワーの結集による「国民文化祭」にもしっかりと引き継ぐことによって、山口きらら博で培われた「県民力」「地域力」をホップ、ステップと確実に高めることができたと考えており、この力をさらにジャンプへと高め、2011年の山口国体の成功につなげていきたいと考えています。
 このように全国規模のイベントも活用しながら、「住み良さ日本一の元気県山口」の実現を目指していく、これが私の戦略です。
 特に、今年度は、「やっぱりいいね 自然も笑顔も山口県 めざそう住み良さ日本一」を合い言葉に、県民総参加による県民運動を一層展開していくこととしています。
 幹部職員の皆さんには、それぞれの業務が住み良さにどのような関連を持っているかを常に意識しながら、施策の推進に努めていただくとともに、常に「自立・協働・循環」を念頭に置いて、「県民力」、「地域力」の発揮を促しながら、各分野の施策推進に取り組んでいただくよう、お願いいたします。

(3)市や町の体力、知力の強化

 3点目は、市や町の体力、知力の強化についてです。
 ヨーロッパ地方自治憲章の中に「近接と補完の原理」というのがあります。
 この原理は、まずは、住民ができることはできるだけ住民が行い、どうしてもできない政治行政を、住民に最も身近な市町村で行い、市町村ではできない広域的な分野は、日本で言えば都道府県で行い、そして、どうしても国でなければできない分野のみ国が行うというものです。
 私は、さきほど申し上げましたように、地方分権の大きな流れが生じております中で、この原理を念頭に置きつつ、まず、市町村が、住民ニーズに的確に対応できる体力、知力、別の言葉で言えば、地方分権の受け皿になれる力を備えることができるよう、市町村合併に積極的に取り組んできました。来年3月の美祢地域の合併により、13の市と7つの町になる予定です。
 今後、道州制の議論も益々活発化してきます中、昨年7月に策定しました「山口県市町合併推進構想」に基づき、今後ともさらなる合併の促進に努めていきたいと考えています。
 また、市町への権限移譲についても、私は、この原理に基づき、積極的に取り組んでいるところです。
 全市町において、特例市並みの権限移譲をしたいというのが私の思いであり、県政集中改革の主要課題に位置付け、引き続き、全庁あげて取り組んでいく考えです。
 幹部職員の皆さんも、こうした原理をよく理解の上、市町の体力、知力の強化を念頭に、諸施策を推進されるよう、お願いいたします。

2 今なすべきことへの的確な対応

 以上、「ふり返れば未来」という観点から、今後も堅持すべき私の県政への基本的な取り組み姿勢について3点申し上げましたが、次にお願いするのは、今なすべきことへの的確な対応についてです。

(1)平成19年度予算の執行

 まず、平成19年度予算の執行についてです。
 平成19年度予算は、平成16年度にスタートしました「県政集中改革期」の最終年度にあたる予算として、財政健全化への道筋をつける「改革推進予算」と位置付け、「政策課題への的確な対応」と「財政改革への徹底した取組み」の2つを基本方針として編成をしました。
 予算規模は、一般会計予算総額7,208億2,900万円で、7年連続のマイナスとなりましたが、「選択」と「集中」の視点から、「施策重点化方針」で示しました「暮らしの安心・安全基盤の強化」「次代を担う子どもたちの育成」など4つの分野の重点施策など、県政が抱える政策課題に集中的な配分を行っているところです。
 特に、人口減少対策については、子育て支援体制の強化や、人口定住に即効性が期待できる若者の県内就職促進や就業の場づくり、団塊の世代のUJIターン対策などに、引き続き重点的に取り組むとともに、中山間地域対策の総合的な推進、シニアの知恵と経験を活用する「生涯現役社会づくり」、さらには観光・交流の推進など、人口減少社会にあっても県の活力を維持していくための取組を進めていくこととしています。
 「住み良さ日本一の元気県山口」の実現に向けて、県民生活の充実に特に力を注いだ予算ですので、実施に当たっては、施策効果が最大限に発揮できるよう、県民の皆様や市町への施策の周知やPRに努めていただくとともに、地域の取組ともしっかり連携しながら、効率的な執行に心がけていただきますよう、お願いいたします。

(2)県政集中改革

 今なすべきことへの的確な対応のもう一つは、「県政集中改革」についてです。
 これまで、行政改革推進プランに沿った着実な定員管理や組織体制の見直し、また中期的な財政改革の指針に基づく県債の新規発行の抑制などの取組を行ってきたところであり、改革は着実に進んでいます。
 県政集中改革の最終年度となる本年度においても、談合を防止するための一般競争入札の拡大を図るとともに、住民サービスの向上や市町の行政機能の充実強化等の観点からの権限移譲の推進に向け、移譲パッケージの見直しを行うなど、それぞれの分野でさらに改革を進めることとしています。
 また、新年度から、企画部門と財政部門の連携強化により、政策の選択と集中投資を図るため、「総合政策部」を設置したところですが、これにより、政策評価から政策立案、さらには予算編成へと一連の政策形成に係るシステムを一層徹底していきたいと考えています。
 行財政改革は、とりもなおさず、職員一人ひとりが、改革の重要性を認識し、自らのこととして取り組んでいくことが重要です。
 幹部職員の皆さんには、所管する事務事業について、常に点検・見直しを行うとともに、山口らしい政策立案等に一層努められ、県民サービスの向上を図られるよう、お願いいたします。

3 幹部職員の心構え

 次に、幹部職員としての心構えについて、信頼される県政を基本に、3点ほど申し上げます。

(1)危機管理意識の保持と徹底

 まず、危機管理意識の保持と徹底です。
 昨年の梅雨の長雨や台風13号の襲来等の災害、他県での鳥インフルエンザの発生など、住民生活の安全や健康を脅かす事態が多く発生しています。
 本県におきましては、各部局が連携しながら適時適切に対応を図っておりますが、危機管理の要諦は、「悲観的に準備し、楽観的に対処せよ」という言葉がありますように、やはり、職員一人ひとりが、予測できない事態はいつでも起こり得るという気持ちで、常日頃から、十分な心構えと備えをしておくことが重要であると思います。
 県民の皆様の安心・安全を第一に、常に、情報の的確な収集・管理に努めながら、不測の事態に迅速かつ適切に対応できる準備を怠らないよう、お願いいたします。

(2)現場主義の徹底

 2点目は、現場主義の徹底です。
 ピーター・ドラッカーの言葉に「表の風に吹かれよ」という言葉があります。
 これは、企業経営における金言ですが、県政に置き換えると、「組織の中でいくら考えてもダメだ、常に地域や県民の皆様にふれあい、鋭敏な感覚でニーズを把握し、それに的確に応えていくことが重要」ということです。
 私自身、できる限り市町や県民の皆様にお会いして、直接「しっかりお聞きする」ことを心がけておりますが、職員の皆さんは、常日頃から、「県民の皆様が何を求めているのか」「何が県民の皆様のためになるのか」という「現場感覚」を常に研ぎ澄ましていただき、行動していただきたいと思います。
 また、本庁と出先機関との意思疎通を十分行うとともに、本庁の皆さんもできるだけ現場にでかけ意見を聞くことで、問題点の把握に努め、政策づくりに積極的に反映していただくよう、お願いいたします。

(3)今後の県政を担う職員の育成

 最後に、「今後の県政を担う職員の育成」です。
 私は、職員はコストではなく、財産であると常日頃申し上げております。
 現下の山積する課題を解決していくためには、職員一人ひとりの「職員力」とそれを束ねた「組織力」に磨きをかけ、政策能力を高めていくことが重要です。
 職員一人ひとりが高いモチベーションを持って、その能力を最大限発揮することができるよう、闊達に議論ができ、互いに相談ができる、明るく活気のある職場づくりに意を配していただきたいと思います。
 また、本県においても、2007年問題といわれている団塊の世代の大量退職という状況を踏まえますと、今後の県政を担う職員の育成は急務であります。
 こうした中で、今年度も、新たに76名の新入職員を迎えましたが、「玉磨かざれば、光なし」です。
 各職場におかれては、職場研修の実施や、若い人たちの柔軟な発想を大切にする姿勢で、若手職員の育成に特に努めていただくよう、お願いいたします。
 また、予算措置を伴わない創意工夫による取組として「アクティブ21」を全庁的に進めておりますが、本年度も、障害者インターンシップや「やまぐち結婚応援団」による取組など、新規20項目を含む87項目に取り組むことにしています。
 今後とも、職場の知恵を集め、こうした創意工夫による取組を一層推進していただくよう、お願いいたします。

おわりに

 以上、年度の始めに当たり、今年度の県政の取組姿勢について申し上げました。
 今年は、地方自治法施行60周年の記念すべき年に当たります。
 地方自治法にありますように、地方公共団体の役割は「住民の福祉の向上」です。
 このことを改めてかみしめ、常に県民の皆様の目線で、県民ニーズを的確にとらえながら、「住み良さ日本一の元気県づくり」に全力で取り組んでいきたいと考えています。
 この年末には、孔子の故郷、中国・山東省から孔子像が贈られてまいりますが、孔子は「論語」の中で、切磋琢磨という言葉に触れています。
 幹部職員の皆さんにおかれても、本県の明るい未来を切り開いていくんだという強い気持ちで、自らを鍛え、切磋琢磨し、知恵を絞っていただきたいと思います。
 今年度も、ともにがんばってまいりましょう。