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知事発言集・市町村合併トップセミナー 知事講演 「市町村合併の実現に向けて」

ページ番号:0011392 更新日:2002年5月13日更新

 皆さんこんにちは。二井関成です。
 「市町村合併トップセミナー」を開催いたしましたところ、県内各地から御多忙な中、この様に多くの皆様方に御出席をいただきましてありがとうございました。主催者の一員として、まず心から感謝を申し上げます。
 私に与えられた時間は、20分ということですから、さっそく市町村合併に向けての県の取組方針等についてお話を申し上げておきたいと思います。

 皆様方既に御承知のように、地方分権一括法が一昨年4月に施行されまして、分権は本格的な実行段階に入っております。
 私どもは、これまで、国に対しまして、国の役割というのは、外交とか防衛とかいうような、国家の存立に係わる課題、また、政府がリーダーシップを持って全国的な観点から進めなければならない課題に限るべきである、できるだけ国の権限や財源を地方に移譲し、地方分権を進めるべきである、このことを強く要請をしてまいりました。御承知のように、その結果、権限の面では一定の成果も出てきております。
 一方、今、国の政治は、御承知のように、国民の信頼を損ねる様な事件、出来事が起きています。住民から遠く離れたところで行われる政治というのは、どうしても目が届きにくい。したがいまして、国の場合は、「霞ヶ関の論理」とか、あるいは、「永田町の論理」とか、そういう言葉で言われるような、国民の意思とは遊離をした事件、出来事が起こりやすい傾向にどうしてもあります。
 国の政治システムが今、様々な面で制度疲労、弊害を起こしているわけですから、私は、地方分権は、今後も大きな流れになってくると確信をいたしておりますし、またそのために、私どもも全力で取り組まなければならないと考えております。

 地方分権を進めるということは、どういうことかと言いますと、国への依存をできるだけ少なくし、地方でできることは地方で決めて、自らの責任で実行するということです。このことは、単に、行政内部だけのことではなくて、住民自体もできるだけ、「依存型」から「自立型」へ意識を変えていかなければならないということでもあります。
 よく、「自助、共助、公助」という言葉が使われます。「自助」というのは、自分でできることは自分でする。「共助」というのは、共に助け合ってできることは共に助け合ってやる。そして、「公助」というのは、公が助けるという「公助」です。私は、地方分権を進めるということは、まずは、「自助」ありき、そして、「共助」、そして「自助」・「共助」でどうしてもできないことを「公助」する、それも、やはりその中でも、まず住民に最も身近な市町村ができるだけ対応していく。そして、市町村がどうしてもできないことを県がやり、県がまたどうしてもできないことを国がやる、という方向に発想を変えるということが必要だと思います。
 また、同時に、地方分権を進めるということは、「地方のことは地方で」ということですから、県はもちろんのことですが、市町村同士が、知恵比べ、アイデア比べで本格的に政策で競い合う、地域間競争の時代となるということでもあります。
 したがいまして、私どもは、このような分権の大きな流れをしっかりと受け止めて、市町村の力をいかに高めていくのか、市町村が、自らの責任で政策決定し、地域間競争に打ち勝つ力をいかにつけていくのか、このことが極めて重要な今日の政策課題である。そのように私は考えております。

 こうした課題に的確に対応していくためには、何よりも、市町村の行財政基盤を強化する、また、政策能力、行政能力を向上していくことが不可欠であります。
 さらには、本県の場合は、分散型の都市構造という現状があります。都市合併による足腰の強い中核都市の形成は、県勢の活性化を図る上からも大変重要な課題です。
 このようなことを考えますと、市町村合併はこのための最も有効な方策であり、その推進は避けて通れない極めて重要な課題であると認識いたしております。

 こうした中で、まず、合併に向けた全国の状況を見てみますと、平成13年中、昨年、埼玉県さいたま市をはじめ5件の合併が成立しております。また、この4月1日からは、香川県さぬき市と沖縄県久米島町が誕生をいたしました。そして、法定合併協議会も一挙に28の地域で設置されるなど、合併をめぐる動きが大きく今進展してきております。
 県内では、御承知のように、周南地域において合併に関する具体的な協議が、また、県央部では合併を視野に入れた中核都市形成に向けた官民一体となった取組が進められております。さらに、昨年度、県内各地域で市町村合併シミュレーション調査事業が実施をされました。この調査結果では、9地域45市町村分ですけれども、10年間の人件費の削減額が約723億円、一般職員の減少人数が約1,650人となるなど、合併効果が大きいことが数値としても具体的に明らかになっております。また、小さなパターンよりも大きなパターンの方が、効果はより大きいことが示されております。
 このように県内におきましても、合併に関する取組が全県的に進められておりますが、合併特例債をはじめとする様々な財政措置が定められている「合併特例法」の期限が平成17年3月31日ということになっておりますから、残すところ3年を切っており、あまり猶予がないという状況にあります。
 国の方でも、合併特例法の期限延長はないということが確認されております。言い換えますと、優遇措置、特例措置は、法期限である平成17年3月までに合併した場合にだけ、適用が認められるということになるわけですから、是非ともこうした優遇措置等を有効に活用して、合併後の新しい地域づくり、まちづくりを進めていってもらいたいと考えております。

 国の方で、「合併協議会の運営の手引」というのが示されております。合併先進事例を参考にしながら、合併協議会の設置から合併の実現までの具体的な手順を示した手引ですが、これを見ますと、合併協議会の立上げ準備から協議会での協議、そして、合併に向けた準備まで、標準的な所要期間が22か月、2年弱というふうに示されております。
 このようなことを踏まえて考えますと、平成17年3月までの合併スケジュールを想定いたしますと、合併に関するあらゆる事項を住民を交えて協議、検討する場である「法定合併協議会」を今年のできるだけ早い時期に設置して、各地域で具体的な協議、検討を進めていくということが必要になります。まさに今年が正念場、市町村合併に向けた取組をしていく極めて重要な年だということになるわけです。
 そのために、県といたしましては、この2月に「市町村合併推進本部会議」を開きまして、これからの県として、全県的に市町村合併に取り組む、「市町村合併の推進に向けた取組方針」というものを決定いたしております。
 この1月には、地方4団体の皆様方から「市町村合併に関する要望」もいただきましたが、その内容を十分に踏まえまして、県としての、今年度の合併関係予算を大幅に拡充いたしましたし、県の組織の中でも、「市町村合併推進室」を設けて、合併推進体制の整備・強化を図ったところです。そして今日の「市町村合併トップセミナー」もそうですが、この4月から6月までの3か月間、これを「市町村合併広報強化月間」ということで、気運醸成を図っていこうと今しておるわけです。
 そして、既に開催しておりますが、各地域で「市町村合併地域別懇話会」、これも今各地域で開かさせていただいておりますし、「いつでも、どこでも、誰にでも」きめ細かく合併についての話をしたいということで、「出前講座」も設けさせていただいています。すでに、約70件ほどの申込みをいただいておりますので、この「出前講座」も皆様方積極的に活用していただきたいと思います。
 パンフレットの方もお手元にお配りしておりますように、できるだけ住民の皆さまにわかりやすいようなものにしたいということで今日はお配りをさせていただいておりますので、これについてもぜひ、目を通していただきたいと思います。
 県も、法定合併協議会の設置が進むようにするなど、総額4億8千万円の予算を計上いたしておりますし、人的な応援も、法定合併協議会の委員として県から派遣するとか、あるいは、協議会事務局へも職員を派遣するとか、そのような形で財政面、あるいは、人的な支援策も幅広く講じたところです。
 さらに、国が昨年策定いたしました「市町村合併支援プラン」の対象となる「合併重点支援地域」につきましても、市町村合併支援道路事業をはじめとする、国の事業、あるいは、県の事業、これらを優先採択、重点投資を行うということにしておりますから、ぜひ、地域指定について積極的な御検討をお願いしたいと思っております。

 申すまでもなく、市町村合併は、それぞれの地域の在り方にかかわる重要な問題です。将来の地域づくりに関する問題でありますから、市町村や住民の方々に、しっかり議論をしていただくことが何よりも重要です。
 そのため、行政は、住民の方々が正しい判断ができるように、具体的で分かりやすい情報を的確に提供する必要があります。住民からの声を待つということではなくて、行政サイドから積極的に住民に対して働きかけを行い、判断材料を提供することが重要であります。これは行政の使命であります。
 このために、繰り返しになりますが、関係市町村で構成する法定合併協議会を一日も早く立ち上げて、新しいまちづくりのマスタープランとなる市町村建設計画案などの、判断材料となる資料を作成して、住民に十分な情報を提供していくということが重要です。
 合併の推進というのは、市町村長さんと議会のリーダーシップが極めて重要であります。そして、その取組は、市町村長、議会、住民の三位一体で進めることが肝要でして、どれも欠くことはできません。
 そういう観点から、本日のトップセミナーの開催を契機として、市町村長さんや議会のリーダーシップの下で、各地域において合併の論議が一層高まるように期待をいたしております。
 県といたしましても、この市町村合併というのは、私は、21世紀の新しいまちづくりを進めていく大きな舞台であるというふうに考えておりますから、全力で地域の取組を応援をしていこうと思っております。どうか、引き続き合併の取組についての加速化を図っていただくように心から期待をいたしております。

 もう時間がありませんから、以上で終わらせていただきますが、皆様方には、今地域の抱えている課題、様々な大きな課題はありますけれども、私は、やはり、市町村合併によって力強い市町村になっていただきたい。そのように思っておりますので、どうか皆様方にはますます御活躍をされますよう心からお祈り申し上げまして、私の話を終わらさせていただきます。
 今日はありがとうございました。