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知事発言集・市町村合併をともに考える全国リレーシンポジウム2002in山口における知事講演録「市町村合併の実現に向けて」

ページ番号:0011397 更新日:2002年9月14日更新

1 はじめに

 皆さん、こんにちは。二井関成でございます。
 今日は皆様方には、大変ご多忙の中にもかかわらず、こうして多数の皆様方に当シンポジウムに参加をいただきましたことを心から感謝を申し上げます。
 そして、先ほどご挨拶のありました安倍内閣官房副長官にお越しをいただいておりますし、基調講演では「さいたま市」誕生に御尽力をされました井原元与野市長さん、また、パネリストに総務省の香山総務審議官をはじめ、多彩な方々をお迎えをして、盛大にシンポジウムが開催されましたことを、心から感謝を申し上げます。

2 市町村合併の必要性

 さて、私からは、少々時間をいただいておりますので、市町村合併の実現に向けた県の取組方針などについてお話をさせていただきます。
 ご承知のように、地方分権一括法が一昨年の4月に施行されまして、地方の権限という面では一定の見直しがなされました。
 しかし、いまだ税・財源の地方への配分という面では、ほとんど進展をしていないというのが現状でございます。仕事の量は、依然として国が40に対して地方が60、それを賄う税収が国が60に対して地方が40となっております。その差の20の資金が国から地方へ再配分をされる仕組みになっているということです。
この関係を少しでも是正をして、国から地方への税源移譲等により、国と地方の税収を50:50にしようとするのが、片山総務大臣の試案であります。そして小泉内閣の構造改革の中でも、国と地方の関係について「国庫補助負担金、交付税、税源移譲を含む税源配分のあり方を三位一体で検討する」ということにされております。
 私どもは、国の役割というのは、外交、防衛など国家の存立に関する課題や、社会保障など政府がリーダーシップを持って全国的な観点から進めなければならない課題に限定をすべきであり、国の権限、財源はできるだけ住民に身近な地方自治体に移譲すべきであると考えておりますが、今申し上げました状況の中で、「地方のことは地方で」という地方分権の流れは、今後も、さらに大きく、確実なものになってくると確信しておりますし、そのために、私どもも全力で取り組まなければならないと考えているところであります。
 また、地方分権を進めるということは、「依存型」の体制から、「地方のことは地方で」自らの責任で行うという、「自立型」の体制へと変換していくこと、地方の自己決定、自己責任が求められてくるということになります。
 そして、このことは、単に、行政内部だけのことではなくて、県民の意識もできるだけ、「依存型」から「自立型」へ変えていくことが求められ、その方向に発想を転換していくことが必要であると、私は思っております。
「自助、共助、公助」という言葉がありますが、「自助」といいますのは、自分でできることは自分でする、家庭でできることは家庭でする。そして「共助」というのは、コミュニティ等の組織の中で、お互いに助け合いながら実施をしていくということ、「自助」、「共助」でどうしてもできないことを市町村や県や国が行うという「公助」で対応する、というように発想を転換をしていくことが必要になってきております。これからは、まず「自助」があって、そして「共助」、「自助・共助」でどうしても出来ないことを「公助」する。また、「公助」の中でも、まず住民に身近な市町村で行う、そして、市町村がどうしてもできないことを県が行う、また、県ができないことは国にやってもらう。このような形にしていかなければいけないと、思っております。
 また同時に、地方分権というのは、「地方のことは地方で行う」ということですから、地域間の競争が激しくなる時代を迎えるということになります。地域同士で知恵比べ、アイデア比べで、お互いに競争し合う時代になるということです。
 したがいまして、私は、21世紀の県づくり、地域づくりというのは、このような地方分権の大きな流れをしっかりと受け止めて進めていく必要がある。そのためには、先ほど申し上げました「自助」「共助」の「県民の力」を如何につけていくのか、また「公助」のうち、住民に最も身近な「市町村の力」を如何に高めていくのか、このことが、今日の極めて重要なテーマであると考えております。
「市町村の力」という面では、山口県には、御承知のように、14市42町村の56市町村がありますが、そのうち、人口5千人未満の町村が15,5千人以上1万人未満の町が18と、人口1万人未満の自治体が約6割を占めております。全国平均の48%に比べますと、人口規模の小さい町村が多いというのが特徴です。
また、都市につきましても、最大が御当地の下関市の26万で、宇部市、山口市、防府市、徳山市、岩国市と人口10万人台をはじめ、中小都市が分散するという、いわば串団子のような都市構造になっており、県全体をリードする中核都市の形成が、本県にとっての古くて新しい最重要課題であります。

 全国と比べますと、個々の市町村の体力が総体的に弱く、他県に比べて、いち早く高齢化が進行している本県の状況等を考えますと、現在の市町村のままで、今後ますます増大し、多様化、高度化していく住民ニーズに的確に対応していけるのか、案じられる状況ではないか、と思っております。
したがいまして、市町村が当面する諸課題にしっかりと対応していくためには、財政基盤を強化し、行政能力を高めていくことが不可欠であり、このための最も有効な方策である市町村合併は、避けて通れない、早急に取り組むべき課題であります。

3 合併をめぐる動向

 市町村合併を進めるに当たりましては、ご承知のように、合併特例債をはじめとする様々な国の財政支援措置などを定めた「合併特例法」という法律がありますが、この法律の期限が、平成17年3月末となっております。
 言い換えますと、特例措置、優遇措置は、法期限である平成17年3月までに合併した場合にだけ、適用されるということですので、是非ともこうした優遇措置を有効に活用して、合併後のまちづくりを進めていただきたいと考えております。
合併先進事例を参考にしながら、合併協議会の設置から合併の実現までの具体的な手順を示した「合併協議会の運営の手引」では、合併協議会の立上げ準備から協議会での協議、そして、合併に向けた具体的な準備まで、標準的な所要期間は22か月、2年弱として示されております。
こうしたことを考えますと、平成17年3月までの合併スケジュールを想定しますと、合併に関するあらゆる事項を、住民をまじえて協議、検討する場である「法定合併協議会」を今年のできるだけ早い時期に設置をして、各地域で具体的な協議、検討を進めていくということが必要であります。法期限まで2年半となっておりますので、あまり猶予はない状況であります。
 こうした中で、合併に向けた県内の取組状況を見ますと、御承知のように、周南2市2町におかれましては、合併協議会での協議・調整を終えられ、8月27日に、合併協定書の調印が行われたところです。これまでに至るまでにはいろんなことがありましたが、関係市町の多大な御尽力に対しまして、深く敬意を表しますと同時に、周南合併の実現に向けて、さらなる御努力をお願いしたいと思っております。
私は、周南地域の4市3町の合併による中核都市づくりに向けての大きなステップになるものというふうにも思っておりますし、さらには、県内全域で合併を推進していく上での、極めて大きなインパクトを持つものとして、引き続き、全面的に支援をしていきたいと考えております。
また、県内におきましては、この周南地域をはじめ、ほぼ全県で複数の市町村による合併の協議会、研究会等が設置をされておりまして、さらに、約9割の50の市町村議会において合併に関する特別委員会等が設置をされるなど、行政、議会とも、県内全域で活発に合併に関する取組が展開をされている状況にあります。
 とりわけ、先ほど、安倍先生からもお話がありましたが、柳井地域、大島郡地域、萩地域、そして長門地域の4地域では、研究会組織から一歩進んだ、任意の合併協議会を立ち上げられ、法定合併協議会の設置に向けてそれぞれの取組を加速化されているところです。
 合併協議会に参加をしている市町村数は、4割を超える状況になっておりまして、合併をめぐる県内の取組状況は、1年前、半年前に比べましても大きく進展してきております。
 全国の状況等については、後ほど香山総務審議官等からもご紹介があるかもわかりませんので、私からは省略いたしますが、全国的にも合併をめぐる状況は大きく進展をしていると思っております。

4 合併推進のための県の取組

 こうした状況の中で、法期限内の合併の実現に向けて、平成14年度、今年度の取組が極めて重要であり、まさに正念場を迎えておるわけでございます。
 県としても、今、この合併に向けて、人的支援とか、あるいは、財政的支援とか、さまざまな支援措置を講じております。今回新たに、昨日発表いたしましたように、「広域市町村合併支援特別交付金制度」の創設をいたしました。
 県といたしましては、広域市町村圏の中心都市を核とした一体的なまちづくりを推進をして、中核都市の形成等を進めるため、こうしたまちづくりにつながる広域的な市町村合併に対して重点的に支援をしていくことといたしておりますので、この交付金制度も是非、有効に活用していただきたいと思っております。
 これからも県といたしましては、市町村合併に向けての情報提供、また、各地域での懇話会の開催、あるいは「出前講座」の開催等を通じまして、全力で合併推進に向けて取り組んでいきたいと思っております。
 市町村合併、県のホームページにつきましても、よりわかりやすく、地域別の取組状況も含めて、関連情報も豊富に盛り込んでおりますので、是非ご覧をいただきたいと思います。
 また、合併協議会の事務の参考になりますように、先日、庁内の「市町村合併プロジェクトチーム」で作成しました市町村建設計画案や協定項目調整案のモデルをお示ししましたのをはじめ、今回の全国リレーシンポジウムを皮切りに、合併に向けた全県的な気運醸成を一層図るために、10月から11月にかけまして県内各地域で「市町村合併地域別シンポジウム」を開催することにいたしております。
 こうした幅広い取組を通じ、県としては、合併に向けた各地域の取組について、全力で支援をしていく考えであります。

5 おわりに

 申しあげるまでもなく、市町村合併は、それぞれの地域の在り方にかかわる重要な事柄であり、将来の地域づくりに関する問題でありますので、市町村や住民の方々がしっかり議論をし、自主的・主体的な取組を進めていくことが何よりも重要であります。
 合併の取組は、行政、議会、住民の三位一体で進めることが肝要であり、どれが欠けてもいけません。また、合併の実現に向けては、今後とも、合併に関する具体的な情報提供を十分に行い、住民を交えて、各地域でしっかり議論を尽くすことが重要です。
 そして、そのためには、繰り返しになりますが、関係市町村で構成する市町村合併協議会を一日も早く立ち上げて、新しいまちづくりのマスタープランとなる市町村建設計画案など、判断材料となる資料を作成をし、公表し、協議、調整を十分重ねていく必要があります。
地方分権の時代におきまして、合併による新しい地域づくりをどうするのか、こうした点から、知恵を絞り、アイデアを出して、新しいまちづくりを地域間で競い合う、そうした時代が間もなく到来するものと、考えております。
 県といたしましては、21世紀の新しいまちづくりを進める大きな舞台となる市町村合併の実現に向けて、今後とも、全力で支援をしてまいりますので、それぞれの地域におきましても、引き続き一層の積極的な取組を展開され、合併の実現に向けた取組を加速化していただきますように、改めてお願い申し上げまして、私の話を終わらせていただきます。
 今日はどうかよろしくお願いいたします。