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平成23年 (2011年) 6月 16日

政策企画課

日韓地域活性化セミナー知事講演 [平成14年9月4日 大韓民国 釜山広域市] 「県民活力の発揮による元気県づくり」

 この講演は、(財)自治体国際化協会ソウル事務所(CLAIR,Seoul) が、「住民活力による地域づくり」をテーマに、韓国の地方公務員や韓国駐在の 日本の地方公務員を対象として開催したセミナーにおいて、知事が特別講演として行ったものです。



 山口県は、韓国の慶尚南道と昭和62年(1987年)に姉妹提携しており、水産、 観光、経済などの交流や文化、スポーツ等を通じた児童・生徒の交流がさかん に行われています。

慶尚南道地図

  ◇ はじめに


 まず、この度、韓国国内では、8月の豪雨に引き続き、15号台風(RUSA)により、多くの死傷者が出、また、大きな被害が発生しましたが、被災地域の住民の皆様には、心からお見舞い申し上げます。特に、尊い人命を失われた犠牲者の方々に謹んで哀悼の意を表しますとともに、御遺族の皆様に心からお悔やみを申し上げます。

 今後、災害の爪跡が1日も早く復旧しますよう、お祈りいたします。

 さて、本日は、クレア・ソウルの御配慮のもとで、ここ釜山広域市において、このように多くの皆様の前で、山口県のお話をさせていただく機会を頂きましたことを、心から感謝申し上げます。

 山口県と韓国は、地理的にも、歴史的にも深いつながりを持ち、古くから文化、経済等の交流が盛んに行われてきました。下関市と釜山間には関釜フェリーが毎日就航しておりますから、人、物が気軽に行き来し、親しいおつきあいをさせていただいております。

 しかし、私自身は、韓国を訪れるのは5年ぶりです。前回は、慶尚南道との姉妹提携10周年の年でしたから、1997年の5月だったと思います。実は、私は、このときが初めての韓国訪問であり、慶尚南道をはじめ、ここ釜山やソウルも視察させていただきましたが、韓国の皆様が生き生きと活躍されている姿を見て、この国がさらに発展していくだろうという思いを強くしたことを覚えております。

 今年は、世界中を興奮に巻き込んだ、あの「サッカーワールドカップ」に引き続き、御当地釜山においては、アジア大会の開催を目前に控えていらっしゃるということで、町全体に熱気とパワーを感じております。

 さて、今日のセミナーのテーマも、このような「住民活力を地域づくりの中に如何に活かしていくのか」ということだろうと思いますので、このテーマに沿いまして、「県民活力の発揮による元気県づくり」という演題でお話をさせていただきます。



1 依存から自立へ


 (1) 地方分権:日本における最も重要な視点

 まずはじめに、日本の地方自治体の構造についてお話しますと、韓国が、国の下に、「道」や「広域市」などの広域自治体があり、その下に「市」や「郡」などの基礎的自治体があるという構造となっているのと同様、日本の地方自治制度は、国があり、その下に韓国の「道」に相当する「都・道・府・県」があり、その下に韓国の「市」や「郡」に相当する「市町村」があるという二層の構造になっています。山口県を例に具体的に申しますと、人口約153万人の山口県という組織のもと、人口25万人の下関市から人口1,100人の川上村まで、大小56の市町村があるという構造になっています。

  こうした地方自治体が、日本全国では、市町村が3,200、その上に都道府県が47あり、地方自治体は国の歳出の1.5倍を支出しているなど、日本の行政で大きなウエイトを占めています。

 しかしながら、権限の面や財源の面から考えますと、地方自治体の力は決して大きなものではなく、日本においては、約130年前に近代日本が始まって以来、国に権限や財源が集中する「中央集権」を基本に、国づくりが進められてきました。

 この中央集権の制度は、優秀な人材や資金、資源が首都東京に集中し、効率的な運用が図られ、また、その制度を支えてきた官僚機構の優秀さもあって、非常によく機能し、日本の高度経済成長を生み出す原動力となってまいりました。

 しかしながら、日本では今日、先進諸国へキャッチアップするという目標も一応達成され、「物の豊かさ」から「心の豊かさ」が求められ、一人ひとりの「個性」が重要視される時代になっています。

 したがって、中央集権制度では、こうした多様化する住民ニーズにきめ細かに対応していくことが困難になっており、現在、この中央集権的システムが、様々な制度疲労、弊害を起こし、十分に機能できなくなっております。

 私は、このような状況の下、国の役割は、外交、防衛など国家の存立に関する問題や、社会保障など政府がリーダーシップを持って全国的な観点から進めなければならない課題に限定すべきであり、国の権限、財源はできるだけ住民に身近な地方自治体に委譲すべきであると考えております。

 私どもは、こうした考えに基づき、様々な働きかけを国にしてまいりましたが、その結果、一昨年4月から、地方分権一括法という法律が施行され、国と地方が対等の関係になり、権限についても一定の見直しがなされました。また、小泉内閣の構造改革の中でも、国と地方の関係について「国庫補助負担金、交付税、税源移譲を含む税源配分のあり方を三位一体で検討する」とされています。

 今後も紆余曲折はあると思いますが、こうした動きの中で、私は、これからも、地方分権の流れはより大きく、ますます確実なものとなってくると確信しておりますし、引き続き、それを実現するために、権限や財源の委譲といった制度の改革に、全力で取り組んでいかなければならないと考えています。


 (2) 地方分権型社会とは

 一方、地方分権を進めていくためには、それを進めていく我々自身の意識を変えていくことが必要となります。

 日本の社会構造は、まず個人があり、それがまとまった自治会などの地域組織があり、その上に、市町村、県、国という三層構造が乗った形になっています。そして、こうした体制の中で、これまでは、何かあれば、それぞれ上位の組織にお願いする、そして、実現してくれなければ、責任は上位のものにあるとする、極端な言い方をすれば、無責任な「依存型」になってきたと言えるのではないかと思います。

 しかしながら、地方分権を進めるということは、この「依存型」の体制から、「地方のことは地方で」自らの責任の下で行うという、「自立型」の体制へ変換していくことが求められ、より地方の自己決定、自己責任が必要な時代になってまいります。

 そして、このことは、単に行政内部だけのことではなく、住民の意識も、「依存型」から「自立型」へ変えていくことが必要であり、その方向に発想を転換していくことが求められているのだと思います。

 言い換えますと、これからの地域づくりのためには、まず、自分たちでできることは自分たちで行う、家庭でできることは家庭で行うという「自助」、そして、個人が社会の一員として、お互いに助け合って問題を解決するという「共助」を基本に、「自助」「共助」でどうしてもできないことを、市町村や県、国が行う「公助」で対応するという方向に発想を変えていくことが必要になります。

 また、地方分権というのは、「地方のことは地方で」ということですから、地域間の競争が激しくなる時代を迎えるということであり、地域同士の知恵比べ、アイデア比べの時代でもあります。

 したがって、私は、21世紀の新しい県づくり、地域づくりは、このような地方分権の大きな流れをしっかりと受け止めて進めていく必要があり、そのためには、「自助」、「共助」の「県民の力」を如何につけるか、このことが、今日の極めて重要なテーマであると考えております。



2 「山口きらら博」


 (1) 県民の力を発揮する舞台:県民参加型博覧会

 さて、このような状況の中、昨年、21世紀のスタートに当たり、山口県民の力を発揮する舞台として用意したのが、ジャパンエキスポ「山口きらら博」です。

 そこで、まず、この「山口きらら博」において発揮された県民の力というものについてのお話から始めたいと思います。

 「山口きらら博」は、昨年7月14日に開幕し、終了したのが9月30日ですから、早いもので、ほぼ1年が経過したことになります。

 会場となった阿知須町きらら浜は、山口県のほぼ中央部の瀬戸内海に面する場所で、もともと干拓地であったこの土地の38haを会場として整備し、広大な会場に、海と山をつくり、パビリオンと自然を融合させた「自然共生型」、「環境重視型」の会場、いわば、自然環境に恵まれた山口県を凝縮した会場構成にしました。

 そして、趣向を凝らした「参加・体験・ふれあい」型の多彩な手作りイベントなど様々な催しを、会場一杯に展開しました。きらら博では、従来型の博覧会のように日常では体験できないような異質の空間を創りあげるということではなく、日常空間を会場一杯に展開することを重視しました。

 結果的に、目標を25%上回る、251万人余りの来場者を迎え大成功を収めることができましたが、なかでも、9月23日には、ジャパンエキスポ史上最高の97,053人の入場者を記録するなど、今、思い起こしても、実に感慨深いものがあります。

 パビリオン国際交流館においては、慶尚南道ブースにおける出展や実演など、韓国の方々にも多くの御協力をいただき、韓国からも多くのお客様にお越しいただきました。あらためてお礼を申し上げます。

 さて、きらら博の成功の理由は何だったのでしょうか。

 私は、「山口きらら博」を、構想段階から「県民参加型の博覧会」にすることを提唱し、様々な県民参加の仕掛けを行いました。

 まず、「きららネット」という、県民の皆さんが自主的・主体的に運営される組織を立ち上げ、博覧会で、ボランティア活動など何かをしたいと考えている県民と「きらら博」をつなぐ役割をお願いしました。

 また、「市町村の日」も設け、県下の全市町村、56市町村が、それぞれの地域特性を活かしたイベントを実施するなど、多くの県民に参加してもらえる仕組みも数多くつくりました。

 その結果、県民参加イベントへの出演ボランティアから、来場者サポート・ボランティア、環境ボランティア、福祉ボランティアなど、実人員5万1千を超える県民の皆さんが集い、その役割を最大限に発揮してくれました。

 博覧会の成功の要因は、いろいろありますが、何にも増して大きな力になったのは、これらボランティアやスタッフの皆さんの会場いっぱいに表現された、あの「やさしさと思いやり」、「元気と笑顔」であったと思います。

 ボランティアやスタッフの対応の素晴らしさが、来場者に感動を与え、ロコミで拡がっていきました。そして、当然のことながら、このことがボランティア等の皆さんにも伝わり、その対応に一段と磨きがかかったのです。

 この来場者の皆さんの「評価する、誉める」、ボランティアやスタッフの皆さんのその「期待に応える、がんばる」という好循環が、来場者の心とボランティア等の心を一体化させ、それが79日間途切れることなく続いた結果、会期後半、「会場からオーラ、熱気が溢れていた」と言われた現象につながっていったと思っています。

 オーラといえば、最近、同じようにオーラを感じたシーンがありました。ワールドカップの韓国対イタリア戦、スペイン戦で見た、あの劇的で意気揚々とした光景です。 選手とサポーターが一つの目的に向かい、心を一つにして「奮い立った」ときの力。それは、理屈ではなく、何かを変える、動かすうねりとなり、常識や歴史さえも変えてしまうことがあるのです。

 私は、ワールドカップ・サッカーの試合をテレビで見ながら、きらら博と相通ずるものを感じ、今後の県の発展は、こうした「県民活動の活発化」にかかっているとの思いを新たにしたところです。

 また、日本においては、景気・雇用情勢も厳しく、悪い方向へ、暗い方向へと、目が向きがちですが、気が付かない所にも評価すべきものがある、それらを見つけ出して、きらら博のような良い循環を、スクラムを組んで創り出していく、このことが、今、最も求められているのではないかという思いを強く持ちました。



(2) 県民参加による実験の場


 ①ホスピタリティの大切さ

 きらら博は、ボランティアの協力をいただいての様々な政策の実験の場でもありました。 山口県は、多彩で美しい自然、歴史、伝統文化に恵まれた県で、4つの国立・国定公園があり、その一つの秋吉台国定公園は、東洋一のカルスト台地と3億年の歴史とロマンの幻想的な鍾乳洞・秋芳洞があり、ここ韓国からも年間1万人の観光客に訪れていただいています。

 また、歴史面から少し紹介しますと、山口県は、近代日本の幕開けとなった明治維新など、日本の歴史の節目の大きな舞台に登場しており、その明治維新発祥の地である城下町・萩をはじめ、風光明媚な日本3名橋の一つである岩国の錦帯橋など、豊富な観光資源があります。

 私は、こうした観光資源を有効活用して観光による地域活性化を図ることが重要だと考えています。

 特に、近年、日本は少子・高齢化が進み、人口減少が大きな社会問題となっており、山口県も例外ではありませんし、若者が都会へ出ていく傾向が強い中で、山口県の人口を増やしていくことは、なかなか難しい現状にあります。

 そこで、こうした観光資源を活用して、国内外から多くの方に山口県に来ていただく「交流人口」を増やすことで、人口減少に負けないよう地域を活性化していかなければならないと考えています。

 観光旅行も一昔前は、団体のバス旅行で有名な観光地を駆け足で見て回るものが多くありましたが、近年、家族や小グループ単位で地域の持つ自然や歴史、文化を体感したり、地域住民との交流や地域の暮らしぶりを体験したりするものに変化してきております。

 そうしますと、受入れ側も、訪れたお客様のニーズに的確に対応して、特にきめ細かな接客と言いますか、温かいもてなしの姿勢や旅行者を惹きつける新たな魅力づくりが必要になります。

 私は、きらら博をその実験の場とすることとし、スタッフすべてがホスピタリティを持って対応する「ホスピタリティ博覧会」をめざしました。

 その結果、すでにお話ししましたように、ボランティア、アテンダント、警備スタッフなど博覧会を支えたスタッフの心のこもった対応が、多くの人に感動を与え、入場者増加にも大きく貢献し、改めて「ホスピタリティ」の重要性が再認識されました。

 きらら博にリピーターが多かったのは、こういう「もてなしの心」があったからこそであり、また、入場者アンケートで、「近いうちにまた山口県を訪れたい」という県外客の回答が86・2%もあったのは、山口県の多彩な歴史、自然、文化の魅力もありましたが、ボランティアやスタッフのおもてなしの心あふれる対応が、「もう一度山口県に行ってみたい」という気持ちを起こさせたものだと思います。

 この「ホスピタリティ」を山口県の新たな観光資源として情報発信し、観光客に優しい観光県山口「もう一度訪れたい山口」として観光振興を進めていく考えです。


 ②ごみの分別収集

 また、きらら博では、「環境への配慮」についての実験も行いました。

 日本では、今、ごみの排出をどう抑制し、どう処理していくのか、そして最終的には、リサイクルやリユースを押し進め、循環型の社会を形成していくことが大きな課題となっています。

 ごみは家庭から排出される一般廃棄物と、企業などが出す産業廃棄物の二つに区分されます。このうち、一般廃棄物は市町村が、産業廃棄物は排出者が処理することが義務づけられています。

 山口県の例をとってみますと、一般廃棄物は県民一人当たり1日に約1,000gのごみを出しており、県全体では65万tのごみが1年に発生しております。このうち、47万5千tが市町村の焼却場で処理され、埋め立て等による最終処分量は15万6千tで、一般廃棄物の15.8%の10万6千tがリサイクルされています。

 山口県では、この一般廃棄物を2006年には、現在より4%減の62万tにし、最終処分量を38%減の9万7千tにしてリサイクル率を22%に引き上げようと計画しております。このためには、今まですべてまとめてごみとして処分されていた廃棄物のうち、資源として再利用できるものと、ごみとして処分するものを区別し、収集することが必要です。

 韓国においても分別収集が行われているとのことですが、日本では、2000年4月から、「容器包装リサイクル法」という法律が施行され、ペットボトル、スチール缶、アルミ缶や牛乳などの紙製容器包装など再資源化が可能なものについては、市町村、消費者、事業者それぞれ役割分担してリサイクルを進めることが義務づけられました。

 こうしたことから、このきらら博では、会場内で、ゴミの減量化とリサイクルの実験にも取り組み、ゴミゼロ博覧会をめざしました。

 先催博では一人当たりのごみの排出量が約300gであったものを何とか200g程度に押さえたいということで、マイコップやマイバッグの使用などを進めた結果、一人当たり120gという結果になり、ごみの減量化という点では、はっきりとした成果をあげることができました。

 また、再利用・リサイクルの推進という面では、ここでもボランティアの全面的な協力を得て、8種類の分別収集を行い、99.7%をリサイクルすることができました。

 このような取組により、県民の環境に対する意識の向上やごみの発生・排出抑制ノウハウを得ることができました。


 ③バリアフリーの推進

 また、障害者や高齢者の方にも、健常者と同じように楽しんでいただくことを前提に、「バリアフリー博覧会」をめざしたのも、この博覧会の特徴です。

 最近では、障害のある人だけではなく、全ての人の社会参加を困難にしている物理的、社会的、制度的、心理的な障害を取り払い、だれでも使いやすいものとする「ユニバーサルデザイン」という考え方が徐々に広まりつつありますが、山口県では、1997年に「山口県福祉のまちづくり条例」を制定し、施設については、これまでも、公共施設へのスロープ・エレベーターの設置、幅広い歩道の整備、障害者対応の信号機の設置など、「バリアフリー」に積極的に取り組んできました。

 このようなことから、私は、この博覧会において、会場内の整備や運営の在り方までユニバーサルデザインの考え方を取り入れた徹底したバリアフリー化に挑戦しました。

 会場内の段差解消といった基本的なものはもちろんのこと、全てのトイレ棟に障害者用トイレを設置するとともに、各パビリオンにも障害者席を設けました。

 また、これもボランティアの協力無くしてはできなかったことですが、障害者用駐車場に車椅子を配置し、障害者が一人で来場された場合もボランティアが付き添って会場を案内する試みなども行いました。

 さらに、みんなにやさしい会場づくりということで、トイレや休憩施設などを充実させ、会場内の移動には、外周バスや遊覧車など多様な交通手段を確保しました。

 このように会場や施設整備等のハード面とボランティアの行き届いたサービスというソフト面の両面で、バリアフリーの取組は成功し、博覧会の大きな魅力となったことは、今後の高齢社会や障害者が活躍できる社会づくりに向けて、弾みがついたと考えています。



2  「ポストきらら博」戦略


 (1)  県民活動の活発化

 さて、私は、このきらら博での体験を通して、ボランティア活動をはじめとする県民活動の重要性や、県民の皆様が一つの目的に向かっていった時に発揮されるパワーの大きさといったものを実感しました。

 そのため、この博覧会の成果を今後に活かし、県民活動のネットワークを一層拡大していくため、住民と行政とのパートナーシップに関する基本理念や活動促進のための方向性を示した「県民活動促進条例」 を提案し、今年の4月から施行しました。

 また、この条例と併せて、県民活動を支援していくための組織を充実することが重要ですから、そのための県の中核組織として、やはりこの4月から、「やまぐち県民活動きらめき財団」 をスタートさせ、きらら博の剰余金のうち5億円を活用し、取り崩し型の基金とし、これを基に、県民活動の支援のための各種事業を実施することにしております。

 さらに、1999年秋に県民活動の支援拠点として整備した「県民活動支援センター」を、NPO法人の協力を得て、民営化したところであり、全国的にも先進的な支援体制を整備しました。

 現在、山口県内には、県民活動団体が約1,500団体、そのうち県民活動支援センター登録団体が約550団体あり、また、NPO法人は79件(9月4日現在)となっておりますが、私は、住民の要求が、物の豊かさから心の豊かさに移るにつれ、行政だけでは対応できない公益活動や、県民活動団体と協働で取り組むことで、より成果を上げることができる分野が、今後、確実に増えてくると考えており、きらら博を契機に芽生えた県民活動を、様々な分野で大きく育てていきたいと思っております。

 また、さきほどお話ししたように、きらら博での「ホスピタリティ」、「ゴミゼロ」、「バリアフリー」の実験は、大きな成果をあげ、大成功を収めることができましたので、このような博覧会で創られた多くの資産をこれからの地域づくりや県づくりに具体的な形で継承し、「県民の活力」の発揮を基本に、幅広く取り組んでいくこととしております。


 (2) 新たな協働の推進

 次に、新たな協働の推進についてです。

 私は、地方分権の流れを踏まえますと、県民の力を高めるとともに、今後はさらに、さまざまな主体が、それぞれの持てる力、特性を、お互いに連携・協働しながら、最大限に発揮し、地域の総合力を高めていくことが重要であると考えています。

 そういう意味では、今お話した県民活力という意味でのNPOや市民組織等との協働をはじめ、地域の産業が持っている”技術力”や、大学や研究機関が有している”知”などを生かす、「産」や「学」との協働の取組を強化しなればならないと考えています。

 そこで、いわゆる産学官の連携・協働による山口県での取組事例を紹介したいと思います。



 情報化プロジェクト


 まず、そのための舞台として取り組んでおりますのが、「やまぐち情報スーパーネットワーク」です。

 情報化については、高速インターネット加入率は、韓国が最先端を行かれており、特に、教室のインターネットの接続率は100%だと聞いております。

 山口県も情報化には早くから取り組んでおり、日本では先進的な取組になりますが、山口県内15カ所に設置したアクセスポイントを高速大容量(622Mbps)の光ファイバー網で結んだ、自治体が独自に整備するものでは日本で最大級となる総延長約830Kmに及ぶ「やまぐち情報スーパーネットワーク」の整備を進め、昨年の7月より運用を開始しております。

 私は、この「やまぐち情報スーパーネットワーク」を活用し、大学や研究機関、産業界そして県民一人ひとりを結びつけ、それぞれの協働により、新しい知恵や活力を創出して、教育、福祉、文化、産業など県政の様々な分野を活性化させていくことが、今後の県づくりの鍵を握っていると考えています。

 したがいまして、現在、このネットワークを活用して、大学間を結んで行う遠隔講義や、全県立学校間を結んだ情報教育、病院間を結んだ遠隔画像診断、美術館等の収蔵品のデジタルデータ化など、様々なシステム開発に取り組んでいます。



 ごみゼロ社会プロジェクト


 次に、ごみ対策など、きらら博の環境対策を継承発展させていく取組です。 先ほど申し上げましたが、きらら博ではごみの減量化やリサイクルという面で大変大きな成果をあげることができました。

 こうした取組を全県に波及させていくためには、生ゴミの堆肥化によるリサイクルシステムの構築や、児童、生徒に対する環境学習の推進、環境ボランティアの育成などの取組を進めることにしておりますが、同時に、セメントや化学製品の国内有数の生産県としての山口県の産業特性を活かした、新たな資源のリサイクルシステムの事業化という面でも、日本の最先端の取組をしております。

 その事業を紹介しますと、今年の4月から、県内全域で排出される「ごみの焼却灰」をセメントの原料とするプラントが建設され、ごみ焼却灰を利用した普通セメントの生産が開始されました。

 山口県内の市町村から出るゴミの焼却灰は、年間約5万トンあり、この施設の本格稼働の前は、そのほとんどが埋め立て処分されておりました。この焼却灰を、セメントの原料である粘土の代わりに活用できないかということで、産学官が連携した実証試験を行い、その結果、事業化の運びとなったものでして、この事業は、山口県から全ての焼却灰がなくなるという全国に誇れる画期的な取組になっています。

 また、同じく今年4月から、廃ペットボトルをポリエステル原料として活用する事業が、産学官が参加したリサイクルシステムの検討を経て、開始されており、さらに、これまで、せいぜい、繊維として再利用されるにすぎなかったペットボトルのリサイクルの可能性を広げる、廃ペットボトルから新たなボトルを作るという、世界初の取組「ボトルtoボトル」の事業も、来年10月からスタートする予定になっております。

 なお、これらの取組は、いずれも基礎素材型に特化した本県の特性を活かしたプロジェクトですが、お互いに、持てる能力、知恵を出し合うことによって、環境産業として新たな展開、活性化ができるというモデルだと思います。



 森、川、海共生プロジェクト


 次に、「森、川、海共生プロジェクト」を紹介します。

 山口県は、県土の7割が森林であり、竹林面積も、京都府に次いで全国第2位で、豊富な森林資源を有しています。

 また、森や山と都市部が近接し、また、ほとんどの河川が上流から河口まで県内で完結しているという地理的な特性を有していますので、こうした森林資源や地理的特性を活かして、森と川、そして海が一体となった総合的な施策を産学官協働で展開し、循環型社会の形成を目指していこうという取組を進めています。

 具体的には、上流の森林から、中流域の農地や市街地、そして下流域の干潟や海に至るまでの流域全体を一つの地域として捉えて、豊かな流域づくりを進めるため、たとえば、上流部では、県民参加の森づくりの推進による水資源の確保やビオトープなどの整備、中流域の河川での多自然型護岸の整備、下流域での藻場や干潟の再生、アマモ場の造成、さらには流域全体での地域通貨の導入など、広範囲にわたった様々な取組を、住民や事業者、NPO、大学、県、市町村の協働で進めてまいります。

 同時に、川が流れ込む海においては、森林資源を活用した間伐材による魚礁の開発も進めております。この間伐材を活用した魚礁には様々なタイプがありますが、現在、「ハイブリット型魚礁」というものに新たに取り組んでいます。これは、間伐材とコンクリート、鋼材を組み合わせた新しいタイプの魚礁で、従来型より耐用期間に優れ、堅くて丈夫なことから、大きな利点がありますので、産学官協働で、研究開発を進めていくこととしており、その成果等を踏まえ、この魚礁製作が「森と海をつなぐ」地場産業として定着するよう、努めていきたいと考えております。



 森林バイオマスエネルギーの活用推進


 同じく豊富な森林資源を活用した産学官連携のプロジェクトとして、本年度から、木材資源をエネルギー源として利用する「森林バイオマスエネルギー」の活用推進に取り組んでおります。

 さきほど、山口県の竹林面積は日本で第2位だとお話ししましたが、一方で、最近では、手入れが行き届かず、森林への竹の浸食が問題となっており、2000年の調査によると、県内の道路から50m以内のスギ、ヒノキ人工林のうち、竹による浸食被害のある森林は全体の10%にのぼっております。

 このようなことから、間伐材や竹材などの森林資源を「バイオマスエネルギー」として活用し、新たな「資源循環型」地域産業づくりに結びつけていくというのが、このプロジェクトです。

 具体的には、中山間地域のエネルギーとして、バイオマスのガス化発電プラントの実証試験を開始するほか、既存の火力発電所での石炭との混焼技術の開発、森林バイオマスから製造するペレット燃料、これは、木材等を粉砕し、小さな粒状に固めたものですが、このペレット燃料を活用する小規模分散型発電システムの実現可能性調査などを進めることとしており、山口県の特色を生かした新たなエネルギー源として、森林バイオマスの利用を積極的に推進していきたいと考えております。



起業化支援プロジェクト


 次に、起業化支援のための取組についてお話します。

 日本経済は、バブル経済崩壊後、1990年代に入って以降停滞を続け、なかなか低迷から回復できない状況にあります。

 新たな経済活動を生み出す新規開業について見てみると、近年、廃業率が開業率を上回るという状況が続いておりますが、山口県においては、特に、その差が拡大しており、起業の促進ということが、重要な課題となっております。

 また、セメント、石油化学、鉄鋼など基礎素材型産業に特化した山口県の産業構造は、雇用吸収力が弱いという面があるため、加工組立型へ産業構造を転換、高度化することが課題となりますが、日本企業が海外へ流出するなど、国内産業がとかく空洞化していると言われている現状では、新たな企業の立地は大変厳しい状況にあります。

  こうしたことからも、私は、県内企業が、チャレンジ精神を持って、新たな事業へ取り組み、新産業を創出していけるような環境を整備し、地域経済の活性化を図ることが大切だと考えております。

 とりわけ、新技術や高度な知識を軸に、創造的・革新的な経営を展開するベンチャー企業等の起業や新しい事業展開の活発化は、雇用の場の創出という意味からも、大きな効果が期待できます。

 そのため、起業化に向けた推進体制の整備や気運醸成の事業を進めるとともに、県内の大学などの知的財産を中小企業に移転して新産業の創出や新事業展開の促進を図るという事業に取り組み、大学発ベンチャーを増やしていくなど、新たな視点に立った起業化の支援にも力を入れております。



◇ おわりに


 以上、地方分権の流れを踏まえた、山口県での最近の「県民活力を生かした事例」を紹介しました。

 地方分権についての考え方は、地方自治の歴史や地方制度が異なる日本と韓国とでは、多少違うかもしれません。

 しかし、地方公共団体が住民の参加の下に主体的にその地域の行政を執行するというのが、地方自治本来の姿であることを考えますと、地域自らが独自の目標を定め、地域が有する様々な力を結集し個性と活力に満ちた地域社会を創造していくことは、どこの地方公共団体にも共通の課題であると思います。

 山口県は、地方分権の流れを踏まえた自立・協働の実験の場「きらら博」を通じて、一つの大きな目標に向かってエネルギーを結集し、お互いを信頼しあい、スクラムを組んでがんばることの大切さを知りました。

 そして、県民全体で成功体験を共有できたことで、今後の人づくり、地域づくりを「県民の元気と情熱の結集」により進めることこそが、山口県の未来を切り拓く戦略であることを学びました。

 私は、さきほど申し上げた様々なプロジェクトを推進し、山口県の存在感を全国、また、韓国をはじめ世界に発信していきたいと考えておりますし、県民のエネルギーを明日の山口県づくりにつなげ、いつまでも韓国とパートナーでいられる、たくましい県づくりを進めてまいりたいと考えています。

 本日お集まりの皆様は、地方自治体職員の方だと聞いておりますが、皆様が地域づくりを進めて行かれる上で、私の話が少しでも参考になればと念願しております。 御静聴ありがとうございました。



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