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平成22年3月県議会定例会知事議案説明

ページ番号:0012145 更新日:2010年3月2日更新

はじめに

本日は、平成22年度当初予算その他の諸案件につきまして、御審議をお願いするため、お集まりをいただき、厚くお礼を申し上げます。

議案の説明に先立ち、今後の県政運営に関する私の所信の一端を申し述べ、県議会並びに県民の皆様の、より一層の御理解と御協力をお願い申し上げます。

県政運営の基本方針

我が国は今、大きな変革の時にあります。歴史的な政権交代を経て発足した新政権は、現下の厳しい経済・雇用情勢を踏まえ、また、中長期的には、日本社会が直面している人口減少と超高齢化の同時進行、地球温暖化等の問題を前に、経済成長を前提とする旧来型の資源配分や行政手法を転換し、経済社会の構造や重視すべき価値を変え、国民生活に安心と活力をもたらすとされております。
そして、そうした方針の柱の一つが、「地域主権」の確立であります。国と地方の関係を対等・協力の関係に改め、地方でできることは地方へ移譲し、地方の自主財源を大幅に増やすとされる「地域主権」への取組みは、これまでの地方分権を超えて、まさに国のかたちを変える改革であり、私としては、その確実な実現を強く願うものであります。
一方で、子ども手当の創設や高校の実質無償化、農業の戸別所得補償制度など、新政権が掲げる新たな政策の実施や従来の政策の方針転換は、地方の施策推進に大きな影響を与えております。とりわけ、国が家計に対する直接支援に政策の重点を移したことから、地方としては、「給付」と「サービス」を明確に区分した上で、今後、地方がどのような役割を果たしていくべきか、慎重な検討と対応が求められるところであります。
しかしながら、このような中にありましても、喫緊の課題である景気・雇用対策や、昨年7月の豪雨災害を踏まえた防災対策、耐震化の推進、医療体制の充実、交通事故防止対策の強化の「くらしの安心・安全対策」をはじめ、少子・高齢化への対応や中山間地域対策、環境対策など、県政が直面している諸課題に対しては、的確に対応していかなければなりません。
その際、取り巻く諸情勢と整合を図り、必要に応じて施策の見直しを行いながらも、私は、国と地方の新たな関係に沿って、また、県民の皆様や市町との一層の連携・協働の下、どこまでも「住み良さ日本一元気県づくり加速化プラン」を着実に実現していくことが重要であり、そのことが、私に課せられた使命であると考えております。
変革の行方は未だ不透明ではありますが、私は、「地域主権」をめぐる今後の動向を注視しつつ、山口県が将来にわたって確かな存在感を発揮できる地域であり続けるために、持続可能な県政の基盤づくりに引き続き全力で取り組み、その成果を次代へと継承してまいる決意であります。
ここに改めて、県議会をはじめ、県民の皆様の、より一層の御理解と御協力をお願い申し上げる次第であります。

平成22年度当初予算

さて、平成22年度の予算編成につきまして、御説明を申し上げます。
まず、我が国経済の動向につきましては、輸出は緩やかに増加し、生産が持ち直す中で、企業収益は減少のテンポが緩やかになり、設備投資もこのところ弱い動きがみられるものの、下げ止まりつつあります。また、個人消費は持ち直しの動きが続いております。しかしながら、雇用情勢は失業率が高水準にあり、依然として厳しいなど、景気は、持ち直してきておりますが、自律性に乏しく、依然として厳しい状況にあるとされております。
こうした中、政府は、景気の持ち直しの動きを確かなものとするため、昨年12月に決定した「明日の安心と成長のための緊急経済対策」を着実に実施することとし、これに伴う平成21年度第2次補正予算と平成22年度予算を、一体として切れ目なく執行するとしております。
このため、平成22年度の国の予算案は、子育て、雇用、環境、科学・技術に特に重点を置き、公共事業関係費の大幅な削減や、「事業仕分け」の評価結果の厳格な反映によって、不要不急の歳出の削減を行う一方、子ども手当をはじめとする新たな政策を積極的に盛り込み、主要政策の実施を通じて、新たな需要と雇用を創造していくことを基本に編成され、その総額は、前年度に比べ、4.2パーセント増の92兆2,992億円となったところであります。

次に、平成22年度の地方財政につきましては、地方税や地方交付税の原資となる国税の収入が引き続き大幅に減少する一方、社会保障関係経費の自然増や公債費が高い水準で推移すること等により、財源不足は、過去最大の規模に達しております。
こうした中、地方財政計画においては、経費全般の徹底した節減合理化に努める一方、極めて厳しい地方財政の現状等を踏まえ、安定的な財政運営に必要な一般財源総額の確保を図ることを基本に地方財政対策を講じることとされ、その結果、計画の規模は、前年度に比べ、0.5パーセント減の82兆1,268億円となっております。
しかしながら、一般財源総額の確保に当たっては、地方交付税の増額は行われたものの、地方が期待した交付税原資である国税の交付税率の引上げによるものではなく、国の特例的な加算措置となったことは、地方財源の安定的な確保という面からは、不十分なものでありました。また、いわゆる赤字地方債である臨時財政対策債の発行額を前年度の1.5倍にまで拡大するとされたことは、地方にとって、これまで以上に借入金に依存した財政運営を余儀なくされる厳しい措置であり、真の地方自主財源の拡充が強く望まれるところであります。

次に、最近の県内経済の動向につきましては、雇用情勢は引き続き厳しく、設備投資は減少が続いているものの、輸出、生産は内外の在庫調整の進捗や政策効果などから増加基調にあり、また、個人消費は持ち直しの動きがみられるなど、県内景気は、輸出や生産を中心に持ち直しの動きが続いておりますが、中小企業の景況には、引き続き厳しいものがあります。

このような諸情勢を背景に、私は、明年度予算の編成に当たったのでありますが、景気の低迷による県税収入の落込みは、予想以上に深刻であり、明年度の財源不足は、347億円に及ぶことが見込まれました。
しかしながら、こうした状況にありましても、「住み良さ日本一の元気県づくり」は着実に進めていかなければなりませんし、景気・雇用対策や「くらしの安心・安全基盤の強化」には、今まさに、積極的な対応が必要であります。
このため、明年度予算につきましては、「国の政策転換への的確な対応」及び「加速化プランと新・県政集中改革の着実な推進」を2つの基本方針とし、緊急課題である県民生活の安心・安全の確保に重点を置いた「くらしの安心・安全対策予算」の編成に全力で取り組んだところであります。

それでは、まず、「緊急課題への対応」について、御説明を申し上げます。
その第一は、景気・雇用対策であります。
依然として厳しい経済・雇用情勢の中、特に、雇用面においては、有効求人倍率が0.5倍台という極めて低い水準で推移しており、高校新卒者の求人数は、昨年より約4割も減少するなど、未だ回復の兆しが見られない状況が続いております。
こうした情勢を踏まえ、県といたしましては、これまで、国の経済対策を積極的に活用しながら、雇用の確保と県内景気の回復に向けて、全力で取り組んできたところであり、明年度におきましても、各般の対策を切れ目なく実施することとしております。
まず、雇用対策といたしましては、「緊急雇用創出事業臨時特例基金」を活用し、失業者等に対する緊急的・一時的な就業機会の提供を拡充するため、前年度当初予算の4倍となる総額44億3,300万円の関連事業を計上し、県、市町合わせて3,168人の新規雇用を創出いたします。なお、このうち100人分については、「高校未就職卒業者優先枠」を設けることとしております。
また、「ふるさと雇用再生特別基金」を活用し、地域の実情に応じて、独自の創意工夫による継続的な雇用を創出することとし、県、市町合わせて389人の新規雇用を見込んでおります。
さらに、早期再就職支援として、若者就職支援センターを中心に、離職者等に対するキャリアカウンセリング等のきめ細かな相談支援を行うとともに、高校生の県内就職を支援するため、新たに「緊急求人開拓員」を配置し、求人開拓の強化を図るほか、臨時の職業訓練を大幅に拡充することとしております。

次に、景気対策につきましては、厳しい経営環境にある中小企業者を支援するため、中小企業制度融資において、国の緊急保証制度に対応した経営安定資金の融資枠を、前年度の300億円から350億円に拡大いたします。
また、公共事業につきましては、中小建設業者の受注機会も多い単独公共事業について、国の平成21年度第2次補正予算で措置された「地域活性化・きめ細かな臨時交付金」を積極的に活用し、平成21年度3月補正予算において32億円を追加計上するとともに、これを全額繰り越すことにより、実質的に前年度と同額の事業量を確保しております。

緊急課題の第二は、「くらしの安心・安全基盤の強化」であります。
最初に、「平成21年7月21日豪雨災害を踏まえた防災対策」につきましては、昨年設置した「土石流災害対策検討委員会」等の4つの委員会で検討された、防災対策上の課題と対応方法等を踏まえ、各分野において、所要の予算措置を講じたところであります。
まず、公共事業におきましては、国の予算が大幅に削減される中で創設された、地方の自由度の高い新たな交付金を活用して、防災関連事業に予算を重点配分することとし、前年度当初予算の1.2倍の事業量を確保しております。
特に、危険ため池につきましては、その解消に向けて整備を促進するとともに、決壊による被害の未然防止と軽減を図る観点から、ソフト面においても、ハザードマップの作成を緊急的に実施いたします。
また、今後の災害発生に備え、災害拠点病院等に配置している災害派遣医療チーム、いわゆるDMATの機能強化を図るため、移動用車両等の整備を行うとともに、先進的な救助技術である「都市型レスキュー」の訓練を消防学校で実施することとしております。
さらに、福祉・医療施設における防災マニュアルの作成と、これに基づく土砂災害対策の実践を支援するとともに、市町等が防災NPO等を活用して実施する、自主防災組織の人材育成事業に対し、助成を行うこととしております。

次に、「耐震化の推進」についてであります。
まず、取組みが遅れている私立学校の耐震化を促進するため、私立学校が日本私立学校振興・共済事業団の融資を受けて実施する耐震化工事に対し、これを無利子とする県独自の利子補給制度を創設するとともに、耐震診断、耐震補強への助成を引き続き実施してまいります。
また、県立学校の耐震化をさらに加速化するほか、医療施設や社会福祉施設の耐震化を促進するため、整備費の助成を行うこととしております。

次に、「医療体制の充実」についてであります。
まず、全国3位となる21の有人離島や中山間地域を多く抱える本県において、県民の皆様が迅速で適切な医療を受けることができるよう、平成23年1月からドクターヘリの運航を開始することとし、これに向けて、専用ヘリポートや搭載用医療機器等の整備、中山間地域を中心とする臨時離着陸場の確保等を進めてまいります。
また、医師確保対策として、山口大学医学部との連携により、新たに「地域医療推進学講座」を開設するとともに、過重労働となっている病院勤務医の職場環境や臨床研修医の研修環境の改善等を支援し、臨床研修医の定着・確保を図るほか、救急医療体制の整備やがん対策の充実にも一層取り組んでまいります。

次に、「交通事故防止対策の強化」につきましては、平成21年中の人口10万人当たり交通事故死者数が全国最多となるなど、交通事故の防止対策は、喫緊の課題となっており、本県で多発している「はみ出し事故」や「高齢者が関与する事故」の防止を図るため、危険区間における交通安全施設の整備を重点的に実施することとしております。

次に、「加速化プランの着実な推進」について、御説明申し上げます。
今回の予算編成におきましては、国の経済対策で措置された雇用、福祉、医療、環境など様々な分野にわたる各種基金を、本県の特性に応じて最大限活用するとともに、財源確保の更なる取組みに努めることにより、加速化プランに基づく諸施策に対し、選択と集中の視点を一層重視しながら、予算の重点配分を行ったところであります。

まず、「くらしの安心・安全基盤の強化」につきましては、先程申し上げました「緊急課題への対応」として取り組むもののほか、食の安心・安全対策の充実として、新たに食品の安全性や食品表示等に関する体験型学習会を開催するなど、消費者の視点に立った対策を推進するとともに、消費者行政の推進を図るため、市町における消費生活センターの設置や窓口の拡充を引き続き支援してまいります。

次に、「次代を担う子どもたちの育成」についてであります。
まず、子育て支援の充実強化として、子どもや子育て家庭を社会全体で支える環境づくりを進めるため、市町や民間企業等と一体となって、気運の醸成や県民運動の展開を図るとともに、地域のニーズや実情に応じて市町が実施する各種取組みを支援いたします。
また、学校教育の強化として、本県が独自に取り組む「やまぐち学習支援プログラム」の活用等により、学力向上に向けた取組みを進めるとともに、小中学校における35人学級化につきましては、明年度、新たに小学校3・4年の全学級で実施いたします。これにより、35人学級化は、残すところ小学校5・6年のみとなり、私としては、平成23年度には、完全実施を実現したいと考えております。

なお、全国一律の現金給付制度である子ども手当の創設を踏まえ、子ども手当と同じく、子育て家庭の経済的負担の軽減を目的とする「乳幼児医療対策費」及び「多子世帯保育料等軽減事業」につきましては、給付は国の役割との観点から、制度の見直しを検討いたしました。
その結果として、子ども手当の完全実施が平成23年度であること、また、子育て政策については、地方が主体的に実施するサービス給付等に係る国と地方の役割分担、費用負担のあり方について、平成22年度中に見直しが行われる予定であること等から、当面、明年度については、いずれも現行制度を維持することといたしました。
また、学校教育の関係でも、高校の実質無償化等を受けて、あるべき保護者負担の観点から、私立学校に対する運営費補助について、ゼロベースでの見直しを行ったところでありますが、国からの詳細な情報が遅れ、その趣旨等も含めて十分な検証ができなかったことから、明年度においては、現行の方式による助成を継続することといたしました。
そうした中で、明年度の運営費補助につきましては、児童・生徒1人当たりの補助単価について、引き続き、全国でも上位の水準を維持する措置を講じております。

次に、「多様なひとが活躍できる基盤づくり」についてであります。
平成23年の第66回国民体育大会「おいでませ!山口国体」、及び第11回全国障害者スポーツ大会「おいでませ!山口大会」の開催まで、いよいよあと1年となりました。
開催を目前に控え、県といたしましては、円滑な大会運営に向けて、各種準備業務を一層本格化させるとともに、明年度には、県内各地で競技別リハーサル大会が開催されますことから、市町が行うリハーサル大会の運営や競技施設の整備に対して、支援を行うことととしております。
さらに、開催気運を大きく盛り上げ、県民総参加による大会の実現を図るため、「がんばれ!やまぐち」応援キャンペーンや花いっぱい運動の展開、大会運営ボランティアの研修など、県民の自主的・主体的な参加による国体県民運動を一層推進し、大会の成功に向けた取組みを強化してまいります。
また、競技力向上対策につきましては、総合優勝に向けて、限られた時間での更なる競技力向上を図るため、現場主義の観点に立って、より効果的な対策を推進してまいります。
このほか、萩美術館・浦上記念館に併設整備しておりました陶芸館が本年9月に開館の運びとなり、これを記念した特別展を開催するとともに、陶芸館の開館に合わせ、萩市において、「伝統的工芸品月間国民会議全国大会」を開催することとしております。

次に、「多様な交流と新たな活力の創造」についてであります。
まず、中山間地域振興対策の強化として、小規模・高齢化集落等の元気を創出する取組みを、引き続き、地域、市町と一体となって進めるとともに、「やまぐちスローツーリズム」の加速化を図るため、受入組織の取組み等を支援してまいります。
さらに、平成24年に本県において開催される「第63回全国植樹祭」に向け、諸準備を進めるほか、本年度で実施期間が終了する「やまぐち森林づくり県民税」について、さらに5年間の延長を行い、荒廃した森林の整備のほか、森林ボランティア活動の支援など、県民意見も踏まえた新たな施策を実施することとしております。
また、やまぐち元気企業の育成として、産業団地の取得経費に対する補助制度を見直し、補助率の引上げにより、団地分譲の促進を図るとともに、ふるさと産業の振興に向けて、農商工連携の取組みを支援いたします。
また、ふるさと農林水産業の育成につきましては、国による農業の戸別所得補償制度の導入を踏まえ、中山間地域が多く、生産費が全国より高い本県においては、持続可能な経営体である集落営農法人等の育成を急ぐ必要があるとの考えに立って、国庫補助事業を積極的に導入し、法人等の育成を加速化させるとともに、その経営安定を図るため、本県の特性を踏まえた県独自の施策として「やまぐち集落営農生産拡大事業」を実施し、法人における生産拡大への取組みを支援してまいります。
また、多彩な観光・交流の推進につきましては、「年間観光客3千万人構想」の実現を目指し、観光部門の組織体制を強化するため、地域振興部内に「観光交流局」を設置いたします。
また、旅行会社とタイアップした旅行商品企画を通じて、引き続き滞在型旅行の推進を図るとともに、今年が関釜航路開設40周年に当たりますことから、韓国や中国からの観光客誘致を進めるため、フェリー会社と連携し、国際フェリーを利用した県内旅行商品の造成をモデル的に支援いたします。
なお、内航フェリーの航路維持のため、昨年6月から実施しております港湾施設使用料の減免措置につきましては、さらに1年間延長するほか、内航フェリーを活用した旅行商品開発への支援も、継続実施することとしております。
また、県東部地域の振興に寄与する岩国空港の平成24年度の早期再開に向け、新たに設立される「岩国空港ターミナルビルディング株式会社」に対して出資することとし、出資金2億円を計上しております。
このほか、徳山下松港「新南陽地区」におきましては、増大する港湾貨物や船舶の大型化に対応するため、国において、航路・泊地整備のための浚渫が行われておりますが、浚渫土砂の処分地として、補助公共事業により整備を進めてきたN7埋立護岸につきましても、国との協議の結果、明年度から国の直轄事業として実施されることとなり、事業の促進が期待されるところであります。

次に、「循環型社会づくりの推進」についてであります。
まず、資源の地域内循環の促進として、産業廃棄物税を活用し、廃棄物の排出抑制や減量化・リサイクルの促進等に取り組むとともに、現在、日本、韓国両国で大きな問題となっている日本海沿岸の海岸漂着物について、昨年の日韓海峡沿岸県市道交流知事会議で本県が提案し、共同声明にも盛り込まれました「日韓海峡海岸漂着物ごみ一斉清掃」を、本年夏に、日韓8県市道の共同で実施することとしております。
また、地球温暖化対策の推進として、住宅や事業所における太陽光発電システム等の導入を支援するとともに、利子補給により、貸付利率の引下げを行っている「住宅用太陽光発電システム整備資金」について、資金需要の増大に対応できるよう、融資枠を従来の2億円から10億円に拡大いたします。
また、地産・地消の推進として、県内食料自給率の向上を目指し、県産農水産物の需要拡大を加速化するため、中食業者との連携強化や、品目別統一キャンペーンの拡大実施等に取り組んでまいります。
以上、主な歳出について御説明申し上げました。

次に、財源確保対策の取組みについてであります。
大幅な税収不足が見込まれる中、予算編成において何よりも重要となったのは、やはり財源の確保であり、「財源確保対策本部」を中心に、歳入・歳出両面のあらゆる角度から、徹底した財源確保対策に取り組んだところであります。
具体的には、歳出面においては、内部経費の削減はもとより、歳出全般の徹底的な見直しに取り組むとともに、新たな定員管理目標に沿った総定員の削減等を通じて、総人件費の抑制を図りました。また、歳入面においては、特定目的基金の取崩しや未利用財産の売却促進のほか、企業広告の積極的な導入など、新たな収入の確保にも最大限努めてまいりました。
こうした取組みに加え、山口県振興財団寄付金の活用を図り、なお不足する額については、臨時財政対策債の追加発行により対応したところであります。これにより、平成22年度末の県債残高は、1兆2,530億円となる見込みであります。
私は、これまで、県債残高については1兆1千億円台を超えることなく、平成21年度末をピークに減少へ転じさせたいと申し上げてまいりました。
しかしながら、国、地方を通じて大幅な税収不足が生じている近年、地方財政対策が地方交付税の振替措置である臨時財政対策債の増発をもって措置され、県としても多額の発行を余儀なくされていること、また、昨年7月の豪雨災害に伴い、多額の災害復旧事業債を発行したこと等から、県債残高が1兆2千億円台に達することは避けられず、平成21年度末をピークに減少させることも困難な状況となりました。
非常に残念でありますが、県の努力だけでは如何ともし難い要因であり、やむを得ないものと考えております。
しかしながら、過大な県債残高は、将来世代にとって大きな負担となるものであり、その縮減は、財政健全化を進めていく上での最重要課題であることに変わりはありません。
このため、私としては、公共事業等の財源として県が発行を決定する一般分の県債につきましては、既に平成14年度をピークに減少傾向にあることから、引き続き、プライマリーバランスに着目した財政運営に努め、新規発行の抑制と残高の縮減に最大限努めるとともに、臨時財政対策債をはじめ、国の制度・政策に基づいて発行し、国が償還に責任を負うべき特別分の県債については、国に対し、償還財源の確実な措置を強く求めてまいる考えであります。

このようにして、明年度予算の編成に取り組んだところでありますが、経済情勢や景気の先行きは、なおも不透明であり、税収不足が続く中で、県の財政状況が一層厳しさを増すことも懸念されます。
また、国においては、「地域主権」の確立に向け、例えば国庫補助金の一括交付金化など、今後さらに、地方の行財政運営と直接に関わる制度改革や、新たな政策の実施が打ち出されるものと予想されます。
本県といたしましても、その動向に的確に対応しながら、自らも「地域主権」を実現することのできる、持続可能な県政の基盤を構築するため、「新・県政集中改革プラン」に基づく財政改革、行政改革及び公社改革、これら3つの改革を一層強力に推進していかなければならないと考えております。

これらの結果、議案第1号に係る一般会計予算の総額は、前年度当初予算に比べ、0.4パーセント減の7,111億5,100万円となりました。
なお、一体的に編成を行った平成21年度3月補正予算の経済対策関連追加分78億円と合わせますと、一般会計予算の総額は、前年度当初予算に比べ、実質0.7パーセントの増を確保しております。
しかしながら、当初予算の内訳につきましては、国の明年度予算が子育て、雇用、環境等に重点が置かれ、公共事業関係費が大幅に削減されたことを受けて、県におきましても、民生費が前年度当初予算に比べ、17.7パーセントの増、衛生費は22.5パーセントの増、また、労働費は22.8パーセントの増となる一方で、土木費は13.9パーセントの減、農林水産業費が13.1パーセントの減となるなど、その様相は従来と大きく変わっております。

一方、歳入予算についてでありますが、まず、県税収入につきましては、景気の低迷による企業収益や個人所得の減少等を背景に、法人関係税、個人県民税等の大幅な減収が見込まれることから、前年度当初予算に比べ、17.1パーセント減の1,338億4,600万円を計上しております。
また、地方交付税につきましては、地方財政対策において増額措置が講じられたこと等に伴い、前年度当初予算に比べ、1.3パーセント増の1,671億円を見込んでおります。
次に、国庫支出金につきましては、国の公共事業関係予算が大幅に削減された影響等から、前年度当初予算に比べ、5.0パーセント減の831億9,800万円となっております。
また、県債につきましては、臨時財政対策債の大幅な増加等により、前年度当初予算に比べ、11.6パーセント増の1,245億2,500万円を計上しております。

なお、建設事業に係る市町負担金につきましては、私が全国知事会のプロジェクトチームリーダーとして対応してまいりました国の直轄事業負担金について、当面、明年度から、維持管理費及びいわゆる事務費である業務取扱費の負担金を廃止することで国と決着を見たことから、これとの均衡を考慮し、本県においても、明年度から、事務費に係る負担金を市町に求めないこととしたところであります。

以上が、議案第1号に係る平成22年度一般会計予算の概要であります。

次に、議案第2号から議案第17号までは、特別会計及び企業会計に関するものでありまして、その予算額は、母子寡婦福祉資金特別会計ほか15会計を合わせ、総額1,768億9,900万円となっております。

条例、事件議決

議案第18号から議案第34号までは、条例の改正に関するものであります。
議案第18号は、山口県農村振興対策審議会及び山口県漁業振興対策審議会を廃止し、新たに山口県農林水産審議会を設置するため、
議案第19号は、県から市町への権限移譲について、新たな事務の追加等を行うため、
議案第20号から議案第22号までは、県職員、学校職員及び警察職員について、それぞれ定数の変更を行うため、
議案第23号は、労働基準法の一部改正等に伴い、職員の時間外勤務手当に係る支給割合の引上げ等を行うため、
議案第24号は、へき地学校等の級区分の変更等を行うため、
議案第25号は、共同運航化による水産高等学校実習船の廃船に伴い、職員の漁業実習手当を廃止するため、
議案第26号は、地方公務員育児休業法の一部改正に伴い、職員の育児休業等の取得要件を緩和するため、
議案第27号は、県民税の法人税割について、税率の特例措置の適用期限を延長するため、
議案第28号は、農村地域工業等導入促進法に基づく地方税の特例措置を廃止するため、
議案第29号は、やまぐち森林づくり県民税の適用期限を延長するため、
議案第30号は、新たな事務に係る手数料の設定等を行うため、
議案第31号は、山口県地域活性化・施設整備基金の設置及び山口県地域活性化・生活対策基金等の廃止を行うため、
議案第32号は、田布施農林事務所の位置及び名称を変更するため、
議案第33号は、末武川工業用水道及び富田・夜市川工業用水道の料金改定を行うため、
議案第34号は、坂上高等学校等を廃止するため、
それぞれ関係条例の一部を改正するものであります。

議案第35号から議案第41号までは、事件議決に関するものであります。
議案第35号は、港湾施設に係る指定管理者の指定について、
議案第36号は、全国自治宝くじ事務協議会規約の変更について、
議案第37号は、水産高等学校実習船の共同運航に係る事務の委託について、
議案第38号は、外部監査制度に係る包括外部監査人との契約の締結について、
議案第39号は、山口県国土利用計画の変更について、
議案第40号は、山口宇部有料道路に係る料金の割引対象の追加に伴う変更の同意について、
それぞれ県議会の議決をお願いするものであります。

議案第41号は、人事案件に関するものでありまして、教育委員会の委員の任命について、県議会の同意をお願いするものであります。
教育委員会委員 藤井俊彦氏は、来る3月31日をもちまして、その任期が満了いたします。
ここに、同氏の御在任中の御労苦に感謝をいたしますとともに、その御功績に対し、深く敬意を表するものであります。
つきましては、後任の委員の選任を要するのでありますが、私といたしましては、高潔な人格、豊富な知識、経験等を考慮いたしまして、田邉恒美氏を最適任と考え、ここにお諮りする次第であります。
なお、同氏の御経歴は、お手元に配付をいたしました履歴書のとおりであります。

平成21年度補正予算等

議案第42号から議案第58号までは、平成21年度の各会計に係る補正予算に関するものであります。

議案第42号は、一般会計補正予算であります。
今回の補正予算は、国の経済対策に対応し、単独公共事業の追加実施や各種基金の積増し等を行うほか、県税収入等の歳入財源の確定見込み及び各事業の最終見込みにより、所要の補正を行うものであります。
まず、歳入予算でありますが、県税収入につきまして、景気の低迷等により、法人関係税や地方消費税を中心に大幅な減収が見込まれることから、102億200万円の減額補正を行っております。
なお、このような税収の落込みに対しては、国の財源補てん措置が講じられる予定であり、基準財政収入額における減収分については、減収補てん債121億円を計上しているところであります。
また、国庫支出金及び県債等につきましては、歳出予算との関連など、確定見込みにより、それぞれ所要の補正を行っております。
次に、歳出予算につきましては、まず、経済対策関連経費の追加として、国の補正予算により措置された各種交付金を積極的に確保し、単独公共事業や地域経済の活性化等に資する事業を追加実施するとともに、「緊急雇用創出事業臨時特例基金」及び「安心こども基金」を積み増すこととし、総額78億1,300万円を追加計上しております。
また、介護施設の整備や社会福祉施設の耐震化等を一層促進するため、国の交付金を活用して、新たに「地域活性化・施設整備基金」を設置することとしております。
このほか、災害復旧費における最終整理、その他事業の最終見込みにより、所要の減額補正を行うとともに、年度間の財源調整を図るため、地方財政法の規定に基づき、財政調整基金に平成20年度決算剰余金の一部、17億1,000万円を積み立てることとしております。
以上の結果、議案第42号に係る一般会計補正予算の総額は、202億1,800万円の減額となり、補正後の予算規模は、7,674億8,000万円となっております。
なお、補助公共事業におきまして、工事の早期着手等を図るため、債務負担行為19億1,400万円を追加設定しております。
また、建設事業等に係る繰越明許費につきましては、国の経済対策への対応や用地補償交渉の遅延等により、465億6,300万円を予定しております。

議案第43号から議案第58号までは、特別会計及び企業会計に関するものでありまして、母子寡婦福祉資金特別会計ほか15会計について、いずれも最終整理による所要の補正を行うものであります。

議案第59号は、平成21年度の県が行う建設事業に要する経費の最終確定に伴い、市町が負担すべき金額を変更することについて、県議会の議決をお願いするものであります。

その他

この際、御報告を申し上げます。
訴えの提起をすること及び交通事故等による損害賠償の額を定めることにつきましては、専決処分により、処理をいたしました。
また、地方独立行政法人山口県産業技術センターの常勤職員の数につきまして、地方独立行政法人法の規定により、別添のとおり報告をいたします。

以上、提出議案等につきまして、その概要を御説明申し上げました。何とぞよろしく御審議のほど、お願いを申し上げます。