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CIRレポート・0912_04_theme

ページ番号:0017569 更新日:2021年11月1日更新

CIRレポート 第9号(テーマ:私の国で今年流行したこと)

ホヅミ

今年の七月末までアメリカに在住していた私ですが、今回のCIRレポートのテーマ「私の国で流行している事」に沿ってアメリカにいる間、流行りを感じた二つを紹介したいと思います。

皆さんは、ソーシャルネットワーキングサービスを知っていますか。ソーシャルネットワーキングサービスとは、インターネット上の社会的ネットワークであり、人と人とのコミュニケーションをサポートします。基本的にプロフィールを作り、共通の趣味、出身地、友達などから始まり提示板、チャット、Eメールを通して連絡を取り合います。日本だとmixiが有名ですね。私もソーシャルネットワーキングサービスは、中学二年生の時から使い始めました。私が大学一年生の時に使い始めたFacebookも9月時点でユーザー数がアメリカの人口ほど多くなっています。今、アメリカではTwitterが話題を呼んでいます。ユーザーは、「つぶやき」を通して、今何をしているか登録している友達に伝えることができます。今では、政治家も使っていることで有名です。ちなみに今年の「Dictionary Word of the Year(今年の単語)」は、「Unfriend」です。ソーシャルネットワーキングサービスで登録した友達を友達リストから消すことをUnfriendと言います。

そして今、アメリカは、健康志向に向かって頑張っています。オーガニックという言葉は最近よく使われていますが、皆さんは、「ローカル」という言葉を知っていますか。現地や、地元という意味で、最近アメリカでは「Eat locally」というフレーズがよく聞かれます。消費者とその食べ物の距離が近かければ近いほど、新鮮、高品質であり、エネルギー、運送、包装を減らすことができます。オーガニックでも外国から届いている食品だとエネルギーなどの消費を考えると逆に地球に負担をかけていますね。ローカルなものは、コミュニティの経済にも協力することができ、自分の町や県の向上にも繋がります。日本では、もう既にこのような活動は行われていますね。アメリカも早く日本に追いつけたらいいですね。

サンティアゴ

「現代用語の基礎知識選/2009年の流行語大賞」のニュースを見て、スペインにはこのようなイベントがないのに気づきました。しかし、どの国を問わず、流行ったことばや表現などがあるのではないでしょうか。
ちょっとだけ今年受賞したことばを分析させて下さい。

とりあえず大賞の「政権交代」は久しぶりに政治に関することばが選ばれました。日本だけではなく、海外から見ても注目された選挙でした。民主主義の国として第二次世界大戦から同じ自民党が勝ちっぱなしの状態で異常な状態といわずして何と言えるでしょう。ですから急に「事業仕分け」や「脱官僚」などのその政権交代に関することばが選択されたのは当然だと思います。その反面お笑いの芸能人やタレントが言った言葉は今年全然流行語になっていないそうです。

スペインの場合は今年の日本と同じように社会問題に関することばのうち誰でも口にした流行語がたくさんありました。(残念ながら、落ち込んでいる意味ばっかりですが:例えば、「crisis・クリシス・金融危機」「burbuja inmobiliaria・ブルブハ・インモビリアーリア・不動産バブル」。)

何年か前の日本と同じくバブル経済を経験したスペインは今年そのバブルが弾けたと最近言われるような状態になってしまいました。

4月のレポートでも言及したのですが、これから欧州連合(EU)の中でスペインは一番回復の遅い国という見通しです。例えば、建設に頼りすぎて、売れなくなった家やマンション等を買ってくれないと建設会社は借金を払えなくなったり、その直接及び間接的につながっている業界も借金が払えなくなる。そして、その途中で失業率はあり得ないほど高くなったりします。

また、今年作られたことばではありませんが、過去3年間に言われ続けているものとしては「mileurista・ミレウリスタ・1000ユーロ人」という言葉があります。高い給料の仕事がたくさんあるが、今の円高で14万円に相当する1000ユーロは、高い住宅ローンのせいであまり豊かに生活できない金額です。

ユーロ札

また、ほかに流行した言葉としては「新型インフルエンザ」等がありました。(やはりこんな話題でも国際化がすすんでいますね。)

でもこの世の中にはつらいこともあれば楽しいこともあるので、今回も面白い言葉を紹介したいと思います。スペインの芸能人が流行させた新語の中で「pinganilloピンガニリョ」がその一つです。意味は司会者の耳に入っているミニスピーカーで番組の中継中、キャスターが上の人からの合図を聞いて番組の指導をしやすくなる小さな機械です。
テレビ番組を司会する有名な女性が思わず落として、「pinganillo落ちた!」と言ったことが受けて、流行語となりました。
やはりどの言語でも言葉にまつわる面白い表現がありますね。

新型インフルエンザが世界範囲で流行っている中皆様は、お元気でしょうか?四ヶ月振りのCIRレポートは我が国際課の美人韓国交流員の提案で「私の国で今年流行していること」というテーマにしました。流行しているものといえば、ピンと浮かんで来たのは新型インフルエンザや金融危機しかありませんでした。勿論これは中国だけで流行したものではなく、むしろ日本の場合はもっと厳しいのではないかと思います。今まで友達と別れる時の挨拶「風邪をひかないようにね」がいつの間にか「新型インフルエンザにかからないようにね」と変わりました。半分冗談的な口調だけど、金融危機の波と同時に寄せて来て、世界情勢は厳しいものでした。この間私がずっと日本にいるから日本への影響は深く感じました。「リストラ」、「ボーナス削減」などの恐れを抱えて日本人も身を引き締めて翌日の曙を迎えるでしょう。デパートやスーパーで「激安」「半額」などの大きな看板に人の目を奪われるけど、手を出す消費者はそれほど多くありません。最近の円高問題も日本政府を悩まし、こういう不景気の中に「内需拡大」の手もなかなか打てないでしょう。一方、中国は意外にこれらの難関を乗り切れて来たことでしょう。

まず自動車の販売と生産から見てみましょう。今年の初め、世界はまたリーマンショックの影響で苦しんでいる中、中国の自動車販売は好調になり、アメリカを上回り、一位を取る勢いは世界を驚かせました。そして10月20日に中国自動車メーカーの業界団体である中国汽車工業協会は、2009年の自動車生産台数が1000万台を突破したと発表しました。昨年世界1位だった日本は輸出低迷で落ち込んでいて、中国が販売とともに生産でも今年1位となるのは確実となりました。

そして、国内総生産から見てみましょう。去年に破綻した金融危機の影響で中国国内の輸出入に携わる中小工場や商社が相次いて倒産し、経済発展は急減速した中、今年1~3月期には四半期ベースの統計として1992年以降で最も低い6.1%まで落ち込んだが、温家宝総理が提出した4兆元刺激策や金融緩和の効果で第3四半期の国内総生産が実質で前年同期に比べて8.9%増となりました。迅速な発展を遂げつつあると言えます。

経済回復とともに、文化の面であるブームはこっそり中国全土で広がりつつあります。それは2500年の歴史を持つ中国古典文化の代表作「論語」です。ご存じの通り、「論語」は中国春秋時代の魯国で生れた偉大な思想家、教育家孔子と言行をその弟子たちが記録して編集した著作です。その思想中国の長い歴史において統治者たちの国を治める指南書とされ、しかも中国だけでなく、日本を含む東北アジア全域に大きな影響を与えました。「朋あり遠方より来る、また楽しからずや」は小学校の教科書で習ったことがある、しかし大抵の人はこれぐらいしか知りません。一度「論語」を代表とした儒家文化を捨てた中国人の間でなぜ再燃してきたのでしょう。

的確に言うと、中国の論語ブームは2007年「百家講壇」と言うテレビ番組である女性学者のシリーズ講演により再燃したのです。彼女が著作した論語に関する本もすぐベストセラーになり、そして各本屋さんで必ず論語に関する本を仕入れ、古文を教える塾も増えてきました。「論語」は孔子とその弟子たちの対話で学、政、生活における道理を分かりやすく述べています。「仁、義、礼、信、恕、忠、孝、悌」は孔子思想の精粋だとまとめています。以上の人格を揃える人は寧ろ完璧な人間だと言えるでしょう。1978年の改革開放から中国は30年余りの変革を遂げ、経済の迅速発展とともに人々の物質生活はますます豊かになり、よりよく生活水準を達成するために人の価値観も「拝金主義」、「個人主義」に偏りつつ、教育モデルも進学率を目指す一方で社会発展のニーズに遅れていて、結局人間性を育てることは十分に重視されていない。その結果、詐欺や殺人などの犯罪率が上がり、人間社会は温情ない人達の集団となっていきます。豊かな生活を過ごしていても虚しく感じる人は少なくない社会は人間性を正す聖経を呼び起こしている中、「百家講壇」の放送により人々の心が動かされました。4大文明古国の一つとして中国の繁栄は世界の頂点を立った歴史は我々の誇りです。しかし、現実として国民素質の低下、中国人の海外犯罪により国際的評判の悪化など否定できない面もあり、思うたびに胸が痛くなります。今中国全国で行っている素質教育改革と「論語」ブームの復活はどれほどの効果を持たれるか期待しています。

なお、中国のこの論語ブームも隣国の日本まで飛び火しています。先月に私は周南市で孔子の75代直系孫孔健先生の講演を聴きに行って、そして友人から中日文対照の「論語」を借りて来てコツコツ読み始めています。中国の古い言葉で「借りた本は先読み」と言うのがあり、その気持ちで祖先の知恵を吸収し、完璧の人間を目指していこうと思いますが、皆様も読んでみてはいかがでしょうか?

1998年の金融危機以来、韓国人は経済成長のため、犠牲にしていた自分、家族、仲間について考えるようになります。そんな時代の流れの中で主流として現れたのが「Well-Being(ウェルビング)」というライフスタイルです。今までの物の選び方や世間を見る基準が物質主義であったとしたら、金融危機以降は自然、健康、人生の余裕などが大切な価値観として浮上してきます。人々はもう少しゆったりした人生について考えるようになりました。そういう結果、登山やトレッキングなど自然を接する趣味が、人気を集めてきましたが、最近は人間特有の行為である二足歩行、つまり「歩き」が人気を集めています。

人気のきっかけとなったのは世界で最も有名な巡礼路であるスペインの「Camino de Santiago」です。人生の教訓を求めるため、世間から離れて自分だけの時間を設けるため等々、様々な理由がありますが、「歩く」という単純な行動により皆は安らぎを求めるわけです。歩くことの楽しさや大切さに気づいた人たちは国内で「歩きやすい、歩きたくなる」道を探すことにします。そして、見つけたところが済州島の「オルレ」という小さな道でした。

「オルレ」は済州島の地理的な特殊性に起因しています。風が強いため、奥まったところに家を建て、表から家まで細い道を作り、外と内をつなげました。車が通らないその細道を済州島の方言で「オルレ」といいます。最近は「ゆっくり歩ける平和な道、自然の道、共存の道」という意味で使われています。現在、済州島には14コースの「オルレ」が開発されています。開発といっても道を広げるなどの工事をするわけではなく、訪れる方々が迷わないように矢印を書いたり、歩きやすく足場を整える程度のことです。

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様々な矢印・標識

だいたい15kmもあるコースは決して短くはありません。普段は歩き疲れるほどの距離かもしれませんが、麗しい自然、気の合う道連れと一緒なら疲れることなく歩けるような気がします。
立派な施設や特別な観光パッケージがあるわけでもないのに、「オルレ」を歩く人はますます増えています。せわしない社会からの逸脱を夢見る現代人の増加を反映しているのではないでしょうか?

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ゆっくり過ぎていく時間