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平成26年 (2014年) 9月 3日

国際課

CIRレポート 11月号

「冬に備えようーキムジャン!」

国際交流員 辛 裕美(韓国)




アンニョンハセヨ!

皆さん、お元気ですか。粘り強かった残暑もいつの間にか終わり、食欲の秋がやってきました!キノコ、さんま、リンゴ、栗…数え切れないほどたくさんの美味な食材が旬を迎えます。とびっきり特別なものじゃなくても紅葉狩りに行って仲間と食べる素朴なおむすびだけで幸せな気分になります。


しかし、韓国の秋の事情は少し違います。もちろん、食欲をそそる食材などもたくさんありますが、どうしても主婦達を悩ませる秋の大行事「キムジャン」のことを思い出してしまいます。


■キムジャンって何?

◎越冬準備

韓国の食卓で欠かせないおかずと言えば、議論の余地もなくキムチです。今は日本人にもすっかりお馴染みの食べ物になりましたが、まだ知られていない部分も多いと思います。

タイトルにも書いていますが、そもそもキムジャンっていったい何でしょう?冒頭を読んでキムチと関係のある何かではないかと考えた方がいらっしゃったら、はい、正解です。


キムジャンというのは簡単に言いますと、「冬に備えて秋頃に大量にキムチを作る作業」です。現在のように農業技術が発展していなかった昔、新鮮な野菜などが入手できなかった冬にビタミンや繊維質などを補うため、先祖たちが施した智恵の産物です。特に秋から旬を迎える白菜や大根を主材料にして塩、塩辛、とうがらし、ネギ、にんにく等の薬味をふんだんに使い、それぞれ家庭の味に仕上げます。



◎施しと助け合いの美徳

キムジャンは作業量によって違いますが、1日で終わる作業ではありません。前夜に白菜を塩漬けして一晩ほど寝かせます。余分な水分を絞ってから、混ぜてなじませておいた薬味を白菜の間々につけていきます。この一連のプロセスはお母さんひとりだと大変な作業になるので、近所の人たちが集まって一緒にすることも多いです。同じ姿勢で何時間も作業が続きますから、足腰が痛いときもありますが、おばさん達は世間話をしながら、楽しく仕上げていきます。

これが韓国の共同体文化にも繋がると思います。助け合い文化はキムジャンの時だけではなく、結婚式、お葬式などでも度々見られます。日本と同様に、祝いの際にご祝儀を包む文化もありますが、人手が足りないところでは家族のように積極的に手伝ってくれます。

さらに、キムジャンは一斉に何十株分の白菜をつけるため、基本的に多めに作ります。 夫婦二人じゃ食べきれないほどの量だと思われるかもしれませんが、近所のひとり暮らしのお年寄りにお裾分けしたり、離れて住んでいる息子や娘のところに送ったりします。送ってもらう側としては冬がやってきたという季節感と両親の愛情が感じられるので、「今年は上出来よ!」という母親の電話をいつも楽しみにしています。


■キムチの種類

キムチといえば、辛いと思われがちですが、実際とうがらしを使ったキムチが出現したのはキムチ全体の歴史に比べるとそう長くありません。

最初は野菜を塩漬けしたわりと日本の漬け物に近い食べ物でした。でも、韓国人は作りたての段階で食べきるのではなく、時間の経過に連れ、変わっていく味の変化を楽しんだと思います。

たくさんの種類があることは承知していますが、私自身も経験してきたキムチはそう多様ではないので、まだまだ様々な味が私を待っていると思ったらわくわくしてきます。


◎白菜キムチ

キムチの定番ともいえるのが白菜キムチでしょう。しかし、地域や家庭により様々な工夫をするので、その味はまさに十人十色です。

北部は味が淡泊でとうがらしは少なめですが、南部になるほど保存のため塩などを多めに使っていますので、塩辛く仕上がります。

海辺は塩辛やカキなどをふんだんに使い、山間部は薬味として様々な野菜をたくさん使うのが特徴です。


◎ドンチミ

左の写真を見ていったいどんなものなのかおわかりでしょうか。外国人から見るとただの大根にしか見えないかもしれません。ところが、韓国人はこの写真を見るとよだれが出てくる人が多いと思います。これは大根を丸ごと漬けた「ドンチミ」という韓国の北部でよく作られるキムチの種類です。作り方や材料は至ってシンプルです。しかし、シンプルだからこそ上手に作れないのも事実です。

見た目だけでは味が想像できないかもしれませんが、さっぱりした味わいで、多めに入れた水は完全に発酵したらまさに炭酸水のような清涼感が出てきます。冬になると薄く凍らせたドンチミの汁を素にして冷麺やそうめんを食べることもあります。大根には消化を促進する作用があるので、食べ過ぎたときに消化剤の代わりに飲まされたこともありました。


◎ケンニップキムチ(エゴマの葉っぱキムチ)

ケンニップは一見大葉と似ていますが、実はエゴマの葉っぱなのです。韓国人はエゴマの葉っぱをこよなく愛しています。お肉を食べるときも、お刺身を食べるときも、アラ煮を食べるときも、ともに付いてくるのがエゴマの葉っぱです。でも、このキムチは沸騰させた醤油を下味に使っているので、辛さよりは葉っぱ自体の風味が楽しめます。



◎カッキムチ(からし菜のキムチ)

キムチは白菜や大根以外でも様々な野菜で作られますが、カッキムチは特に南西地域の名物キムチです。独特なからし菜の風味と食感が楽しめます。






■おいしいキムチとは?

おいしいキムチの定義は非常に様々です。しかも、家族なのに好みが違ったりする場合もしばしばあります。それはキムチが発酵という過程を経て完成できる食べ物だからです。どの段階にあるかによって辛さ、旨味、歯ごたえが変わります。

作りたてのときは浅漬けのようなさくさくした歯ごたえにまだ熟成していないとうがらし粉の辛さが効いた少々刺激的な味です。フレッシュでさっぱりするので、その状態を保持しながら、生で食べる場合が多いです。

時間が経つにつれて薬味の味が白菜にしみこんで酸味と旨味が出てきます。酸っぱくなったらもう食べられないと思う日本人も多いようですが、酸っぱくなっているということは乳酸菌がちゃんと働いている証拠です。ここが本当のキムチの効能や良さが発揮する段階です。乳酸菌や繊維質が豊富なので、毎日ヤクルトを飲まなくてもキムチを食べるだけで腸の動きが活発になります。キムチチゲの有名店などではわざと3年間寝かしたキムチを使って料理します。熟成されたキムチからはなんとも言えない複雑な味が感じられます。

においが気になって食べたくないという人もいますが、チーズや納豆などを見てもわかるように発酵食品は独特なにおいがあります。そのにおいが我慢できるかどうかは生まれた環境などによって違います。しかし、何でもそうですが、初めて経験したときのショックを克服すればもっと豊かな食生活が出来ると思います。

肌寒くなるこれからの季節、酸っぱくなってきたキムチを今晩の鍋に加えてみるのはいかがですか。



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