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CIRレポート・1106

ページ番号:0017584 更新日:2021年11月1日更新

CIRレポート 6月号

大ブーム!マッコリに迫る

国際交流員 辛 裕美(韓国)

大ブーム!マッコリに迫るの画像

アンニョンハセヨ!

最近、テレビを見ると目を引くコマーシャルがあります。真っ白なバーに一人で入ってきた女性に白いお酒を注いであげる素敵な男性。女性はマッコリと男性、両方に惹かれてしまったようです。日本でも人気の高い韓国の俳優を起用したこのコマーシャルが放送されてからマッコリの製造量が販売に追いつかず、しばらくコマーシャルを中止せざるを得なかったほど反響が大きかったようです。

近年、日本でもマッコリの人気が高まってきたことを反映するように、日本の大手企業が手がけたマッコリが次々と販売され始めています。

もちろん本場である韓国でも数年前からマッコリが空前のブームを巻き起こしています。古くさいおっさんのお酒というイメージだったマッコリが変貌を遂げ、マッコリ専門の居酒屋ができたり、スーパーの陳列棚の目立つところにマッコリがずらりと並ぶなど、何年前までは想像もできなかったのに、あっという間に脚光を浴びるようになったマッコリについて語ってみたいと思います。


マッコリとは

マッコリは米と麹で造られた韓国伝統のお酒です。清酒を造る段階で出来る日本のどぶろくや濁り酒と呼ばれるお酒に近いもので、古くから民衆に親しまれ、田んぼや畑仕事の合間にみんなに振る舞われました。

80年代までは田舎のおじいちゃんから都会のサラリーマンまでに愛されましたが、原価節減や大量生産のため、添加物を使ったマッコリは後味が悪く二日酔いがひどかったので、いつからか若者から敬遠されてお年寄りのお酒というイメージになります。90年代に入ってからは焼酎やビールなどが主流になり、マッコリの人気は低迷してしまいます。

ところが、時代から離れていたマッコリがここ数年の間、日韓両国で人気を集めています。みんなで気軽に飲めるお酒という韓国でのイメージとは違って、日本ではおしゃれな飲み物という印象が強いようです。特に若い女性たちが求める場合が多いようですが、確かにお酒の弱い女性にとってマッコリはぴったりかもしれません。5~6度程度でアルコール度が低いところや口当たりの良さから見ると女性に人気があるのもなんとなく分かるような気がします。

マッコリの作り方

マッコリの作り方の画像

基本的には日本酒の作り方とほぼ同じです。

主原料(もち米、米、麦、ジャガイモなど)を水洗いして蒸し上げます。蒸した原料を乾燥させてから麹、水と混ぜて発酵させます。ある程度、発酵が進んだら清酒を別に汲み出さないまま絞り出します。その状態が濁り酒、マッコリです。

韓国にはマッコリと似ているドンドン酒というお酒がありますが、これはこさないで飲むお酒なので、米粒が上に浮いているのがマッコリとの違いです。

<出典:(株)二東ジャパンホームページ>


ブームのきっかけは?

規制緩和

マッコリの流通区域制限を廃止したことによりマッコリ市場が拡大しました。規制が廃止されてから多数の会社がマッコリ市場に進入、味や品質の面で競争が始まります。熾烈な競争により様々な高品質のマッコリが開発され、消費者の選択肢が広がったことで需要が増えたともいえます。

以前はマッコリのような伝統酒はもちろん酒類産業において新しい事業者の進入は制度的に閉ざされていました。苦労してお酒を生産しても特定地域でしか販売ができないよう規制されたこともありました。進入規制を半分に減らしたら、潜在成長率が0.5%上昇したという韓国開発研究院(KDI)の研究結果を見ると規制改革の威力が感じられます。

レトロブーム

全世界的な不況が続く中、懐かしい時代への回帰を夢見る人々が増えてきました。特に現在の中年が大学時代だった80年代のファッションや音楽も再び流行し始め、もうレトロはひとつのジャンルになりました。豪華な食べ物ではなかったけど、人情あふれたあの頃の懐かしい食べ物にも興味を持ちだした人が増えて「昔ながらのお弁当」、「昔ながらのお菓子」などが続々ヒットしました。そういう流れでみんなと楽しく飲んでいたマッコリがブームになったのです。

健康ブーム

近年の健康ブームにより、低アルコールで健康に良い、いわゆる薬酒が流行っています。もちろんいいお酒といえども大量のアルコールは体に害を与えるので、その量はコントロールする必要があります。

マッコリは醸造のときにタンパク質、炭水化物、ビタミン、生酵母が生成されるし、カロリーが高くありません。マッコリのカロリーは100mLあたり46kcal、ワインは70~74kcal、焼酎は141kcalだといわれています。ダイエットなどでカロリーを気にしている女性にもうれしい情報ですね。

何よりマッコリには乳酸菌が豊富に含まれており、同じ量のヨーグルトに比べてもマッコリに含まれている乳酸菌の量がはるかに多いそうです。


マッコリの楽しみ方

マッコリ専門店

マッコリ専門店の画像

昔ながらの雰囲気を感じたい人には日本の立ち飲み屋のようなデポジプという庶民的な店がおすすめです。仕事帰りに一杯というおじさんや年配の方々がわいわい楽しくお酒を飲んでいるところです。小汚くてうるさいかもしれませんが、店のアジュンマ(おばさん)たちの人情や常連客の活気も感じられ、見ているだけで楽しく元気になります。お酒が入ってハイテンションになったおじさんたちからマッコリを1杯おごってもらうこともしばしばあることです。

もう少しきれいでおしゃれな雰囲気が好きな方ならマッコリバーやマッコリ専門居酒屋がいいかもしれません。最近は雨後の筍のように新しい店ができているので、どこの繁華街を歩いてもすぐ店が見つかると思います。それぞれ特色のあるマッコリを出しているので、食べ歩きならぬ飲み歩きをしてみるのもおすすめです。

登山の帰り

韓国人は山登りがとても好きです。週末になると郊外の山々は一列になって登らないといけないほど、人々であふれます。天候のいい日は朝早くから山を登りはじめ、昼頃に山を下りてきます。帰り道にはたくさんの食堂がありますが、特に山菜ビビンバや手作り豆腐などでお腹を満たしながら、マッコリで登山の疲れをねぎらいます。登山の醍醐味である昼食のために、山に登ると行っても過言ではないくらい、みんな食事とマッコリを楽しみにしています。

相性のいい食べ物

韓国でマッコリを飲むときは大体決まったおつまみと合わせることが多いです。代表的なものはチヂミ(パジョン)、豆腐キムチ(湯豆腐+キムチ)、トットリムク(どんぐりの粉を型に入れて固めた物)、ホンオ三合(発酵エイ+豚肉+キムチ)などがあります。もともと農作業の合間に飲まれたお酒だったため、手の込んだ料理ではなく、なるべく手間がかからず簡単に食べられるおつまみとの相性がいいです。特に雨の日には「パジョンにマッコリ」が定番中の定番ですね。

逆に韓国料理の定番である焼肉や辛い鍋料理と合わせて飲むことはほとんどなく、これらの濃い味はまろやかなマッコリの味を楽しむにはふさわしくないと思われます。マッコリは日本酒と同じく米が主原料なので、和食との相性もいいです。普段の食事で晩酌として取り入れてみるのはいかがですか。

チヂミの画像
​チヂミ

ホンオ三合の画像
ホンオ三合