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平成30年 (2018年) 5月 15日

環境政策課

化学物質について ~PRTR制度をもっと知っていただくために~


 化学物質ってなに?

 ・化学物質に係る問題とは?

 ・化学物質問題を考えるポイントは?

 化学物質にはどんな規制があるの?

 化学物質の有害性は?

 ・リスクとは?

 ・なぜリスクを考える必要があるのか?

 PRTR制度って

 ・PRTR制度のポイント

 ・PRTR制度の届出

 排出量の多い化学物質ってどんなもの?

 わたしたちにできることってなに?

 ・関心をもって調べる

 ・もっと詳しく調べる

 ・少しでも改善できることは?できることから始めよう

 山口県内のPRTR届出データ集計結果

化学物質ってなに?

  「化学物質」とは、元素及び化合物のことで、固体、気体及び液体といった形態 や人工物もしくは天然物にかかわらず、すべての物質が該当します。プラスチックや合成繊維、鉱物等はもちろん食品(穀類、肉、魚、野菜、調味料など)などにも含まれており、人の体も「化学物質」でできています。


 このように、「化学物質」という言葉は非常に幅広い意味をもっていますが、ここでは、人工的に生産されたものや人の活動によって生成されたもの(ダイオキシン類や自動車排ガスに含まれるものなど)のうち、人の健康や生態系に対して有害な影響をもたらすと懸念されているものを中心に取り扱います。


 現在では、天然物を含めれば3000万を超える「化学物質」が文献に登録されていますが、日常的に使われているものは、6~10万種類と言われています。


化学物質に係る問題とは?

 私たちが豊かで安全な社会生活を送るため、化学物質の有用な性質を利用しています。たとえば、自動車には、燃料、オイル、塗装、メッキ材といったさまざまな化学物質が使用され、安全な走行を確保しています。病気になれば、医薬品のお世話になるし、殺虫剤や消毒剤、塗料など家庭用品として日常的に化学物質を使っており、ありとあらゆるところで、私たちの役に立っています。


 しかしながら、化学物質は生産・使用・廃棄される課程で、大気、水域、土壌などの環境中へと排出され、さまざまな問題を引き起こすことも見逃すことはできません。環境中へ排出された化学物質は、すぐに水や二酸化炭素などに分解されてしまう場合がありますが、しばらくの間、大気中に漂ったり、河川や底質に蓄積し環境汚染の原因となるものもあります。環境中の化学物質は、呼吸や飲料水、食物連鎖を通じて生物の体内で濃縮され、食品とともに摂取されれば、人の体内にも入ってきます。


化学物質問題を考えるポイントは?

 化学物質は多くの種類があり、それぞれの有用な性質を利用して様々な用途に使われており、私たちの生活や事業活動にとって不可欠な存在となっています。

 化学物質の中には、人に対しては発ガン性や慢性毒性を有するものもあり、また野生生物に対しては環境ホルモン作用などの有害な性質が懸念されるものもあります。しかし、有害性については未解明な部分が多く、広く使用されたあとに新たな有害性が判明することもあります。

 化学物質の情報が不足していたり、分かりにくくて的確に伝わらない場合があるため、無用な不安感や不信感につながる場合があります。


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化学物質にはどんな規制があるの?

 化学物質の有用性を活かし、健康被害や環境汚染などを防ぐために、化学物質の 生産や取扱い、排出や廃棄といった段階や取扱い状況などに応じたさまざまな法令で規制が行われていますので、そのうちの主なものを紹介します。

 それぞれの法令は、制定された目的などにより、製造を規制したり、環境への排 出を規制するなど、規制の内容は多岐にわたっています。


製造・輸入・取扱い等に対する規制

 ◇労働安全衛生法

 ◇毒物及び劇物取締法

 ◇農薬取締法

 ◇薬事法

 ◇高圧ガス保安法

 ◇消防法

 ◇化学物質の審査及び製造等の規制に関する法律


環境への排出、廃棄、汚染防止対策、健康の保護等に対する規制

 ◇大気汚染防止法

 ◇水質汚濁防止法

 ◇土壌汚染対策法

 ◇ダイオキシン類対策特別措置法

 ◇廃棄物の処理及び清掃に関する法律

 ◇海洋汚染及び海上災害の防止に関する法律

 ◇特定製品に係るフロン類の回収及び破壊の実施の確保等に関する法律

 ◇有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律

 ◇水銀汚染防止法


その他国際的な取組

 ◇残留性有機汚染物質に関するストックホルム条約(POPs条約)

 ◇オゾン層保護条約

 ◇水銀に関する水俣条約


 化学物質の有害性が明らかになるにつれ、また環境汚染の実態等に応じて規制の拡大・強化等が図られています。


 なお、有害性等が大きな化学物質については、今後とも規制が強化されていくことになりますが、化学物質の多くは程度の差こそあれ、有害性を持っていることを考えると有害性が判明した化学物質を一つずつ規制していくだけでは、人の健康や生態系の健全性を守るのに必ずしも十分とは言えないため、多くの化学物質の有害性に対応できるような対策が必要となっています。


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化学物質の有害性は?

有害性の種類

 食塩や砂糖といった体に必要な化学物質でさえ、毎日の摂取量が多すぎれば病気になる場合があります。逆に有害な化学物質でも、ごく微量の摂取であればほとんど害 が現れない場合もあります。一方、PCBのように体内に蓄積されやすい化学物質の場合は、少量でも長い期間摂り続けると害が現れる可能性があります。

 このように、化学物質によって有害性の現れ方や種類はさまざまで、その強さも異なります。有害性としては、発ガン性や急性毒性、慢性毒性、感作性などの生体毒性のほか、オゾン層を破壊することにより生態系に影響を及ぼすといったものがあります。


■化学物質の有害性の例■

発ガン性       ガン細胞を作る性質

急性毒性       短期間または一回の摂取により現れる毒性

吸入・経口慢性毒性  食物や水、空気中から長期間摂取したときの毒性

生殖/発生毒性    生殖細胞~子どもが生まれる過程での毒性

感作性        器官等を刺激しアレルギー様症状を起こす性質


リスクとは?

 化学物質は、程度の差こそあれ、何らかの有害性があるため、「安全な物質」と「危険な物質」に二分することはできません。また、有害性が強いものであっても厳重に密閉された容器に保管されていれば、環境を汚染したり人体に摂取されるおそれはほとんどありません。一方、有害性が弱い化学物質であっても大量に環境中へ漏れ出せば、環境汚染を引き起こし、それが人の健康や生態系に有害な影響を及ぼすかもしれません。この「人の健康や生態系への有害な影響」は、有害性が増大すれば、あるいは環境中の量が増えていけば、その可能性が高くなります。

 このように、化学物質が環境中に排出され、環境中の経路を通じて人の健康や生態系に有害な影響を及ぼす可能性のことを「環境リスク」と呼んでおり、これを低減していくことが重要となっています。


なぜリスクを考える必要があるのか?

 私たちの日々の生活や産業活動に化学物質は不可欠であるため、多くの化学物質に対し、化学物質の有用性を活かしつつ、的確な対策を進めなければなりません。

 そのための手法として、「化学物質の環境リスク」をどの程度改善できるかに着目することで、優先して削減対策に取り組むべき化学物質を選定したり、代替物質や対策技術などを比較検討する際に、必要となる費用や時間も含めた対策効果の検討ができるようになるといわれています。


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PRTR制度って?

 PRTR(Pollutant Release and Transfer Register:環境汚染物質排出移動登録)制度とは、有害性のある多種多様な化学物質が、どのような発生源から、どれくらい環境中に排出されたか、あるいは廃棄物に含まれて事業所の外に運び出されたかというデータを把握・集計し、公表する仕組みです。


PRTR制度の構造


PRTR制度のポイント

  1. 事業者にとっては、化学物質の排出等の把握を通じて化学物質の自己管理が促進されるとともに、公表されることにより、自主的取組に対する適正な評価が得られることになります。
  2. 事業者、国民、行政といった関係者の間において、どのような化学物質がどの 程度環境中に排出されているかについての情報が共有されることを通じ、化学 物質の環境リスクに関する関心や意識が高まり、各主体ごとに、環境リスク低減に向けた取組が促進されます。

 ◇国民においても、化学物質の環境リスクについての関心が高まり、低減に向けた自主的な取組が促進されます。

 ◇行政にとっても、環境リスク対策の進捗状況や効果の把握が可能となり、より効果的な対策を講じることが可能となります。

 3. これらを通じ、化学物質の環境リスクを総体として低減していくことが可能となります。


PRTR制度の届出

(1)対象となる化学物質

  • 人の健康を損なうおそれや動植物の生息・生育に支障を及ぼすおそれがある化 学物質です。
  • 相当広範囲な地域の環境中に継続して存在すると認められる化学物質です。

PRTR制度の届出対象物質:462物質(第一種指定化学物質)

MSDS制度の対象物質:562物質(第一種及び第二種指定化学物質)

(2)PRTR制度の排出量等の届出対象となる事業者

  • 対象物質を取り扱っている、又は排出が見込まれる事業者のうち、次の要件等に該当する事業者です。

製造など24業種に属する事業所を有する

対象化学物質の年間取扱量が1トン以上の事業所を有する常用雇用者数が21人以上

(3)届出者の届出内容

  • 排出量・移動量を事業所ごとに把握し、都道府県を経由して国へ届け出ます。

排出量: 大気・公共用水域・土壌・事業所内での埋立により環境へ排出した量

移動量: 廃棄物に含まれて、又は下水道により事業所の外へ移動した量

  参考資料 PRTRによる排出量及び移動量の把握 (PNG : 43KB)

(4)国や都道府県による公表

 国:

届出データを化学物質の種類別、業種別、都道府県別などに集計して公表。あわせて、届出対象外の事業所や家庭・農地・自動車等からの排出量を推計して公表なお、個別事業所ごとのデータは、国に請求すれば 電子ファイル化された情報を有償で入手可能

 都道府県:

国からのデータを地域のニーズに応じ、独自に集計し公表

 参考資料 化学物質の排出量の把握等の措置(PRTR)の実施の手順 (PNG : 155KB)


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排出量の多い化学物質ってどんなもの?

1.トルエン(別名:フェニルメタン、メチルベンゼン、トリオール)

・トルエンは、さまざまな化学物質を合成する基礎原料としての用途が多 い物質です。家庭用品の中にも油性塗料や接着剤などに溶剤として含まれています。

・排出量がもっとも多い化学物質で、主に事業所からの排出のほか、自動車の排気ガスに含まれ、空気中に排出されます。

・トルエンは、シンナー(うすめ液)の主な成分で、シンナーを取り込むことによって起こるシンナー中毒の原因物質であり、中枢神経へ影響を与えます。

2.キシレン(別名:ジメチルベンゼン、メチルトルエン、キシロール)

・キシレンの大半は化学原料として使用されますが、油性塗料や接着剤、インクなどの溶剤としても用いられます。

・主に事業所からの排出のほか、自動車の排気ガスに含まれ、大気中に排出されます。

・高濃度のキシレンは、眼やのどなどに対する刺激性や、中枢神経に影響を与えることがあります。

3.N,N-ジメチルホルムアミド(別名:DMF、ホルミルジメチルアミン)

・N,N-ジメチルホルムアミドは、溶剤として様々な用途に使われる物質で、アクリル繊維や合成皮革を作る際にも使用されます。

・全てが事業所から排出されるもので、主に空気中に排出されます。

4.二硫化炭素

・二硫化炭素は、多くはセロハンやレーヨンを製造するときの溶剤などとして使われます。このほか、自動車用タイヤゴムの加硫促進剤に使われたり、農薬や医薬品の原料、鉱物の選鉱材などにも使われています。

・全てが事業所から排出されるもので、ほとんどが空気中に排出されます。

5.エチルベンゼン(別名:フェニルエタン、エチルベンゾール)

・エチルベンゼンは、主にスチレンモノマーの原料として使われています。また、混合キシレンの中にも含まれる物質です。

・主に事業所から排出されますが、自動車の排気ガスにも含まれ、空気中 に排出されます。


 なお、これらの化学物質の詳細及び他の化学物質については、化学物質ファクトシートをご覧ください。


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わたしたちにできることってなに?

■関心を持って調べる

・どのような化学物質がどれくらいの量、環境中へと排出されているかについて調べてみよう。

・家庭からはどのような化学物質がどれくらいの量、環境中に排出されているか調べてみよう。


環境省「リスクコミュニケーション」のホームページ

化学物質とその環境リスクについて、学び、調べ、参加する。

「市民」「子ども」「専門家」を対象にわかりやすく解説されています。


※PRTRデータ

環境省「PRTRインフォメーションセンター」の「集計結果・データを見る」

全国のPRTRデータを都道府県別、業種別、物質別などが見られる。

PRTRデータ自体を様々な観点から見ることができる。

経済産業省「化学物質排出把握管理促進法」の「集計結果を見る」

全国のPRTRデータの概要が見ることができます。

届出外排出量の推計方法も見ることができる。

独立行政法人 製品評価技術基盤機構

PRTRデータを用いた大気濃度マップや届出データを集計した排出量マップを見ることができる。

一般社団法人 環境情報科学センター

市町村別にPRTRデータを入手することができる。

また、メッシュ地図で物質ごとの排出量を見ることができる。

エコケミストリー研究会(NGO)

身近な環境で出されたり、使われたりしている有害化学物質の量やその有害性について、都道府県別や市区町村別に潜在危険度と環境管理参考濃度などの有害化学物質情報を見ることができる。


■もう少し詳しく調べてみる

 ・事業所や家庭からの排出量の多い化学物質について調べてみよう。

化学物質の用途や有害性の情報

化学物質の有害性情報


※PRTR対象物質


経済産業省 化学物質関連データベース

環境省 「対象化学物質情報(有害性の種類別)」

独立行政法人 製品評価技術基盤機構 「PRTR制度対象物質」

 ・家庭用品についてはどの製品に含まれているか、なぜ使われているかについて、調べてみよう。

 ・家庭用品のラベルの成分表示から種類と含まれる量を調べてみよう。

○製品のラベルにある「お客様相談室」などに問い合わせる

 ・近くの工場や事業所からの排出量などを調べてみる。

○個別の事業所の排出データの入手

○個別の事業所データ等を公表しているNGOのサイト


※個別事業所のデータ

 PRTR法では、個別の事業所が国に届け出た排出量等のデータを誰でも開示請求 することができます。

(問い合わせ先)

経済産業省製造産業局化学物質管理課 電話03-3501-1511(内線 3694.3695)

環境省環境保健部環境安全課 電話 03-3581-3351(内線 6358)

有害化学物質削減ネットワーク(略称:Tウォッチ、NGO)

 事業者や工場名、業種、住所などを手がかりに検索して、個別の届出対象事業 所の排出量・移動量のデータを入手できます。


■少しでも改善できるところはないか?できることから行動

 化学物質には、便利な性質もあるけれど、どんなものでも多かれ少なかれ、人や動植物に有害な性質をもっています。でも正しい使い方をすれば、環境リスクを減らす ことができます。

排出ガス

排出ガスの量をできるだけ少なくするためには、自家用車の代わりに電車やバスなどの公共の乗り物や自転車を利用しましょう。

低公害車を利用する、相乗りをする、急発進・急加速をしないなども効果がある。


洗剤

洗濯には、洗いたい物の量と汚れの程度にあった正しい量の洗剤を使いましょう。

洗濯排水を直接川などに流さないですむよう、下水道や浄化槽を整備することも効果がある。


殺虫剤

こまめに掃除をするなどして、害虫が発生する場所を作らないようにしましょう。

殺虫剤を使うときは最小限にして、使ったあとは空気を入れ換える。


工場などの環境対策に関心を持つ

工場などで行っている排出抑制対策を聞いてみましょう。

ホームページで排出量や種類、環境対策を見てみる。


環境報告書を作成している事業者のデータベース(環境省)


全般

独立行政法人 国立環境研究所「化学物質データベース」

独立行政法人 製品評価技術基盤機構「化学物質総合情報提供システム」

国立医薬品食品衛生研究所「国際化学物質安全性カード」(ICSC)

一般財団法人化学物質評価研究機構「評価シートリスト」


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