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平成20年 (2008年) 5月 20日
瀬戸内海の環境の保全に関する山口県計画
(昭和56年7月策定、平成20年5月最終変更)
瀬戸内海の環境の保全に関する山口県計画(本文)
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瀬戸内海の環境の保全に関する山口県計画(添付資料)
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この計画は、瀬戸内海環境保全特別措置法(昭和48年法律第110号)第4条の規定に基づき山口県の区域(同法第2条第1項に規定する瀬戸内海及び同法第5条第1項に規定する関係府県の区域のうち山口県の区域をいう。)において、瀬戸内海の環境の保全に関し実施すべき施策について定めたものである。
1 計画策定の趣旨
この計画は、瀬戸内海が、我が国のみならず世界においても比類のない美しさを誇る景勝地として、また、国民にとって貴重な漁業資源の宝庫として、その恵沢を国民が等しく享受し、後代の国民に継承すべきものであるという認識に立って、それにふさわしい環境を確保し維持すること及びこれまでの開発等に伴い失われた良好な環境を回復することを目途として、環境保全に係る施策を総合的かつ計画的に推進するため、政府が策定した瀬戸内海環境保全基本計画(昭和53年5月策定)に基づき、山口県の区域において瀬戸内海の環境の保全に関する中・長期にわたる総合的な計画として定めるものである。
また、この計画を定め、公表することにより、県内の瀬戸内海関係者、更には広く県民に対し、瀬戸内海の環境の保全の推進に対するなお一層の理解と協力を求めるとともに意識の高揚を図るものである。
2 計画の目標
瀬戸内海の環境保全の推進のためには、関係府県等が相互に協力しながら同一の目標に向かってそれぞれの施策を遂行することが肝要であることにかんがみ、瀬戸内海環境保全基本計画において定められた目標をこの計画の目標とし、次のとおり定める。
(1) 水質保全等に関する目標
① 瀬戸内海において水質環境基準が未達成の海域については、可及的速やかに達成に努めるとともに、達成された海域については、これが維持されていること。
② 瀬戸内海において、赤潮の発生がみられ、漁業被害の発生にいたる状況もあることから、赤潮発生の機構の解明に努めるとともに、その発生の人為的要因となるものを極力少なくすることを目標とすること。
③ 水銀、ポリ塩化ビフェニル等の人の健康に有害と定められた物質を国が定めた除去基準以上含む底質が存在しないこと。
また、その他有機物の堆積等に起因する悪臭の発生、水質の悪化等により生活環境に影響を及ぼす底質については、必要に応じ、その悪影響を防止するための措置が講じられていること。
④ 特に魚介類の産卵生育の場となっている藻場及び魚介類、鳥類等の生態系を維持する上で重要な役割を果たすとされている干潟等、瀬戸内海の水質浄化や生物多様性の確保、環境教育・環境学習の場としても重要な役割を果たしている浅海域が減少する傾向にあることにかんがみ、水産資源保全上必要な藻場及び干潟並びに鳥類の渡来地、採餌場として重要な干潟が保全されているとともに、その他の藻場及び干潟等についても、それが現状よりできるだけ減少することのないよう適正に保全されていること。
また、これまでに失われた藻場及び干潟等については、必要に応じ、その回復のための措置が講じられていること。
⑤ 海水浴場、潮干狩場等の自然とのふれあいの場等として多くの人々に親しまれている自然海浜等が、できるだけその利用に好適な状態で保全されていること。
(3) 自然景観の保全に関する目標
① 瀬戸内海の自然景観の核心的な地域は、その態様に応じて国立公園、県立自然公園又は自然環境保全地域等として指定され、瀬戸内海特有の優れた自然景観が失われないようにすることを主眼として、適正に保全されていること。
② 瀬戸内海の島しょ部及び海岸部における草木の緑は、瀬戸内海の景観を構成する重要な要素であることにかんがみ、保安林、特別緑地保全地区等の制度の活用等により現状の緑を極力維持するのみならず、積極的にこれを育てる方向で適正に保護管理されていること。
③ 瀬戸内海において、海面と一体となり優れた景観を構成する自然海岸については、それが現状よりもできるだけ減少することのないよう、適正に保全されていること。
また、これまでに失われた自然海岸については、必要に応じ、その回復のための措置が講じられていること。
④ 海面及び海岸が清浄に保持され、景観を損傷するようなごみ、汚物、油等が海面に浮遊し、あるいは海岸に漂着し、又は投棄されていないこと。
⑤ 瀬戸内海の自然景観と一体をなしている史跡、名勝、天然記念物等の文化財が適正に保全されていること。
3 目標達成のために講じる施策
これらの計画の目標を実現するため、既に得られた知見と技術を最大限活用し、現在残されている
自然環境の保全、発生負荷の抑制等規制を中心とする保全型施策の充実に加え、これまでの開発等に伴い失われた良好な環境を回復させる施策の展開及び施策の実施に当たっての幅広い連携と参加の推進を基本的な考え方として、各種の施策の積極的な実施に努めるものとする。瀬戸内海の環境保全に関し山口県の区域において実施する施策は、次のとおりとする。
(1) 水質汚濁の防止
① 水質総量規制制度等の実施
山口県の瀬戸内海は、東部では広島湾に、西部では関門海峡を経て響灘に面しており、10の海域について、公共用水域が該当する水質汚濁に係る環境基準の水域類型及び該当類型に係る基準値の達成期間を定めている。
これらの海域における水質は、平成18年度において、健康項目については全ての地点で環境基準を達成しているが、生活環境項目については、次のとおりである。
化学的酸素要求量の環境基準達成状況
類 型 | 75%値(mg/l) | 環境基準達成率(%) |
A | 1.4〜3.0 | 16.7 |
B | 1.9〜3.5 | 66.7 |
C | 2.4〜4.7 | 100 |
瀬戸内海全海域 | 1.4〜4.7 | 59.4 |
全窒素・全りんの環境基準達成状況
類 型 | 水域平均値(mg/l) | 環境基準 | |
全窒素 | 全りん | ||
I | 0.10 | 0.008 | 100 |
II | 0.13〜0.27 | 0.010〜0.023 | 100 |
III | 0.24〜0.31 | 0.026〜0.030 | 100 |
瀬戸内海全海域 | 0.10〜0.31 | 0.008〜0.030 | 100 |
また、近年、山口県の瀬戸内海全域における赤潮の発生件数は、平成16年では12件、平成17年では15件、平成18年では11件となっており、ほぼ横ばい傾向にある。
このようなことから、山口県の瀬戸内海区域における環境基準の維持達成等の水質の汚濁の防止及び赤潮の発生その他の富栄養化による生活環境に係る被害の発生の防止を図るため、水質総量規制制度等に基づき、今後も引き続き生活排水対策、産業排水対策及びその他の排水対策等を推進することにより、化学的酸素要求量により表示された汚濁負荷量並びに富栄養化の主要な原因物質である窒素及びりんの汚濁負荷量の計画的かつ総合的な削減対策を講ずるものとする。
なお、化学的酸素要求量、窒素含有量及びりん含有量に係る「総量削減計画(山口県)(平成19年6月策定)」における発生源別の削減目標量は次のとおりである。
発生源別の削減目標量(目標年度:平成21年度)
発生源 | 化学的酸素要求量(t/日) | 全窒素(t/日) | 全りん(t/日) |
生活排水 | 12 | 8 | 0.7 |
産業排水 | 38 | 14 | 1.0 |
その他 | 3 | 12 | 0.4 |
合 計 | 53 | 34 | 2.1 |
これらの対策を推進するに当たっては、特に次の施策を総合的に講ずるものとする。
ア 生活排水については、「山口県汚水処理施設整備構想(平成10年5月策定)」に基づき、汚濁負荷量の削減を図るため、下水道の整備を一層促進するほか、生活様式や地域の実情に応じ、農業集落排水施設、漁業集落排水施設、コミュニティプラント、浄化槽等の各種生活排水処理施設の整備を一層促進し、平成22年度を目標年度とし、生活排水処理率は約85%にまで向上するよう推進するものとする。また、合流式下水道については、越流水の現状把握に努めるとともにその改善を推進し、さらに窒素及びりんの除去性能の向上を含めた高度処理の積極的な導入を推進する。
イ 産業排水については、汚濁負荷量の削減のため、処理施設等の改善整備及び維持管理の適正化に努める。また、公害防止施設の設置促進を図るため、地球にやさしい環境づくり融資制度(公害防止施設整備資金融資制度)の利用促進を図るものとする。
ウ 魚介類の養殖漁場については、持続的養殖生産確保法(平成11年法律第51号)に基づき、底質の悪化や富栄養化が生じないよう漁場の環境保全、防疫対策に努める。
また、農耕地については、「山口県持続性の高い農業生産方式の導入に関する指針(平成13年3月策定)」に基づき、化学肥料の使用量を低減することにより、窒素及びりんの負荷量の軽減に努める。
さらに、家畜排せつ物については、「家畜排せつ物の適正管理と利用の促進を図るための山口県計画(平成12年10月策定)」に基づき、畜産業を営むものはもとより、県、市町、農業団体、農業者など関係者が一体となり、家畜排せつ物の適正管理のための施設を計画的かつ効率的に整備し、利用促進を図るなど適正処理に努める。
エ 必要に応じて、河川等の直接浄化等の推進や自然環境が有する水質浄化機能の積極的な活用を図るとともに、浚渫等により底質の改善を推進する。
オ 洗剤中のりんの削減及び使用量の適正化に努めるものとする。また、富栄養化防止に係る普及啓発を推進するとともに、排水処理技術の開発等に関する調査研究を引き続き進める。
カ 赤潮については、漁業被害を未然に防止するため、赤潮対策事業等により国、県、漁協等の情報交換に基づく監視通報体制を強化する一方、赤潮の発生予察技術や赤潮による魚類へい死防止技術の開発等の研究を推進し、その結果に基づき必要な措置について検討するものとする。
② 有害化学物質等の規制及び把握等
瀬戸内海環境保全特別措置法に基づく特定施設の設置等の許可及び水質汚濁防止法(昭和45年法律第138号)に基づく排水規制の適切な運用等により、水質環境基準の達成維持を図り、有害化学物質による水質汚染状況の監視に努めるものとする。
特に、ダイオキシン類については、ダイオキシン類対策特別措置法(平成11年法律第105号)に規定する特定事業場に対する排出基準の遵守等の徹底や公共用水域の水質、底質及び地下水の濃度測定を計画的に実施し、環境基準の達成維持を図る。
また、有機スズ化合物等の有害化学物質については、公共用水域の汚染を防止するため、これらの化学物質による水質汚染状況の監視に努めるとともに、特定化学物質の環境への排出量の把握等及び管理の改善の促進に関する法律(平成11年法律第86号)に基づくPRTR(環境汚染物質排出・移動登録)制度により、事業者による化学物質の自主的な排出量の把握・管理の改善の促進を図るものとする。
さらに、ポリ塩化ビフェニルについては、ポリ塩化ビフェニル廃棄物の適正な処理の推進に関する特別措置法(平成13年法律第65号)に基づき、廃棄物の適正な保管を指導するとともに、ポリ塩化ビフェニル廃棄物処理計画を策定し、適正な処理を推進するものとする。
③ 油等による汚染の防止
山口県の区域には、特定重要港湾である徳山下松港及び下関港のほか、重要港湾が4港、地方港湾が23港ある。
一方、漁港は第3種漁港である下関漁港を始め、第1種・第2種漁港が67漁港ある。
また、石油コンビナート等特別防災区域として岩国・大竹地区、下松地区、周南地区、宇部・小野田地区及び六連島地区が指定されている。
さらに、山口県の区域に係る海域はタンカー等の船舶の往来が多く、地形も複雑である。このような状況を踏まえ、次の施策を講ずることにより、船舶油及び船舶の事故等に起因する流出油等による海洋汚染の防止を図るものとする。
特に、油等による汚染については、「1990年の油による汚染に係る準備、対応及び協力に関する国際条約」及び「2000年の危険物質及び有害物質による汚染事件に係る準備、対応及び協力に関する議定書」の規定により策定された「油等汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画(平成18年12月閣議決定)」に基づき、油等汚染事件に伴う海域環境被害の防止又は回復のための措置が適切に実施できるよう地域の実情に応じた準備及び対応の施策を積極的に推進する。
ア 船舶及び陸上からの油等の排出防止及び廃油処理施設の整備
船舶及び陸上からの油等の排出防止のため、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律(昭和45年法律第136号)、港則法(昭和23年法律第174号)、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)及び水質汚濁防止法の規定に基づく規制の徹底及び監視取締りの強化を図るとともに、徳山下松港ほか4港に設置されている廃油処理施設を活用する。
イ 事故による海洋汚染の未然防止
事故による海洋汚染を未然に防止するため、消防法(昭和23年法律第186号)及び石油コンビナート等災害防止法(昭和50年法律第84号)に基づく規制の徹底及び監視指導の強化を図るとともに、山口県及び関係市町の地域防災計画並びに「山口県石油コンビナート等防災計画(昭和51年10月策定)」等による防災活動等の適切な運営を促進する。
また、船舶衝突事故等による油等流出を防止するため、海上交通安全法(昭和47年法律第115号)及び港則法等に基づく規制の徹底及び指導取締りの強化を図るとともに、海上交通の安全のための施設の整備を促進する。
ウ 排出油等防除体制の整備
排出油等の流出及びその拡大を防ぐため、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律及び石油コンビナート等災害防止法に基づく油回収船、オイルフェンス、油吸着材、油処理剤等の備付け義務の徹底を図るとともに、これら排出油等防除資機材の整備に努めるほか、「山口県石油コンビナート等防災計画」、「岩国・大竹地区石油コンビナート等防災計画(昭和51年10月策定)」、「山口県地域防災計画(昭和37年10月策定)」、「瀬戸内海西部海域排出油等防除計画(昭和53年3月策定)」及び「瀬戸内海中部海域排出油等防除計画(昭和53年3月策定)」に基づき排出油等防除体制の整備確保に努める。
また、排出油等を速やかに回収するため、岩国港ほか3港に配備されている油回収船の活用を図る。
さらに、「油等汚染事件への準備及び対応のための国家的な緊急時計画」に基づき、油等汚染事件に伴う海洋環境被害の防止又は回復のための措置が適切に実施できるよう、地域の実情に応じた通報・連絡体制、防除体制の整備等に努める。
エ 環境保全対策の充実
脆弱沿岸海域図の活用等により、事故発生時における自然環境等の保全対象、保全方策等についての検討を推進するとともに、油等流出による自然環境等に及ぼす影響及び事故後の回復状況を評価するため、平常時の自然環境等の観測データの蓄積に努めるものとする。
(2) 自然景観の保全
山口県には、身近なところに多くの美しい自然景観、歴史的建造物やまち並み等の良好な景観が残っており、人々の心を豊かにさせてくれるとともに、ふるさとへの愛着心や連帯感を高めるものとなっている。
平成16年6月に景観法(平成16年法律第110号)が制定され、現在、下関市、宇部市、山口市、防府市、岩国市、光市、柳井市が景観行政団体となり、同法を活用した景観形成に向けて取り組んでいる。
県においては、山口県景観条例(平成18年条例第5号)及び「山口県景観ビジョン(平成17年3月策定)」に基づき、住民・事業者・市町・県が一体となって良好な景観を保全・形成・活用しながら、心豊かな・暮らしやすい・訪れたくなる山口県を目指すことを基本目標として、施策を展開していくものとする。
① 自然公園等の保全
山口県の区域に係る瀬戸内海の自然景観の核心的地域のうち、自然公園法(昭和32年法律第161号)に基づき、大島郡一帯、光市虹ヶ浜・室積、下松市笠戸島、周南市太華山、下関市火の山満珠・干珠及びこれらの周辺海域が瀬戸内海国立公園の区域として、また、下関市豊北町土井ケ浜一帯が北長門海岸国定公園の区域として指定されている。
これらの区域については、瀬戸内海特有の優れた自然景観が失われないようにすることを主眼として、適正に保全されるよう関係法令に基づく規制の徹底及び監視指導の強化に努めるとともに、公園事業の執行等の制度の活用が図られるものについては、これを適切かつ積極的に推進するものとする。
さらに、必要に応じ、国立公園及び国定公園の区域等の見直しを行い、瀬戸内海特有の優れた自然景観の保全に努めるものとする。
② 緑地等の保全
瀬戸内海の島しょ部及び海岸部における草木の緑は、瀬戸内海の景観を構成する重要な要素である。
山口県の瀬戸内海の島しょ部及び海岸部の自然植生については、植物群落を10ランクの植生自然度に区分すると、植生自然度7のクリ・ミズナラ群落クヌギ・コナラ群集等一般には二次林と呼ばれる代償植生地区が全体の約60%を占めており、自然性が保たれている植生自然度9及び10の地域はわずか2%が残存しているにすぎず、かつ、近年における各種の開発等により自然緑地が減少してきている。
そこで、現状の緑を極力維持し、かつ、積極的にこれを育てるため、次のような施策を推進するものとする。
ア 良好な自然景観を有する沿岸地域及び島しょにおける森林の保全
良好な自然景観を有する沿岸地域及び島しょにおける森林を保全するため、保安林の指定を進めるとともに、保安林制度及び林地開発許可制度等による規制の適正な運用を図る。また、採石法(昭和25年法律第291号)及び砂利採取法(昭和43年法律第74号)に基づく採取計画の認可及び海岸法(昭和31年法律第101号)に基づく許可に際しては、緑地等の保全について十分配慮するものとする。
また、山口県自然環境保全条例(昭和49年条例第4号)に基づき指定されている霜降山ほか7箇所(1,748ha)の緑地環境保全地域及び蒲井八幡宮樹林ほか27箇所(44ha)の自然記念物については、これらの優れた自然環境を適切に保全するとともに新たな指定を進める。
イ 沿岸都市地域における緑地の確保
次表に掲げるとおり、平成18年度には下関市ほか11市町の都市公園整備事業を実施しており、今後、他地域においても積極的に事業の促進を図る。また、都市計画法(昭和43年法律第100号)に基づき風致地区として指定されている岩国市の錦帯橋ほか20箇所においては、風致地区内における建築物等の規制に関する条例(昭和45年条例第5号)に基づく許可制度の適切な運用を図るとともに、更なる緑地の確保のため、風致地区の追加指定や都市緑地法に規定する特別緑地保全地区の新規指定等を行う。
また、徳山下松港において、港湾環境整備事業による緑地等施設の整備を図る。
さらに、緑の基本計画を策定し、総合的に都市における緑とオープンスペースの保全と創出を図る。
都市公園整備事業の実施箇所
市町名 | 下関市、宇部市、山口市、萩市、下松市、岩国市、長門市、 |
ウ 健全な森林の保護育成のための事業等の実施
多面的機能を有する森林の健全な育成を図るため、保育・間伐等の適正な実施、育成複層林の造成による多様な森林整備等、森林整備事業を積極的に推進する。
また、地域の実態に即した、松くい虫等森林病害虫防除及び被害跡地の早期復旧、さらには保安林の整備、荒廃地の復旧、生活環境の保全等治山事業の推進により、県土の保全と森林の適正な管理を図り、健全な森林の育成に努める。
エ 緑化修景措置
開発等によりやむを得ず緑が損なわれる場合においては、山口県の「開発事業に関する技術的指導基準」に基づく設置基準に即した緑地等を確保させるとともに緑化協定の締結など植栽等を指導し、緑の修復に努める。
なお、既に開発された地域についても植栽等を指導する。
③ 史跡、名勝、天然記念物等の保全
瀬戸内海には多種多様な史跡、名勝、天然記念物等が数多く存在し、文化財保護法(昭和25年法律第214号)、山口県文化財保護条例(昭和40年条例第10号)に基づき指定され、恒常的な保存が図られている。これらの文化財の景観・環境を保全するため、法または条例に基づいた規制を徹底し、積極的な保護対策を講ずるものとする。
なお、未指定の史跡、名勝、天然記念物等の緊急調査を実施し、重要なものについては新たな指定を行う。
④ 散乱ごみ、油等の除去
海上に浮遊するごみ、油等を回収するため、港湾区域においては、徳山下松港に配備されているごみ清掃船、岩国港ほか3港に配備されている油回収船及び岩国港に設置されている海洋性廃棄物焼却炉等を積極的に活用していくとともに、その他の港湾については、浮遊ごみの清掃や浮遊油の回収対策等の堆進に努める。漁場については、漁場環境整備事業等による沿岸の海底清掃及び漁業者や地域住民の協働による海浜清掃等により良好な環境の維持に努めるものとする。
また、海面、海浜等におけるごみ、油等の投棄を防止するため、海洋汚染等及び海上災害の防止に関する法律、港則法、河川法(昭和39年法律第167号)、海岸法並びに廃棄物の処理及び清掃に関する法律に基づく規制の徹底及び監視取締りの強化を図るとともに、住民等への広報活動、清掃活動への住民参加の推進等を通じ、河川・海岸愛護県民運動等の民間清掃活動を含め、河川及び海岸の清掃事業の促進及び海面・海浜の美化意識の向上に努めるものとする。
さらに、漂流ごみ、漂着ごみ及び海底ごみについては、平成18年度に設置された「瀬戸内海海ごみ対策検討会」等により、その実態把握、回収処理体制の確立及び発生抑制対策の実施に努めるものとする。
⑤ その他の措置
開発等により、自然海岸が減少し、海岸の景観が損なわれている場合もあることにかんがみ、これらの実施に当たっては、景観の保全について十分配慮するものとする。また、海面及び沿岸部等において施設を設置する場合においても、景観の保全について十分配慮するとともに、これまでに失われた自然海岸については、必要に応じ、その回復のための措置を講ずるよう努めるものとする。
また、平成8年12月17日の第26回瀬戸内海環境保全知事・市長会議で採択された「瀬戸内海景観宣言」により、国や関係府県市の相互協力のもと、それぞれの地域の特性や個性を考慮しつつ、瀬戸内海のまとまりのある内海景観を保全・創造していくものとする。
(3)浅海域の保全等
① 藻場及び干潟等の保全等
「第4回自然環境保全基礎調査海域生物環境調査報告書」(1994年3月、環境庁)によると、山口県の平成2年度調査において、山口県の瀬戸内海沿岸海域には総面積2,113haの藻場があり、響灘に最も多くみられる。
海藻を種類別にみると、響灘ではガラモ場、アラメ場の分布が多くみられ、周防灘では、ガラモ場が最も多く、次いでアマモ場、アオサ場の順となっている。
また、干潟については、「平成18年度瀬戸内海干潟実態調査(2007年3月、環境省)」によると、総面積2,987haを形成しており、その主体は周防灘に分布している。
魚介類の産卵・生育の場となっている藻場及び魚介類、鳥類等の生態系を維持するうえで重要な役割を果たすとされている干潟は、近年各種の開発に伴い次第に減少する傾向にある。
そこで、水産資源保護法(昭和26年法律第313号)に基づき、山口県漁業調整規則(昭和42年規則第11号)により保護水面に指定されている小柱島地先海域ほか3箇所の海域及び瀬戸内海漁業取締規則(昭和26年農林省令第62号)に基づき藻場等ひき網漁業禁止区域に指定されている山口湾ほか4箇所の海域においては、法令に基づく規制措置の適切な運用を図る。
また、その他の藻場及び干潟等についても、水質浄化や生物多様性の確保、環境教育・環境学習の場等として重要な役割を果たしていることから、できるだけ保全するよう努めるものとする。
なお、他方、水産資源増殖の見地から水産基盤整備事業等により、積極的に魚介類の幼稚仔育成場や藻場等の生育に配慮した護岸等の整備を推進するとともに、これまでに失われた藻場及び干潟等については、必要に応じ、その回復のための措置を講ずるよう努めるものとする。
② 自然海浜の保全等
第4回自然環境保全基礎調査海岸調査(環境省)によると、平成5年度調査において、山口県の瀬戸内海の海岸線のうち、自然海岸は45.7%、半自然海岸は5.5%、人工海岸は47.9%、河口部は0.9%である。
一方、これらの自然海岸及び半自然海岸の海浜は海水浴場、潮干狩場及び魚つり場として利用され、海水浴場として室積、虹ヶ浜海水浴場ほか33箇所で年間約52万人の利用者があるほか、潮干狩場として王司海岸など、魚つり及び磯遊びとして岐波、象鼻ヶ岬海岸などの多くの場所が利用されている。
このように、自然海浜は地域住民のいこいの場及び海水浴、潮干狩場などの海辺の自然観察の場等の自然とのふれあいの場として多くの人々に利用され、県民の健康で文化的な生活を確保するため必要不可欠なものとなっているが、近年、これらの自然海浜が減少する傾向にあることにかんがみ、できるだけその利用に好適な状態で保全されるよう次の施策を講じるものとする。
ア 規制の徹底と指導・取締りの強化
山口県自然海浜保全地区条例(昭和56年条例第23号)に基づき指定されている、長浦ほか7地区の自然海浜保全地区の適切な保全を図る。
また、そのほか県下の貴重な自然海浜が自然公園法、山口県立自然公園条例(昭和35年条例第25号)、鳥獣の保護及び狩猟の適正化に関する法律(平成14年法律第88号)及び森林法(昭和26年法律第249号)に基づく各種の指定地区に指定されているので、これらの指定地区においては、当該法令に基づく適切な運用を図ることにより、自然海浜がその利用に好適な状態で保全されるよう努める。
イ 養浜等による海浜環境の整備
保全にとどまらず積極的に海洋性レクリエーション等の場としての海浜を造成するため、海岸環境整備事業により、親水護岸、養浜、植栽等の事業を積極的に推進する。
また、室積海岸においては、海岸の景観を保ちつつ、背後地への浸水被害や海岸の侵食を防止するため、海岸高潮事業を推進する。
さらに、自然海浜を利用に好適な状態で保全するため、民間清掃作業を含め海浜部の漂着ごみ等を対象とした清掃事業の促進に努める。
(4)海砂利採取に当たっての環境保全に対する配慮
海砂利採取については、採取による当該及び周辺海域の環境等への影響が相対的に小さい海域での最小限の採取に留めるものとする。
このため、本県では、一般海域の利用に関する条例(平成10年条例第3号)に基づき響灘海域に事実上限定して許可している。当該海域中、瀬戸内海環境保全特別措置法に定める瀬戸内海海域は、下関市蓋井島近海の一部であり、極めて限定しているが、あらかじめ当該海域の海砂利の資源量や採取による当該及び周辺海域の環境等への影響を調査し、それらの結果等を十分踏まえ対応するとともに、海砂利の需給動向や代替材の確保状況を踏まえ、最小限の採取量に留めるものとする。また、採取に当たっては、環境に及ぼす影響を少なくするよう採取する位置、面積、期間及び方法等を制限するとともに、採取中及び採取後においては、採取位置及び採取量を正確に把握するものとする。
さらに、事業者に対して、採取後の状況についてモニタリングの実施やその結果を踏まえた環境への影響のより小さい採取計画の策定等を誘導するとともに、採取量の計画的な削減方策についても検討するものとする。
また、環境調査の手法の確立に努めつつ、海砂利の採取が海域環境及び水産動植物に及ぼす影響の定量的な究明を推進するとともに、環境への影響のより小さい採取方法や海砂利に代わる骨材等の研究及び活用に努めるものとする。
なお、河口域の砂利採取にあっても、動植物の生息・生育環境等の保全及び海岸の侵食防止等に十分留意するものとする。
(5)埋立てに当たっての環境保全に対する配慮
山口県の区域における公有水面埋立法(大正10年法律第57号)第2条第1項の免許又は同法第42条第1項の承認に当たっては、瀬戸内海環境保全特別措置法第13条第2項の規定に基づき、瀬戸内海環境保全審議会が答申した同条第1項の埋立てについての規定の運用に関する基本方針に沿って、引き続き環境保全に十分配慮するものとする。
また、環境影響評価法(平成9年法律第81号)及び山口県環境影響評価条例(平成10年条例第37号)に基づく環境影響評価に当たっては、環境への影響の回避・低減を検討するとともに、必要に応じ適切な代償措置を検討するものとする。その際、地域住民の意見が適切に反映されるよう努めるものとする。
これらの検討に際しては、特に浅海域の藻場・干潟等は、一般に生物生産性が高く、底生生物や魚介類の生息、海水浄化等において重要な場であることを考慮するものとする。
(6)廃棄物処理施設及び最終処分場の整備
瀬戸内海の海面及び海岸が清浄に保持されるためには、ごみ等の不法投棄及び不適正処理の防止に努めることが必要であるため、監視等の強化を図るものとする。また、大量生産・大量消費・大量廃棄型の社会からの転換を進めるため、循環型社会形成推進基本法(平成12年法律第110号)の趣旨を踏まえ、廃棄物の発生抑制、再使用、再生利用の促進により廃棄物の減量化を推進するとともに、適切な廃棄物処理施設や最終処分場の整備を図る。そのため、次の施策を積極的に実施するものとする。
① 廃棄物の発生抑制、再使用、再生利用
山口県循環型社会形成推進条例(平成16年条例第1号)及び廃棄物の処理及び清掃に関する法律等に基づき策定した「山口県循環型社会形成推進基本計画(平成18年3月策定)」に基づき、循環的資源の循環的利用や廃棄物の適正処理を通じて、県民が住み良さを実感でき、元気な企業が育ち活動できるような社会の実現を目指す。
② 処理施設の整備
山口県の区域における平成17年度末のごみ処理施設は、ごみ焼却施設13箇所(1日当たりの処理能力1,990t)、ごみ燃料化施設3箇所(1日当たりの処理能力104t)、粗大ごみ処理施設14箇所(1日当たりの処理能力369t)が整備されており、産業廃棄物については、汚泥の脱水施設、廃油の焼却施設等の廃棄物処理施設が整備されている。
これらの施設により廃棄物の適正処理を行う一方、ごみの再生利用の促進及び施設の老朽化に対処するため、循環型社会形成推進事業により、周南市、山口市、防府市において処理施設の更新等を行う。
また、産業廃棄物については、適正処理の確保を図るため、処理業者等に対する監視指導を徹底するなど廃棄物処理法に基づき、総合的な廃棄物処理対策を推進する。
③ 最終処分場の整備
山口県の区域における平成17年度末の一般廃棄物最終処分場については42箇所(残余容量約115万m3)、平成18年度末の産業廃棄物最終処分場については83箇所(残余容量約434万m3)が整備されており、また、公有水面の埋立により、徳山下松港及び宇部港に公共関与の一般廃棄物及び産業廃棄物最終処分場整備を図ることとしているが、産業廃棄物最終処分場については、民間による整備が容易に進まない中で、新たな最終処分場の確保は緊急かつ重要な課題となっている。
そのため、今後、廃棄物の再生利用、処理施設の整備等の総合的施策を推進することにより、廃棄物の減量化を図るとともに、廃棄物の適正処理を廃棄物の海面埋立処分によらざるを得ない場合においては、瀬戸内海の環境保全に十分配慮したうえで廃棄物処理施設整備事業を実施し、最終処分場の整備に努める。
(7)健全な水循環機能の維持・回復
健全な水循環機能の維持・回復を図るため、流域を単位とした関係機関の連携の強化に努め、各地域で次の施策を実施する。
① 海域
海域と陸域の連続性に留意して、藻場・干潟等の浅海域の保全を推進するとともに、自然浄化能力の回復に資する人工干潟等の適切な整備を図る。
② 陸域
森林の水源かん養機能を高度に発揮させるため、保安林等に指定し、治山事業等により積極的に整備を図る。
また、水貯留、地下水かん養能力を有する水田等農地の適正な維持管理を推進する。
さらに、河川や湖沼等における自然浄化能力の維持・回復、地下水のかん養、下水処理水の再利用等に努めるものとする。また、これらの施策の推進に当たっては、流域を単位とした関係者間の連携の強化に努めるものとする。
(8)失われた良好な環境の回復
瀬戸内海にふさわしい多様な環境を確保するため、開発等に伴い既に失われた藻場、干潟、自然海浜等の良好な環境を回復させる施策の展開を図るものとする。
これらの施策の推進に当たっては、開発等に伴いかつての良好な自然環境が消失した地域を対象とすることを基本とし、事業者、住民及び民間団体と連携した計画的な取組に努めるものとする。
特に、山口湾では、平成16年8月に「椹野川河口域・干潟自然再生協議会」を設立し、産学官民の協働・連携による「里海の再生」を目標とした全体構想に基づき、取組を進めている。
また、岩国基地沖合移設に伴う埋立事業により、藻場、干潟の一部が消滅することから、事業者において藻場、干潟の回復を措置するものとする。
(9)島しょ部の環境の保全
本県には、瀬戸内海において、屋代島(周防大島町。人口約2万人)をはじめ、約140の島々がある。これらの地域は豊かな歴史・文化を持ち、柑橘栽培などの農業や漁業、造船業などが営まれてきた。しかし、過疎化、高齢化の進行など、島しょ部の活力の低下も懸念され、その一方で、豊かな自然環境が随所に残されており、貴重な財産であるこれらの自然環境を守りつつ、地域の活性化を図っていく必要がある。
特に、各種の公共事業や開発等を行う際には,環境の保全、残された自然環境や島々がつくり出す瀬戸内海らしい多島美の景観等に十分配慮するものとする。
(10)下水道等の整備の促進
① 下水道の整備
瀬戸内海の水質保全を図るうえで、生活排水に係る汚濁負荷量及び栄養塩類の削減対策としての下水道の整備は極めて重要である。
山口県の区域における下水道の整備状況は、平成18年度末において、周南浄化センターほか37箇所の終末処理場が稼働しており、処理人口は80万9千人で、処理人口普及率は54.4%と依然低水準の状況にある。
今後は、下水道の整備が瀬戸内海の水質保全を図るうえで特に重要かつ緊急を要する課題であるとの観点から、積極的に整備を促進するものとし、このため、次表に掲げる事業実施中の宇部市をはじめ13市4町の公共下水道事業及び周南、田布施川流域下水道事業については、その整備区域の拡大を図るものとする。
また、公共下水道事業に未着手の地域については、できるだけ速やかに事業着手し、その整備を促進するものとする。
さらに、合流式下水道については、越流水の現状把握に努めるとともに改善を推進し、窒素及びりんの除去性能の向上を含めた高度処理の積極的な導入を推進するものとする。
公共下水道事業の実施箇所(事業実施中)
市町名 | 下関市、宇部市、山口市、萩市、防府市、下松市、岩国市、光市、 長門市、柳井市、美祢市、周南市、山陽小野田市、周防大島町、 |
② その他の生活排水処理施設の整備
下水道の整備が行われるまでの間、あるいは下水道整備予定区域外にあっては、地域の実情に応じ、浄化槽、農業集落排水施設等の生活排水処理施設の整備の促進に努めるものとする。
浄化槽については、浄化槽設置整備事業により、平成18年度末で20市町、39,563基の浄化槽が整備されており、今後も、地域の特性を考慮しながら、この事業の活用により浄化槽の整備を促進するものとする。
また、浄化槽法(昭和58年法律第43号)、建築基準法(昭和25年法律第201号)及び「浄化槽の設置等に関する指導要綱(平成3年12月策定)」等に基づき、適正な設置及び維持管理の徹底等について指導を行う。
さらに、瀬戸内海の水質の保全を図るためには、農村漁村地域から排出される生活雑排水の浄化対策の推進が必要であり、このため農村地域における農業集落排水施設の整備及び漁村地域における漁業集落排水施設の整備が極めて重要な施策となっている。
山口県の区域における農業集落排水施設は、既に下関市等9市4町47地区で整備が完了し、現在、次表に掲げるとおり、下関市等6市1町の12地区において整備が実施されている。
また、その他の市町においても整備が予定されるなど、実施箇所と地域は年々増加並びに広域化している。
農業集落排水事業の実施箇所(事業実施中)
市町名 | 下関市、山口市、岩国市、柳井市、美祢市、周南市、周防大島町 |
一方、漁業集落排水施設については、防府市等3市3町6地区で整備が完了し、現在、山口市の1市1地区で整備が実施されている。
今後とも、農村漁村地域の生活雑排水の浄化対策が瀬戸内海の水質保全対策上極めて重要な施策であることにかんがみ、農業集落排水施設等の整備の促進に努めるものとする。
③ し尿処理施設の整備
山口県の区域におけるし尿の処理状況は、 平成17年度末において、下関市ほか19箇所のし尿処理施設(1日当たりの処理能力1,289kl)及び周南市等の公共下水道投入により処理されており、計画収集人口は約26万人、計画収集量は1日当たり約1,470klである。
また、今後、し尿、浄化槽汚泥のみならず、その他の有機性廃棄物を含めて再利用を図りつつ、適正処理を行う汚泥再生処理センターの整備を図るものとする。
(11)海底及び河床の汚泥の除去等
瀬戸内海の水質汚濁の一因となる海底及び河床の汚泥の実態を把握するため、県下の主要海域及び主要河川における底質調査の積極的実施を図り、水銀、ポリ塩化ビフェニル等人の健康に有害な物質を含む汚泥の堆積による底質の悪化を防止するとともに、これらの物質については、国が定めた除去基準を上回る底質の除去等の促進に努めるものとする。
また、その他有機汚泥の堆積等による悪臭の発生、水質の悪化等により生活環境に影響を及ぼす底質については、所要の調査研究を進めるとともに、必要に応じて、除去等の適切な措置を検討するものとする。
今後、宇部海域において、港湾公害防止対策事業により、ダイオキシン類対策を実施する予定であり、周防灘等における底質浄化事業に関する調査等の推進を図るものとする。
(12)水質等の監視測定
瀬戸内海の水質保全対策の実効を期すには、山口県の区域における公共用水域の環境基準の維持達成状況及び発生源における排水基準の遵守状況を把握するため、水質等の監視測定が必要である。
このため、公共用水域については、水質汚濁に係る環境基準点を中心として海域95地点、河川70地点、湖沼11地点の計176地点において、水質汚濁防止法による測定計画に基づき、関係機関の相互協力により、ダイオキシン類を含めた環境基準項目の常時監視に努めているところであるが、今後とも、これらの常時監視の拡充強化を図り、監視体制の整備に努めるものとする。
一方、発生源については、水質汚濁防止法及びダイオキシン類対策特別措置法に基づき、工場・事業場における排水基準の遵守のため、指導等に努めるとともに、総量規制の指定地域内事業場における汚濁負荷量の的確な把握のため、水質計測器などの測定施設及び設備の適正管理について指導を徹底するものとする。
また、工場・事業場等からの発生負荷量の管理業務や公共用水域の水質監視業務に伴うデータ整備及び解析のための効果的な管理体制の整備を図るものとする。
(13)環境保全に関する調査研究及び技術の開発等
山口県においては、環境保健センターを中心に、産業技術センター、水産研究センター、農林総合技術センターで環境保全に関する調査研究及び技術開発を進めており、特に、内湾における内部生産機構、赤潮発生機構及び貧酸素水塊の形成機構の解明並びに底質調査については、国、関係府県、事業者、民間団体等の連携のもとに調査研究を実施し、また、生活排水浄化対策に係る調査研究、家畜排せつ物の処理技術及び処理方法の研究等についても推進してきたところである。
今後とも、関係者の連携のもとに、これらの調査研究の促進を図るとともに、自然環境保全基礎調査、各種開発行為に係る環境影響評価手法の向上に関する調査研究、生態系への化学物質の影響等に関する調査研究並びに藻場及び干潟の造成、廃棄物等の再利用等に関する技術開発等、瀬戸内海の環境保全に関する調査研究及び技術の開発に努めるものとする。
さらに、瀬戸内海に関する環境情報や調査研究、技術開発の成果等について、インターネットを活用し、情報の共有化、情報収集の効率化に努めるものとする。
(14)環境保全思想の普及及び住民参加の推進
瀬戸内海の環境保全対策を推進するに当たっては、生活排水や廃棄物等を含めた総合的な対策が必要である。
その実効を期するためには、国、地方公共団体、事業者等がその責務を果たすことはもちろんのこと、住民や民間団体及び瀬戸内海を利用する人々の正しい理解と協力が不可欠であり、瀬戸内海の環境保全に関する思想の普及及び意識の高揚を図るものとする。また、汚濁負荷量の削減、廃棄物の排出抑制、環境保全への理解、行政の施策策定への参加等の観点から、住民参加の推進に努めるものとする。
このため、県民に対して、テレビ、ラジオ放送、新聞、パンフレット等の広報手段を通じ、あるいは、環境月間、瀬戸内海環境保全月間の事業等において、瀬戸内海の保全についての正しい認識を高めるよう広報活動の実施に努めるとともに、河川、海岸等へのごみの不法投棄防止、生ごみの流出防止及び浄化槽の維持管理の適正化を図るなど実践活動の普及に努めるものとする。また、公益法人等の民間団体による環境ボランティアの養成等への支援に努めるとともに、環境保全施策の策定に当たっては、パブリックコメント等を実施し、住民意見の反映に努めるものとする。
なお、これらの事業の実施に当たっては、(社)瀬戸内海環境保全協会及び山口県瀬戸内海環境保全協会等の協力を得るとともに、山口県地域環境保全基金の活用を図り、より一層その効果を増すよう努めるものとする。
(15)環境教育・環境学習の推進
瀬戸内海の環境保全に対する理解や環境保全活動に参加する意識及び自然に対する感性や自然を大切に思う心を育むため、地域の自然及びそれと一体的な歴史的、文化的要素を積極的に活用しつつ、国、地方公共団体、事業者、民間団体の連携の下、環境教育・環境学習を推進することが必要である。
このため、「山口県環境学習基本方針(平成11年3月策定)」に基づき、拠点施設の整備、環境学習プログラムの作成・活用、多様な学習指導者の育成・確保等の施策を積極的に推進する。
また、国立公園等を活用した自然観察会等地域の特性を生かした体験学習機会の提供やボランティア等の人材育成及び民間団体の活動に対する支援等に努めるものとする。さらに、学校教育においても環境学習等の推進を図るものとする。
(16)情報提供、広報の充実
住民参加、環境教育・環境学習、調査研究等を推進するため、多様な情報の整備等や広く情報を提供するシステムの構築等を進めるとともに、県ホームページ、せとうちネット、広報誌等を通じて、瀬戸内海の環境の現状及び負荷量削減、廃棄物の排出抑制への取り組み等の広報に努めるものとする。
(17)広域的な連携の強化等
瀬戸内海は13府県が関係する広範な海域であることから、環境保全施策の推進のため、各地域間の広域的な連携の一層の強化を図ることが必要である。
現在、森・川・海水環境ネットワーク協議会等が県内13水系の河川に設置されており、流域ごとの環境保全対策の連携が図られているが、今後も流域を単位とした関係者間の連携を図るものとする。
また、平成19年3月に策定された広島湾再生行動計画に基づき、関係省庁及び関係地方公共団体はもとより、地域住民、NPO、学識経験者、漁業関係者、民間企業等の多様な主体との連携や協働により広島湾の再生に努めるものとする。
また、現在、瀬戸内海環境保全知事・市長会議により、地方公共団体間の連携が図られているが、今後ともこの会議を通じ、一層の連携の強化を図るものとする。
(18)海外の閉鎖性海域との連携
海外の閉鎖性海域における環境保全に関する取組との連携を強化し、瀬戸内海の環境保全の一層の推進を図るとともに、海外における取組に積極的に貢献するため、瀬戸内海環境保全知事・市長会議、(社)瀬戸内海環境保全協会等を通じて、世界閉鎖性海域環境保全会議等の支援、積極的な参加、情報交換等に努めるものとする。
4 施策の実施上必要な事項
(1)施策の積極的推進
瀬戸内海の環境保全は緊急かつ重要な国民的課題であることにかんがみ、本計画で定められた施策については、優先的に財源の確保等に努め、その積極的な堆進を図るものとする。
(2)施策の実施状況及びその効果の把握
瀬戸内海の環境保全を推進するためには、本計画で定められた施策が確実に実行されなければならない。
このため、計画した諸施策を強力に推進するとともに、施策の実施状況及び環境改善状況を的確に把握し、施策の効果的な実施を図るものとする。
(3)計画推進のための関係機関との連絡調整
本計画は、国、県及び関係市町が一体となって強力に推進していくため、国の地方機関及び県の関係課からなる連絡会議等を開催し、諸施策の実施状況等について、情報、意見の交換等を行うものとする。
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