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やまぐちの棚田20選・中須北地区の棚田

ページ番号:0022480 更新日:2017年2月13日更新

周南市中須北地区の棚田

周南市中須北地区の棚田の画像

棚田の概要

  • 地域の所在 山口県周南市中須北
  • 農地面積 32.4ha
  • 平均勾配 1/10

中須北地区は周南市の中心市街地から20km北東に位置し、旧周東町、旧美川町と境を接する標高300mの中山間盆地にある。地区内の5集落はすり鉢状の棚田で結ばれている。急傾斜地が多く、山間棚田の条件のため生産性は低く、第2種兼業農家が81%を占めている。

農家数はここ15年で30%近く減少しており、他の中山間地域同様、過疎化高齢化が進む状況にある。農業は小規模経営が大半であるが、生産者有志で「都濃自然米生産グループ」を結成し、無農薬・無化学肥料の米栽培を行い全量産地直売の取組も進めている。また循環型農業の技術も年々波及し、現在では7名のエコファーマーが認定されている。

山、川、田んぼという里山特有の条件のため、地区内には多様な動植物が見られ、野生動物も多い。すり鉢状の棚田では生産と自然の調和した美しい景観が見られる。特に秋には一帯で「はぜかけ」が行われ、昔ながらの稲刈り風景が見られる。

棚田の保全活動

平成12年に結成された「棚田清流の会」を中心に地区住民が協力して棚田の保全に取り組んできた。会では休耕田に花を植えることからスタートし、今では地区外から親子連れらを招き、農業体験交流会を企画したり、棚田オーナー制度を始めたりしている。

農業体験交流会では、田植え、稲刈りといった米作りはもとより、野菜、ソバ、イモの植え付けや収穫、ソーメン流しや椎茸のこま打ちなど多彩な活動を体験できるようになっている。棚田オーナー制度では現在17家族を受け入れ、リピーターも多い。

会では荒廃地の草刈や川の清掃といった共同作業だけでなく、夏のビアガーデン、囲碁大会、お菓子づくりなど地区住民相互の交流の場も大切にしてきた。休耕田を利用して栽培した餅米をつかった「棚田餅」は、実際にイベント会場において、地区住民が餅をつき、箱詰めして実演販売を行っている。

都市住民との交流を図るとともに、会の重要な活動資金にもなっている。

地域の特徴

会では「棚田おったまくん(仮)」というキャラクターをつくり、ステッカーにして全戸に配布した。多くの住民が、家の戸口や自家用車などに貼っている。自治会単位という地域意識を越えた新たなむらづくり組織の一員としての地域住民の共同体意識の醸成が見取られる。

平成19年に地区内の高台(通称かんぬき山)に交流拠点として駐車場とトイレが完成した。以来、ここは棚田の撮影スポットとして多くの人が訪れている。会では毎年棚田フォトコンテストを開催しているが、最近、中須北地区の様々なところで四季折々に写真を撮りにきている人々をよく見かけるようになった。会の結成前は5集落の田んぼのうち3割が休耕田や荒廃地になっていたが、今では1割程度に減っている。そのような棚田再生の努力が景観の美しさとして実を結んでいるのだろう。

すり鉢状の中須北地区は農道が棚田を取り囲むように伸び、集落の出入り口が分かりにくく、地区外の人が迷うことが多い。このように棚田を訪れる都市部の人々が増えたために、数年前から地区の要所や分岐に案内看板が設置された。また農林事務所と協賛で中須北マップも作成した。主要な施設や社寺などのほか、おすすめ散策ルートなどが示されている。集落の入り口にはひときわ大きな手作り看板が立てられている。会の名称の下には「くらしがいをみつけられる郷」というキャッチフレーズが掲げられている。中須北住民の熱い思いである。

棚田清流の会キャラクター