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平成29年2月定例会 請願 学校法人山口朝鮮学園への補助金支給再開について

ページ番号:0025061 更新日:2017年3月17日更新

件名

学校法人山口朝鮮学園への補助金支給再開について

請願者

宇部市常盤町1-1-9 宇部緑橋教会内
朝鮮学校を支援する山口県ネットワーク 小畑 太作

紹介議員

西嶋 裕作、木佐木 大助、佐々木 明美、井原 寿加子、戸倉 多香子

要旨

 私たちは山口県民として、山口県政が2013年度より学校法人山口朝鮮学園(以下「山口朝鮮学園」)への補助金を停止していることに対して、その差別性と違法性に、また山口朝鮮学園で学ぶ子供たちを初め、関係者に負わせている深い傷に、憂いと憤りを覚えるものである。
 山口県政が、補助金を停止した2013年度は、まさに東京の新大久保や大阪の鶴橋等でヘイトスピーチが横行し始めていたときであり、補助金停止という行為は、こうした差別行為と軌を一にしている、あるいは助長したと言わざるを得ない。事実、2014年、国連人種差別撤廃委員会は「朝鮮学校へ支給される地方政府による補助金の凍結」に対して是正勧告をあらわした(2014年8月29日。国連人種差別撤廃委員会「日本の第7-9回合同報告書に関する総括所見」19-(b))。また2015年以降、各県弁護士会などが次々と、憲法や国際法に対する違法行為であるとの指摘を声明等であらわしている。
 しかし、その一方で山口県議会は、さかのぼると2004年2月定例会において「国連勧告を尊重し、外国人学校・生徒への処遇改善を求める意見書」を、衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、内閣官房長官、総務大臣、法務大臣、外務大臣、文部科学大臣、厚生労働大臣、国土交通大臣に提出している。ここでいう国連勧告の内容について意見書は「差別やいじめなどをなくすための一層の改善措置」と「在日朝鮮、韓国人児童・生徒等に関して『社会的差別と闘い、基本的サービスへのアクセスを確保するため、締約国が、とりわけ教育・意識啓発キャンペーンを通じて、あらゆる必要な積極的措置』をとる」ことであると述べている。その上で、意見書はさらに「他民族のアイデンティティーを尊重し、教育機会の均等を図ることは、国際交流において欠かせない貴重な意義を持つものである」と民族教育の重要性をみずから唱え、国に「国連勧告を尊重し、外国人学校・生徒への処遇を改善されるよう強く要望する」としている。御承知のとおり当時の意見書採択は、「全会一致」という今日よりさらに重要な決断としてあらわされたものである。そして、2009年度より山口県政は補助金支給額を増加してもいる。
 山口県政が山口朝鮮学園への対応において大きく変節したことは明らかである。しかしその変節は、違法と差別にまで踏み込んだ倒錯とでもいうべきものである。
 県庁学事文書課による通知文書「朝鮮学校補助金について」(2013年2月20日付)並びに「私立外国人学校特別補助金について」(2013年2月25日付)によれば、補助金停止の理由を、(1)国が「朝鮮学校は、朝鮮総連と密接な関係があり(中略)国民の理解が得られない」という理由で、いわゆる高校授業料無償化から朝鮮高校を除外したのでこれに重きを置くこと、(2)他県の動向、(3)朝鮮民主主義人民共和国のさまざまな行動、だとしている。しかし、これらはいずれも合理性を欠くどころか、逆にこの判断の違法性をあらわしているものでしかない。
 (1)については、まず前述した国連の勧告や諸声明文が指摘しているとおり、教育への不当な政治権力の介入であることを指摘しなければならない。またそうした国政府の違法かつ差別行為に山口県政も追随したわけだが、これは、地方自治法が定める地方公共団体の権利をみずから放棄する行為であり、それは同時に県民に対する責任の放棄を意味している。「地方公共団体は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うものとする」(第1条の2)。むしろ同法は、地方公共団体に対する国の関与について厳しく制限している(第245条の2及び3)。先ごろあらわされた文部科学相通知「朝鮮学校に係る補助金交付に関する留意点について(通知)」(27文科際第171号、2016年3月29日)に関しても、各方面からの厳しい批判に対して馳浩文部科学相は「補助金減額や自粛、停止を求めるものではない」と説明している。
 (2)についても同様に、地方自治体としての自主性を著しく欠いたものだと言わざるを得ない。
 (3)については、前述の諸方面からあらわされている、その違法性を指摘する諸抗議・声明文書が述べているとおり、憲法を初め国際法や教育基本法に違反するものでしかない。
 すなわち、これらの理由は、いずれもが山口朝鮮学園への補助金を停止する合理的理由とは到底言えるものではなく、その実態は矛盾と詭弁に満ちたものであり差別的かつ違法なものでしかないと言わざるを得ない。しかも、全くそれは山口県政の自主性にかかわる問題なのである。
 以上のことから、下記事項について、実現されるよう請願する。

 山口県政は、その自主性において、「山口朝鮮学園」への補助金停止という差別的かつ違法な行為を速やかに是正し、2017年度より補助金支給を再開すること。

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