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平成21年 (2009年) 6月 5日

社会教育・文化財課

県指定有形文化財 聚分韻略(明応二年大内版)

序の部分

全体

1 種別

有形文化財(典籍)

2 名称

聚分韻略(明応二年大内版)

3 員数

五冊

4 所在地

山口市後河原150の1 山口県立山口図書館

5 所有者の氏名及び住所

山口県(山口市滝町1−1)

6 品質・形状・寸法

袋綴本、本文90丁、前表紙1葉、26.8㎝×19.5㎝

匡郭18.8㎝×14.0㎝、単辺、有罫9行、楮紙、柱刻は魚尾と丁数のみ。

なお、第一冊から第四冊まで朱筆による書き入れ、全冊にわたり墨筆による音訓仮名などの書き入れがある。

7 製作の時代又は年代

明応2年(1493年)周陽真楽軒刊

8 伝来

県立山口図書館が昭和27年(1952年)に広島の古書店から購入したもの。「伝雪(花押)」との書き入れ、「富田寺」の蔵書印があるが、伝来は不明。

9 概要

『聚分韻略』は鎌倉末期の禅僧である虎関師錬(1278-1346)の撰による作詩用の韻書で、漢字を平・上・去・入の四声113韻に分類した後、乾坤・時候・気形など12門に意義分類したものである。15世紀後半に、平・上・去の各声同韻字を3段に重ね、入声は別に末尾に付した形式である「三重韻」本が主流となり、江戸時代末期に至るまで、数十種の版本が存在する。

本件は、巻末の跋文に「明応癸丑周陽真楽軒新鏤板」と記されており、明応2年(1493年)に周防国内で開板されたことが明らかで、三重韻の形式としては、文明13年(1481年)の薩摩版(三重韻)に次いで古い。

なお、大内義隆の開板である『大内版三重韻』(天文8年(1539年)版、岩国徴古館蔵、県指定有形文化財、昭和51年11月24日指定)は、その刊記より、義隆が旧板に工夫を加え袖珍本に改板したものであることが分かるが、この旧板こそが本件であると考えられる。

大内氏領国内では、応仁の乱以後、京都から公卿・禅僧・学者等が大内氏を頼って来住し、いわゆる大内文化が開花したことが良く知られており、この『聚分韻略』も含めた大内氏の開板事業は、「大内版」と総称されるほどである。

本件は、わが国出版文化史上、特筆に値する大内氏の開板事業の数少ない具体例の一つであるとともに、大内文化の遺産としても重要なものである。

10 その他参考となる事項

明応二年大内版『聚分韻略』は、県立山口図書館の他、国立公文書館内閣文庫、国立国会図書館東洋文庫などに数本伝来しているが、県内では唯一の伝来である。

また、山口県指定文化財の天文8年版『大内版三重韻』の他にも、『香積寺三重韻』が存在したことが、『毛吹草』(松江重頼著、正保2年)、『大和事始』(貝原好古著、元禄10年)に見えるが、現存しない。

なお、大内版関係の文化財としては重要文化財「大内版法華経板木」59枚(山口県文書館蔵)がある。