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山口ブランドストーリー「維新から明治へ〜近代化の礎を築いた長州人脈〜」公開! 明治時代、長州で学んだ者たちが、政治だけでなく文化・教育・産業などの面でも日本に維新をもたらしたストーリーを紹介しましょう。   

山口ブランドストーリー

5.「草莽崛起」の志は晋作・久坂らを通じて龍馬へ

高杉晋作像

高杉晋作像

  

松陰の草莽崛起の志を受け継ぎ、時代に立ち向かっていったのが、藩士出身の高杉晋作(たかすぎ しんさく)や、藩医の家に生まれた久坂玄瑞ら門下生たちでした。


その久坂を1862(文久2)年1月、土佐藩の坂本龍馬(さかもとりょうま)武市半平太(たけち はんぺいた)の手紙を携えて萩に訪ねています。龍馬は「草莽志士糾合義挙」「尊藩(土佐藩)も幣藩(萩藩)も滅亡しても大義なれば苦しからず」と書かれた武市宛ての久坂の手紙を預かって帰郷。久坂に刺激されたのか、2カ月後、龍馬は土佐藩を脱藩します。


久坂玄瑞像

久坂玄瑞像

  

1863(文久3)年5月、萩藩は外国船を攻撃する攘夷戦を実行します。しかし、翌月、アメリカやフランスの軍艦からの報復攻撃に合い、萩藩の軍は壊滅状態に。窮した萩藩によって起用された晋作は、日本初、志があれば身分を問わず誰でも参加できる「奇兵隊」を創設します。
後に藩内各地で続々と同様の「諸隊」が誕生し、洋式の軍備が急務だと実感した萩藩によって軍制改革が進む中、諸隊は萩藩だけでなく支藩を含む長州全体の軍事力の柱となっていきます(幕末維新期全体では、その数延べ400以上に)。
ところが、それまで尊王攘夷派の旗頭だった萩藩は攘夷戦の3カ月後、「8月18日の政変(七卿落ち)」で7人の公卿とともに突然、京都を追放されます。萩藩の進発論賛成派は翌1864(元治元)年7月、再起を図って上京し、薩摩藩や会津藩と京都御所で戦いますが、敗退。その「禁門の変」で久坂は無念の自刃。満24歳の若さでした。


当時は、情報が瞬時に届かない時代。禁門の変の直前、藩主の直書を持って進発論派に上京中止の説得に当たっていた晋作は、藩に無断で上京した罪で、萩の野山獄に入れられます。そのため禁門の変のとき、獄中にいた晋作は、くしくも、久坂を毎夜夢に見るが、京都で戦って死んだのでは…と心配する手紙を松陰の兄に送っています。
その後、許されて獄を出た晋作は、藩論が幕府への恭順派に握られると1864(元治元)年12月、下関で挙兵し、諸隊も決起して藩政府軍を打ち破り、藩論を討幕へと統一。さらに晋作は1866(慶応2)年、長州と幕府側による「幕長戦争(四境戦争、第二次長州征討)」で長州を勝利へ導きます。しかし、翌年、志半ばの満29歳で病没。「面白きこともなき世におもしろく―」という晩年に遺した未完成の句は多くのことを語りかけてきます。


長防臣民合議書

長防臣民合議書

松陰の草莽崛起は、幕長戦争直前の1865(慶応元)年11月、幕府との折衝で広島に赴いていた宍戸備後助(ししど びんごのすけ)(山県半蔵。後の宍戸たまき)が作った「長防臣民合議書」にも息づいているといえるかもしれません。長防臣民合議書は、長門・周防両国を挙げて決戦する覚悟を幕府などへ示すとともに、藩内の士民の士気高揚を図ったもの。「活刷製本三十六万部」と記されており、庶民にも配ったこと、また、幕末の長州の寺小屋の数は全国2位。当時の教育レベルの高さも示すものといえます。


桂小五郎像

桂小五郎像

また、久坂から「草莽志士糾合義挙」という言葉を渡された龍馬は藩の枠を超え、薩摩藩の西郷隆盛らと萩藩の桂小五郎(かつら こごろう)らを結ぶ薩長の仲人役として奮闘し、幕長戦争を控えた1866(慶応2)年1月、薩長盟約を実現させます。
翌年10月には、幕府が大政奉還を行うに至り、12月、新政府が樹立されます。天皇のもと、皇族・公卿・有力藩による三職が置かれ、その中でも参与には、薩摩藩から西郷と大久保利通、土佐藩から後藤象二郎と福岡孝弟ら、萩藩からは木戸と広沢真臣という有力藩の家臣が任ぜられ、新たな時代が幕を開けたのでした。


揺れ動いた時局や、周囲の反対に合って苦境に陥りながらも、挑戦や行動を貫いてきた先人たち。その改革のエネルギーは人から人へ受け継がれ、新しい時代の扉を開けてきました。山口県はそのバトンを受け継ぎ、未来へ挑む志を育み続ける維新胎動の地なのです。



【主な参考文献】

  • 小川國治『毛利重就』2003
  • 『山口県風土記』1990
  • 海原徹『月性−人間到る処青山有り−』2005
  • 松陰神社『松陰神社所蔵宝物図録』2009
  • 小川國治編『山口県の歴史』1998
  • 萩博物館編『松下村塾開塾150年記念吉田松陰と塾生たち』2008
  • 山口県文書館『山口県文書館蔵幕末維新アーカイブズガイド 幕末維新編』2010 
  • 山口県『長州藩幕末維新の群像』1991
  • 磯部榛「長防臣民合議書」『郷土研究1』1938 など

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