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山口ブランドストーリー「維新から明治へ〜近代化の礎を築いた長州人脈〜」公開! 明治時代、長州で学んだ者たちが、政治だけでなく文化・教育・産業などの面でも日本に維新をもたらしたストーリーを紹介しましょう。   

匠の技 伝統的工芸品

およそ600年前に栄華を誇った大内文化の華やかさを今に伝える漆器(しっき)で、大内菱(おおうちびし)などを用いた優雅な絵模様(えもよう)が特徴です。当時は、山口は日本の文化の中心といえるほどの繁栄ぶりで、大内塗の漆器や蒔絵(まきえ)が、明(中国)や朝鮮との重要な交易品となっていました。大内塗の代表的なものとして、器、盆などがありますが、とくに大内雛(おおうちびな)(大内人形)は、木地師ー下地師ー磨き師ーそれから塗師により漆がかけられ、絵師により顔や着物が描かれるといったように、完成まで多くの人手を必要とします。  漆の特徴として色あせないのが美しさの秘密で、土産品としても人気があります。

大内塗イメージ
作家写真

大内塗漆器
振興協同組合
冨田潤二さん
(とみた じゅんじ)

■大内塗は、どんな点に特徴があるのですか?

冨田さん/漆器と言えば黒い色が多い中、大内塗は地塗りの色が赤でも茶でもない「大内朱(古代朱)」を用いることが特徴です。そして、大内氏の家紋「大内菱」を図案化したものを金箔で貼り付け、ハギ、ススキ、菊などの秋草文様を色漆で描く伝統的な絵柄も特徴です。また、漆塗りの産地は全国各地にありますが、漆塗りの人形があることは珍しいようです。

■大内塗はどうやって作られるのですか?

冨田さん/数年かけて乾燥させた木材を木地師(きじし)が形に加工。そして、漆を塗る職人を塗師(ぬし)といい、その塗師が下地付けを数回繰り返し、乾燥させてからヘラ目・刷毛目を研ぎ、次に下塗り漆を塗り、乾燥、研ぎを行い、さらに中塗漆を塗り、乾燥、研ぎを行い、品物によっては中塗・研ぎを数十回繰り返します。そして最後に刷毛目がつかないよう上塗り漆を塗り、乾燥後、漆絵や蒔絵などの加飾を行って仕上げます。何度も塗装を繰り返すのは、薄く何層にも重ねた方が、色がはげにくく、品物も丈夫になるためです。また、上塗りの時は、狭い部屋を閉め切り、空気が動いて、ちりなどが飛ばないよう、細心の注意を払って行います。


■大内塗はいつから始まったものなのですか?

冨田さん/約600年前の大内弘世のころ、都にあこがれていた大内氏が京都から漆塗りの職人を山口に呼び寄せて漆器を盛んに作らせるようになり、産地として形成されていったのが始まりのようです。漆器は朝鮮や中国への重要な貿易品となっていったので、庶民の日用雑器だけでなく、高品質で華やかなものも作られるようになったのでしょう。室町時代の大内椀は今も残っており(県指定有形文化財 重要美術品、毛利博物館蔵)、殿様用だったのか非常に丁寧に作られ、今見てもモダンで、しかもおおらかなんですよ。ただし、当時、大内塗という名称はなく、その名称は明治時代から言われるようになったものです。


■明治時代から大内塗と呼ばれるようになった理由は?

冨田さん/大内氏の時代が終わり、江戸時代、毛利氏は萩に城を築きます。江戸時代、山口には「椀屋三拾軒」があったことが記録(『風土注進案』)に残っており、日用品としては作られ続けていたようです。そして明治時代になり、天皇の山口県巡幸に際し、何か貴重なものをご覧いただこうということになり、近藤清石(こんどう きよし。郷土史家)氏が毛利家の所蔵品から大内椀を発見。それを機に大内時代の漆器復興が始まり、大内塗と呼ばれるようになったのです。


■大内塗というと、丸みを帯びた愛らしい「大内人形」が有名ですね?

冨田さん/大内人形は、弘世が京都から迎えた姫を慰めるため、人形をたくさん作らせたという伝承にちなみ、大正時代、山口県工業試験場によって原形が作られたのが始まりです。大内人形を作る時は顔を最後に描くのですが、ちょっとした筆運びで表情が変わってしまいます。一生の顔を決めるのですから責任を感じ、さっと一回で、きれいな顔ができると、ほっとします。顔は作者によって異なりますし、自分が昔作った人形に会うと懐かしいもの。お客様には「可愛がってやってくださいね」とお渡ししているんです。汚れたら柔らかい布で吹いてくださいね。


■一般の漆器のお手入れで気をつけてほしいことは?

冨田さん/傷が付きやすい食器洗浄機のほか、乾燥機や電子レンジの使用も避けてください。漆は熱に強いのですが、急に温まると木地が膨張しヒビが入ります。また、いつも湿気があるとカビが中に浸透してしまいます。柔らかいスポンジで洗い、柔らかい布巾でしっかり拭き、乾いてから、高温多湿にならない場所に片付けてください。使っても使わなくとも傷む早さは同じです。どうぞ日常の中で日々使いながら大切にしてください。

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