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明推協委員のエッセイ

◆一つの思い出

山口県明るい選挙推進協議会理事 林 タカ枝

 長い間組織の中で活動を続けている私にはその内容が多方面にわたっているが、この明るい選挙推進運動に関わることもその中の一つである。

 選挙について思い出すのは、明治3年生まれの祖父のことである。

私の父は婿養子であった。祖父は長い間「戸主」の地位を父に譲ろうとはしなかった。私が小学校に入学する年になって、「戸主」が祖父でその孫と書いた調書を学校に提出するのは、何とも父に気の毒だと親戚の人たちの説得でやっとその座を譲ったような人であった。

 その祖父が選挙権を持っていた。それを非常に誇り高く思い、行使することを義務とも思い責任でもある思っていたらしく棄権することはなかった。今程選挙があったとも記憶の中にはないが、投票は一番に、とのこだわりを持っていた。袴をつけ、ステッキを持って早暁に出かけていた。「一番乗りだった。」と意気揚々と帰って来た。その顔は満足気であった。家族も何だかほっとした安堵感があったことを覚えている。

 その頃は家の中で選挙のことなど話題にはならなかった。今思うと村長さんか、村会議員さんの選挙もあったのだろう。誰れに頼まれるでもなく、人に相談するでもなく自主的な投票であったが、結果として適任者が選ばれたのであろう穏やかな風土の中で幸せな日暮らしであった。

 その祖父が87才でこの世を去り50年が経った。考えてみると有権者であることの自覚と責任を果たしたその姿勢は身内ながら尊敬の念すら湧いてくる。

 遠い明治の男が選挙に込めた情念、真面目に行使し満足感に浸ったであろうその日。今組織の中で声を大にして「明るい選挙」と呼びかけの活動をする今昔を対比して考えこんでしまうのである。

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