[巻頭特集]交流のすすめ 城下町・萩。新しい「おたから」のまちづくり
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[巻頭特集]交流のすすめ 城下町・萩。新しい「おたから」のまちづくり

毛利氏36万石の城下町・萩では今、市民と行政が協働して
「おたから」のまちづくりを進めています。
そのおたからとはー。
地域の人々と触れ合いながら、
萩で少年期を過ごした俳優・岡本信人さんが歩きました。

岡本信人(おかもと のぶと)

1948(昭和23)年山口県岩国市生まれ。8歳から11歳まで萩市で過ごし、神奈川県を経て東京都へ。劇団ひまわりに入団後、NHK「少年福澤諭吉」でデビュー。東海大学二部工学部建築学科卒業。
代表作にTBS「肝っ玉かあさん」「ありがとう」「渡る世間は鬼ばかり」など。野草の愛好家でもあり、著書に「道草を喰う」(法研)がある。

 松本川と橋本川の三角州に築かれた城下町・萩。岡本信人さんの萩探訪は、江戸時代から続く渡し舟「鶴江(つるえ)の渡し」から始まりました。傍らには萩博物館の学芸員・清水満幸(しみず みつゆき)さん。船頭さんの櫓(ろ)に操られ、舟は松本川の右岸から左岸へ。右手前方には日本海が広がっています。
「懐かしいなあ。この渡しに乗って浜崎や城跡のある指月山(しづきやま)へよく遊びに行ったんですよ。友達と競ってシイの実を採ったり、フナを釣ったり…。僕が萩にいたのは8歳から11歳まで。でも、自然の中でたっぷりと遊んだ萩がふるさとという思いが強くて…」

 その言葉に、清水さんがうれしそうに口を開きます。
「ということは、今から向かう浜崎のこと、よくご存じかもしれませんね。浜崎は江戸時代の初めごろに開発された港町なんですよ」

 舟着き場で迎えてくれたのは「浜崎しっちょる会※注1」副会長の梶原衛(かじはら まもる)さんと萩市まちなみ対策課長の弘健助(ひろ けんすけ)さん。早速、町並みへと案内すると、1軒の家の前で足を止めました。

※注1 「しっちょる」とは山口県の方言で「知っている」の意味。

「ここは江戸時代、海産物問屋を営んでいたお宅です。1階の道に面した部分には、3枚の板戸からなる蔀戸(しとみど)が今も使われているんですよ。昔は蔀戸をすべて開け、間柱(まばしら)も外して、品物がよく見えるようにして商売されていたようです」

 弘さんの説明を聞きながら、ふと隣棟に目をやった岡本さん。
「この棟の座敷はしゃれたデザインの肘木(ひじき)※注2で下から支えられているんですね。きっと財力のある家だったんでしょうね」

※注2 上からの荷重を支える横木。

 その言葉に清水さんが応えます。
「はい。浜崎には、西廻り航路の発達とともに廻船業※注3を営んで財を蓄えていった家が多く、藩の経済を支えた町だったんです。今も江戸時代から昭和初期までの町家(まちや)など伝統的な建造物が約130棟も残り、一帯は国の重要伝統的建造物群保存地区(重伝建地区※注4)に選定されています。それに藩主の御座船(ござぶね)の格納庫で、屋根をふいた旧藩時代の御船倉(おふなぐら)としては全国に唯一現存する『旧萩藩御船倉』も浜崎にあるんですよ」

※注3 廻船は江戸中期に興った旅客や貨物を輸送する船。西回り廻船は東北・北陸から下関を通って大阪に至った。
※注4 重伝建地区とは、市町村が歴史的な集落・町並みの保存を図る地区の中から、特に価値が高いとして国が選定した地区。萩市には3地区あり、京都市に次ぐ全国2位の数。

 よく遊んだ町なのに全く知らなかった、と目を丸くする岡本さんに梶原さんがうなずきます。
「そうでしょう。第一、ここに住む私たち自身、御船倉があることや町並みの貴重さにも、以前は気付いていなかったんですから」

鶴江の渡しの写真
江戸時代から続く渡し船「鶴江の渡し」。現在は萩市が運行しています。
肘木の写真
肘木の先には雲形の彫刻が施されています。

蔀度の写真
3枚の板戸からなる蔀度。蔀度は今でいう商店のシャッターのようなもの。

発行:山口県広報広聴課

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