[巻頭特集]交流のすすめ 自然・歴史・文化の感動体験 秋吉台地域エコツアー
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[巻頭特集]交流のすすめ 自然・歴史・文化の感動体験 秋吉台地域エコツアー

今年4月1日、国の「エコツーリズム推進法」が施行されました。
そうした中、美祢市では、県・市・住民の協働による、
秋吉台の自然や歴史・文化に触れる旅「秋吉台地域エコツアー」がすでに始まっています。
どんなエコツアーが行われているのか、山口県出身のスポーツキャスター、宮本和知さんが体験しました。

宮本和知(みやもと かずとも)

1964(昭和39)年山口県下関市生まれ。県立下関工業高校卒業後、川崎製鉄株式会社水島製鉄所(現・JFEスチール株式会社西日本製鉄所)に入社し、社会人野球で投手として活躍。1984(昭和59)年ロサンゼルスオリンピック日本代表チームの一員に選ばれ、チームの金メダル獲得に貢献。1985(昭和60)年読売巨人軍に入団。通算成績66勝62敗4セーブ防御率3.60という記録を残し、1997(平成9)年引退。現在、スポーツキャスターやスポーツメンタルトレーナーとして活躍中。

 秋吉台国定公園の北西に位置し、田園風景が広がる青景(あおかげ)地区。急な山道を上り切ると、「中尾洞(なかおどう)」と刻まれた石碑の向こうに、闇の世界へといざなう洞窟(どうくつ)の入り口が現れました。

 ライト付きのヘルメットに軍手や長靴など、にわか探検隊のいでたちに身を整えた宮本和知さんを隊長に、洞窟探検は初めての隊員七人、「秋吉台地域エコツーリズム協会」会員でインタープリター※注1の「秋吉台科学博物館」学芸員・藤川将之(ふじかわ まさゆき)さんと石田麻里(いしだ まり)さんを加えた計10人が、この日の一行です。未知の洞窟を前に好奇心と不安がよぎる参加者に、藤川さんが呼び掛けます。

※注1 自然観察などを通して、自然の大切さなどを伝える人のこと。

「洞窟の中には、光を嫌うコウモリなどの生物が生息しています。中に入ったら、そうした生物に光を当てたり、騒いだりすることは避けてください。また、洞窟は壊したり汚したりしないようにお願いします」
その注意が終わるや否や、
「さあ、みんな、行くぞ!」
と、気勢を上げたのは宮本さん。案内する石田さんを促すように勢いよく洞窟へ入っていきました。

 中尾洞は1921(大正10)年に発見され、翌々年、国の天然記念物に指定された鍾乳洞です。同じく秋吉台にある「秋芳洞(あきよしどう)」や「大正洞(たいしょうどう)」「景清洞(かげきよどう)」※注2は観光客に公開されていますが、中尾洞は案内人がいないと危険なため、基本的には非公開とされ、発見当時に近い状態で保存された貴重な洞窟となっています。

※注2 日本最大級の鍾乳洞「秋芳洞」は特別天然記念物。「大正洞」「景清洞」は天然記念物に指定されています。

 構造から中尾洞は入口の洞・中の洞・奥の洞に大別できます。入り口を入っただけで外光は届かず、中はひんやり。道などなく、落石がゴロゴロある中、ヘルメットのライトだけを頼りに下ろうとした矢先、宮本さんから声が飛んできました。
「入ってすぐの天井で今、コウモリが子育てしているんだって。だから、絶対ライトを当てないように!」

 中の洞辺りまで下ると、足元はドロドロの粘土状に。さらに進むと、断崖を登るはしごに行き当たりました。そこへ闇の向こうから石田さんと宮本さんの声。
「はしごは一人ずつ!」
「頑張って!」
その声に励まされ、一人ひとり慎重に登り切り、人一人がやっと入れる穴をくぐり抜けると、そこには鍾乳石や石筍(せきじゅん)※注3など見事な洞窟生成物で天井や壁面などが豊かに飾られた奥の洞が広がっていました。

※注3 鍾乳石は、天井からの水滴に含まれる石灰分が少しずつ天井に残って形成されたもの。石筍は、床に落ちた水滴によって筍状に形成されたもの。

 洞窟生成物の形状はさまざまで、いずれも表面はしっとりと潤い、鍾乳石の先には純白色に輝く滴が今にも落ちんばかりです。ここはまるで華麗な彫刻で装飾された地下宮殿のよう…と全員で見とれていると、
「しまった!足が粘土にはまって動けない!」
と参加者の一人。そのあわてぶりに皆、笑い出し、いつのまにか、にわか探検隊に連帯感が芽生えていたのでした。

「中尾洞」の入り口の写真
国の天然記念物「中尾洞」の入り口にて。入洞には、市教育委員会の許可が必要です。
コウモリの写真
(秋吉台エコ・ミュージアム提供)
鍾乳石の写真 鍾乳石の写真
中尾洞内部の写真
天井から流れ出た水の石灰分が壁に残って形成された「石灰華」などに覆われた中尾洞。(秋吉台科学博物館提供)
 

発行:山口県広報広聴課

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