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学生耕作隊とシニア耕作隊が耕す 大地の夢は、地域全体の活性化!特集2 喝采 ・熱血チャレンジャー NPO法人 学生耕作隊 理事長 近藤  紀子(こんどう のりこ)

 担い手不足が進む農村へ農業に関心のある学生を派遣して、農業や地域の活性化につなげたい。そんな思いで山口大学の学生たちから生まれたNPO法人「学生耕作隊」が発足して、今年で4年目を迎えます。学生による農作業支援を主目的としたNPO法人の設立は全国初で、県内外から注目を集め、その後さらに学生以外にも層を広げて「シニア耕作隊」も募集し、支援先の農家から好評を得ています。耕作隊が目指すものは何か、理事長の近藤紀子さんに伺いました。


イラスト
イラスト/ 吉瀬 美津江
■近藤 紀子
1980年宇部市生まれ。山口大学農学部生物資源科学科在学中、ベンチャービジネス論の受講を機に、大学3年生だった平成14年1月に学生耕作隊を立ち上げ、同年9月にNPO法人化し、理事長に就任。平成14年4月、同大学3年から同大学大学院農学研究科へ入学。平成16年3月、同大学院修士課程を修了。


どういう理由から、学生耕作隊を立ち上げたのですか?

近藤 環境問題に関心があって大学の農学部に入学したのですが、日本の農業の現状を学ぶ中で、農村の活性化のために今すぐ何かを始めないと、10年後、20年後の日本は大変なことになってしまう…と思うようになったんです。担い手不足といわれていますが、若者の中には農業に関心のある人はたくさんいます。実際、平成13年秋に、山口大学の学生約2千人にアンケートをとったところ、「生産現場に行って活動してみたい」と答えた人は67%に達し、想像以上に若者は農に関心を持っていることが分かったのです。でも、若者の力が農村で活用される機会はほとんどない。そこでベンチャービジネス論の受講を機に、若者と人材不足の農村との橋渡し役になろうと、山口大学の学生ら30人が集まって、まず有償ボランティアの援農サークルを設立。その後、活動を継続できるよう経済基盤のある事業として成立させよう、責任をもって農家を応援する組織にしようと、平成14年に農作業支援などを目的とするNPO法人学生耕作隊を立ち上げたんです。

農作業支援は、どういうふうに行われているのですか?

近藤 農家会員の方から農作業支援の依頼を事務局が受けて、学生・シニア会員に連絡。派遣されて農作業を行った会員には、農家から現金か現物で報酬が支払われます。また、その際農家は事務局に農作業をした会員1人につき1時間当たり200円の利用料を支払い、事務局はその半分を「耕作シティ」という地域通貨で、農作業をした会員に渡しています。

県特産「秋芳梨」の産地・秋芳町で評判を聞きました。頼りにされているようですね。

近藤 最初は「素人の学生には、できりゃせん」と思われていたようですが…(笑)。農作業支援で大事なのは、農家の方から言われた通りの方法で作業すること。それにきちんと応えていったことで信頼されるようになり、今ではそこからの依頼が一番多いんですよ。選果作業には耕作隊が25人くらい出ていて、「来年は30人くらい頼むよ」って言われています。頼りにされるのは、本当にうれしいですね。これまで秋芳町では生産者のつてを通じて人を集めておられたのですが、生産者が高齢化するにつれて知り合いの方も高齢化して、人手が集まらなくなっているんです。どこの農村も今、過疎化と高齢化が進み、女性が外に働きに出ることも多いため、農繁期は地域外から補助労働力を確保しないといけない状況になっているんです。

一昨年12月から「シニア耕作隊」の募集も始められましたね。

近藤 募集を始めた理由の1つは、学生は授業や試験があるため、農家の方から依頼があっても平日は対応できないことがあり、そこで平日でも対応できるよう、学生以外の方も募集しようと考えたからです。それともう1つ、コミュニティビジネス(※注1)をさらに発展させるため、学生層だけでなくシニア層にも拡大したいと考え、経済産業省の市民活動活性化モデル事業に応募したことがきっかけです。その応募は全国から300件以上あったそうですが、採択されたのは16事業のみ。その1つに私たちの事業が選ばれて予算を付けていただき、シニア耕作隊を始めることができたんです。シニア耕作隊の登録者は現在、20代から70代まで主婦・OL・定年退職後の方など約50人。定期的な参加が多く、農家の方から好評をいただいています。

※注1 コミュニティビジネス
市民が主体となって、地域の課題を解決する事業のこと。

農作業支援のほかに、どんなことをしていますか?

近藤 農地保全事業、お茶やお米の販売、研修生の受け入れ、就農相談なども行っています。農地保全事業とは耕作放棄地を活用して農産物を生産することで農地を保存しようという事業で、今、宇部市小野茶園の一部の管理を受託しています。小野茶園は71ヘクタールに及ぶ県内最大のお茶の産地ですが、そこでも高齢化で耕作放棄地が増えているんです。耕作隊ではそのうち67アールを試験的に管理しています。
 また、小野茶業組合から受託して昨年、茶園に新茶を見にくる人たちをターゲットに20日間、荒茶加工場の前で直売所を開きました。最近はお茶離れの傾向があり、茶園以外の場のイベントでお茶を販売してもあまり売れないそうなんです。茶園での「お茶まつり」での売り上げは良いのですが、まつりは1日だけ。そこで実験的に直売所を開いてみたというわけです。そのときはやはり産地での販売が良かったのか、かなりの売り上げがあったんですよ。

活動をする中で、これまで壁にぶつかったことはありますか?

近藤 1年目の冬、中心のメンバーがどんどん辞めていく時期があったんです。それは自分のリーダーシップのなさというか、責任を感じて、すごく落ち込んで、何をする気にもなれなくなったんです。そんなときイチゴ農家の方から「ちょっと手伝いに来て」って依頼が入って。その方はいつも本当にピンチにならないと、電話されない方なんです。私が作業に行ったら、「ああ、助かったよ!」って言ってくださって。その言葉を聞いて、こういう仕組みを必要としてくださる人がいるのに、私は今まで何を落ち込んでいたんだろう…。そう気付いて、気持ちを立て直すことができたんです。

イチゴ栽培農家のご夫妻と一緒に

大阪府から山口県へIターンして新規就農したイチゴ栽培農家のご夫妻と一緒に。この農家は昨年、台風で苗が全滅。「台風の後、学生耕作隊が苗を一生懸命手配してくださいました。地域の皆さんも被害の後片付けに駆け付けて支えてくださったんですよ」とご夫妻。

活動を始めて三年。何か変わってきましたか?

近藤 最初は漠然と農業を活性化したいという気持ちだったのですが、活動を通じて地域をデザインするというか、地域を活性化していくんだという意識に変わってきました。学生起業家や社会人の起業家など仲間もたくさんいるので、そのネットワークを生かして地域活性化のための活動を広げていこうと思っています。そのためには、まず地域のリーダーとなる人の発掘と育成。そして地域の問題を解決するプランを立て、実践していくこと。そこで実践へ向けてチャレンジする人を資金的にバックアップする基金「地域維新ファンド」を他の起業家の仲間と作り、今はそれに応募されてきたどの事業を支援するか、審査を進めているところです。

現在の課題は?

近藤 今一番の課題は、事務局の人材です。耕作隊の活動を理解し、リーダーとなってプランを作り、耕作隊を動かしていけるスタッフを育てたいと思っています。私自身、経営者として未熟ですし、私自身を成長させながら、人材も育てていくことが大きな課題です。
 また、小野茶園での農地保全事業は、実はまだ完璧にできていません。それができるようになれば、この仕組みを通じてもっと多くの農地を保全していきたいと思っています。
 小野茶園は、いろいろな意味でとても可能性のある、魅力のあるところ、地域全体の財産だと私は思っているんです。「お茶まつり」というイベントの日だけでなく、お茶以外のものも組み合わせれば観光産業に結びつけられる、地域の活性化にもきっとつながる。そのためにもまず、地域のリーダーの育成と、地元の皆さんのやる気が何より必要です。

学生耕作隊の作業風景
農作業支援の有償ボランティアを行う学生会員は現在約100人。シニア会員は約50人。農作業支援などを依頼する農家会員は約30戸。そのほか賛助会員が約50人。これまで延べ約3,000人の農作業支援者を派遣している(平成16年12月24日現在)。

県外からも問い合わせがあるそうですね。

近藤 はい。マスコミで紹介され、県外からもかなり依頼がありましたが、交通費などの問題で対応できずにいます。でも、視察に来られる方も多く、最近は県外でJAさんや行政が同様の仕組みを発足させ始めていて、うれしいですね。

今後に向けて一言。

近藤 担い手を掘り起こし、自立を支援する活動もしていきたいですね。実際山口大学工学部の大学院生が耕作隊の活動を通じて、自分は農業に向いているのではと思うようになり、農業生産法人への就職が内定したんです。彼は災害時のリスク設計などを研究していて、研究室の先生も農業なら学んだことが生かせると言ってくださったそうで、私もうれしく思っています。
 耕作隊の会員は年齢を問わず、常に募集中です。関心のある方、お待ちしてます!

吉瀬 美津江さん
イラスト/吉瀬 美津江(よしせ みつえ)
印刷会社勤務を経てフリーに。防府市広報をはじめ教科書副読本、各種チラシ、マナー本などのイラスト制作に携わる。ほかに「海商のまち 室積ぶらりまち歩きMAP」などのイラストマップ制作を手がける。山口県広報誌『ふれあい山口』の「元気キッズレポート」コーナーのイラストを2004年11月より担当。防府市在住。

参照サイト

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