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平成20年 (2008年) 12月 19日

政策企画課

山口大学講義「山口県の地域政策」 知事講義録

日時 平成20年11月26日(水曜日)

10時20分~11時50分

場所 山口大学吉田キャンパス



講義録目次


■ はじめに

 1.自己紹介

 2.山口県と山口大学との関わり

■ 山口県の概要と特徴

 1.山口県の特徴

 2.進む人口減少

■ 県政に取り組む基本姿勢

 1.正直であること

 2.県民の安心・安全を守ること

 3.県民力・地域力を高めること

 4.市や町を重視すること

■ 「住み良さ日本一の元気県づくり」の加速化

 1.「やまぐち住み良さ指標」

 2.「住み良さ日本一元気県づくり加速化プラン」

■ おわりに

 1.魅力ある観光地

 2.山口大学に寄せる期待



はじめに


1.自己紹介


 皆さん、こんにちは。

 ただ今、ご紹介いただきました、山口県知事の二井関成と申します。

 私は、1996年(平成8年)8月の知事選挙で初当選しました。当時、名字が「二井」では選挙向きではない、という話もあったようですが、今年8月の選挙で、4選を果たすことができました。知事の任期は1期4年ですから、今年で13年目を迎えたことになります。

 また、名字が珍しく、なかなか覚えていただけないものですから、若い時から、「二井」は数字で言えば「21」ですと言ってきました。その私が、現在、「21世紀の山口県づくり」を進めているわけですから、数字の「21」には、運命的なものを感じています。

 なお、画面は、1999年(平成11年)5月、後ほど述べます「山口きらら博」のPRのため、甲子園球場で、阪神・巨人戦の始球式を行った時の写真ですが、ユニフォームの背番号も「21」にしています。

 また、自家用車のナンバーも「21」、ゴルフのハンデも「21」、すべて「21」にこだわって頑張っています。


2.山口県と山口大学との関わり


 さて、今日、全国的にも大学の地域貢献ということが注目を浴びており、ここ山口大学においても、平成15年に「エクステンションセンター」が設置されるなど、大学の人材、知的資源を有効に活用し、地域に開かれた大学として、その存在感や信頼感を高めるための活動に積極的に取り組んでおられます。

 平成17年には、琉球大学とともに、国立大学初の観光関連学科として、経済学部に「観光政策学科」を設置され、観光県山口を支える人材の育成を進めておられます。

 また、県行政との関連では、学科新設に当たっては、県としても国に対する要望活動を行うなどのお手伝いをさせていただきましたし、かねてから、科学技術研究の分野などでの県との共同研究をはじめ、若年層の地元定着や優秀な人材の確保に向けた県と大学との連携による「ベンチャースクール」の開講など、全国に先駆けた取組も行ってきました。

 さらに、県と山口大学は毎年、「山口大学と山口県との連携推進協議会」を開催しており、産業振興、地域医療、観光・国際連携など、様々な分野で、関係学部等と密接に連携しながら研究や事業を進めています。

 文部科学省が日本経済研究所に委託して行った調査によると、平成17年度、山口大学が県経済に与えた経済効果(生産誘発額)は667億円とされ、大学の存在が地域経済・雇用に与える影響は非常に大きいものがあります。

 私としては、こうした地域との積極的な関わりの中で、山口大学が、県全体の活性化に引き続き、そして、より一層寄与していただくことを期待しています。



山口県の概要と特徴


 このように、当大学と山口県とは特に縁深い関係にありますが、県外出身の方もいらっしゃると思いますので、まず、山口県とはどういう県なのか、どんな特徴があるのかということについてお話いたします。


1.山口県の特徴


 画面にはサザエの写真が出ています。

 皆さんは、外洋に面した荒海に生育するサザエとおだやかな内海に生育するサザエは形が異なっているということをご存知でしょうか。波の荒い外洋の岩礁に住んでいるサザエは、波にさらわれて転がらないように、殻の角が長く出ています。逆に、養殖や波の静かなところで育ったものは角がありません。山口県では、日本海で採れる角のあるサザエと瀬戸内海で採れる角のないサザエと、2種類のサザエが水揚げされています。

 このように、サザエひとつをとっても違いがあるように、山口県は、三方が海に開かれ、自然環境に恵まれた多様性に富んだ県です。

 私は、山口県を紹介するとき、「山口県は、水産県、観光県、教育県、工業県、さらには環境県でもあり、多彩でバランスのとれた住み良い県です。」と話しています。

 歴史の転換点の舞台としても有名であり、武家社会への転機となった「源平の合戦」や近代社会の幕開けとなった「明治維新」の胎動の地として、歴史、文化の遺産が数多く残っています。

 そして、人材輩出県でもあります。山口県は、維新の志士として吉田松陰、高杉晋作などが有名で、総理大臣も全国で最も多い8人を出しています。

 したがって、政治関係の人材が多い印象がありますが、近代文学を代表する叙情詩人・中原中也のほか、童謡詩人金子みすゞ、放浪の俳人・種田山頭火、「おはん」を書いた宇野千代などの個性豊かな文学者も多く出ています。

 また、山口県の特長でもあり、大きな悩みでもありますのが、山口県には、多くの県に見られるような、人口30万人以上の県全体をリードする中核都市がないということです。

 山口県の都市の配置を見ますと、瀬戸内海側には、西から、下関、宇部、山口、防府、周南、岩国と6市が並んでおり、それらの人口規模は、下関市の29万人を最高に、その他は10万人台の都市が分散しています。また、日本海側には、萩と長門の2市があり、人口4万人から5万人台の小規模の都市が並んでいます。

 このように、山口県は、県内どの地域でも、一定程度の都市型サービスが受けられる反面、他県との地域間競争を勝ち抜くための力が弱い、分散型の都市構造になっています。

 山口県に来られた方からは、「(山口県の都市構造は)旧西ドイツに似ていますね。」とよく言われます。旧西ドイツは、各都市が分散し発展しているわけですが、山口県の場合は、都市の分散が、逆に弱点になっている面を含んでいます。

 産業面では、瀬戸内海側に、石油コンビナートが立地しており、基礎素材型に特化した産業構造となっています。また、自動車産業も、防府市にマツダが立地しており、従業員1人当たりの製造品出荷額は、過去6年間、全国1位を続けている工業県です。

 こうした輸出企業の好調に支えられ、平成17年の一人当たり県民所得も、全国11位にランクされています。

 水産県としても有名であり、皆さんもよくご存じの「ふぐ」(これは県の魚)や水揚げ高日本一の「あんこう」をはじめ、剣先イカなど魚介類の宝庫です。また、アナゴに似た「はも」は、京都の夏の味として有名ですが、山口県が全国有数の水揚げ量を誇っており、京都の市場でも高い評価を得ています。

 暮らしの面を見ると、主要道路の舗装率は、平成17年で全国12位、渋滞の割合も低く、全国10位です。

 また、最近、国内外で地震による災害が起きていますが、山口県は地震が比較的少ない県であり、こうした地域の特性から、例えば、KDDIなどの衛星通信用パラボラアンテナが多数立地しています。

 こうした利便性や安全についても、全般的に優れているということができます。


2.進む人口減少


 一方で、先程述べましたように、山口県は、分散型の都市構造となっており、雇用創出効果の高い第三次産業、いわゆる都市型サービス産業の割合が低いため、人口減少が進んでいます。

 我が国の人口は、2005年(平成17年)に減少に転じましたが、山口県では、1986年(昭和61年)から減少が始まっており、2005年の国勢調査で149万人であった人口は、30年後の2035年(平成47年)には110万人になると推計されています。この30年間の人口減少率は26.1%にのぼり、全国でも高い方から4番目になります。

 少子化・高齢化も進み、0歳から14歳までの年少人口は、2005年の19万7千人から2035年には10万5千人と、半分近くになるとされており、一方で、65歳以上の高齢者の割合は、25%から37.4%になり、全国5位の高齢化県になると推計されています。このような人口減少は、労働力人口が大幅に減ることになり、県内総生産や県民所得の減少につながります。

 また、山口県は、山の多い県でもあり、山間部の過疎地域など、いわゆる「中山間地域」が県土の約7割を占め、県人口の約3割がそこに暮らしています。

 こうした中山間地域では、主たる産業である農業の担い手が不足し、耕作放棄地が増大しております。特に、戸数が20戸に満たない小規模・高齢化集落(いわゆる限界的集落)が、山口県の場合、中山間地域の全集落の約13%を占めており、これらの集落については、その機能維持が困難になるなど、極めて深刻な問題を抱えています。



県政に取り組む基本姿勢


 以上、まず山口県の特徴、現状について、お話させていただきましたが、次に、こうした中で、私が県政運営に当たって心がけている4つの基本姿勢について、お話しておきたいと思います。


1.正直であること


 まず、第一点目は、「正直である」ということです。

 画面には、山口県の農業協同組合(JA)のブランドマーク「正直やまぐち」を借用しています。

 私は、1943年(昭和18年)に、美祢市で生まれました。我が家は、呉服店、衣料品店で、私は、長男でしたので、小さい頃から、家(店)を継ぐ者として育てられました。特に、父からは、「商売は信用が第一だから、『正直』でないといけない」と、くどいほど言われてきました。

 司馬遼太郎氏によれば、「正直」という概念は商業から生まれたとされていますが、最近の食を巡る様々な事件を見ますと、目先の利益に囚われ、「正直」という基本を忘れてしまったのではないかと思います。

 私は、政治行政も、当然のことながら、「正直」でなければならないと考えています。

 正直であってはじめて県民の信頼が得られるとの考え方のもとで、初当選の翌年、1997年(平成9年)7月に山口県情報公開条例を制定し、「県民に不利益になるもの以外は、県の持っている情報は、包み隠さず、すべて公表する」ことにしました。

 また、私は、私が就任以来モットーにしている「しっかり聞いて、しっかり実行」も、「正直イコール信頼」という、県民の皆さんとの太いパイプがあって、はじめて実現できるものと考えています。

 私は、これからも、「正直が信頼の基本」ということをモットーに、県政運営に当たっていきたいと考えています。


2.県民の安心・安全を守ること


 県政に取り組む基本姿勢の第二点目は、「県民の安心・安全を守る」ということです。


【マズローの欲求段階説】

 皆さんは、「マズローの欲求段階説」というものをご存知でしょうか。

 アメリカの心理学者マズローは、この図のとおり、人間の欲求には段階があって、まずは、「食べる」「眠る」などの「生存の欲求」から始まり、安全に生活したいという「安全の欲求」に移っていく、そして、人間が生存していくために必要不可欠な、この2つの最低限の欲求が満たされると、より高い欲求である「帰属の欲求」(集団の一員として認知されたいという欲求)、「尊敬の欲求」(他人から尊敬されたいとか、人の注目を得たいという欲求)、「自己実現の欲求」(各人が自分の世界観や人生観に基づいて自分の信じる目標に向かって自分を高めていこうとする欲求)が芽生えてくる、と唱えました。

 このマズローの欲求5段階説に沿って申し上げますと、我が国は、第二次世界大戦後、戦後復興から経済成長を通じ、その生存の欲求とか、あるいは安全の欲求を満たし、物の豊かさを実現し、より高次の欲求へと、順調な歩みを続けてきたように見えました。

 しかし、平成7年、1995年1月の、あの阪神淡路大震災により、我々が信じてきた我が国の「安全神話」が大きく崩壊しました。それ以来、今年に入りましても、中国における四川大地震や国内での岩手・宮城内陸地震の発生、食品の偽装事件や汚染米問題、中国の粉ミルクなどへのメラミン混入事件など、安心・安全を脅かす様々な事件・出来事が起き続けています。

 また、いわゆる「格差」問題や原油価格高騰等による生活の圧迫、世界的な金融危機による経済不安など、最も基本的に守られるべき「安心・安全」が、大きな脅威にさらされています。

 したがいまして、私たち政治行政に携わる者は、人々の欲求のうち、生活の確保や安心・安全といった、いわゆるこの「マズローの欲求段階説」でいえば、「生存の欲求」「安全の欲求」に対する政策をもう一度点検して、見直していく、そのことが、現在最も大きな課題の一つとなっていると、私は考えています。


【鳥インフルエンザへの対応】

 このことを再認識させられる事件が、2004年1月12日に阿東町の養鶏場で発生した「鳥インフルエンザ」です。日本国内では79年ぶりの発生で、健康面への不安のみならず、食生活を脅かす大問題となりました。

 当時、山口県は、直ちに家畜伝染病予防法の規定に基づき、発生農場に対する防疫対策を、県庁農林部の獣医や畜産の技術職員など、まさに専門集団が中心になって、冷静に、スピーディに、かつ、きめ細かく対応しました。

 当時、テレビでご覧になった方もあると思いますが、山口県が独自に編み出した、こういう服装をし、菌が拡大しないような努力を懸命に行いました。

 現在は、この服装が山口スタイルとして、その後の宮崎県などの鳥インフルエンザ対策の基本となっています。

 また、国の方針に沿って、菌の拡大を防ぐために、発生農場から周辺30㎞の範囲内の養鶏農家、養鶏農場に対し、卵やブロイラー等の出荷制限や移動制限の措置を講じました。30㎞と言えば、この近くでは小郡インターの辺りになります。

 そのような状況の中、現地の対応は専門集団に任せましたが、鳥インフルエンザについて全く知識のない私は、知事の役割は何か、対策をスムーズに進めるには、私は何を判断したらいいか、考え続けました。そして、移動制限区域内の卵を「県で買い上げる」ということを対外的に公表することが、この対策を最もスムーズに進める方法であると考え、発生から4日後の1月16日に、記者会見でそのことを公表しました。

 当時、移動制限区域内には、卵を産ませるために飼っている鶏が約100万羽おり、鶏は1日に0.9個の卵を産みますので、毎日毎日、90万個の卵がこのエリアの中に貯まっていくことになります。当時、法令上、最短でも38日間は卵の出荷や移動ができないとされていましたので、1日90万個の卵が増えていくということは、3千数百万個の卵があのエリアの中に貯まってしまうという計算になります。

 こういう事態になったときにどう考えるべきかと言えば、知事の立場から考えるのでなく、養鶏農家の皆さんがこういう状況になったときにどう考えるか、というふうに常に考えなければならないということです。みなさんもいろいろなことを考えるときに、相手の立場に立って物事を考える、客観的に考えるということが大変重要です。自分が養鶏農家だったらどう考えるか。

 当時、卵を買い上げるといっても約3億円はかかりそうだし、国も支援してくれるかどうかもわからない状況でしたが、卵の出荷はできない、その制限がいつまで続くかわからない、そして、それに対する国や県の支援があるかどうか分からないという状況の中で、卵を貯めておかなければならない養鶏農家の気持ちを考えたときに、精神的にもパニックになるかも知れない、そして、防疫対策に協力してもらうためには、養鶏農家の経済的不安を解消することが最も必要だと考え、私は、県で卵を買い上げると申し上げたのです。

 卵の買上げを発表する日までは、県の担当部署に、養鶏農家から死活問題だと電話が毎日あったのですが、この発表によって、電話もなくなり、関係職員も防疫対策に集中することができたということです。

 私は、この事件を通じて、トップの決断の重要性をあらためて確認することができました。

 また、山口県の当時の対応は、全国的にも高い評価を受けましたが、この成功体験、安心・安全対策の重要性を県の職員全体で共有できたことは、今も進めている、いろいろな安心・安全対策の基礎になっていると考えます。


3.県民力・地域力を高めること


 県政に取り組む基本姿勢の第三点目は、「県民力・地域力を高める」ということです。


【自助・共助・公助】

 現在、第二期地方分権改革が本格的に進められていますが、地方分権とは、「地方のことは地方の責任で」ということですから、私ども地方の行政、すなわち県も市も町も、それぞれが力をつけることは当然ですが、そこに住んでいる住民の皆さんをはじめ、企業や団体が、「自分でできることは自分でする」と、意識を変えていくことが重要です。

 その意識改革のキーワードとして、私が常々申し上げていますのが、「自助・共助・公助」です。

 まず、「自助」というのは、自分たちができることは自分たちでする、家庭でできることは家庭で行う、そして、「共助」は、個人あるいは家庭でできないことは、地域社会の中で、お互いに助け合って問題解決を図る、そして、どうしても「自助」「共助」という民間でできないことを公がサポートするのが「公助」ということになります。

 イギリスの作家スマイルズの「自助論」は、明治の多くの青年たちの心をとらえたと言われていますが、その中で、「自助の精神が、その国民全体の特質となっているかどうかが、一国の力を見る際の正しい尺度になる」と述べています。

 この言葉は、「国」を「県」に置き換えれば、「自助の精神が、その県民全体の特質となっているかどうかが、その県の力を見る際の正しい尺度になる」ということになります。

 私は、国を県に置き換えれば、この地方分権時代にふさわしい言葉であると考えています。


【きらら博から山口国体・山口大会へ】

 では、どうしたら、この県民全体の「自助」の力を高めることができるのか、私は、そのためには、県全体の象徴的な大きな舞台が必要であると考え決断したのが、21世紀のスタートに当たる2001年に、山口県で開催した、ジャパン・エキスポ「山口きらら博」 (別ウィンドウ) です。

 「もう博覧会の時代ではない」、「どうせ失敗するよ」と言われましたが、何としても成功させなければならないと、必死になって取り組みました。

 博覧会のPRのため、当時の美祢サーキットで、この画面にありますように、日本で1台しかない2人乗りのフォーミュラカーに乗りました。スタンド前の直線が時速270㎞、カーブでは風圧がかかり、本当に首が抜けそうになりました。

 少しオーバーですが、まさに、死ぬ思いで博覧会のPRをしたのです。

 「何としても成功させたい」という私の思いが、職員はもとより、県民の皆さんに伝わっていきました。

 開催期間79日間で、入場者数は目標の200万人を大きく超える251万人余りとなり、同時期開催した福島や北九州と比べても、圧倒的にトップを切ることができました。

 県民の皆さんの一致団結した取組みにより、大成功を収め、「やればできる」という自信につながりました。

 私は、「やればできる」という大きな自信、これを「きららスピリット」と言っていますが、きらら博から5年後の2006年の「第21回国民文化祭やまぐち2006」でも、このきららスピリットが大いに発揮されました。県内各地に、立派な、素敵な文化の花を咲かせることができ、目標の100万人を大きく超える145万4千人もの来場者を迎えることができました。

 私は、2005年に山口県で開催した「ものづくりの技能五輪」等も含めて、これらの取組を通じ、「県民力」や「地域力」は、大いに、そして確実に高まってきていると感じています。

 さらに、今から3年後の2011年には、昭和38年の第18回大会以来、48年ぶりとなる、第66回国民体育大会「おいでませ!山口国体及び第11回全国障害者スポーツ大会「おいでませ!山口大会を開催します。

 山口国体・山口大会に向けた開催準備はこれからますます本格化してきますが、県民を挙げて、是非とも両大会を成功させたいというのが私の思いです。

 そうした思いから、昨年10月には、国体史上初めて、NPO法人を運営主体とする「おいでませ!山口国体県民きらめきセンターを設置し、ボランティアの募集・研修・配置、花いっぱい運動の活動支援、国体県民運動のPRなど、3年後に向けた取組がすでに始まっています。

 また、今年9月には、大会をPRするボランティア「ちょるる☆フレンズ」12名(男性1名、女性11名)を決定しましたが、この中には山口大学の女子学生1名も含まれており、PRに活躍していただいています。

 さらに、学生の皆さんに関係するところでは、これも国体史上初めての取組として、県内の大学生・短大生による広報ボランティア「ぶちやっちょる隊!!」が結成され、開催気運の醸成に向けて、学生パワーを活かした広報活動をスタートさせています。

 山口国体では、開・閉会式の運営に約2千人、各競技の運営に約1万5千人、合わせて約1万7千人のボランティアが必要になります。

 ここにいらっしゃる皆さんは、3年後、まだ学生をされていたり、あるいは就職されている方もあるかも知れませんが、是非とも県内に就職していただき、ボランティアとして、山口国体を一緒に盛り上げていっていただきたいと思います。

 そして、山口で国体を経験したということが、将来必ず何かの形で生きてくると思いますので、どうか積極的に参加していただきたいと思います。

 みなさんの中には、山口国体に選手として出場しようと思っていらっしゃる方はいませんか。山口県は、今年の大分国体で35位でした。3年後には総合優勝(天皇杯)しなくてはなりませんから、山口大学でも競技選手として参加される方もおられるでしょうから、山口国体に向けてさらに練習を積んでいただき、悲願の総合優勝に貢献していただければありがたいと思っています。

 私は、こうした全国規模のイベントを5年刻み程度で開催し、それを一過性のものに終わらせないで、成功体験として継続することにより、「県民力」や「地域力」を、「ホップ・ステップ・ジャンプ」と、さらに高めていきたいと考えています。

 私は、この4期(~2012年)で知事を辞めることにしていますが、私は、ポスト国体として、2015年の「世界スカウトジャンボリー」 (別ウィンドウ) を山口県に誘致することを決定し、取り組んできました。

 その結果、今年の7月に開催された韓国・済州島での国際会議において、山口県開催が決定され、我が国では、(静岡県に次いで)2回目、40年ぶりで開催されることとなりました。

 画面は、昨年、イギリスで開催された第21回世界スカウトジャンボリーです。4年ごとの開催ですから、山口県の開催は第23回になりますが、世界各国・地域から約3万人の青少年が集い、キャンプや野外体験活動等を通じて交流するスカウトの最大の行事です。プレとして、2013年には「日本ジャンボリー」も山口県で開催されますので、青少年の健全育成や国際交流など、将来を見据えた基盤を、私の就任期間中につくりあげておきたいと思っています。


【学生パワーの発揮】

 さて、「学生パワー」ということでは、ここ山口大学ではすでに力強い取組が行われています。

 1996年、当時の学長で、世界的な数学者である「広中平祐」氏の発案により、学生の自主的な活動を支援する「おもしろプロジェクト」という制度が創設され、学生による学内活動や地域貢献活動などに対して、大学が支援をしておられます。これまでに、約150件のプロジェクトに対して、6,000万円以上の支援がされたと伺っています。

 プロジェクトの内容は様々ですが、最近の取組では、学内に自生するホタルのさらなる復活と環境への意識の向上を図り、山口大学の魅力にしようする「ホタゆに~ホタルとおったらぶちおもしろいっちゃ~」プロジェクトや、他の大学祭(宇部フロンティア大学)や地域の祭りにリターナブル食器を貸し出すことによりごみを削減する取組(エコキャンパス・エコシティ)などがあり、他の大学や地域との関わり合いを深めながら、まさに「学生パワー」を発揮しておられるところです。


4.市や町を重視すること


 県政に取り組む基本姿勢の最後は、「市や町を重視する」ということです。


【近接と補完の原理】

 1985年に制定され、現在ではヨーロッパの30ヵ国が批准しているというヨーロッパ地方自治憲章に「近接と補完の原理」というものがあります。

 この原理は、この図を見ていただければわかりますように、まず、住民ができることはできるだけ住民が行い、どうしてもできない政治行政を、住民に最も身近な市町村で行い、市町村ではできない広域的な分野は、日本で言えば都道府県で行い、そして、どうしても国でなければできない分野のみ国が行うというものです。


【市町村合併の推進】

 私は、平成の市町村合併についても、この原理と同じ考え方で積極的に取り組んできました。

 住民に最も身近な市町村が住民ニーズに的確に対応できるためには、それだけの体力、知力、別の言葉で言えば、地方分権の受け皿になれる力を付けること、すなわち、市町村の財政基盤を強化し、政策・行政能力を高めていくことが必要であり、そのための最も有効な手段が市町村合併であるということです。

 具体的に申し上げますと、山口県では、市町村合併 (別ウィンドウ) へ積極的に取り組んできた結果、平成15年3月末に56あった市町村が、現在20市町となっています。

 しかし、山口県にとっての大きな課題は、先ほど申し上げたように、多くの県に見られるような県全体をリードする中核都市がないということです。

 したがって、県としては、さらに合併を進め、現在の20市町を9市とする構想を進める中で、30万人以上の中核都市づくりに努力していきたいと考えています。


【道州制の議論への考え方】

 また、市町村合併が進み、その機能が強化されていきますと、県の役割や枠組みも見直す必要が出てきます。

 私は、長期的には、道州制への移行が望ましいと考えています。また、その際も、近接と補完の原理から考え、国の役割は、外交・防衛や、社会保障、経済対策、国家的プロジェクトなどに限定し、その他は、地方に任せる、地方分権型システムとしての道州制への移行でなければならないと考えています。

 道州制と言えば、「どの県がどの道州に入るか」という区域割に焦点が当たりがちですが、道州制の本質は、国と道州、道州と市町村の役割分担にあり、「中央集権型」から「地方分権型」に政治行政システムを再構築する大改革でなければなりません。

 そうしますと、中央省庁の再編・縮小や国の出先機関の廃止・縮小を含む国の改革と一体で行うことが必要になりますから、中央省庁の抵抗は極めて大きなものになります。

 道州制については、現在、国においても検討がなされており、概ね10年後までには道州制に移行すべきであるという、国の「道州制ビジョン懇談会」の中間報告も示されておりますが、かなりの課題があり、相当な時間と労力を要するものと思います。

 私は、道州制については、まずは、平成18年12月に制定された地方分権改革推進法に基づく第2期分権改革を確実に実施し、その次の課題として取り組むことが適当だと考えます。

 したがって、私は、当面、将来の道州制も視野に入れながら、「県という枠組みがなくなり、道州がどのような区割りになったとしても、今の山口県という地域において、市や町が将来にわたってがんばっていける、そういう地域にする」ため、可能な限り、市町村への権限移譲を進め、また、地域の自立性を高めていく努力を重ねていきたいと考えています。


 以上、県政に取り組む私の基本姿勢として、「正直であること」、「県民の安心・安全を守ること」、「県民力・地域力を高めること」、「市や町を重視すること」の4つについて申し上げました。



「住み良さ日本一の元気県づくり」の加速化


 次に、私が県づくりの目標像として掲げている「住み良さ日本一の元気県」についてお話したいと思います。

 先ほど、私は、「山口県は、多彩でバランスのとれた住み良い県」であると申し上げましたが、現に、20才以上の男女3,000人を対象に、平成19年に実施した県民アンケート調査でも、回答者の87%が「山口県は住み良い」と回答しており、年代別でも、20才代の約84%が同様の回答をしています。


1.「やまぐち住み良さ指標」


 このように高い評価を受けている山口県の「住み良さ」をさらに高めていくためには、県だけでなく、市町、企業、団体、住民全ての方々が、その具体的な目標像を共通に持ち、その目標に向かって知恵と力を結集していく必要があります。

 そのため、山口県では、何をどのように高めていくのか、客観的な指標を使って具体的にお示ししたいと考え、平成17年10月に取りまとめた、全国比較が可能な57指標が「やまぐち住み良さ指標」 (別ウィンドウ) です。お手元に平成19年改訂版のリーフレットをお配りしていますが、パワーポイントで、概要を簡単に説明します。

 目標像としては、「子どもからお年寄りまで、県民誰もが山口県に生まれ育ち住んで良かったと心から実感できる山口県」とし、暮らしの「安全」をはじめ、「居住環境」、「健康と福祉」、「子育て・人づくり」、そして「働く環境」の5つの分野ごとに、それぞれ具体的な指標(42)を掲げ、全国における本県の現在の状況(全国順位)や目指すべき水準を示しています。

 5つの分野ごとの総合指標について、バランスがどうなっているかを表したのがこの図です。

 全国数値で偏差値化したものをレーダーチャートで示していますが、点線で示した偏差値50が全国平均です。

 いずれの分野も全国平均の50を超えておりますことから、各分野とも全国平均以上でバランスの取れた住み良さが実現されていると言えると思います。

 しかし、分野別のレーダーチャートを見ると、指標により全国順位のばらつきがあります。

 57指標のうち、具体的な目標数値を定めたものが42指標ありますが、この中で、ベストテンに入っているものは 11指標あります。

 「安全」分野では、7番「食品の検査件数」が3位で、9番「エコファーマーの割合」が7位です。

 また、「居住環境」分野では、13番「ごみのリサイクル率」が3位(最新のデータでは2位)であり、19番「年間渋滞損失時間数」が10位です。

 また、「健康と福祉」分野では、残念ながらベストテン指標がありませんが、「子育て・人づくり」分野では、35番から38番まで10位以内であり、特に、子育て関係で全国トップレベルの施策を実施しているということがご理解いただけると思います。

 それ以外にも、42番「高校生の就職決定率」は2位であり、41番「コンピュータで指導できる教員の割合」も8位となっています。

 最後に、「働く環境」分野では、54番「民間企業における障害者雇用率」が1位となっています。なぜ1位なのかということをよく聞かれますが、この統計は企業の本社所在地で数値が取られているため、山口市に本社があるユニクロがたくさんの障害者を雇用しておられることもあって、ユニクロさんのがんばりもあって1位になっているということです。ちなみに、ユニクロを除くと、全国10位台ではないかと思います。

 このようにベストテンに入る優れた分野については、その順位の維持やさらなる向上のために取組を進める一方、他の都道府県より劣っている分野については、今後、より「重点化」、「集中化」を図りながら、加速化していかなければならないと考えています。


2.「住み良さ日本一元気県づくり加速化プラン」


 それが、このたびの選挙においてお示しした「住み良さ日本一元気県づくり加速化宣言」という、いわゆる「21の約束」です。

 現在、この約束をもとに、「住み良さ日本一元気県づくり加速化プラン」 (別ウィンドウ) を策定中であり、先日まとめた素案の概要 (別ウィンドウ) を皆様のお手元にお配りしています。これからは、その資料の方で説明させていただきます。

 (1から2ページ)この加速化プランでは、安心・安全を基本とした「住み良さ」の向上と、地域の特性や資源を活かした「元気県づくり」の加速化を図ることとし、「6つの加速化戦略」と「21の戦略プロジェクト」を設定し、「96の重点事業」を掲げています。そして、「住み良さ指標」も、「住み良さ・元気指標」とし、42から103に増やしております。

 時間もありませんので、この中から、本県の特性に関連した重点事業をご紹介します。


【循環型社会づくりに向けた山口県独自の取組】

 (9ページの)「循環型社会づくりの推進加速化戦略」をご覧ください。私は、従来から、山口県の産業特性を活かしながら、「ごみ問題」に取り組めないだろうかと考え、産業界、大学などの研究機関、そして行政が連携・協働して検討し、全国的にも先進的なリサイクルシステムを創り上げてきましたので、ここで、いくつか、パワーポイントの方でご紹介したいと思います。


◇ごみの資源化

 まず、家庭から出る一般ごみの焼却灰を普通セメントの原料(粘土の代り)にリサイクル利用する取組です。

 平成14年4月に宇部興産とトクヤマとの合弁会社として㈱山口エコテックを作っていただき、これまで埋立て処分されていた年間約4万トンの焼却灰の約80%がセメントの原料にされています。

 このような全県的な取組は山口県が初めてであり、先ほど申し上げたように、「ごみのリサイクル率」の飛躍的な向上につながっています。


◇水素の活用

 また、周南地域では、コンビナート内のソーダ工場で、ソーダを造る過程で大量に発生する水素ガス、これを副生水素と言いますが、これを活用する取組を産学公で進めています。

 ご承知のように、水素エネルギーは、燃料電池など次世代のエネルギー源として注目を集めていますが、山口県の副生水素の供給可能量は全国の14%を占め、全国一を誇っています。これは、燃料電池自動車の約120万台の年間燃料消費に必要な水素の量に相当します。

 現在、その多くは化学製品の原料やボイラーの燃料として使用されていますが、これからは、燃料電池が次世代のエネルギーとして大変注目されていますから、水素を燃料電池の燃料として活用できないかと、「水素フロンティア山口」 (別ウィンドウ) と銘打った事業に取り組んでいます。

 ここに水素供給燃料電池システム導入セレモニーの写真が出ていますが、昨年、工場から一般家庭にパイプラインで水素を供給し、発電、給湯する「水素供給燃料電池システム」 (別ウィンドウ) をスタートさせました。実験段階で、2世帯ですが、水素をそのまま家庭まで送るという、全国初の取組として進めているところです。


◇森林バイオマスエネルギー

 次に、森林資源の活用です。山口県は、県土の7割を森林が占め、また、非常に竹林が多い(全国4位)県です。ただ、担い手の減少などから、間伐などの手入れが行き届かず、荒廃している森林が増加し、また、繁茂した竹林も増えるなど、問題となっています。

 このため山口県では、全国に先駆け「やまぐち森林バイオマスエネルギープラン」を策定し、①既設の石炭火力発電所で、間伐材を石炭に混焼して発電するシステム、②間伐材などをガス化して発電するシステム、③木質ペレット燃料を使ったボイラーで冷暖房や温水の供給を行うシステム、という3つのシステムに積極的に取り組んできました。

 また、これらのシステムを成立させるため、間伐材などを低コストで安定的に供給する取組も進めてきました。

 平成17年には、国のモデル地域の指定を受け、平成21年度を目標に、地域のエネルギーシステムとして実際に利用できるものにしていくことにしています。

 さらには、荒廃した人工林の再生や繁茂した竹林の整備などの取組の財源を確保するため、平成17年4月に、(高知県、岡山県に続いて、)全国で3番目に、森林保全等に関する税「やまぐち森林づくり県民税」 (別ウィンドウ) を導入しました。

 森林づくり県民税の導入期間は平成21年度末までの5年間で、期間の満了に合わせて導入効果を検証して、見直すこととしています。

 このように、私は、山口県の特性を活かしながら、全国に誇れる循環型社会づくり先進県をめざしたいと考えており、加速化プランにもありますが、新たに「地球温暖化対策推進プロジェクト」として、CO2削減県民運動を展開していくこととしています。

 すでに、全国に先駆けて、各地域での取組の中核的な組織となる「地域協議会」を県内全ての20市町に設置し、「緑のカーテン」 (別ウィンドウ) の普及や、「ライトダウンキャンペーン」「ノーマイカーデー」「ストップ!地球温暖化県民大会」など、四季を通じた取組を推進しています。

 特に、「緑のカーテン」の取組は、アサガオやゴーヤなどのツル性の植物を育て、夏の日差しを遮ることで、3℃程度、室内温度を低下させることができます。今年、春から夏にかけて県内一斉キャンペーンを実施した結果、550の公共施設で率先導入が図られたほか、1,200世帯を超える家庭や約6,000の事業所において取組が行われました。



おわりに


1.魅力ある観光地


 もう時間が参りました。少しだけ、山口県の宣伝をさせていただきたいと思います。

 日本海側では、萩、あるいは、金子みすゞの長門市、内陸部の秋吉台・秋芳洞、東の方は、岩国の錦帯橋、山口市では瑠璃光寺五重塔、こちら京都の東寺、醍醐寺の五重塔と併せ、日本三大名塔と言われています。それから、下関では、壇ノ浦の合戦で平家が敗れていますから、今も、それにまつわるいろんなイベントが実施されています。

 50数箇所の温泉地もあります。また、最近では、下関市北端の角島(つのしま)が、山口県出身の佐々部清監督による「四日間の奇蹟」のロケ地やトヨタ自動車レクサスのCM画面に使われるなど、山口県の美しい自然・景観が注目されています。

 観光については、この7月から9月までの間、全国JRグループ6社と協働して、「はじめてなのに、なつかしい。」をキャッチフレーズに、「おいでませ山口デスティネーションキャンペーン」という一大キャンペーンを展開しました。全国的には旅行商品が伸び悩む中、本県では県内の主要な観光施設の利用者は前年同期比で約10%程度伸びるなど、大変好調に推移しました。

 なお、この5連のポスターは、昨年の全国の観光ポスターで金賞を受賞したものです。

 こういったこともありまして、観光の面でもこれからさらに、山口県の活性化に取り組んでいきたいと思っています。


2.山口大学に寄せる期待


 県庁でも、今、多くの山大出身者が山口県のために日々奮闘してくれています。県職員は、知事部局で4千数百人、教員・警察が2万人あまりおりますが、知事部局では700人位の山口大学卒業生にがんばってもらっていると思います。みなさんにも是非県庁に入っていただき、山口県のためにがんばっていただきたいと思います。

 山口大学は地域貢献大学としてがんばっていかれるわけですから、みなさんも地域との関わりの中で何ができるかということも考えながら、山口県というフィールドで、「学生力」という「県民力」を発揮していただくことを期待して、私の話を終わらせていただきます。

 ご清聴ありがとうございました。



 


(平成20年度「住み良さ日本一の山口県をめざすポスター・フォトコンテスト」最優秀作品)





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