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知事記者会見録・最新分
発表項目
知事
本日、私からは、「令和7年度全国高等学校総合体育大会」、通称インターハイについて、ご説明をさせていただきます。
この夏、中国5県を舞台に開催されます、高校生最大のスポーツの祭典であります、インターハイ「開け未来の扉 中国総体 2025(ニーゼロ・ニーゴー)」が、いよいよ来週24日に開幕し、来月20日までの28日間にわたって熱戦が繰り広げられます。
本県では、下関市の新体操や山口市の水球など5市で6競技種目を実施することとしており、全国から選手・監督、観客など延べ約7万人の方が来県される見込みとなっております。
本県からは、30競技に約500人の選手が出場予定であり、選手の皆さんには、地元の開催の応援、これを力に、日頃の努力の成果を存分に発揮して、大いに活躍されることを心から期待しております。
県民の皆様におかれましても、ぜひ、競技会場などで高校生に対しまして、熱い声援を送っていただきたいと思いますし、地元開催のインターハイを盛り上げていただきたいと考えております。
私からの説明は以上です。
NHK
私からまず、美祢線の件で質問させていただきたいと思います。
一昨日、JRとか沿線自治体で作る協議会で臨時総会が開かれました。そこで、今回、鉄道の復旧ではなくBRTを軸に復旧を検討していくという考え方が示されました。
これまで知事の会見の中でも、まず、基本的に災害で被災したものは復旧するものが大前提としつつも、沿線自治体とかの意向を聞きつつ一番いい形にというようなお話をされてきたと思います。
今回具体的にBRTを軸にという話が出てきて、それを受けて今、知事はこれについてはどのように考えてらっしゃるでしょうか。
知事
そうですね。美祢線が被災をして、しっかりとJRの方で復旧していただきたいと、そうした思いをずっと持っておりましたし、今お話がありましたように、われわれの生活上のインフラ、これは公共が提供しているものも、民間が提供しているもの、例えば電気とかガスとか、鉄道だけではなくて、ありますけれども、これらはやっぱり被災したときには、まずそれをしっかりと復旧するということがそれぞれの責任であろうと思いますし、そうした役割をしっかりと果たしていただきたいということは、この件に限らず、これからもそのように考えていますし、ぜひ事業者の方にはそうした姿勢で臨んでいただきたいというふうに思っています。
そういう中で、個別のこの美祢線について言いますと、やはり被災からもう2年が経過をしておりますし、いろいろと議論していく中で、鉄道として復旧するとなると、10年かかるということになってくると。
そういう中で、やはり早期に解決をしていって道筋を示していくと、このことが地元としても望まれると、そうしたいろんな考え方のもとで、先日臨時総会でBRTなどの鉄道以外のモードでの復旧を検討していくと、そうした大きな方向性が示されたところであります。
これまでの議論の経過、積み重ねを踏まえて、これについてはしっかりと受け止めていかなければいけないと思っておりますし、また今後、沿線自治体の意向も尊重しながら、総合的に県としても判断をしていきたいというふうに思っております。
NHK
今のお話ですと、沿線自治体の意向を踏まえながら、今後、県として判断していくというところになるということですか。
知事
そうですね。もちろん臨時総会でこれまで議論を重ねてきていますし、そうしたものも踏まえながら、またそれぞれの市の方で、より検討もしていって、県として最終的に皆さんと協議をしながら判断をしていきたいと思います。
NHK
現時点で、県として具体的にこれが望ましいというところにはちょっと言及はまだ。
知事
そうですね。もちろんBRTということが一つの大きな方向性を示されていますので、それが軸になってくるということは考えていますし、そうしたことについては私も理解をしているところであります。
またそれぞれ各市長さんなり、関係者の方々から直接にいろんなお話も聞きながら、最終的にどうするのかということを、それを踏まえて考えていきたいということです。
NHK
BRTに、もし仮にそういう方向で進んだときに、当然メリット・デメリットがあるかと思うんですけども、現在示されているBRTの路線で、大部分が専用道路ではなく既存の道路を使うというような案も示されていますが、そうした場合に実質鉄道ではなく、バスとほぼ同じような形になってしまうかなと思うんですけども、そのあたりはどのように受け止められていますか。
知事
そうですね。もちろん専用道で行けば、路線としては鉄道と同じところを通ることになりますし、一般の道路と違う高速性も一定確保できるんだろうと思います。
それを比較したときにどちらがどれだけ、一般道を通る場合にどれだけ実際遅れが出るのかですとか、専用道にしたときにどれだけ追加のコストがかかるのかですとか、いろんなそのメリットというのはもう少し具体的に分析をしていかなければいけないと思います。
もちろんその定性的には、専用道にした方が一番早く行くと思いますけども、その分莫大コストがかかると、一般道とすれば、時間的には多少増えるかもしれないけれども、コスト的には抑えられて、その分例えば便数が増やせるとか、いろんな選択肢があると思うんですね。
そういった中で、利便性を高めていく部分と、どこにどれだけコストをかけるかというところですね、そのあたり最適な組み合わせが何であるのかということを、よく分析して、検討していかなければいけないと思いますので、一概に必ずこれが絶対いいんだというところにはなかなかいかなくて、少しオプションといいますか、BRTをするにしても、その中でのバリエーションというのは考えて、それぞれのメリットやデメリット、もちろんコストも含め、これは最終的には住民の皆さんの負担も出てくるところでありますので、そうした部分について、よくよく分析をして検討してくということが必要かなと思います。
NHK
もう1問、質問させてください。
20日に投開票を迎える参議院選に関してなんですが、今回の選挙で全国的に争点として外国人政策が挙がってきています。
この外国人政策をめぐっては、一部の政党で外国人への対応を厳しくするとか、受け入れの規制を強化するとか、そういうような主張も出ていて全国的にも議論になっているのかなと思います。
こうした中、県でもベトナムとかインドネシアとか、そういうところにサポートデスクですかね、そのようなものを設けて外国人材を確保するというような取り組みを進めてらっしゃるかと思うんですけども、この外国人政策について、こうした動きがあることについては、知事はどのように受けとめてらっしゃるでしょうか。
知事
そうですね。やはり全国的に、特に都市部では外国人の労働者も非常に増えているということがあって、そうした中で起きているいろんな問題に対してどう対処するかというところの問題意識が高まってきているということだろうなというふうには思います。ではありながら、一方で10年前とか20年前って別に外国人の問題はなかったわけですよね。なぜ今それが起きているかというと、やはり圧倒的に人手不足、労働力不足があるわけですね。
高齢化がどんどん進んでいって、少子化が進んでいく中で、社会としては全体として、一定の人口があり、さまざまなサービスを、そこで実際に行わなければいけない、生産活動も行わなければいけない。そういう中で、労働力人口がぐっと減ってきたところをどのように賄うかというところで、やはり外国人というところに期待されているところがあって、それが今のその外国人が実際に日本に来てもらって活躍してもらうということに繋がっているわけですね。だからそこの根本的なその問題をどうするかというところをなくして、外国人単体で見てそれをどうするかというところを議論することは、あんまり、何て言うか、最終的な課題の解決に繋がっていないだろうというふうに思いますので、そういったことから言うと、例えば少子化対策をもっとより強化をしていくとか、人口が減らないようにするための方法として抜本的にやって、別に外国人に頼らなくてもやっていける日本にしましょうということですとか、あるいはDXをどんどん進めていって、本当に人が少なくても同じようなサービスを維持できるとか、いろんな他にも選択肢はあるんでしょうけれども、ただすぐに何かできるわけではありませんから、当面やっぱり外国人の労働者に頼っていくということは、やっぱり日本のこのいろんなサービスですとか、あるいは産業を成り立たせていく上では、これは欠かせない部分なんだろうと思います。
その上で、やっぱり日本人って、こうなんか均一的な価値観だったり、暮らしの仕方にしても何にしても、そういった中で、全くその今までとは異なるような形で、生活スタイルも違ったり、価値観も違うという、そういった中でいろんな衝突が起きることは、これは起きるんだろうと思います。
ただそれを起きるところを、何て言いますか、排除とかいうことではなくて、やっぱり秩序ある形でどう共生していくかということを考えていくということを考えていかなければいけないんだろうというふうに思います。
それがどのような形であるべきなのかということは、やっぱり個別個別の課題に応じて議論をすればいいと思いますけれども、そうしたことを全部、何て言いますか、バサッと大ざっぱにして、とにかく排除だとか、そういった論理でいくということは、何て言いますか、あるべき形ではないし、また日本が抱えているような構造的な課題についての答えにもならないんだろうと思いますので、冷静に考えていくということが必要な課題ではないかなと思います。
NHK
今の質問に関連して、いわゆる外国人労働者は安い賃金で働かせて処遇に関して日本人と差があるというような指摘なんかもあって、特に今月ですかね、宮城県の方の村井知事の会見でも、日本人との処遇の差が生まれたら駄目だというようなことを言われていますけども、そのあたりはどうお考えでしょうか。
知事
正直、なかなか今、逆に確保も難しくなって、われわれベトナムに行って、日本に来て働いてもらおうと思っても、海外の方がもっともっと給料がいいので、日本自体がそもそも選ばれなくなってきているというところがありますから、そこに対して本当に日本が選ばれるようにするためにどうするかというところが大きな課題なんですね。だからおのずと上げていかなければ多分確保できないということになってくるのではないかと思っていますし、実際に、われわれ、例えば看護とか介護とかの人材を確保しようと思っていろんな話もしますけれども、全然その待遇が違いますので、日本と欧米とかだとね。そういった中で、どうやって日本へ来てもらうかなというのは逆に悩んでいるぐらいのところでありますので、そのあたりは実際に払うお給料といいますか、処遇というものも、実際には改善を相当していかないと確保には繋がらないだろうなというふうには感じています。
防府日報
美祢線についてお伺いしたいんですけれども、先ほど、受け止めということで、BRT化するというところについては容認といいますか、そういった発言だったと思うんですけれども、これまで沿線3市とともに、鉄道での復旧ということを強く求めてこられてきたんですけれども、結果として、鉄道での復旧が断念されたというか、せざるを得なかったのか、いろいろ捉え方があると思うんですが、断念することになったということについてはどのように受け止めていらっしゃいますか。
知事
そうですね。先ほども言いましたが、原則的に何か今、われわれの生活なり、経済を支えている重要なインフラが災害等で被災したときには、それはそれぞれ事業者が速やかに自らの責任で元に戻していくということが大原則だと思いますので、そうでなければ、やっぱり地域の安心した暮らしができませんので、これからも、被災すれば、まずはしっかりと、鉄道だったらJRだし、電力だったら中国電力ですとか、そういうところはしっかりと復旧してもらうということが、これが基本ですし、われわれ求めていかなければいけないところだと思います。
そうした中で、実際の復旧ということを考えたときに、今回の場合は、非常に復旧に時間がかかってしまうと、10年という年数がかかってしまうということの中で、やっぱり被災をしてから2年間、方向性が固まらないままきていることに対して、やっぱり住民の皆さんからのいろんな不安ですとか、そうしたことを受け止めて、地元の方が、やはりそうしたところを総合的に考えて、鉄道というものも、JRが元々廃止ということを言っていたわけですけども、それもやむなしということになったんだろうと思いますし、そうした考えといいますか判断は、これはしっかりと受け止めて、尊重していかなければいけないものだと思っております。
防府日報
それから、先ほど出てきた専用道の話なんですけれども、おそらくこれからの議論の中で、専用道区間をどの程度設けるのかということが一つの大きな議論の軸になってくるんではないかと思います。
現在、JRといいますか、復旧案に示されている4.2キロの区間、それからプラスオプションで厚狭駅周辺ですか、というような専用道の設定については知事はどのようにお考えですか。
知事
そうですね。専用道でいい部分と、あと実際既存の道の方が遅くはなるけれどもそちらが、例えば生活上そっちの方がいいとか、使う方でそっちの方がいいとかということがあるのかもしれませんけど、そのあたりはもちろんコストの問題がありますけれども、コストとそれがそれに見合う、何て言いますか、スピードのアップというのがあるのかどうかということと、あとはそもそもその通るルート自体が、住民の本当にニーズなりに合っているのかというところとか考えていかなければいけないと思いますので、今時点でどのルートがいいとか、どこを専用道にというところは、私の方で一定の考えがあるわけではありません。 そこはよく地元の方のニーズですとか、そうしたことをそれぞれの首長さんなりからお聞きをしながら、JRとも調整して結論を得ていくと、そうしたプロセスの中で決めていくべきことかなと思います。
防府日報
それからJRとしては、この専用道を設ける意義として、自動運転であるとか、隊列運転、そういったものができるんではないのかと。
先日の総会でも、未来感ある、刷新感ある、そういったものを作りたいんだというような話をされておられました。
今、県でも周南で自動運転の実証実験というのをされておられますけれども、こういった県の取り組みとJR側の考えというのがリンクして、そういった、例えば美祢線BRTで自動運転とかというのを、県としても進めていくというようなお考えはいかがでしょうか。
知事
そうですね。美祢線に限らず、私は自動運転バス自体はもっとスピードアップして進めていかなければいけないと思います。
ご案内のとおり、バスの運転手が非常に少なくて、全国的にはバス路線が廃止されている、その大きな要因の一つは、バスの赤字ということだけではなくて、運転手がいないから、そもそもそうした路線を維持できないということが起きているわけですね。
この課題が、非常に今全国で広がってきておりますから、これに対しては、今実証実験をやっているような自動運転のバス、こうしたものを予算もどんどん入れなければいけないし、もっと規制ももっとスピードアップして見直しをしていくということをやっていかないと、今地方で起きている、本当に生活の一番基礎の部分を支えていく移動ですとか、そうしたところすら成り立たなくなっていく。その深刻さのスピード感と、政府の今この自動運転化を進めようというこの予算の規模だったり、その規制緩和のスピード感、規制の新しいルールづくり、そうしたスピード感が全然違うので、私はデジタルの行財政改革会議に出ていますけれども、ほぼ毎回その話を石破総理の前で言っていまして、とにかく地方で、しっかりと人がいなくても生活ができるような、移動ができるような、そうした基盤を早く整えなければいけない、そのことは訴えています。ですので、このBRTの話に限らず、全体として、そうした自動運転バスですとか、人がいなくても成り立つ社会というものを作っていかないと、先ほど外国人の話もありましたけど、人が減っていくのは分かっているわけなので、社会を支えるサービス、これを担う人が減っていくのは明らかですので、それを補えるDXですとか、そうしたことをもっともっとスピード感を持ってやっていかなければいけないというふうに思っています。
それなので、今回美祢線をどうするかは、またこれは専用道を整備したりですとか、実際どういう車両で走らせるのかですとか、いろいろと論点があるわけですね。そういう中で、先々の自動運転ということも念頭に置いて考えるということも必要かもしれませんけれども、それも踏まえて、どのような形が最適であるのかということを、JRの思いはJRの思いとして、西日本として初めてBRTをやることになるんでしょうから、そうした中でやりたい形というのもあるかもしれませんけれども、われわれ地元として、どういった形が最適なのかということ、これはきちんと地元の皆さんの意見を踏まえて、ルートやコストやいろんな面を考えてやっていくことが必要だと思いますので、そこはそれぞれの考えを出しながら、丁寧に調整していくということが必要かと思います。
防府日報
それから費用負担ですね、県と沿線自治体の。これも1つ大きな議論になってくるんではないかと思いますけれども、今、BRTの専用道というところで案が示されているのは山陽小野田市が中心になるので、おそらく山陽小野田市あたりは、地元であるということの負担割合の増というのをかなり懸念しているんではないのかというふうに思われるんですけれども、そういった財政的な支援の面では、県としてはどのようにやっていくお考えでしょうか。
知事
そうですね。まず、これは3市に跨るルートでありますし、当然県として、広域自治体として、財政面での果たすべき役割をしっかりと果たしていかなければいけないと思っていますので、今後の検討の中で、そうしたスタンスでしっかり県としても、やるべき対応を行っていきたいと思います。
防府日報
沿線3市と県での4者協議というのがあって、その後に法定協議会というふうな流れだと思いますけど、4者での話し合い、方針の取りまとめというのは、知事としては、大体いつ頃くらいまでに終わらせるのがベターだとお考えでしょうか。
知事
それは法定協議会を作る前の話し合い。
防府日報
そうです。
知事
そうですね。それはできるだけ早くやるべきだと思います。先般、協議会の方での結論が出ましたので、それぞれ持ち帰って、より具体的な検討をした上で、またそこは県も入って、大きな方向性をまず決めていきたいと思っております。
法定協議会を立ち上げる上で必要なところの整理というのは、これは速やかにやっていきたいと思います。
防府日報
分かりました。これで最後にします。
この2年間の美祢線の一連の流れの中で、自治体側は県も含めて鉄道での復旧を求めると。一方でJRとしては、もう鉄道としての営業は終わらせたいというような中で、今回BRT化という結論に至りました。
1年前に復旧検討部会を立ち上げるときも、JRとしては1年程度で方向性を定めたいということで、今回今に至っているわけですけれども、そういう意味ではJR側の思惑どおりに事が進んでいるんではないのかというふうに見ることもできますけれども、その辺についてJRに対しての思いといいますか、考えというのはいかがですか。
知事
そうですね。鉄道自体がJRが運営しているものですし、もともと廃止も届け出一つでできると、そういった制度になっています。
そういう中で今回美祢線の場合は被災をしましたので、もともと止まっているという状態ですね、これを再開しようと思えばJRがやるという決断をしなければ何も動かないわけですね。
そういう中で、今回JRとしては単独での鉄道の復旧はしないという方針を、ある時期から示されましたので、それを踏まえて、われわれ、それ自体は、本来は鉄道として残すということもしっかり考えて欲しかったなという思いはありますけれども。しかし、会社全体の判断として、そういったものを示されたということについては、それを受け止めて、われわれがどうするかということを考えていかざるを得なかったということですね。
そういう中で、あくまでも鉄道への復旧にこだわって、ずっと平行線を続けていくということもできなくはないわけですけども、その先に、じゃあそれで鉄道が戻るのかというと戻らないであろうと。
そういった中で、2年という月日が流れ、地元の皆さんも最終的にここがどうなるのかというところについて、やっぱりきちんとした結論を出さなければいけないと。
そうしたことも、市の中での意識として高まってきている中で、市長としての総合的な判断として、鉄道にさらに10年かけて復旧をするということについては、それは断念をして、受け入れて、BRTなり、そうした方向で復旧を図っていくと、そうしたことになったわけですね。
それはある程度受け止めざるを得ないところだと思いますけれども、ただ何度も言いますけれども、やはり基本的には事業者が本来復旧すべき、この美祢線の話に限らず復旧すべきでありますし、鉄道について言いますと、やはり内部補助という仕組みがあり、国鉄の民営化をしたときから、もともとローカル線は皆赤字なわけですよね。個別の路線で赤字だからということで廃止をするとなれば、それ全部廃止になってしまうわけです。という中で、今維持されているのは、国鉄民営化のときに、新幹線の、それぞれ会社ごとに新幹線の区間も分け、西日本は西日本の区間で新幹線の収益が上がり、そうした収益、利益でもって、ローカル線の赤字の部分をしっかりと補っていって、それでネットワークを維持していこうと、そういった基本的な大きな考え方があるわけですね。
それは前提としては変わっていなくて、コロナのときに一旦新幹線が非常に赤字になりましたので、もうそういった前提が崩れたという、そういった中で、今の枠組みができているわけですけども、今は非常に新幹線も利用が戻り、インバウンドのお客さんもいっぱい乗っていて、そして会社としての利益も1,000億とか2,000億に近くなってきているわけですね。
そういった中では、やっぱり基本的には、ローカル線というのは、赤字であっても地域を支えるものとして、基本的には被災してもちゃんと復旧して支えていくということを、これを基本にすべきだというふうに思いますし、それが国鉄の民営化、あるいはその鉄道という、皆さんの暮らしを、その基礎の部分を支えている、重要な役割を担う会社として果たしていくべき、ぜひ果たして欲しい責任だと思っておりますので、これからもそういった基本的な考え方、他にも県内にいろんなローカルでありますから、基本的にはそうした考え方で対処していきたいと思います。
山口新聞
まず1点目に参院選に関連することなんですけれども、現在、参院選が行われていまして、20日に投開票だと思うんですけれども、結構、先ほど出た移民政策である他に、物価対策だったり、ガソリン税の暫定税率だったりと、地方の生活にもちょっと影響を与えるような施策についても争点となっております。
その中で、やはり、以前村岡知事は、物価高対策に関しては、給付金の方が即効性が高いというふうにおっしゃられていましたけれども、その一方で、その経済の好循環を実現するには、減税の方が施策としては適切ではないかという意見もあって、野党の中には減税を強く押し出す党もありますけれども、給付金は一時しのぎでしかないという見方もありますけれども、改めて、給付金と減税に関しての見解をお伺いできればと思っております。
知事
まず、何て言いますか、景気対策ということでいうと、これ大きく、給付金もそうですけれども、何て言いますか、確実に消費なりに繋がっていくような形での歳出増と、それから減税というのは、ただ100の歳出増、だって、その100が全部経済回すように回っていくわけですよね。100減税とすると、その減税のうち一定率が貯蓄に回るので、そこから消費が回るのは、そこでがっと減殺されるわけですね。
そのベースとなる、その経済を回していく元となるお金が、同じ100でやったとしても、減税の方がその効果が小さいというのは、これはもう経済学の教科書に書いてある話ですね。だからそれはあるのだろうというふうに思います。
ただその感覚として、減税してもらったらうれしいとか、そういったことはあると思いますから、何もその教科書的な経済効果だけの話で、全てがその判断ですべきだということでもないとは思いますけれども、私が申し上げたのはそういうところですね。
今、給付金だったりとか、減税とか、また社会保険料を下げるとか、いろんなお金をもらう、あるいは負担が減る、減るときも税で減るのか、社会保険料が減るのか、しかもそれは瞬間のものなのか、恒久的なものなのか、全部いろんなメニューがあるわけです。
そうなんですけど、それは、何て言いますか、それぞれそこを競い合っているのですけど、そうは言っても財源がいるわけですよね。そこのところについてどう考えるかというところを、それを同じようにやっぱり私は言わないとおかしいだろうと思うんですよ。
これはもらえるんだけども、それは天から降ってくるわけではなくて、やっぱり最終的には国民の負担、サービスを減らすのか、別の増税をするのかというふうにしなければ回っていかないはずですので、そこをセットして示して初めて選択肢だろうと思うんですが、そういうふうになってない。
各党は、それぞれ実はそこの財源をこう考えているとあるかもしれませんけども、あまり表に出てないしあまり具体的でもないというところは、そういったところが競い合いになっているというのは、今経済なり暮らしが大変だから、おのずとそうなるのかもしれませんけども、本当はその、国として、実際に選ぶときには、だってわれわれ買い物するときでもそうですよね。買うんだけど、それを、では幾ら払うのか分からないというところではやっぱり選べないわけですので、こういった形で、その議論がされているということ自体は、私は本当に大丈夫なのかなと正直思いますね。
やっぱりその負担を減らすというのは、その分じゃあどう賄うのかというところをセットでなければ、真摯な政策の訴えではないと思います。
それはありながら、そういったところと、ちょっと残念なのはやっぱり成長戦略というか、結局その国民の負担で、サービスを行政はするわけですけども、そこの中の配分という話ではなくて、やっぱり今大変なのは経済がどう、これから維持したり、成長できるかというところですので、成長戦略をどう描くのかというところが、基本的には、政策としては競い合うべきところではないかなと思いますね。
山口新聞
また違う話題になって申し訳ないんですけれども、村岡知事が2014年から知事になられて、今3選目ということで、これまで何度もこの知事会見で私もちょっとお伺いしてきたのですけれども、少子化対策であったり、人口減少の克服であったりということを掲げられて様々な施策も打ってこられたことと思います。
一方でこのような、村岡知事も何度もおっしゃっていますけれども、一朝一夕ですぐ結果が出てくるものではないですので、実際、村岡知事の、次の知事の任期が迫っているということで、やはりご自身がまかれた種ですかね、種が芽吹く瞬間というのを、また知事として見たいみたいな思いだったりとか、これまでされてきた施策だったりとか、その結果を見届けるまで続けたいみたいな思いとかございますでしょうか。
知事
なるほどですね。そうですね、課題とすればやはり、山口県は人口減少の問題がありますけれども、その中でどうやって、地域をこれから、山口県としての力といいますか、活力を維持していくのか、高めていくのかということはとても大事ですから、そういった意味では特に山口県の産業力の強化というところは、力を入れてやってきたわけですね。
例えば企業の誘致、成長産業の集積だったり、観光や一次産業もそうですけど、そうしたところは非常にポテンシャルがあるので、どんどん伸ばしてきたし、その成果も一定上がってきているというふうに思いますし、またこれからまたGX戦略地域ですとか、そうしたことも、取り組みをぜひこれも実現をしていきたいと、勝ち取っていきたいというふうに思っておりますし、また少子化について言うと、なかなか財源がない中で、行革もやりながら、歳出削減なりして、財源を生み出して、例えば第二子の保育料の無償化ですとか、そうしたこともやっていって、その経済的な負担の軽減というところは、成果を上げられてこられたのかなと思っております。
やっていくところはたくさんありますので、そうしたところをきちんとやりながら成果を上げてくということは、これまでも一定のことをやってきていると思っておりますし、またこれからもやっていかなければいけない課題がありますので、そうしたこと、やりかかっているものもたくさんありますんでね、そうしたこともしっかりと行われていく必要があると思います。
そういったことをいろいろ考えながら、また考えて、判断していきたいと思います。
山口新聞
まだやりかけているものがあるということでして、それをさらに知事ご自身の手で次に続けていきたいみたいな思いがあったりするんでしょうか。
知事
そうですね。もちろん今ある、いろんな、例えば経済面で言ったらGX戦略地域の話が最近また出てきて、これもしっかりやっていかなければいけないと思いますし、また病院の建て替えとか、県民の皆さんの命を守っていく、そのためのしっかりとした基盤を整えていくですとか、いろいろありますので、そうしたことはしっかりと、形にしていくということが大切だと思っております。
そういったことを考えながら、どうするか考えてきたいと思います。
KRY
今の話にも上がったんですが、GX戦略地域について、先般、選定を目指す方針を表明をされたと思いますが、国家戦略特区となれば、山口県では初めてになると思います。
改めて、どういうメリットが、選定されれば、知事が期待をされていらっしゃるのかというところと、知事ご自身としてどういうビジョンでこの選定に向けて取り組んでいかれるかというのを、改めて伺えますでしょうか。
知事
そうですね。私はこれ非常にいい、国としての大きな政策だなと思っています。というのが、やっぱり日本、先ほど成長戦略の話もしましたけれども、日本の成長と考えたときに、やはりこの山口県もそうですけれども、製造業の強さってすごくあるんですよね。自動車とかそういったものにみんな意識が行きがちですけれども、われわれ、例えば素材とかですね。瀬戸内のコンビナート企業が持っているような素材では、本当に半導体の関係とか、蓄電池の関係とか、特殊な素材を作っている世界トップシェアとか、世界で唯一作っているですとか、そういうものもたくさんあるわけですよね。
そうしたところが非常に伸びてきていまして、昨年、一昨年と、県内の投資も、われわれも、県の職員も一生懸命頑張って、県内の投資を実現して、2年連続過去最高の投資を実現しているわけです。
そういったところが、しっかりと地域で作っていくということが、これが山口県にとっての将来の大きな力にもなりますし、もっと言えば日本全体の、世界に対する強みということになってくるわけですね。
だから国の戦略として、地域振興とかではなくて、国の産業戦略、成長戦略として、地方の既存の製造業、例えばコンビナート企業とか、そういうところに着目して、そこをより強くしていくということに着目をして注力していくというのは、これは大変重要な視点ですし、われわれとしてもありがたいものだと思っています。
今回、GX戦略地域なり国家戦略特区というのは、特にコンビナート地域、ここで脱炭素、水素とかアンモニアですとか、そうしたことをこれまでも扱ってきているいろんな技術の知見もあるわけですね。そうしたところに、どんどんと投資を促していこうと。国内の投資も振り向けていくし、また海外でいろいろと考えられている新しい事業とか、そうしたものもどんどん日本に持ってきて、そういったところに集中的に投資をさせていこうと。そうした方向で、これ本当に素晴らしい方向だと思います。
そのためにわれわれが持っている基本的には、例えばコンビナートの今空いている土地だったりとか、あるいはその既存のコンビナート企業の持っている技術なり、これまでの知見だったり、そうしたものをしっかりと活かしていくということですので、われわれは非常に大きな、今アドバンテージを持っていると思っています。
実際国の会議の中でも、これが山口県が取り組みとして優れているものとして、実際に資料が出されているというのは、そういった評価だと思います。
これまで県としても、企業の方と連携しながら、コンビナート連携会議というのをやり、その中で将来構想というのも共通に描いてきたわけですね。そうしたものを高く評価をされています。
そういった意味で、われわれが持っている力がまさにこれから大きくさらに伸ばしていけるという、そうした大きな新しい制度ができるということでありますので、必ずこれを勝ち取っていく、この千載一遇のチャンスをしっかりと勝ち取っていくと、このことに向けて全力を挙げていきたいというふうに思っています。
これが実現しますと、例えば規制緩和がこの地域だけやれるですとか、あるいは国の資金も特別にこの地域に集中して得られるですとか、さまざまなメリットが今検討されています。
具体的な制度設計は、今まさに国の方が検討していて、そろそろ夏ぐらいの間には示されるのかなというふうに感じていますけども、それを踏まえて、県と、それから関係する企業と、話をしっかりとしながら、これに手を挙げて、必ずこれを勝ち取っていきたいなと思っています。
KRY
話題変わりまして、先ほどから参議院選の話題がありますけれども、全体的に、今各党論戦いろいろ交わされていますけれども、知事として全体的にこの選挙戦を通じて、どのような政策論争というか、期待されてらっしゃるのか、また何が今回問われる選挙だと考えてらっしゃるのか、そのあたり伺えますでしょうか。
知事
そうですね。個別のテーマで外国人の話も途中から急浮上されてマスコミでも大分取り上げられていますけれども、やっぱり今の暮らしをどうするのかというところが、給付だったり、いろんな保険料・税の引き下げとかありますので、関心事項としてはそこにあるんだろうというふうに思います。
これはいずれにしても、そうした声の中で、オプションとしてみんなそれぞれ政策、各党が給付金だったり、税だったり保険料、社会保険など言っているんですけど、基本的にはいろんな生活が大変だというところに対して寄り添っていかなければいけないと。その中の、どういうメニューでやりますかというところの違いですので、そこに大きな違いはないのかなと思っているんですけども、要は新しい選挙が終わった後、しっかりとこうした声を踏まえて、皆さんの所得だったり暮らしだったり物価だったり、いろいろと今暮らしの中で直面している課題や困難に対してどう寄り添っていくのかということをしっかりと考えていくという、そういった大きな宿題が、今示されているんだろうというふうに思います。
それと同時に、今言ったその成長戦略ですよね、やっぱりね。どうやってこの国がやっていくのかと、日本に対する将来の不安もあるわけですね。もちろん今の経済が大変だ、暮らしが大変だってこともありますけども。この先日本は本当に大丈夫なのかということに対して、やっぱりどうやってこれから日本を伸ばしていくのかというところについて、そこは本当にすごく議論がいるところですし、方向性をしっかり決めてやっていかないと、やっぱり国家戦略を持ってやっていかないと、いろんな資源、人材なり、財源なりの資源が分散されてしまうことになりますので、ここは注力するんだというところをやっぱり注力するということをしっかりと議論をして、狙いを定めてやっていくというところ、ここは、本当に考えてやってかなきゃいけないと思います。
それは選挙というプロセス、なかなかそれ難しいのかもしれませんけれども、国として大事なところではないかなというふうに思いますね。
KRY
参議院選では、現在自公が少数与党に、参議院でも自公が少数与党になるという可能性も情勢取材等で指摘されております。
もしこうなった場合、国が進める、例えば地方創生2.0だとか、先ほどのGX戦略地域ですとか、こういった県の政策に影響というのが考えられるのか。総じて国と地方がどういう関係にあるべきか、そのあたりのお考えを伺えますか。
知事
そうですね。現政権に対するいろんな批判の中で、厳しい状況にあるんだろうと思いますし、そうした声が出てくるという部分もあるんだろうと思います。
さはさりながら、自治体の立場で懸念するのは、やっぱり国としての方向がなかなか決まらないような体制になってしまうのは非常に心配だなというふうに思います。
もちろん内政において、地方創生もそうですし、今言った成長戦略とかについても、きちんと考えて前に進めるという体制でないと、誰も何も決められないという状態というのは、非常に内政においても危ないし、さらに言えばその外交とか防衛とか、今非常に、トランプ関税に対してもどうするかというところもありますけども、それだけではなくて、安全保障環境とか、いろんなこと考えたときに、何もすぐに決められない政府ということが、本当に大丈夫なのかなというところは、正直懸念として持ちますですね。
だからいろんな、今の与党に対する批判もあるとは思いますけれども、その結果、それを受け止めて、いろんなことやってかなきゃならないのはそうだと思います。
ただ、政権として安定しない、もう衆も参も何も決められないというところは、1自治体の内政面でも心配しますが、やっぱりその、今非常に国際情勢が厳しい中で、やはりいろんなことに対して、やっぱり強く対応しなければいけない、しっかりと意思決定して、強く対応していかなければいけない、そういう中でそういった力が非常に弱くなるんではないかと、海外からもそう見られるんではないかというところの影響というのは結構深刻ではないかなというふうには懸念をしております。
KRY
ありがとうございます。国政についてのお考えを伺いましたが、知事ご自身も、自治省、総務省ご出身でもあります。ご自身が将来的に国政の場で、ご活躍されたい、そういった思いは、知事にありますでしょうか。
知事
私自身は、地方行政をずっとやってきていますので、これまでの総務省に入っても、地方行政一筋でやっていましたし、今も知事という仕事も大変重要な仕事だと思ってやっておりますので、国政について、行きたいとかそういった考えはありません。
中国新聞
JR美祢線の質問に戻るんですけども、4月に4県知事で、石破首相に対して、鉄道ネットワークのあり方を国の責任で示すように求めた特別要望を行われたと思うんですけども、美祢線に関しては、その国のローカル線をめぐる考え方が、具体的に明らかになる前に、個別路線としては、鉄路で復旧を断念するという方向性が固まったという形になると思うんですけども、美祢線単体で考えた場合には早期復旧を求める声を踏まえたと言える一方で、全国的に見ると、その鉄道の被災リスクを抱える他の自治体からはこれが前例になるんではないかという懸念を持つ自治体もあるんではないかなというふうに、個人的には思うんですけども、今回、国がなかなか、芸備線のように前面に出てくる法定協議会のような形ではなかったので、関わり方として難しいとは思うんですけども、今後、ローカル線をめぐる国の関与のあり方はどうあるべきだというふうに知事はお考えですか。
知事
そうですね。国の方は法律を作って、一定の補助制度等を作って、あとはそれぞれでという感じに見受けられますので、そこは非常に懸念をしているわけですね。
そうなってくると、やっぱり鉄道として成り立つのか、鉄道が一番いいのかどうかというところを、個別のローカル線で見ていくと、やっぱり厳しいと思うんですね。なので、何かのきっかけでどんどんといろんな路線が廃止されるんではないかと。
個別個別に個別撃破されていくと、なかなかそれは、これは絶対何が何でも残すべきだというところというのは、個別路線ごとに見たときには、なかなか言えないものが多いんです。
ただ、そうやってずっとやってきたときに、新幹線だけが残りましたみたいなことで、本当にそれは公共交通のあり方として、将来的にその地域で暮らしていく上で、いろんな交通インフラ、交通モードがありますけれども、それが本当にいいのかというと、私はそれは違うだろうと思うんですね。
そういう中で、やっぱりそのローカル線についてのあり方を、その個別個別の協議ということに単にやるだけではなくて、国として鉄道とはこうあるべきだということを何らか示されないと、やっぱり先ほど言いましたように、個別路線ごとに採算ですとか、輸送密度ですとか言われたときには、なかなか太刀打ちできないんだろうと思うんですね。
もちろん、一定の時代の変化に合わせて、交通モードの見直しというものはやるべきだと思いますし、それこそ自動運転とか、またできてくるとまた前提が大きく変わってくるのだろうというふうに思いますが、今前提として、考えていく上で、やはり何て言いますか、ローカル線についてもう少し国の方が、具体的にどうあるべきかと、本当に鉄道、新幹線だけ残って、どんどん減っていったらどんどんなくしていくということで、本当にそれで進めていくのでいいんですかと思うんですね。それ違うだろうと思うんですよ。
やっぱり、鉄道がネットワークとしてしっかりあるということでもって支えられている部分というのは非常に大きいものがありますし、そうした部分をもう1回きちんとよく整理をして、ビジョンを示すということをしないと、今みたいな懸念が現実化するのではないかということを強く心配しています。