ページの先頭です。 メニューを飛ばして本文へ
現在地 トップページ > 組織で探す > 観光スポーツ文化部 > 国際課 > CIRレポート・1210

本文

CIRレポート・1210

ページ番号:0017599 更新日:2021年11月1日更新

CIRレポート 10月号

不思議で魅力的なスポーツ、バスク・ペロータ

国際交流員 ホルヘ・ガルエ(スペイン)

皆さん今日は!¿Como estáis? (お元気ですか)、スペインの国際交流員のホルヘです。
国際交流員の仕事は今年で2年目になりました。1年間山口の暮らしを満喫してきましたが、これからも皆さんと、日本とスペインの交流を深めたいので、よろしくお願いします。

今回は珍しいスポーツについて説明したいと思います。
バスク・ペロータというスポーツを聞いたことはありますか。
バスク・ペロータ(普段「ペロータ」と略されていますので以降「ペロータ」といいます。)は日本ではあまり知られていないスポーツですが、スペインの北部とラテンアメリカでは大人気のスポーツです。

ペロータはどのようなスポーツでしょうか。

プレイ中のペロタリ(選手達)

ペロータには様々な種類がありますが、簡単にペロータの特色を説明しましょう。
ペロータはコートで行うスポーツで、大きな壁に手やラケットや網で野球に似た硬式ボールを打ちます。テニスと同様、シングルやダブルスもあります。
ペロータの球技に参加する選手はpelotari(ペロタリ)(バスク語)と呼ばれます。テンポが驚くほど速く、とても興奮させられるスポーツです。

特に、山口県の姉妹州ナバラ州で大人気のスポーツで、皆様にもナバラ州の遊びと伝統について少し詳しくなっていただけたらと思います。
では、スペインのバスク地方から世界へ広がったペロータについて学びましょう!

ペロータの起源

17世紀にフランスからバスク地方に伝わってきたjeu de paume(ジュ・ド・ポーム) (仏語で「手のひらゲーム」)は大人気になって、バスク地方で新しいバージョンが現れました。
フランスのバージョンはテニスのようにネットごしに遊ぶ形ですが、バスクで現れたpasaka(パサカ)やlaxoa(ラショア)というバージョンではfrontis(フロンティス)(バスク語)という大きな壁の前に両チームの選手が立ってプレイする形です。
19世紀の後期までにペロータの人気はバスクからナバラ州とラ・リオハ州などのスペインの北部の地方まで広がりました。この時からペロータの色んなタイプと遊び方が現れました。

世界への波及

20世紀の初めから、アルゼンチン、チリ、ウルグアイ、ベネズエラやメキシコなどへ移り住んだバスク人は、ペロータの遊びを現地の人に伝えました。
1900年のパリオリンピック大会で正式種目として競技が行われました。その後、1924年のパリオリンピック、1968年のメキシコシティオリンピックと1992年のバルセロナオリンピックで公開種目として競技が行われました。
次に、ペロータのコートや種類について紹介しましょう。

競技は壁が2つあるフロンティスというコートで行います。基本的にフロンティスは壁が2つあるコートです。Trinquete(トリンケテ)というコートの種類も存在し、トリンケテ式のフロンティスには左手の壁に低い屋根があります。普段コートは屋内ですが、フランスのバスク地方では屋外のフロンティスも多いです。

世界への波及の画像屋内トリンケテ式コートの様子(ナバラ州エリゾンド村)

※ 上の左の図はコート図です。
1:サイド壁 2:フロント壁 3:床 4:立体図

次はルールについて学びましょう。
チームはシングルとダブルスの2つがあり、フロンティスと呼ばれるコートの中で行います。
フロンティスの周りの壁は2つというのが公式ルールですが、1つで行うこともあります。
ペロタリはボールを素手やいろいろな道具で正面の壁に当て、相手のペロタリが跳ね返ってきたボールをノーバウンドまたは1バウンドで壁に打ち返します。
相手が打てなかったときは自分の得点となります。6点制から40点制で行い、サービスのある方のみ得点できます。

ペロータには他にもいろいろな種類があります。次はその主なものを紹介します。

ハンドペロータでサーブするペロタリ

ハンド・ペロータ:
Pelota a mano(ペロタ・ア・マノ)(スペイン語)とも言われるペロータの種類であり、素手や防護のテーピングで硬式の木材コア、ウールとレザーで覆われています。
アマチュアとプロレベルでも男性しか参加しないスポーツです。
スペインでは一番人気があるペロータの種類です。
スペイン北部のテレビチャンネルで試合や大会がよく見られます。
ボールが固いため、ボールを打つとかなり痛いので、練習と準備を十分するは必要があります。

アルゼンチンパレタバット

パレタ・ゴマ:
アルゼンチン・パレタゴマとも言われ、表面が広くて短いpaleta(パレタ)というバットで遊びます。
ボールはハンド・ペロータと異なり、軟式のゴムボールを使います。
この種類はアルゼンチンで発明され、国際大会のトーナメントでもアルゼンチンの選手たちが一番優れています。
ペロータ・ゴマは南米で現れて国際的に知られているペロータの種類の一つです。

ハイアライの試合の様子(ナバラ州パンプローナ市)

ハイアライ:
Zesta(ゼスタ) Punta(プンタ)「バスク語で(籠の先)」ともいわれる種類で、手に細長い籠のようなものを付けますが、その他のルールは他の種類と同じです。
Jai(ハイ) Alai(アライ)はバスク語で幸せな祭りという意味で、世界中で、一番知られているペロータの種類です。
球のスピードは最速で時速300km弱と非常に魅力的なスポーツになります。
中南米諸国を始め、アメリカ、フィリピンなどでの人気が高いです。アメリカでは、ギャンブルとして行われることもあります。


網がついているシャレ・ラケット

シャレ:
Sare(シャレ)(バスク語で網)ソフトラケットでプレイします。
この種類はトリンケット・コートでしか行いません。
シャレは特にペロタリの素早い正確な動きが特徴で、他の種類の選手では届かないボールにもペロタリのシャレが届きます。
特に、中南米で大人気です。

ナバラ州パンプローナ市にて

フロンテニス:
フロンテニスはメキシコで現れたペロータとテニスを混ぜ合わせたものです。
フロンテニスはテニスのラケットを使って、フロンティスコートで行うゲームで、女性に大変人気があります。
テニスラケットは簡単に手に入るため、スペインの全国の学校で体育の授業で一番行われています。

ペロータは国際的に人気で、バスク・ペロータ国際連盟には28カ国のペロータ連盟が登録されています。
4年に1回、バスク・ペロータ世界大会が開催されています。フランス、スペインとアルゼンチンが強豪国です。
スペイン北部の放送局で国内試合も国際大会も毎週放送されています。
スペインの新聞やスポーツ雑誌などのメディアではペロータのニュースや特集をほぼ毎日見ることができます。

山口県の姉妹州のナバラ州でパロタは特に愛されています。ナバラの伝統的なスポーツが,ペロータだということはよく知られています。
ナバラ州の市町村ではフロンティスコートがない所は非常に珍しいです。
国際的に知られている選手の多くはナバラ出身です。
毎週末、州内のフロンティスコートではペロータのいろいろな種類の試合が行われています。パンプローナのラブリットコートには約5千人が集まり、フランスをまじめとするヨーロッパや南米諸国からの観客も見られます。
この試合はアマチュアとプロのタイプがあります。
プロレベルのペロタリの試合ではギャンブルとして行われることもあります。ギャンブルとして行われている試合では観客は特に盛り上がります。
ペロータはナバラ州民の主な趣味の一部であり、ナバラとの絆はとても強いです。

ラブリットコートでの試合(ナバラ州パンプローナ市)

今回、スペインのバスク地方から現れたペロータについて紹介しましたが、ペロータのプレイのペースは速く、種類により色んな遊び方があるスポーツですから、スペインのバスクやナバラへ行ったら、是非ペロータの試合を見に行ってその魅力を自分で味わってみてはどうですか。

次回も、是非、スペインについての面白いレポートを読んでください!