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平成30年 (2018年) 12月 3日
1 はじめに
担い手への農地集積の支障となっている
2 草刈りの現状
ほ場整備完了後、畦畔へ雑草が繁茂し、草丈が伸びることによる、農作物への病害虫の発生を防止したり、日照や通風の確保等のため、稲作期間中に農家は5回程度の草刈を行っていると思います。
草刈り作業は、通常草刈機により人力で行うことから、大変な重労働です。特に夏場は雑草の生長も早く、農家にとって毎日の農作業のほとんどが、草刈り作業に費やされることになります。
このことは、担い手の経営面積の制約にもつながっており、農地の集積において大きな障害となっています。
3 工法の紹介
(1)まず、既存畦畔において繁茂している雑草を除去します。グリホサート系の非選択制除草剤(水田畦畔の使用登録があるもの)を使用し、雑草を完全に枯死させることが大切です。
(2)次に、畦畔法面の地肌(土壌)を露出させます。草刈り機を使用し、枯死した雑草を刈り取り、ガンゼキやクマデを使用し、地上部に残存している雑草の茎等を除去します。
(3)次に、芝の種子を配合した植生シートを法面へ張り付けます。配合する芝の種子はセンチピードグラス耐寒性改良品種(和名:むかで芝)とします。張り付け方法は、1m幅の植生シートを法肩から法尻に向かって縦に垂らし、3cm程度の重ね代をとり、竹串を使用し約50cm間隔で固定します。本作業を梅雨前までに完了することが重要です。
(4)芝は、種子からの初期成育が遅いことから、草刈り等の管理を行う必要があります。芝は雑草に覆われると枯死してしまうため、当初は月1回程度、先に生長してくる雑草を草刈り機により刈り払いながら、芝の生育を助長させることが重要です。
4 芝を施工することによる効果
(1)草刈り等の省力化に伴い、担い手農家への農地集積が飛躍的に拡大される。
(2)農地はもとより、多面的機能を有する用排水路・道路等の適正な保全管理ができる。
(3)夏場の重労働が解消されることで、畑作等へ労力がシフトされることから、麦、大豆等の本作化に向けて作付けの拡大が期待できる。