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岩国基地における空母艦載機着陸訓練(FCLP)に関する要請結果について
本日(16日)、山口県基地関係県市町連絡協議会(構成自治体:県、岩国市、柳井市、周防大島町、和木町)として、県と岩国市が代表し、国及び米側に対し、下記のとおり、FCLPを岩国基地において実施しないよう要請しましたので、その内容をお知らせします。
記
1 防衛省への要請結果
(1) 日時 9月16日(火曜日) 15時30分から15時55分
(2) 場所 防衛省
(3) 相手方 防衛大臣 中谷 元(なかたに げん)
(4) 要請者 山口県基地関係県市町連絡協議会
岩 国 市:岩国市長 福田 良彦(ふくだ よしひこ)
山 口 県:総務部理事 田中 康史(たなか やすし)
(同 行 者)
周防大島町:周防大島町長 藤本 淨孝(ふじもと きよたか)
(5) 要請内容 岩国基地における空母艦載機の着陸訓練に関する要請
※別紙要請書のとおり
(6) 回答
○ 米空母艦載機着陸訓練(FCLP)について、これまでも度々ご要請いただいていることについては、重々承知している。
○ 今般、在日米軍司令部より防衛省に対し、硫黄島での実施を予定していたところ、9月1日に発生した硫黄島の噴火が現在も継続しており、噴火による人員、物資、航空機への影響などのリスクが大きいことから、9月17日から9月26日までの間、FCLPの予備飛行場である岩国飛行場で実施する旨の説明があった。
〇 FCLPは、空母艦載機のパイロットが着艦資格を取得するため、陸上の飛行場の滑走路を空母の甲板に見立てて着陸する必要不可欠な訓練である。
〇 この訓練は、我が国の防衛や地域における米国の抑止力・対処力の強化のため、非常に重要な意義がある。防衛省としては、現在の硫黄島の状況も踏まえると、今般の訓練の実施はやむを得ないと認識している。
〇 しかしながら、地元の皆様への影響は最小限にとどめるべきは当然である。防衛省としては、日頃から岩国市をはじめとする地元の皆様の御要望を踏まえ、米側に対しては、飛行時間の限定等の岩国日米協議会における確認事項を遵守するとともに、FCLPによる民間航空機への影響及び岩国飛行場周辺の住民の皆様への騒音の影響が最小限となるよう申し入れてきた。その結果として、今般の訓練は土日祝日や夜22時以降の訓練は実施されないこととなった。
(7) 質疑
○ FCLPを岩国基地で実施することとなった理由について
→・ 従前より、FCLPについては、出来る限り多くの訓練を硫黄島において実施するよう、米側に対し、繰り返し申し入れてきたところである。
・ 今般の訓練について、防衛省としては岩国市や山口県からのこれまでのご要望も踏まえた上で、今月1日に硫黄島で噴火が発生した後も、様々なレベルから、今回のFCLPもこれまでと同様に硫黄島において実施するよう、米側に求めてきた。しかしながら、噴火活動が現在も継続している状況であり、噴火による人員、物資、航空機への影響などのリスクが大きいため、やむを得ず、岩国飛行場で実施せざるを得なくなったとの説明を米側から受けたところである。
・ その上で、これまでの市の御要望を踏まえ、米側に働きかけた結果として、米側からは、今般の訓練は、土日祝日を除いた9月17日から26日までの間で、午後から夜22時までの間の訓練日程としたとの説明を受けている。
・ 防衛省として、米側に対し、飛行時間の限定等の岩国日米協議会における確認事項を遵守するとともに、FCLPによる民間航空機への影響及び岩国飛行場周辺の住民の皆様への騒音の影響が最小限となるよう申し入れたところであり、引き続き、地域の方々に不安を与えることがないよう求めてまいる。
○ FCLPによる騒音を軽減する具体的な方法について
→・ 防衛省としては、今月1日に硫黄島で噴火が発生した後も、様々なレベルから、今回のFCLPもこれまでと同様に硫黄島において実施するよう、米側に求めていたところである。
・ 他方、米側からは、噴火による人員、物資、航空機への影響などのリスクが大きいため、少ない準備期間でも支援が可能である岩国飛行場で実施せざるを得なくなったとの説明を米側から受けたところだが、これまでの御要望を踏まえ、米側に働きかけた結果として、今般の訓練は、訓練期間から土日祝日を除き、また、民間航空機や周辺環境への影響を最小限にするため、訓練の時間帯も、午前中は行わないこととし、かつ夜間の訓練は、22時までに終了する計画としたとの説明を受けている。
○ 馬毛島自衛隊施設の整備進捗について
→・ 馬毛島における施設整備の状況については、現在(本年9月時点)、陸上工事で は、建築物の本体工事や滑走路の舗装工事を進めているところであり、海上工事では、係留施設の本体工事等を行っている。
・ 馬毛島の事業全体の完了は令和12年3月末となる見込みだが、FCLPの開始を含め、早期の運用開始を目指し、最低限必要な施設については先行して完成させる考えである。
・ 運用開始時期の見通しについては、現時点で確定的なお答えができる段階にはないが、早期の運用開始に向けて、引き続き施設整備を進めていく。
○ FCLP実施を容認できないことについて
→・ この訓練は、我が国の防衛や地域における米国の抑止力・対処力の強化のため、非常に重要な意義がある。現在も硫黄島における噴火活動が継続しており、人員、物資、航空機への影響などのリスクが大きい状況においては、防衛省としては、今般の訓練の実施はやむを得ないと認識している。
・ しかしながら、地元の皆様への影響は最小限にとどめるべきは当然であり、防衛省として、米側に対し、本訓練による民間航空機への影響や岩国飛行場周辺の住民の皆様への騒音の影響が最小限となるよう申し入れてきているところであるが、本日頂いた要請についても米側に伝えてまいる。
・ 米軍機の運用に際しては、安全の確保が大前提であり、引き続き、米側に対し、地域の方々に不安を与えることのないよう求めてまいる。
(8) 終わりに(防衛大臣)
〇 FCLPを岩国飛行場で実施することについての厳しいご意見をいただいた。この要請を受けて、米側にも改めて、岩国飛行場周辺の住民の皆様への騒音の影響が最小限となるよう申し入れるとともに、引き続き、地元の皆様方との意思疎通を密にしながら、真摯に対応してまいる。
〇 今後とも、皆様方のご理解とご協力を賜りますようよろしくお願い申し上げる。
2 外務省への要請結果
(1) 日時 9月16日(火曜日) 14時から14時15分
(2) 場所 外務省
(3) 相手方 外務大臣 岩屋 毅(いわや たけし)
(4) 要請者 上記1の要請者と同じ
(5) 要請内容 上記1の要請内容と同じ
(6) 回 答
○ 米空母艦載機着陸訓練(FCLP)は、我が国の防衛や地域における米国の抑止力・対処力の強化のため、重要な訓練であると認識している。
○ 岩国市の皆様には既に御負担をおかけしている中、追加的な騒音を伴うFCLPは、本来であれば、硫黄島で実施すべき訓練である。しかし、硫黄島の噴火という特殊な状況を踏まえ、米側から、苦渋の決断として岩国飛行場で実施せざるをえない旨の説明があった。
○ 政府として、地元の懸念はよく理解している。岩国市をはじめとする地元の御要望を踏まえ、運用上の必要性と地元の負担軽減の双方を念頭に米側と調整を行った結果、夜22時から正午、土日祝日の訓練を実施しないこととなったと承知している。
○ 本日の御要望をしっかりと受け止め、引き続き、地元の皆様への影響が最小限となるよう、外務省としても、防衛省と緊密に連携し、全力で取り組んでいく。
3 米海兵隊岩国航空基地への要請結果
(1) 日時 9月16日(火曜日) 10時から10時20分
(2) 場所 米海兵隊岩国航空基地
(3) 相手方米海兵隊岩国航空基地 行政連絡調整室
(4) 要請者 山口県基地関係県市町連絡協議会
山口県:岩国県民局次長 二橋 康治(ふたはし こうじ)
岩国市:基地政策担当部長 石本 英二(いしもと えいじ)
(5) 要請内容 上記1の要請内容と同じ
(6) 回 答
○ 岩国基地における陸上模擬着艦訓練(FCLP)の実施について、地元のご懸念は理解している。
○ 岩国基地をFCLPの予備飛行場として使用する決定は、火山活動に直接関係するものであり、それにより適切な時期に安全な飛行運用を硫黄島で実施することが不可能となったためである。
○ 我々は、あらゆる飛行運用において、地元地域やパイロット、エアクルーの安全を最重要事項であると考えている。
○ 日米安保条約に定められた我々の日本の防衛責務を効率的かつ効果的に果たすべく、運用上の即応態勢を維持するとともに、地元地域の皆様への訓練による影響を最小限にするため、適切なバランスを保つよう今後も引き続き努力していく。
4 岩国防衛事務所への要請結果
(1) 日時 9月16日(火曜日) 11時から11時20分
(2) 場所 岩国防衛事務所
(3) 相手方 岩国防衛事務所 所長 木下 惠介(きのした けいすけ)
(4) 要請者 上記3の要請者と同じ
(5) 要請内容 上記1の要請内容と同じ
(6) 回 答
○ 地元自治体の意向は十分理解している。
○ 要請の内容については、直ちに上級機関に報告するとともに、岩国基地にも伝達し、周辺住民への騒音の影響が最小限になるよう申し入れる。
5 中国四国防衛局への要請結果
(1) 日時 9月16日(火曜日) 14時30分から14時45分
(2) 場所 中国四国防衛局
(3) 相手方 中国四国防衛局 企画部長 有賀 元宏(ありが もとひろ)
(4) 要請者 上記3の要請者と同じ
(5) 要請内容 上記1の要請内容と同じ
(6) 回答
〇 地元自治体の意向は十分理解している。
〇 要請の内容については、直ちに本省に報告するとともに、岩国基地にも伝達し、周辺住民への騒音の影響が最小限になるよう申し入れる。
6 在日米国大使館への訪問
(1) 日時 9月16日(火曜日) 11時から11時40分
(2) 場所 在日米国大使館
(3) 相手方 ジョージ・グラス 駐日米国大使
アーロン・D・スナイプ 首席公使
(4) 訪問者 上記1の要請者と同じ
(5) 訪問内容
○ 岩国基地に関する様々な意見交換をする中で、激しい騒音をもたらすFCLPを岩国基地で実施することは容認できないという県と市の基本方針を伝えた。
7 その他
駐日米国大使、在日米軍司令官及び在日米海軍司令官あての要請書については、9月16日付けで郵送した。