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軽度外傷性脳損傷に係る適切な労災認定に向けた取り組みの推進を求める意見書
平成26年9月定例会
(平成26年10月10日)
軽度外傷性脳損傷は、転倒や転落、交通事故、スポーツ外傷などにより、頭部に衝撃を受けた際に脳が損傷し、脳内の情報伝達を担う「軸索」と呼ばれる神経線維が断裂するなどして発症する疾病である。
その主な症状は、高次脳機能障害による記憶力・理解力・注意力の低下を初め、てんかんなどの意識障害、半身麻痺、視野が狭くなる、においや味がわからなくなるなどの多発性脳神経麻痺、尿失禁など、複雑かつ多様である。
しかしながら、軽度外傷性脳損傷は、受傷者本人からさまざまな自覚症状が示されているにもかかわらず、MRIなどの画像検査では異常が見つかりにくいため、労働者災害補償保険(労災)や自動車損害賠償責任保険の補償対象にならないケースが多く、働くことができない場合には、経済的に追い込まれ、生活に窮することもあるのが現状である。
世界保健機関(WHO)においては、外傷性脳損傷の定義の明確化を図った上で、その予防措置の確立を提唱しており、我が国においてもその対策が求められるところである。
よって、国においては、以上の現状を踏まえ、下記事項について適切な措置を講ずるよう強く要望する。
記
画像所見が認められない高次脳機能障害の労災認定に当たっては、厚生労働省に報告することとされているが、事例の集中的検討を進め、医学的知見に基づき、適切に認定が行われるよう、取り組みを進めること。
以上、地方自治法第99条の規定により意見書を提出する。
(提出先)
衆議院議長、参議院議長、内閣総理大臣、厚生労働大臣