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山口県内の主要な野生鳥獣(イノシシ)
イノシシはユーラシア大陸の中部から南部、アフリカ北部に広く分布し、日本では本州・四国・九州・淡路島・南西諸島などに分布しています。
雪に弱く、北陸・中部(日本海側)・東北地方(中部以北)など積雪の多い地域には生息していないとされていましたが、近年では雪の多い地域においても生息が確認され始めています。
生態
低山地の灌木林やカヤ・ススキなどの草原に生息しています。雑食性で植物の根茎・葉・果実・堅果・ミミズ・カエル・昆虫類などを食べ、小さな群れをつくるか単独で生活しています。本来は昼行性ですが、人間の影響で二次的に夜行性を示し、夜中に農作物の被害を出します。一夫多妻制でオスは交尾期になるとメスの群れに入ります。メスは満2歳で初産を迎え以後毎年出産し、4~6月に2~8頭出産する。オスは単独行動をしますが、メスは子供や姉妹と群れをつくって行動します。行動圏は0.3~1平方キロメートル程度です。鼻を使って70kgの重さを持ち上げることができ、高さ1m程度の柵を跳び越えることができます。
被害と防除
山口県の加害鳥獣類の中で被害面積・被害金額ともに最も大きく、水稲・野菜・果樹等に大きな被害を出しています。最大の被害は夏~秋期の水稲で、穂の食害・踏み荒らし・ヌタウチによる稲の倒伏被害が大きいです。
被害防除方法としては、電気柵(ポリワイヤータイプ)・畦波板と電気柵の組み合わせ・ワイヤーメッシュ柵などによる侵入防止柵の設置が有効である。侵入防止柵の設置にあたっては、設置箇所の地形・土質を考慮するとともに、徹底した維持・管理をしないと侵入を許すことになります。
被害対策上のポイント
被害の背景にあるものとして、(1)里山に手が入らなくなり見通しが悪くなって容易に田畑に近づくことができるようになったこと (2)耕作放棄地が増加して隠れ場や餌場をイノシシに与えていることなど、イノシシにとって人里が良好な生息環境になっていることが大きな問題です。
被害対策の基本は、人間とイノシシの境界づくりと人里をイノシシの餌場にしない取組みを行いながら、電気柵などの侵入防止柵の設置を行うことにあります。