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適切な森林整備の推進
森林は、土砂流出などの山地災害を防止し、水資源のかん養や二酸化炭素の吸収などの働きを持つ、私たちの生活になくてはならないものです。
また、森林は木材という循環利用可能な資源を生産することで、中山間地域の雇用創出や里山の維持に重要な役割を担っています。
このような森林のもつ様々な公益的機能を持続的に発揮させるためには、森林を適切に管理することが大切です。
1 森林整備とは
森林を適切に管理するためには、森林を育て、健全な状態に保つ森林整備が必要です。
森林整備の具体的な施業内容をご紹介します。
(1)森林整備施業の流れ(人工林の場合)
1 人工造林(植え付け)
伐採跡地や原野などを森林にするために苗木を植える作業です。
植える前には、地拵え(落ちている枝葉の片付け等)の作業が必要です。
2 下刈り
植栽後数年は日当たりがよいため、雑草木が茂り植栽木の成長を阻害します。そのため、植栽木が雑草よりも高くなるまで、雑草木を刈り払う作業を行います。
下刈り施行地
3 除伐
雑木や成長の悪い植栽木などの不用木を伐ることで、林内を健全に保ちます。
4 枝打ち
枯枝や下枝を除去することで、病虫害の発生を防ぐとともに、林内を明るくして下草などの植生成長を促します。
また、節の少ない木材を生産することができます。
5 間伐(保育間伐、間伐(搬出・切捨))
成長した樹木の一部を伐採し、植栽木の本数を調整する作業です。
残された木の成長を促すとともに、林内が明るくなり下草などの成長が回復することで、森林土壌の保水能力等が向上します。
伐採木のうち、利用価値のあるものは搬出され、木材として利用されます。
間伐作業
6 主伐(更新伐)
大きく成長した樹木を木材として利用するために伐採します。
植栽木を一斉に伐採する皆伐や、森林の質的・構造的な改善を目的として抜き伐りや群状伐採等を行います。
伐採跡地には植栽を行い、繰り返し森林を整備することが、森林を保全する上で大切です。
7 森林作業道の開設
森林内に道をつくることは、森林整備や木材生産の施業を安全で効率的に行うために、とても重要な生産基盤です。
これにより、作業現場へ自動車等でアクセスでき、木材搬出等に高性能な林業機械を利用できるなど、労働条件が向上します。
※この他にも、雪の重さで倒れた植栽木を引き起こす「雪起こし」等の作業があります。
搬出作業
2 山口県での取組
適切な森林整備により発揮される森林の公益的機能は、広域的に、県民全体が受益するものです。
しかし、森林整備は森林所有者によって行われており、また、長期的な投資を要するものの収益性が低いという課題があります。
そのため、山口県では、造林補助事業など様々な助成制度等により、森林所有者による適切な森林整備を支援しています。
(1)造林補助事業
森林資源の質的充実を図り、安全で潤いのある県土の保全、良好な水環境の創造、自然環境の保全等の機能を高度に発揮させることを目的として、森林所有者等が行う森林整備を支援します。
造林補助事業の詳細はこちら:造林補助事業について(森林整備課HPリンク)
(2)間伐、再造林等の推進
間伐は、森林の公益的機能の発揮や地球温暖化防止対策に特に重要です。
また、木材を循環利用可能な資源とするためには、伐採後の再造林が欠かせません。
山口県では、この2つの施業を中心に、造林補助事業の補助率を増やし、森林整備の推進に取り組んでいます。
(3)適切な森林作業道の開設
継続的かつ安全に利用できる作業道の開設を目的として「森林作業道開設基準」等を定め、適切な森林作業道の開設による効率的な木材生産や森林整備の推進に取組んでいます。
- 作設指針はこちら:山口県森林作業道作設指針(令和5年6月9日改正) (PDF:439KB)
- 開設基準はこちら:山口県森林作業道開設基準(令和6年6月20日改正) (PDF:3.94MB)
(4)森林・林業活力強化プロジェクト
戦後造林された森林の多くが、現在、利用期を迎えています。山口県では、県産木材の生産・供給力の向上と森林資源の循環利用を促進するため、平成27年度から「森林・林業活力強化プロジェクト」に取り組んでいます。
森林・林業活力強化プロジェクトの詳細はこちら:森林・林業活力強化プロジェクトについて(森林企画課HPリンク)