本文
山口県における特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進等の実施に関する指針
山口県における特定建設資材(コンクリート塊・建設発生木材など)に係る分別解体、再資源化等について、その促進をはかるための指針をご紹介します。
目次
リンクをクリックすると各章のページにジャンプします(印刷用ページはこちら)
はじめに
第1章 特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進に関する基本的方向
- 基本理念
- 関係者の役割
- 特定建設資材に係る分別解体の方向
- 特定建設資材廃棄物の再資源化等の方向
第2章 建設資材廃棄物の排出抑制のための方策
- 建設資材廃棄物の排出の抑制の必要性
- 関係者の役割
第3章 特定建設資材廃棄物の再資源化等に関する目標と規模及び距離に関する基準
- 再資源化の目標等
- 対象建設工事の規模及び再資源化等に関する距離の基準
第4章 特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進のための方策
- 特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進のための方策に対する基本的事項
- 特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進のための具体的方策等
第5章 再資源化により得られた物の利用促進のための方策
- 特定建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の利用についての考え方
- 関係者の役割
- 公共事業での率先利用
第6章 分別解体等、再資源化等及び再資源化により得られた物の利用の意義に関する知識の普及のための広報・啓発活動に関する方策
第7章 その他特定建設資材に係る分別解体等及び再資源化等の促進等に関する重要事項
- 分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等に要する費用を建設工事の請負代金の額に適正に反映させるための事項
- 分別解体等及び建設資材廃棄物の処理等の過程における有害物質等の発生の抑制に関する事項
- 本指針の見直し等
本文
はじめに
我が国においては、経済発展に伴う生産及び消費の拡大、生活様式の多様化及び高度化による住宅・社会資本整備及び更新等に伴い、建設資材廃棄物の排出量が増大している。 建設産業は、我が国で利用される資源の相当部分を利用する産業であることから、産業廃棄物(廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号)第2条第4項に規定する産業廃棄物をいう。)及びその最終処分量に占める建設資材廃棄物の割合も高いものとなっている。
その一方で、廃棄物の処理施設の確保はこれまでにも増して困難なものとなってきており、最終処分場がひっ迫しつつあるほか、建設資材廃棄物の不法投棄が全国で多く見られるなど、建設資材廃棄物の処理をめぐる問題が深刻となっている。
さらに、高度成長時代に建設された民間住宅等の老朽化に伴う建替等が増加することが想定され、今後、建設廃棄物の発生の増加が見込まれる。
また、主要な資源の大部分を輸入に依存している我が国にとっては、これらの廃棄物から得られる資源を有効に利用していくことが求められている。
このような状況の中、本県においては、『やまぐち環境創造プラン』(山口県環境基本計画)に掲げた「ごみゼロ社会づくり」を目指し、県内の地域・産業特性を生かしながら生活環境の保全を確保するために、県民、事業者、行政が一体となって環境負荷を低減するための取り組みを行うこととしている。
本指針は、このような認識の下に、県内で施行される一定規模以上の建設工事における特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等を促進するため「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」第4条に基づき「山口県における特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進等の実施に関する指針」として必要な事項を定めるものである。
なお、本指針で使用する用語の定義については、「建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律」第2条の規定によるものとする。
第1章 特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進等に関する基本的方向
1 基本理念
(1) 特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の基本理念
資源の有効な利用の確保及び廃棄物の適正な処理を図るためには、建設資材の開発、製造から建築物等の設計、建設資材の選択、分別解体等を含む建設工事の施工、建設資材廃棄物の廃棄等に至る各段階において、廃棄物の排出の抑制、建設工事に使用された建設資材の再使用及び建設資材廃棄物の再資源化等の促進という観点を持った、環境への負荷の少ない循環型社会経済システムを構築することが重要な課題であることから、建設資材廃棄物という個別の廃棄物に着目して、その再資源化等を促進するために、建設工事の実態や建設業の産業特性を踏まえつつ、必要な措置を一体的に講ずる必要がある。
(2) 建設資材に係る廃棄物・リサイクル対策の考え方
建設資材に係る廃棄物・リサイクル対策の考え方としては、循環型社会形成推進基本法(平成12年法律第110号)における基本的な考え方を原則とし、次に定めるところによるものとする。
建設資材廃棄物の発生抑制(リデュース)に努めなければならない。
建設資材廃棄物の全部又は一部のうち、再使用(リユース)することができるものは、再使用を行わなければならない。
建設資材廃棄物の全部又は一部のうち、(2)による再使用がなされないものであって再生利用(マテリアル・リサイクル)することができるものについては、再生利用を行わなければならない。
建設資材廃棄物の全部又は一部のうち、再使用及び再生利用がなされないものであって、熱回収(サーマル・リサイクル)をすることができるもの又はその可能性のあるものは、熱回収を行わなければならない。
(1)~(4)措置が行われないものについては、最終処分するものとする。なお、発生した建設資材廃棄物については、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(昭和45年法律第137号。以下「廃棄物処理法」という。)に基づいた適正な処理を行わなければならない。
2 関係者の役割
特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進に当たって、関係者は、適切な役割分担の下でそれぞれが連携しつつ積極的に参加することが必要である。
(1) 建設資材の製造に携わる者
建設資材の製造に携わる者(以下「建設資材の製造者」という。)は、
端材の発生が抑制される建設資材の開発及び製造
建設資材として使用される際の材質、品質等の表示
建設資材の分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等が困難となる有害物質等を含まない素材の使用
など、建設資材廃棄物の排出の抑制並びに分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等の実施が容易となるよう努める必要がある。
(2) 建築物等の設計に携わる者
建築物等の設計に携わる者(以下「建築物等の設計者」という。)は
端材の発生が抑制される設計
分別解体等の実施が容易となる設計
建設資材廃棄物の再資源化等の実施が容易となる建設資材の選択
など設計時における工夫により、建設資材廃棄物の排出の抑制並びに建設資材の分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等の実施が効果的に行われるようにするほか、これらに要する費用の低減に努める必要がある。
なお、建設資材の選択に当たっては、有害物質等を含む建設資材等建設資材廃棄物の再資源化が困難となる建設資材を選択しないよう努める必要がある。
(3) 対象建設工事の発注者
対象建設工事の発注者(以下「発注者」という。)は、対象建設工事の届出等、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律(平成12年法律第104号。以下「法」という。)に規定された義務を適切に実施しなければならない。
また、特定建設資材の分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等に要する費用の適正な負担を行うとともに、元請業者に対して、建設資材廃棄物の排出の抑制並びに分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等の実施について明確な指示を行うよう努める必要がある。
(4) 元請業者
元請業者は、建設資材廃棄物の発生の抑制並びに分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等の促進に関し、中心的な役割を担っていることを認識し、その下請負人に対して、建設資材廃棄物の発生の抑制並びに分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等の実施について明確な指示を行うよう努める必要がある。
(5) 建設工事の施工者
建設工事を施工する者(以下「建設工事の施工者」という。)は、建設資材廃棄物の発生の抑制並びに分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等を適正に実施するほか、施工方法の工夫、適正な建設資材の選択、施工技術の開発等により建設資材廃棄物の発生の抑制並びに分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等の実施が容易となるよう努める必要がある。
(6) 建設資材廃棄物の処理を行う者
建設工事において排出する建設資材廃棄物について自らその処理を行う者及び建設廃棄物を排出する者から委託を受けてその処理を行う者(以下「建設資材廃棄物の処理者」という。)は、建設資材廃棄物の再資源化等を適正に実施しなければならない。
(7) 県
県は、法第46条に基づき建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律施行令(平成12年政令495号。以下「政令」という。)第8条により定める事務を処理する市との調整を図りつつ、国の政策と相まって、建設資材廃棄物の発生の抑制並びに分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化等を促進するために必要な調査、研究開発、情報提供、普及啓発に努めることとする。
(8) 市町村
市町村は、国及び県の施策と相まって、建設資材廃棄物の発生の抑制並びに特定建設資材のリサイクルを促進するために必要な措置を講ずるよう努める必要がある。また、政令第8条により定める事務を処理する市は、政令で定められた特定建設資材の分別解体等に関する事務、特定建設資材廃棄物の再資源化等に関する事務を適切に処理する必要がある。
3 特定建設資材に係る分別解体の方向
特定建設資材に係る分別解体等の実施により特定建設資材廃棄物をその種類ごとに分別することを確保し、特定建設資材廃棄物の再資源化等を促進するためには、特定建設資材に係る分別解体等が一定の技術基準に従って実施される必要がある。
また、特に施工に当たって大量の建設資材廃棄物を排出することとなる解体工事については、最新の知識及び技術を有する者による施工が必要であるため、解体工事を施工する者の知識及び技術力の向上を図るほか、このような技術を有する物に関する情報の提供、適切な施工の監視、監督等を行う必要がある。
4 特定建設資材廃棄物の再資源化等の方向
特定建設資材廃棄物については、対象建設工事のみならず対象建設工事以外の建設工事に伴って生じた特定建設資材廃棄物についても、再資源化として利用すること等を促進する必要があり、工事現場の状況等を勘案して、できる限り工事現場において特定建設資材に係る分別解体等を実施し、これに伴って排出された特定建設資材廃棄物について再資源化等を実施することが望ましい。また、分別解体等が困難であるため混合された状態で排出されるた建設資材廃棄物についても、できる限り特定建設資材廃棄物を選別できる処理施設に搬出し、再資源化等を促進することが必要である。
第2章 建設資材廃棄物の排出抑制のための方策
1 建設資材廃棄物の排出の抑制の必要性
建設資材廃棄物は、産業廃棄物に占める割合が高い一方で、減量化することが困難なものが多い。このため、限られた資源を有効に活用する観点から、最終処分量を減らすとともに、排出を抑制することが特に重要である。
2 関係者の役割
建設資材廃棄物の排出の抑制に当たっては、建築物等に係る建設工事の計画・設計段階からの取組みを行うことともに、適切な役割分担の下でそれぞれが連携しつつ積極的に参加することが必要である。
(1) 建築物等の所有者
建築物等の所有者は、自ら所有する建築物等について適切な維持管理及び修繕を行い、建築物等の長期的使用に努める必要がある。
(2) 建設資材の製造者
建設資材の製造者は、工場等における建設資材のプレカット等の実施、その耐久性の向上並びに修繕が可能なものについては、その修繕の実施及びその体制の整備に努める必要がある。
(3) 建築物等の設計者
建築物等の設計者は、当該建築物等に係る建設工事を発注者の建築物等の用途、構造等に関する要求に対応しつつ、構造躯体等の耐久性の向上を図るとともに維持管理及び修繕を容易にするなどその長期的使用に資する設計に努めるとともに、端材の発生が抑制される施工方法の採用及び設計資材の選択に努める必要がある。
(4) 発注者
発注者は、建築物等の用途、構造その他の建築物等に要求される性能に応じ、技術的及び経済的に可能な範囲で、建築物等の長期使用に配慮した発注に努めるほか、建設工事に使用された建設資材の再使用に配慮するよう努める必要がある。
(5) 建設工事の施工者
建設工事の施工者は、端材の発生が抑制される施工方法の採用及び建設資材の選択に努めるほか、端材の発生抑制、再使用できる物を再使用できる状態にする施工方法の採用及び耐久性の高い建築物等の建設等に努める必要がある。
(6) 県
県は、自ら建設工事の発注者となる場合においては、建設資材廃棄物の排出の抑制に率先して取組むこととする。
(7) 市町村
市町村は、国及び県の施策と相まって、必要な処置を講ずるよう努める必要がある。
第3章 特定建設資材廃棄物の再資源化等に関する目標と規模及び距離に関する基準
1 再資源化の目標等
再資源化施設の立地状況が地域によって異なることを勘案しつつ、すべての関係者が再生資源の十分な利用及び廃棄物の減量をできるだけ速やかに、かつ着実に実施することが重要であることから、今後10年を目途に特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進に重点的に取組むこととし、平成22年度における再資源化等率(工事現場から排出された特定建設資材廃棄物の重量に対する再資源化等されたものの重量百分率をいう。)は、次表の左欄に掲げる特定建設資材廃棄物の種類に応じ、同表の右欄に掲げる率とする。
特定建設資材廃棄物 |
再資源化等率 |
---|---|
コンクリート塊 |
95% |
建設発生木材 |
95% |
アスファルト・コンクリート塊 |
95% |
なお、特定建設資材廃棄物の再資源化等に関する目標については、建設資材廃棄物に関する調査の結果、再資源化等に関する目標の達成状況及び社会情勢の変化等を踏まえて必要な見直しを行うものとする。
2 対象建設工事の規模及び再資源化等に関する距離の基準
(1) 対象建設工事の規模に関する基準
対象建設工事の規模に関する基準は、以下のとおり政令で定める基準とする。
工事の種類 |
規模の基準 |
---|---|
建築物解体工事 |
床面積の合計80平方メートル以上 |
建築物新築又は増築工事 |
床面積の合計500平方メートル以上 |
建築物修繕・模様替(リフォーム等)工事 |
請負代金の額1億円以上 |
その他工作物に関する工事(土木工事等) |
請負代金の額500万円以上 |
注)
- 建築物は建築基準法(昭和25年法律第201号)第2条第1号に規定する建築物をいう。
- その他工作物は建築物以外のものに係る解体工事又は新築工事等。
- 規模の基準の金額は工事請負代金の額とし、自主施工に当たってはこれを請負人に施工させることとした場合における適正な請負代金相当額とする。
ただし、知事は、県内の特定建設資材廃棄物の再資源化及び最終処分場の処分量の見込みその他の事情から判断して、政令で定める規模の基準によっては当該地域において生じる特定建設廃棄物をその再資源化等により減量することが十分でないと認められる場合は、条例により、この基準に代えて適用すべき建設工事の規模に関する基準を定めることができる。
(2) 特定建設資材廃棄物の再資源化等に係る距離に関する基準
法第16条に基づき、指定建設資材廃棄物については、建設工事に係る資材の再資源化等に関する法律施行規則(平成14年国土交通省・環境省令第1号。以下「施行規則」という。)で定める距離に関する基準の範囲内に再資源化施設が存在しない場合その他の地理的条件、交通事情その他の事情により再資源化することには相当程度に経済性の面で制約があるとして施行規則で定める場合には、再資源化に代えて縮減することができる。
本県の再資源化等に係る距離に関する基準は、政令で指定建設資材廃棄物として定められた建設発生木材について、施行規則に基づき50kmとする。
ただし、知事は、県内における指定建設資材廃棄物の発生量や最終処分場の処分量の見込みその他の事情から判断して、施行規則で定める距離の基準によっては特定建設資材の廃棄物の減量が十分でないと認められるときは、条例によりこの基準に代えて適用すべき距離に関する基準を定めることができる。
第4章 特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進のための方策
1 特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進のための方策に対する基本的事項
特定建設資材廃棄物の再資源化等に関する目標を達成するためには、必要な再資源化施設の確保、再資源化を促進するために必要となるコスト削減等に資する技術開発及び再資源化により得られた物の利用の促進が必要となる。
2 特定建設資材廃棄物の再資源化等の促進のための具体的方策等
(1) コンクリート塊
コンクリート塊については、破砕、選別、混合物除去、粒度調整等を行うことにより、再生クラシャーラン、再生コンクリート砂等(以下「再生骨材等」という。)として、道路、港湾、空港、駐車場及び建築物等の敷地内の舗装(以下「道路等の舗装」という。)の路盤材、建築物等の埋め戻し材又は基礎材等に利用することを促進する。
(2) 建設発生木材
建設発生木材については、チップ化し、木質ボード、堆肥等の原材料として利用することを促進する。これらの利用が困難等、環境への負荷の程度等の観点から適切でない場合は燃料として利用することを促進する。
(3) アスファルト・コンクリート塊
アスファルト・コンクリート塊については、破砕、選別、混合物除去、粒度調整等を行うことにより、再生加熱アスファルト安定処理混合物及び表層、基層用再生加熱アスファルト混合物(以下「再生加熱アスファルト混合物」という。)として、道路等の舗装の上層路盤材、基層用材料又は表層用材料に利用することを促進する。
(4) その他
特定建設資材以外の建設資材についても、それが廃棄物となった場合には再資源化等が可能なものについてはできる限り分別解体等を実施し、その再資源化等を実施することが望ましい。また、その再資源化等についての経済性の面における制約が小さくなるよう、分別解体等の実施、技術開発の推進、収集運搬方法の検討、効率的な収集運搬の実施、必要な施設の整備等について関係者による積極的な取組が行われることが必要である。
また、再生資源等が困難な建設資材廃棄物を最終処分する場合は、安定処分品目(環境に影響を及ぼすおそれの少ない産業廃棄物をいう。以下同じ。)については管理型処分品目が混入しないように分別した上で安定型最終処分場(安定処分品目の最終処分場をいう。)で処分し、管理型最終処分場で処分する量を減らすよう努める必要がある。
第5章 再資源化により得られた物の利用促進のための方策
1 特定建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の利用についての考え方
特定建設資材廃棄物の再資源化を促進するために、その再資源化により得られた物を積極的に利用していくことが不可欠であることから、関係者の連携の下で、特定建設資材廃棄物の再資源化により得られた物に係る需要の創出及び拡大に積極的に取組む必要がある。また、特定建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の利用に当たっては、必要な品質が確保されていること並びに環境に対する安全性及び自然環境の保全に配慮することが重要である。
2 関係者の役割
(1) 建設資材の製造者
建設資材の製造者は、建設資材廃棄物の再資源化により得られた物をできる限り多く含む建設資材の開発及び製造に努める必要がある。
(2) 建築物等の設計者
建築物等の設計者は、建設資材廃棄物の再資源化により得られた建設資材をできる限り利用した設計に努める必要がある。また、このような建設資材の利用について、発注者の理解を得るよう努める必要がある。
(3) 発注者
発注者は、建設工事の発注に当たり、建設資材廃棄物の再資源化により得られた建設資材をできる限り選択するよう努める必要がある。
(4) 建設工事の施工者
建設工事の施工者は、建設資材廃棄物の再資源化により得られた建設資材をできる限り利用するよう努める必要がある。また、これを利用することについての発注者の理解を得るよう努める必要がある。
(5) 建設資材廃棄物の処理者
建設資材廃棄物の処理者は、建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の品質の安定及び安全性の確保に努める必要がある。
(6) 県
県は、国の施策と相まって、建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の利用促進のために情報提供並びに普及啓発に努めるほか、建設資材廃棄物の再資源化により得られた物を率先して利用するよう努めることとする。
(7) 市町村
市町村は、国及び県の施策と相まって、必要な措置を講ずるよう努める必要がある。
3 公共工事での率先利用
県の公共工事では、「国等による環境物品等の調達の推進等に関する法律」(平成12年法律第100号)の趣旨を踏まえ、民間の具体的な取組の先導的役割を担うことが重要であることから、特定建設資材廃棄物の再資源化により得られた物を率先して使用するものとする。
なお、市町村の公共工事においても、国や県の工事における特定建設資材廃棄物の再資源化により得られた物の利用促進のための方策に準じた取組を行う必要がある。
第6章 分別解体等、再資源化等及び再資源化により得られた物の利用の意義に関する知識の普及のための広報・啓発活動に関する方策
特定建設資材廃棄物に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等は、実施義務を負う者が該当義務を確実に履行することが重要である。
このため、県及び市町村は、発注者及び施工者が特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等の義務を理解し、当該義務を適正に実施するよう、関係機関・関係団体等と連携を図り、必要に応じて講習会の実施、資料の提供等を行い正しい知識の普及と啓発を推進する。
さらに、再資源化により得られた物の利用については、発注者ができる限り利用することが重要であることから、必要に応じて講習会の実施、資料提供等を行い正しい知識の普及と啓発を図る。
第7章 その他特定建設資材に係る分別解体等及び再資源化等の促進等に関する重要事項
1 分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等に要する費用を建設工事の請負代金の額に適正に反映させるための事項
特定建設資材に係る分別解体等及び特定建設資材廃棄物の再資源化等を適正に実施するためには、その費用を発注者及び受注者間で適正に負担されることが必要である。
このため、受注者は、分別解体及び建設資材廃棄物の再資源化等を適正に行うことができる費用を請負代金として受け取ることができるよう、分別解体等の実施を含む建設工事の内容を発注者に十分に説明する必要がある。
また、対象建設工事の受注者間においても、分別解体等及び建設資材廃棄物の再資源化に要する費用が適正に負担されることが必要である。
2 分別解体等及び建設資材廃棄物の処理等の過程における有害物質等の発生の抑制に関する事項
建設資材廃棄物の処理等の過程においては、「廃棄物処理法」、「大気汚染防止法(昭和四十三年法律第九十七号)」、「ダイオキシン類対策特別措置法(平成十一年法律第百五号)」、「労働安全衛生法(昭和四十七年法律第五十七号)」等の関係法令を遵守し、有害物質等の発生の抑制や周辺環境への影響の防止を図らなければならない。
また、建設資材廃棄物の処理等の過程においては、フロン類、非飛散性アスベスト等の取り扱いには、十分注意し、可能な限り大気中への拡散又は飛散を防止する措置をとるよう努める必要がある。
防腐や防蟻のための木材にCCA(クロム、銅及びヒ素化合物系木材防腐剤をいう。以下同じ。)を注入した部分(以下「CCA処理木材」という。)については、不適当な焼却を行った場合にヒ素を含む有毒ガスが発生するほか、焼却灰に有害である六価クロム及びヒ素が含まれることとなる。このため、CCA処理木材については、それ以外の部分と分離・分別し、それが困難な場合には、CCAが注入されている可能性がある部分を含めてこれをすべてCCA処理木材として焼却又は埋め立てを適正に行う必要がある。
PCBを含有する電気機器等についても、これら建築物等の内部に残置しないようにする必要があため、建築物等の解体に先立ち、これらは撤去され、「廃棄物処理法」に従って適正に措置されなければならない。
3 本指針の見直し等
県は、法の施行状況、特定建設資材廃棄物の分別解体等及び再資源化等の状況及び再資源化施設等の立地状況、社会経済状況の変化を踏まえ、適宜、本指針の内容について見直しを行うなど、必要な措置を講ずることとする。