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平成21年9月県議会定例会知事議案説明
本日は、平成21年度一般会計補正予算その他の諸案件につきまして、御審議をお願いするため、お集まりをいただき、厚くお礼を申し上げます。
まず最初に、新政権の発足に当たりまして、私の所感を申し上げます。
先の総選挙の結果を受け、一昨日、民主党を中心とする新たな連立内閣が発足いたしました。
総選挙に際し、民主党が示されたマニフェストにおきましては、「地域主権」の確立、地方自主財源の大幅拡充、国と地方の協議の場の法制化等が明記されており、地方の立場からは、これらの早期具体化を大いに期待するものでありますが、一方で、今後の地方行政を大きく左右する政策も、多数盛り込まれております。
例えば、自動車関係諸税の暫定税率の廃止や「子ども手当」の支給、公立高校の実質無償化、後期高齢者医療制度の廃止等は、いずれも地方にとって多大な影響が生じる政策であり、その実施に当たりましては、地方の財政運営に支障を与えることのない適切な財源措置や、既存施策との十分な調整が不可欠であります。
特に、国民の関心を集めている高速道路の無料化につきましては、他の交通機関への影響や地球温暖化対策との整合、あるいは実施に伴う財源確保問題など、多面的に検討を行うことが必要であります。
こうした中、来年度からの政策の実施に向け、前政権で決定された国の来年度予算に係る概算要求基準については、白紙に戻すとの表明がなされているところであります。
また、喫緊の課題である景気・雇用対策につきましては、本県としても、国の補正予算を積極的に活用し、6月補正予算において、総額541億円の経済危機対策関連事業を措置しており、既に一定の効果も上げております。
しかしながら、これについても、政策実施の財源確保を図るため、先に国の補正予算に係る執行停止の方針が示され、関係省庁においては、国庫補助金の交付手続きを見合わせるなど、具体的な動きが出ております。
仮にこれらの事業が中止となった場合には、地方財政はもとより、地域経済や雇用情勢に深刻な影響を及ぼすことが予想されるところであります。
従いまして、私といたしましては、このような地方の不安定な状況を早急に解消されるよう、新政権におかれては、「地域主権」の理念の下、地方の意見と実態を十分に踏まえ、適切な対応を行っていただきたいと考えております。
次に、議案の説明に先立ち、御報告を申し上げます。
まず、「7月21日・豪雨災害」についてであります。
災害の発生から約2ヶ月を経過いたしましたが、その傷跡は、今なお、県内各地に数多く残っております。
このため、県といたしましては、先月開催をいただいた臨時県議会において、総額118億円に上る災害対策関連予算を計上し、災害の早期復旧と被災者救援対策、さらには、二次災害・再度災害の防止対策に全力で取り組んでいるところであります。
こうした中、議会と一体となって、激甚災害法の早期適用を国に強く要望してまいりました結果、公共土木施設につきましては、災害復旧事業の進捗を早めるなど、早期復旧に向けた対応を決定していただき、また、農林施設関係については、去る8月25日に激甚災害法の適用が決定されるなど、各種の財政支援措置が講じられることとなったところであります。
また、被災者救済対策につきましては、災害救助法や被災者生活再建支援法に基づく各種支援策を速やかに実施するとともに、被災された農林漁業者に対しては、関係機関と連携して現地に赴き、技術指導、経営指導や融資制度の紹介・斡旋を行うなど、きめ細かな支援に取り組んでいるところであります。
さらに、今回の豪雨災害を踏まえ、あらゆる角度から今後の防災対策上の課題と対応を検討するため、土石流・山地崩壊の発生原因と復旧対策や、多数収容施設である福祉・医療施設における避難対応、さらには消防・防災組織の連携強化について、既に各分野の専門家等からなる4つの検討委員会を設置いたしました。
今後、年内を一応の目途に取りまとめを行い、私を会長とする「山口県防災会議」において、その具体化を図り、地域防災計画への的確な反映と防災対策の強化につなげてまいる考えであります。
次に、全国植樹祭の開催についてであります。
この度、第63回全国植樹祭を、平成24年春、山口県において開催することが決定いたしました。
全国植樹祭は、国土緑化運動の中心的な行事として、毎年、天皇皇后両陛下の御臨席を仰ぎ、全国から多くの参加者を得て開催されているものであり、本県での開催は、昭和31年以来の56年振り、2回目となります。
私は、今回の開催について、本県が推進している豊かな森林づくりの取組みを一層加速化するとともに、その成果を全国に発信する絶好の機会と考えており、今後、関係機関と連携し、諸準備を進めていくこととしておりますので、県議会をはじめ、関係各位の御理解と御協力をお願いいたします。
次に、最近の経済情勢についてであります。
我が国経済の動向につきましては、失業率が過去最高水準となるなど、雇用情勢は一段と厳しさを増し、設備投資も減少しておりますが、輸出、生産は持ち直し、企業収益は、大幅な減少が続く中で、そのテンポが緩やかになっており、また、個人消費も持ち直しの動きがみられるなど、景気は、厳しい状況にあるものの、このところ持ち直しの動きがみられるとされております。
一方、県内経済につきましては、雇用情勢は引き続き厳しく、個人消費も全体として弱まっており、また、設備投資は大幅に減少しておりますが、輸出や生産は、内外の在庫調整の進捗や海外経済の改善等を背景に持ち直しており、県内景気は、これらを中心に下げ止まっております。こうした中、中小企業の景況には、引き続き厳しいものがあります。
なお、このような状況を踏まえた今後の財政見通しにつきましては、企業収益が当初の予想以上に減少していること等から、県税収入において、大幅な減収が見込まれているところであります。
このため、引き続き、景気の動向等を十分に注視しながら、今後の財政運営を行っていく必要があると考えており、具体的には、行政経費の一層の節減や行政執行の効率化はもとより、歳入・歳出両面のあらゆる角度から、更なる財源確保対策に努めるとともに、国に対し、適切な減収補てん措置を強く要請するなど、財政収支の均衡を図るため、最大限の努力を行っていく考えであります。
それでは、提出議案の概要につきまして、御説明を申し上げます。
議案第1号は、平成21年度一般会計補正予算であります。
今回の補正予算は、「7月21日・豪雨災害」対策関連事業を追加措置するほか、当面緊急を要する経費につきまして、所要の補正を行うものであり、その補正総額は88億4,200万円、補正後の予算規模は、7,889億9,000万円となっております。
その主な内容といたしましては、まず、豪雨災害対策につきまして、8月議会後における現地精査の結果、新たに判明した被害状況に基づいて、農地、林道等の災害復旧事業や、砂防・治山施設に係る災害関連事業を増額することとし、51億3,200万円を追加計上しております。
また、道路、河川における土砂等の除去経費を追加するほか、今後の防災対策に関する調査・検討等を新たに行うこととし、4億9,900万円を計上しております。
なお、今回の計上額の合計56億3,100万円と、8月補正予算を合わせた関連経費の総額は、175億2,000万円となっております。
また、その他の経費につきましては、内航フェリーを活用した新たな旅行商品の開発を支援することとし、1,500万円を計上するほか、昨年度中間申告納付された法人関係税の確定申告に伴う還付金等として、31億円を追加計上しております。
なお、経済危機対策の関係につきましては、現在の国政の状況に鑑み、国において補正予算の取扱いが確定するまでの間、関連予算の追加措置は見送らざるを得ないと考えているところであります。
一方、歳入予算につきましては、歳出との関連において、国庫支出金38億5,300万円、県債46億5,300万円等を追加するとともに、県内の企業や民間団体等から寄せられた災害見舞金を豪雨災害対策に活用させていただくこととし、6,000万円を計上しているほか、所要一般財源につきましては、繰越金2億5,300万円をもって措置しております。
議案第2号は、平成21年度の県が行う建設事業に要する経費に関し、市町が負担すべき金額を定めることについて、地方財政法等の規定により、県議会の議決をお願いするものであります。
議案第3号から議案第9号までは、条例の一部を改正するものであります。
議案第3号は、総合医療センターに勤務する医師の分べん業務手当を新設するため、
議案第4号は、国家公務員退職手当法の一部改正を踏まえ、退職手当に係る新たな支給制限及び返納等の制度を設けるため、
議案第5号は、船員保険法の一部改正に伴い、非常勤の船員である職員を条例の規定による補償の対象とするため、
議案第6号は、農地法等の一部改正に伴い、関係条項を整備するとともに、県から市町への権限移譲について、新たな事務の追加等を行うため、
議案第7号は、土壌汚染対策法の一部改正等に伴い、手数料の新設等を行うため、
議案第8号は、高等学校の統合再編に伴い、田布施農工高等学校及び大津緑洋高等学校を新設するため、
議案第9号は、周南市における住居表示の実施に伴い、警察署の管轄区域の整備を行うため、 それぞれ関係条例の一部を改正するものであります。
議案第10号から議案第23号までは、事件議決に関するものであります。
議案第10号及び議案第11号は、工事の請負契約の締結について、
議案第12号は、土地の買入れについて、
議案第13号から議案第15号までは、物品の買入れについて、
議案第16号及び議案第17号は、平成22年3月20日の萩有料道路の無料化に向け、料金徴収期間の変更の同意及び山口県道路公社定款の変更の認可申請を行うことについて、それぞれ県議会の議決をお願いするものであります。
議案第18号は、平成20年度の山口県歳入歳出諸決算につきまして、県議会の認定をお願いするものであります。
なお、当該決算に係る主要な施策の成果並びに基金の運用状況につきましても、併せて説明書を提出しております。
議案第19号から議案第22号までは、平成20年度の企業会計の決算につきまして、地方公営企業法の規定に基づき、それぞれ県議会の認定をお願いするものであります。
議案第23号は、人事案件に関するものでありまして、教育委員会の委員の任命について、県議会の同意をお願いするものであります。
教育委員会委員 村上智真氏は、来る10月8日をもちまして、その任期が満了いたします。
ここに、同氏の御在任中の御労苦に感謝をいたしますとともに、その御功績に対し、深く敬意を表するものであります。
つきましては、後任の委員の任命を要するのでありますが、私といたしましては、高潔な人格、豊富な知識、経験等を考慮いたしまして、村上智真氏の再任をお願いすることとし、ここにお諮りする次第であります。
なお、同氏の御経歴は、お手元に配付をいたしました履歴書のとおりであります。
この際、御報告を申し上げます。
工事請負契約の一部を変更すること及び交通事故等による損害賠償の額を定めることにつきましては、専決処分により、処理をいたしました。
また、公立大学法人山口県立大学の業務の実績に関する評価結果の報告、平成20年度の決算に係る健全化判断比率及び公営企業の資金不足比率の報告、中山間地域振興条例ほか6条例に基づくそれぞれの年次報告並びに県が出資等を行っている法人の経営状況を説明する書類につきましては、別添のとおり作成をいたしましたので、提出をいたします。
以上、提出議案等につきまして、その概要を御説明申し上げました。何とぞよろしく御審議のほど、お願いを申し上げます。