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知事発言集・令和2年度の県政運営について(知事訓示)

ページ番号:0011314 更新日:2020年4月2日更新

 皆さん、おはようございます。

 令和2年度の開始に際して、今年度の県政運営について申し上げたいと思います。今年度は新型コロナウイルス感染症の拡大防止の観点から、例年のような合同会議の形では開催せずに、このように動画を配信する形で、皆さんに新年度に際しての指示なりお願いをお伝えしたいと思います。

 まず申し上げたいのは、まさにその新型コロナウイルス感染症への対応についてです。
 国内の感染者は依然として増えてきております。県内でも、感染者が確認され、予断を許さない状況が続いております。
 本県では、1月末に「山口県新型コロナウイルス感染症対策本部」を立ち上げて、市町や関係機関と連携を密にして、ウイルス検査や受入医療機関の体制強化を図るとともに、小・中・高・特別支援学校の春休みまでの臨時休業や医療・介護施設等へのマスク等の配布、相談窓口の設置など、予防やまん延防止に向けた対策を講じ、県民の皆様の不安の解消に取り組んできました。
 一方、イベント等の中止や延期、施設の休館による人の移動の減少、産業活動の縮小の懸念など、県内経済への影響も出始めています。

 こうした状況を乗り越えていくため、先月23日には、感染拡大防止対策と県民生活の安定、そして、県内経済の下支えを柱とする緊急対策を取りまとめたところです。
 今月取りまとめられる予定の国の緊急経済対策とも連携して対策を実行し、感染症により影響を来している地域経済をしっかりと回復させていかなければなりません。
 刻一刻と状況が変化する中、職員の皆さんには、引き続き、課題や県民のニーズを迅速、そして的確に捉え、先回りの対応がとれるように、緊張感を維持しつつ全庁を挙げて全力で取り組むようお願いします。

 新年度のスタートに当たり、新型コロナウイルス感染症対策をはじめとする、県民の安心・安全を第一として業務にあたることを県職員の共通認識として申し上げた上で、今年度の県政運営についての、私の考え方を申し上げたいと思います。

新たな時代の県づくりに向けて

 人口減少をはじめ、本県が直面する課題を克服し、未来を切り拓いていくためには、本県の強みを活かし、潜在力を引き出し、さらに伸ばしていくことが必要であり、私は、こうした考えの下で、やまぐち維新プランに基づく取組を進めています。

 本県においては、若者を中心とする県外流出などにより本県の転出超過は拡大するとともに、合計特殊出生率は伸び悩み、出生数も9千人を割り込むなど、人口減少に歯止めがかからない厳しい状況が続いています。
 人口減少の克服は、一朝一夕に解決できるものでなく、息の長い取組が必要ですが、取組が遅れれば遅れるほど深刻さが増し、克服が困難となるため、一刻も早く、取組を強化していかなければなりません。

 このため、「3つの維新」に果敢に挑戦していくことが重要ですが、その上では、新たな視点による取組も必要です。
 AIや5G等の未来技術の進展によって、Society5.0時代が到来しようとしています。私は、こうした技術を活用することで、これまで解決が困難とされていた課題を、従来にはない手法で解決するとともに、新たな産業の創出や生活の質の飛躍的な向上を図ることができると考えています。

 また、地方の人口減少が進む中、都市部の人材が地域に多様な形で継続してつながりを持つ「関係人口」という考え方が注目されています。これによる地域の新たな担い手確保や地域課題の解決、地域活性化を図ることもできるはずです。
 そして、様々な課題を抱える本県においてこそ、こうした新たな技術や視点を積極的に活用し、課題の解決等に挑んでいくことが必要です。

 職員の皆さんには、県政の最重要課題である人口減少問題にしっかりと向き合い、克服していくための取組を力強く進めていく、こうした考えを共有して、新たな時代の県づくりに挑戦いただくことをお願いし、今年度の施策推進の方針について申し上げます。

今年度の施策推進方針について

 県政が直面する多くの課題を克服するため、今年度の施策の推進に当たっては、「未来へつなぐ「3つの維新」への更なる挑戦」、「地方創生の推進」、「持続可能な行財政基盤の確立」この3つの柱で進めてまいります。

(1)未来へつなぐ「3つの維新」への更なる挑戦

 まず、未来へつなぐ「3つの維新」への更なる挑戦についてです。
 今年度は、総合計画「やまぐち維新プラン」の3年目を迎え、プランに基づく取組を進め着実に成果を挙げるとともに、昨年度末に策定した「第2期山口県まち・ひと・しごと創生総合戦略」の取組をスタートさせ、本県の地方創生を次のステージへと押し上げていく、大変重要な年となります。

 このため、本県が有する強みや潜在力を活かし、「3つの維新」への更なる挑戦によって、本県の未来を希望に満ちたものとする、そのための4つの重点項目により施策を推進していきます。

4つの重点推進項目

(1) Society5.0時代を見据えた未来技術の活用
 まず、1つ目は、Society5.0時代を見据えた未来技術の活用ですが、未来技術を活用した新たなビジネスの創出や生産性の向上に向けて、5G等の利用環境の早期整備を図るため、新たに未来技術活用プロジェクトマネージャーを配置し、推進体制を構築するとともに、本県の製造業の高度化を図るため、新たなスマートファクトリーモデルの創出に取り組みます。

 また、二次交通の一層の充実に向け、AI等の活用による新たなモビリティサービス、MaaSの実証を進めます。
 さらに、中小企業の生産性向上を図るため、業務の効率化を進めるRPAの活用に向けた共同化の実証を行うとともに、県自らもRPAやAI等の技術を先導的に導入し、企業や市町における活用の拡大を図ります。

 このほか、高齢化が進む農林水産業において、スマート農業の導入支援や、ドローンを活用した再造林事業の低コスト化の実装を推進します。また、土木分野において、AI技術を活用した橋りょうの点検・診断作業のシステムの構築など、幅広い分野での未来技術の活用を進めます。

 未来技術による生活等の質の向上では、子どもたちの情報活用能力の育成や個々の能力に応じた教育を行うため、県立学校における生徒1人1台PC端末の導入に着手するなど、教育のICT化を進めていきます。
 また、遠隔医療に向けた体制の実証や、県立美術館での未来型の展示等、5G技術を活用した取組を進めます。

(2) 地域に関わる新しい人の流れの創出
 2つ目は、地域に関わる新しい人の流れの創出ですが、やまぐちとの「つながり」が生み出す新たな人の流れを創出するため、大都市圏の住民等が多様な関わりにより県内地域とつながりをもつ「関係人口」の創出・拡大を進めます。
 「やまぐちとのつながり」が生み出す新たな人の流れを創出するため、都市部の人材と県内地域をつなぐ拠点を東京の「おいでませ山口館」に設置し、本県への人材の誘導を進めます。
 また、仕事上の知識や経験を活かしてボランティア活動に取り組むプロボノワーカーを県外から呼び込み、県内での活動の活性化を図ります。

 さらに、首都圏のプロフェッショナル人材の県内中小企業での受入を進める戦略拠点の体制を強化し、人材の還流と中小企業の成長を支援します。
 ひとの交流を促進する地域交通ネットワークの整備・充実を図るため、AI等を活用した新たな地域交通モデルの形成に向けた取組を進めるほか、今後5年間で県内全ての路線バスで交通系ICカードを利用できるよう、事業者に対する支援を行います。

(3) 地域を支える多様な人材の確保・育成
 3つ目は、地域を支える多様な人材の確保・育成ですが、医療・介護の提供体制の充実を図るため、民間事業者を活用し、へき地医療機関に医師を派遣する新たな体制を構築するほか、看護師の中小病院等への就業を促進する奨学金返還支援制度を創設します。

 多様な人材が活躍する地域社会の実現に向けて、農繁期等に地域外から人材を受け入れる体制を構築するほか、県内団体のトップによる「やまぐち女性活躍応援団」を設立し、女性を応援する取組を強化します。

 知・徳・体の調和のとれた教育の推進と教育環境の充実では、全国で初めて、県内の全ての公立学校で導入が完了したコミュニティ・スクールについて、中高連携体制の構築など活動をさらに活性化させていきます。
 魅力ある大学等づくりと若者たちの県内定着の促進では、県内全ての大学等で構成する「大学リーグやまぐち」と産業界との連携体制を構築し、県内進学や県内就職等を促進する取組を強化します。

(4) 社会全体での子育て支援体制の充実
 4つ目は、社会全体での子育て支援体制の充実です。社会全体で子育てを応援する体制や機運を一層充実させていくため、「みんなで子育て応援山口県」の推進として、新たに「やまぐち子ども・子育て応援コンソーシアム」を設立し、企業等による子育て応援の取組の充実を図るとともに、多子世帯への県産米贈呈制度を創設します。

 また、保育士を目指す学生への修学資金貸付制度を創設するほか、子どもの居場所づくりに向けて、子ども食堂の開設に対する助成制度を創設し、集中的な支援を行い、県内で100箇所の設置を目指します。
 アレルギー疾患について、専門的な医療が可能な医師等を認定・公表する制度の創設を行うほか、医療的ケアが必要な子どもの家族の相談支援等を行うピアサポーターを養成します。

 困難を有する子どもへの支援の充実では、児童虐待について、相談対応件数が増加する中、児童相談所の児童福祉司等を増員するとともに、自治体間の迅速で漏れのない情報共有を可能にする全国統一システムを導入し、児童虐待対策に係る体制を強化します。
 また、地域で児童虐待の未然防止や早期発見等に取り組む企業の認定やサポーターの養成、優良活動の表彰制度を創設します。
 さらに、男女共同参画相談センターに専門人材を配置し、DV被害者等の子どもに対する支援体制の充実を図ります。このほか、里親の募集や研修、支援等を包括的に行う民間機関を設置し、社会的養護を必要とする子どもの養育環境の向上に取り組みます。

(2)地方創生の推進

 2つ目は、地方創生の推進についてです。
 これまで、平成27年度に策定した「山口県まち・ひと・しごと創生総合戦略」のもと、国と地方を挙げて地方創生の推進に取り組んできましたが、先ほど申し上げたように、転出超過や少子化の進行により、本県では社会減、自然減が続く大変厳しい状況です。
 こうした中、今回、第2期の総合戦略を策定し、その基本目標については、5年後となる令和6年度における転出超過の半減や、合計特殊出生率1.7の実現など、高いレベルの目標を掲げたところです。

 人口減少の克服に向けて、これらの目標を必ず達成していくという強い決意のもと、総合戦略に掲げる取組を効果的に推進するようお願いします。

(3)持続可能な行財政基盤の確立

 3つ目の柱は、持続可能な行財政基盤の確立についてです。
 県政推進の土台となる揺るぎない行財政基盤の確立に向けて、行財政構造改革の取組を進めてきたことにより、歳入と歳出のギャップが縮小し、基金残高も増加するなど、改革の効果が徐々に現れてきています。

 現時点の試算では、令和4年度当初予算時点で、臨時的な財源確保対策に依存しない財政運営を実現できる見通しとなっているところですが、これらは、どこまでも現時点の見込みに過ぎず、この取組を実行することにより、見込みを確実なものとしていかなければなりません。
 引き続き、手を緩めることなく、全庁挙げて徹底した改革の取組を進め、新たな県づくりを支える揺るぎない行財政基盤の確立に向けて、しっかりと取り組んでいただくようお願いします。

職員としての心構え

 以上、今年度の施策推進方針を申し上げましたけれども、皆さんが仕事を進めていく上での心構えについて、2点申し上げます。

(1)危機管理の徹底

 まず、1点目は、危機管理の徹底についてです。
 目下、新型コロナウイルスへの対応を全庁挙げて行っているところですが、近年、地震や豪雨災害などが全国で猛威を振るっています。そして、いつそうしたことが起こるのか全く予想がつきません。こうした危機事象に対しては、これまでも申し上げてきましたように、職員一人ひとりが、常に緊張感を持って、十分な心構え、そして備えをしておくことが重要です。発生した災害等については、初動対応を的確に行うことが、被害の拡大防止や軽減につながります。

 改めて、このことを念頭に置き、県民の皆様の安心・安全を第一に、それぞれの職務の中で、日頃から、不測の事態に迅速に、的確に対応できるよう不断の準備を怠ることのないようお願いします。

 特に、終息時期が見通せない新型コロナウイルス感染症については、感染拡大を防止し、また、その影響を最小限に食い止めるべく、取組を進めていかなければなりません。引き続き、全庁挙げての万全の対応をよろしくお願いします。

(2)幅広い主体との連携・協働

 2点目は、幅広い主体との連携・協働です。
 地域が抱える課題は複雑化、多様化しております。こうした課題を解決していくためには、県の取組だけで解決することは難しく、市町はもとより、企業や大学、金融機関、民間団体、そして県民の皆様との連携・協働を一層強化していく必要があります。

 それぞれが有する強みやノウハウ、ネットワーク、こうしたことを最大限活かしながら、より大きな成果が挙げられるように取り組んでいただくようお願いします。

終わりに

 以上、県政運営に関する私の考え方を申し上げました。
 このたびの新型コロナウイルス感染症のように、先例のない、そしてまた、終息に向けて先が見通せない、そうした中にあっても、県政を停滞させることなく、様々な施策を着実に推進していかなければなりません。

 職員の皆さんには、県政の最重要課題である人口減少の克服に向けて、不測の事態ではありますが、柔軟に対応し、最善の策を追求し、挑戦していただきたいと思います。

 私自身も、先頭に立って積極果敢に挑戦してまいります。
 新たな山口県の活力を生み出していくため、この一年、共に頑張っていきましょう。よろしくお願いします。