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知事発言集・平成28年度本庁部課長・出先機関の長合同会議知事訓示

ページ番号:0011347 更新日:2016年4月7日更新

 皆さん、おはようございます。
 新年度のスタートに当たりまして、今日は、職員の皆さんと課題意識を共有して、同じ思いを持って、ともに県政を進め、県民の皆様の期待にしっかりと応えていけるように、県政運営に関しまして、私の考え方について申し上げたいと思います。

チャレンジプランと総合戦略の推進

 まず、一点目は、チャレンジプランと総合戦略の推進についてです。
 昨年の国勢調査の速報値によりますと、山口県の人口は、140万人台は維持したものの、近年の調査の中で最も減少幅が大きくなっています。そしてまた、昨年における人口の転出超過は4,600人余りと、前年に比べて約1,000人増加するなど、人口減少に歯止めがかかっておらず、今後、更なる減少が続けば、地域経済や県民生活に大きな影響を及ぼすことが懸念されます。

 そうした困難な課題に真正面から向き合い、将来にわたって元気な山口県を創っていくために、県政運営の指針であります「元気創出やまぐち!未来開拓チャレンジプラン」と、地方創生の具体的な取組の道筋を示す「山口県まち・ひと・しごと創生総合戦略」を策定して、「活力みなぎる山口県」の実現に向けた取組を進めているところです。
 中でも、総合戦略におきましては、平成31年までの5年間に、若年者6千人の雇用の場を創出していく、そしてまた人口の転出超過を半減させるとともに、合計特殊出生率を1.65まで向上させていくなどの具体的な目標を掲げております。いずれも高いハードルではありますけれども、その実現を目指して、今年度は、総合戦略に基づく取組を本格的に始動させていく重要な年であると考えています。
 また、チャレンジプランにつきましても、計画期間の後半期を迎えることから、123の活力指標の目標達成に向けて、取組をさらに加速化し、確かな成果を県民の皆様に目に見える形でお示ししていきたいと考えております。
 このため、今年度の予算では、厳しい財政状況にありましても、引き続き、主要施策における全国トップ水準への挑戦、「日本一」の実現に取り組むとともに、施策重点化方針に基づく6つの重点項目について、国の地方創生加速化交付金も最大限に確保・活用しながら、先駆的で実効ある事業に対して、予算を重点配分したところです。

幅広い主体との連携・協働

 その中で、とりわけ私として重視したいのは、市町はもとより、企業や大学、金融機関や民間団体、そして県民の皆様との連携・協働を一層強化し、その力を結集し、全県を挙げた取組を推進していくということであります。
 人口減少の克服という困難な課題に立ち向かっていくためには、県の力だけでは到底及びません。県内の幅広い主体と力を合わせて、それぞれが有するノウハウや資源、ネットワークなどを最大限活用しながら、まさに総力戦で取り組んでいかなければならないと思っています。そして、その積み重ねが、着実な成果へとつながっていくものと考えています。

 今年度予算においては、そうした観点をこれまで以上に重視して、県の果たすべき役割として、新たな基盤の構築や仕組みづくりに取り組むこととしたところです。

産業力の強化と中堅・中小企業の成長支援

 6つの重点項目ごとに申し上げれば、まず、「産業力の強化と中堅・中小企業の成長支援」においては、山口型ハンズオン支援による中堅・中小企業の成長促進に向けて、産学公金の連携体制の下で、産業振興と雇用の創造を一体的に進めていくとともに、創業支援では、新たに「まちなか創業支援施設」を設置し、市町、関係団体とも連携しながら、若者等の円滑な創業をサポートします。
 また、首都圏市場における県産品の売り込み強化を図るために、官民協働によって、山口県版の「地域商社機能」の構築に取り組むこととしています。

やまぐち観光維新の推進

 次に、「やまぐち観光維新の推進」では、多様な関係者と一体となって、「観光地経営」の視点に立って、全県的な観光地域づくりの舵取り役となります「やまぐちDMO」の形成と確立を図っていきます。さらに、昨年8月に盟約を締結した「平成の薩長土肥連合」ですとか、今年3月には、瀬戸内にインバウンド需要を取り込んでいくために、関係7県で「せとうち観光推進機構」を立ち上げるなど、広域的な連携も推進していくこととしています。

 このように、地域同士が切磋琢磨して、それぞれの魅力に一層磨きをかけていくとともに、一体的な活動を通じて高い相乗効果を発揮し、各地域の新たな活力につなげていくことが重要です。観光分野に限らず、地域間連携の取組も積極的に進めていきたいと考えています。

元気な農林水産業の育成

 そうした広域のメリットも踏まえ、「元気な農林水産業の育成」につきましては、本県の農業の経営体質を強化していくため、複数の集落営農法人による連合体を全国に先駆けて育成していくほか、関係団体との緊密な連携の下で、私自らも「ぶちうま売込隊」の隊長として、トップセールスをしっかりと努めながら、県産農林水産物の大都市圏に向けた販路拡大や、海外への輸出拡大に取り組んでいきます。

県内への定着・還流・移住の推進

 次に、「県内への定着・還流・移住の推進」です。、昨年9月に国の事業採択を受け、県内大学等が学生の地元就職率の向上に取り組む「COCプラス事業」と連携を図りながら、若者の県内就職、県内への定着を促進します。
 また、全県を挙げたUJIターンの取組を進めて、本県への新たな人の流れを創り出していくために、昨年設立した県民会議を活動の核として、幅広い世代を対象とする移住支援ツアーを実施するとともに、先輩移住者が新たな移住者を支える仕組みを創設するなど、受入支援を一層強化することとしています。

結婚・出産・子育て支援の充実

 次に、「結婚・出産・子育て支援の充実」では、社会全体で子育てを支える取組として、企業等の協力を得て、「やまぐち子ども・子育て応援ファンド」を創設します。それとともに、新たに「やまぐち子育てサポーターバンク」を設けて、地域の高齢者等が子育て支援活動に参加する仕組みづくりに取り組みます。また、三世代の同居・近居を推進するため、民間とも連携した推進体制を構築し、協賛企業の各種割引特典が受けられる「パスポート制度」なども創設していきます。
 教育面につきましては、全国トップであるコミュニティ・スクールの設置率、この4月には100%になっておりますが、活動内容等の充実を図って、社会総がかりによる「地域教育力日本一」の取組をさらに推進していきます。

活力ある地域づくりの推進

 そして、「活力ある地域づくりの推進」では、中山間地域にICT関連企業等のサテライトオフィスを誘致するために、市町と連携して、受入地域や進出企業へのきめ細かな支援を実施していきます。また、市町や地元商工団体等との協働によって、中山間地域で起業・継業を希望する人材を首都圏等から呼び込んでいくこととしています。

 職員の皆さんには、こうした連携・協働を着実に進めて、確かな成果に結び付けていくために、各主体と課題意識をしっかりと共有し、互いに創意工夫を凝らしながら、より実効性を高めることができるよう、積極的な取組をぜひお願いします。同時に、山口県が何を目指し、どう取り組んでいくのかを県民の皆様に分かりやすく伝えて、理解と協力、さらには事業への参画を得て、取組の浸透と一層の拡大が図られるよう、努めていただきたいと思います。

国の地方創生の取組への対応

 二点目として、国の地方創生の取組への対応についてです。
 地方創生に向けては、これまでも新たな国の政策に対応して、本県が全国をリードする、そういう気概を持って取組を進めてまいりました。先般、基本方針が示された政府関係機関の地方移転においても、本県が提案した3つの機関全てについて、拠点施設の移転などを進めることとされたところであります。
 こうした中、国においては、今年度、事業規模で2千億円となる「地方創生推進交付金」や、企業版の「ふるさと納税制度」を創設して、地方創生の深化を後押しするとされています。私としては、本県の実情に即した取組をさらに推進するための貴重な財源として、これらの制度を積極的に活用していきたいと考えております。
 地方創生推進交付金については、官民協働等の先駆性のある取組や、既存事業の隘路を打開する取組などに対して、複数年度にわたって交付されるということとされております。今後、しごと創生や働き方改革、住みよい地域づくりなどに係る「地域再生計画」を策定し、交付金の最大限の確保を図りたいと考えておりますので、各部局の積極的な対応をお願いします。

厳しい県財政への認識と対応

 三点目として、全職員に認識していただきたいのが、県財政は危機的とも言える極めて厳しい状況にあるということです。
 本県では、近年、全国より早い高齢化の進行等に伴う社会保障費の増大や、公債費が高止まりしているということなどから、恒常的に歳出水準が歳入水準を上回っており、この財源不足を基金の取崩しによって対応せざるを得ない状況になっています。
 今年度の予算編成におきましても、220億円に及ぶ財源不足が生じ、国に対して地方財政措置の充実を求めるとともに、全庁を挙げた歳入・歳出両面にわたる財源確保対策に努めていただきました。皆さんの御努力や、国への要望の成果により、財源不足は70億円にまで圧縮できましたが、結果的には、本年度末の基金残高見込額は、チャレンジプランで目標とした100億円を下回る73億円となっている状況です。

 このように、基金残高の減少基調に歯止めがかからない中、平成29年度予算も、さらに厳しい状況下での編成となることが見込まれます。したがって、財政基盤の強化に向けた一層の取組が急務となっており、職員の皆さんには、まずは、今年度の施策推進に当たり、「最小の経費で最大の効果を挙げる」ことを念頭に、効率的な事業の執行による経費節減に努めていただくとともに、引き続き、更なる財源確保の取組を進めていただくよう、お願いします。

危機管理の徹底

 次に四点目は、危機管理の徹底についてです。
 昨年度におきましても、台風災害や大雨による被害など、住民の安心・安全を脅かす事態が全国的に多発しております。
 「悲観的に準備し、楽観的に対処せよ」という言葉があるように、職員一人ひとりが、予測できない事態はいつでも起こり得るということを肝に銘じて、常日頃から、十分な心構えと備えをしておくことが重要です。
 県民の皆様の安心・安全を第一に考え、常に、情報の的確な収集・管理に努め、不測の事態に迅速かつ的確に対応できるよう、危機管理の徹底に取り組んでいただくことを改めてお願いしておきます。

終わりに

 以上、今年度の県政運営に関する私の考え方を述べさせていただきました。

 様々な困難な課題がありますけれども、それを克服して、「活力みなぎる山口県」をぜひ創っていかなければいけないと考えています。厳しい環境の中でも、他方で様々なチャンスもあります。しっかりと知恵を出し、工夫をして打開できることはいろいろあると思っております。今後、国のほうでも様々な動きが出てくると思っておりますけれども、ぜひアンテナを高くして、そして組織力をしっかりと発揮して、成果を上げる取組をしっかりと進めていただきたいと思います。
 そのために、幹部職員の皆さんには、ぜひ職員一人ひとりが意欲を持って、その持てる能力を存分に発揮できるような職場づくり、自由闊達な議論をして、その中で生まれた優れたものが実行されて成果に結びついていく、そういった職場づくりにぜひ努めていただきたいと思っております。
 県庁一丸となって、更なる飛躍を目指して頑張っていきたいと思います。

 今年度も、ぜひ一緒に頑張っていきましょう。