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知事発言集・令和7年度本庁部課長・出先機関の長合同会議 知事訓示

ページ番号:0299306 更新日:2025年4月7日更新

 皆さん、おはようございます。

 令和7年度のスタートに当たりまして、本日は、職員の皆さんと課題意識を共有をして、ともに県政を進め、県民の皆様の期待にしっかりと応えていけるように、今年度の県政運営に関する私の考え方について、まず申し上げたいと思います。

新たな未来に向けた県づくり

 目下、社会経済情勢が目まぐるしく 変化をしています。

 先週、アメリカのトランプ大統領が、自動車への追加関税措置を発動して、各国に向けて相互関税の発動、これも発表されたところです。

 これは、世界経済全体に大変大きな打撃を与える信じられない一方的な決定であります。世界経済、そして日本経済への影響はもとよりですけれども、輸出関連分野の多い本県の産業面でも今後様々な影響が生じることが懸念されます。

 この事態に的確に対応していくべく、直ちに、経営等に関する相談に対応する特別相談窓口を設置をし、県の制度融資による金融支援を行うこととしました。そして、今後起こり得る様々な状況変化、そしてニーズを速やかに把握をして、必要な対策を検討していくために、庁内連絡会議を立ち上げることにしました。

 こうしたことをはじめですね、今後あらゆる分野で起こり得る様々な環境変化、これを、我々はしっかりと捉えて、そして、そうした変化に決して遅れをとることなく適切に対応していかなければなりません。こうした状況変化に機動的に対応をしていきながら、本県の最重要課題であります人口減少、こうしたことについて、克服に向けた取組、こうしたことを着実に進めていくことが必要です。

 人口減少について言いますと、想定を超えるペースで進行しております。労働力の減少をはじめとする様々な課題に直面する中で、今、私たちは、目の前にある深刻な現状への対応とともに、山口県を今後どのように持続させ、また発展させていくのか、未来への責任を果たす上で、重要な岐路に立っています。

 本県では、20代の若者を中心とした大都市への流出が続くとともに、昨年の出生数は、初めて7,000人を下回って、過去最少となる見込みです。

 また、生産年齢人口の減少に伴う人手不足は、県内産業の企業活動はもとより、公共交通や、物流、医療、介護など、日常生活の基盤を担う分野に大きな影響を生じさせています。

 人口減少問題は、今現在のみならず、将来にもわたる課題であって、これを克服して、本県の活力ある未来を築いていくためには、若い世代のニーズにこれまで以上に寄り添うことで、若者の転出超過、そして少子化の進行に歯止めをかけて、同時に、直面する人口減少社会に耐え得る、持続可能な社会システムへの転換、これも速やかに進めていかなければなりません。

 こうした中、国においては、新たな地方創生の取組が動き出しています。地方創生2.0として、人口規模が縮小しても経済成長し、社会を機能させる適応策を講じていくため、安心して働き、暮らせる地方の生活環境や付加価値創出型の新しい地方経済の創生などの政策を検討し、今年の夏に、今後10年間集中的に取り組む基本構想を取りまとめるとされたところです。

 これまで申し上げてきたとおり、本県には、半導体関連企業等の成長産業の集積や魅力溢れる観光資源など、本県ならではの大きな強みがあります。このポテンシャルを最大限に活かして、国とも連携しながら、若者・女性をはじめ、全ての県民が地域で、自ら望む形で働き、暮らせる環境づくりをさらに力強く前に進め、県の将来にわたる持続的な成長に繋げていくことが必要です。

 職員の皆さんには、こうした考えを共有して、新たな未来に向けた県づくりの取組に積極的に挑戦していただくことを、まずお願いをした上で、今年度の施策推進方針について、私の考えを申し上げます。

今年度の施策推進方針

 今年度の施策の推進に当たっては、「人口減少の克服に向けた取組の充実」、そして「将来に希望をもって暮らし、働き続けられる県づくり」と「新たな行財政改革の着実な推進」、この3つを大きな柱として、全庁を挙げた取組を進めていきます。

1 人口減少の克服に向けた取組の充実

 1つ目の柱は「人口減少の克服に向けた取組の充実」です。

 一層深刻化する人口減少を克服していくためには、山口県の未来を支える若者のニーズに応える施策をきめ細かく進めることによって、「若者に選ばれる山口県」を創っていかなければなりません。

 このため、今年度の当初予算では、昨年実施した若者・子育て世代の実感を捉える調査の結果ですとか、地域の実情を把握する市町の施策提案等も踏まえて、取組のさらなる充実・強化を図ったところです。これをスピード感を持って展開していくことが重要です。​

<人手不足が深刻化する地域産業の人材の確保・育成

 まず、「人手不足が深刻化する地域産業の人材の確保・育成」に向けて、20代の若者を中心に、東京圏や福岡県への転出超過がさらに増加している現状を踏まえて、20代の若者にこれまで以上に焦点を当てて、若者の県内就職や定着、ふるさと回帰の取組を強化します。

 本県から転出者が最も多い福岡県に、暮らしと仕事の相談にワンストップで対応できる拠点を設置するとともに、大学や学生へのアプローチ強化に向けて、福岡県と広島県へのキャリアコンサルタントを配置をし、県外の新卒・第二新卒者を対象とした戦略的な情報発信や就職の支援など、県内就職に繋がる若者の活動を後押しをしていきます。

 また、若者の県内定住を図り、県内で働き続けていただくことに繋げていくため、若者の住宅取得を支援していきます。

 さらに、地域産業が持続的に成長・発展していくため、多様な人材の確保・定着として、女性のライフイベントに応じた多様で柔軟な働き方の実現や、女性の働きやすい職場環境づくりを推進をするほか、外国人材の確保・定着に向け、ベトナムとインドネシアに現地サポートデスクを設置するなど外国人材の送り出し側との関係を強化するとともに、県内企業の受入体制を整備していきます。​

<少子化対策のさらなる充実>

 次に、昨年、抜本的に強化した少子化対策についても、若者が、結婚、妊娠、出産など希望するライフデザインを実現していけるよう、取組を一層充実していきます。

 若い世代等の結婚の希望を叶えるため、結婚応縁センターの会員数増加に向けた会費無料化や認知度向上に取り組むとともに、大規模な婚活イベント等の取組を拡大し、出会いの機会の拡大を図ります。

 また、産後4か月以上の母子を対象とした産後ケアの全県的な提供体制の構築や、周産期医療体制を確保するため、正常分娩から中リスク分娩まで幅広く妊婦を受け入れている産科医療機関を支援するなど、さらにきめ細かな支援を充実していきます。​

2 将来に希望をもって暮らし、働き続けられる県づくり

 2つ目の柱は、「将来に希望をもって暮らし、働き続けられる県づくり」です。
 
 人口減少下にあっても、未来に向けて活力を創出をし、展望を描ける社会を構築していくため、地域の維持・活性化に繋がる取組を充実・強化していきます。

​​<成長のエンジンとなる産業力のさらなる強化>

 まず、本県経済の持続的な成長を実現をするためには、その基盤となる強い産業力をつくることが極めて重要です。
 
 このため、「成長のエンジンとなる産業力のさらなる強化」に向けまして、これまでも本県の有する高度技術や優れた産業集積を活かした産業戦略を進めてきたところであり、企業誘致の設備投資額が2年連続で過去最高となるなど着実に成果が現れています。
 
 今後、こうした流れを確かなものとするため、世界的に市場が拡大する半導体・蓄電池等の成長分野のさらなる集積に取り組むとともに、県内大学における情報系学部の相次ぐ新設を本県の情報産業の振興に向けた好機と捉え、こうした人材の受け皿となるデジタル関連企業の誘致を強化します。

 また、本県経済の屋台骨であるコンビナートの脱炭素化に向けた各地域における挑戦をしっかりと後押しをしていくとともに、旺盛な海外需要を取り込むため、台湾やベトナム等とのネットワークを活かし、企業の海外ビジネスの戦略的な取組や県産農林水産物等の輸出拡大等による取組を支援していきます。

<交流人口の拡大による活力と魅力にあふれる地域づくりの推進

 次に、観光振興や交流拠点の整備等を通じて交流人口を拡大し、活力と魅力にあふれる地域づくりを進めていきます。
 
 まず、観光では、来週開幕する大阪・関西万博や、来年秋のデスティネーションキャンペーンなどを大きなチャンスとして、山口が誇る多彩な観光資源や、認知度や魅力度を飛躍的に高めることにより、インバウンド需要の獲得をはじめ、本県への誘客拡大を図り、地域経済の活性化につなげていきます。

 また、山口きらら博記念公園の交流拠点化に向け、中国地方最大級のフラワーガーデンや大型複合遊具に続き、親水広場やサイクリング・ジョギングコース等の整備等を進めるほか、Mine秋吉台ジオパークのユネスコ世界ジオパーク認定や錦帯橋の世界文化遺産登録に向けて、美祢市や岩国市と連携した取組を進めていきます。

 さらに、新たな人の流れの創出に向けて、本県への継続的な来訪を促す体験型プログラムの実施等により「第2のふるさとづくり」を推進し、関係人口の増加や将来の移住につなげていくほか、学生や若手社会人、移住者などが、地域において気軽に交流・活躍できる「サードプレイス」のモデル創出に取り組みます。

<安心して快適に暮らせ誰もが活躍できる地域社会の実現​​

 次に、「安心して快適に暮らせ誰もが活躍できる地域社会の実現」に向けて、医療提供体制等の充実を図るため、県立総合医療センター、環境保健センターの機能強化に向けた整備を進めるとともに、地域医療を担う医師の勤務環境改善に向けて、医師派遣体制等を支援していきます。

 また、県民のニーズを起点に、本県での生活をより便利で快適なものとしていくため、県政の各分野・各地域におけるDXの実現に向け、自動運転バスのレベル4での実証運行や、介護現場におけるICT・介護ロボット等の導入支援をはじめ、先進的なデジタル技術の社会実装を進めていきます。

 さらに、全県立学校の校内ネットワークの高度化を実現するなど、「やまぐちスマートスクール構想2.0」をさらに推進していくとともに、児童生徒のいじめ・不登校等の未然防止、早期発見・早期対応に向けた対策を一層強化していきます。

<能登半島地震の課題を踏まえた防災・減災対策の強化​>

 また、全国各地で自然災害が頻発化、激甚化しています。今後30年以内に80%程度の確率で発生するとされている南海トラフ巨大地震については、先日発表された国の新たな被害想定の中で、本県においても大きな被害が発生するとされたところです。

 県民の生命と財産を災害から守るためには、過去の災害の教訓や最新の知見を活かし、本県の防災・減災対策を一層強化していかなければなりません。

 このため、今年度は、大規模災害への備えに万全を期すため、能登半島地震の課題を踏まえ、事前防災の徹底や避難所環境の抜本的改善等の関係予算を大幅に拡充をしたところです。

 全市町に配備可能な衛星インターネット機器の導入による災害時の通信環境の確保や、ドローンによる緊急物資の輸送体制を構築するための実証等を進めるとともに、幹線道路網の整備や道路施設等の老朽化対策、河川改修など国土強靱化の取組も着実に推進していきます。​​

3 新たな行財政改革の着実な推進

 3つ目の柱は、「新たな行財政改革の着実な推進」です。

 人口減少の克服や新たな県づくりに挑戦をするとともに、将来にわたって必要な行政サービスを持続的・安定的に提供していくためには、行財政基盤の一層の強化が不可欠であり、先月、今後の道筋を示す「新たな行財政改革推進方針」を取りまとめたところです。

 この改革の取組は、県政を取り巻く様々な環境変化への組織的なレジリエンスを高めるとともに、「安心で希望と活力に満ちた山口県」の実現を支える土台作りとなるものであり、職員の皆さんには、自らの役割を十分に認識し、主体的かつ積極的に取り組んでいただきますようお願いいたします。​

職員としての心構え

 以上、今年度の施策推進の方針を申し上げました。

 ここで併せて、皆さんが、今後仕事を進めていく上での心構えについて、3点、お願いをしたいと思います。​

1 県民実感の向上につながる成果の追求

 1点目は「県民実感の向上に繋がる成果の追求」についてです。

 人口減少問題をはじめ、本県を取り巻く行政課題がますます複雑化・高度化をしております。取組による成果を最大化し、県民の皆様に山口ならではの豊かさ、そして幸せを実感していただけるように、今年度はこれまで以上に成果に着目して施策を展開していきたいと考えています。

 そのためには、県民の皆様に、県の取組をよく知ってもらって、制度を活用してもらうこと、そして、取組への参画の気運を一層高めていくことが重要です。
まずは、様々な機会を捉えて、施策の内容とか狙いについて丁寧な説明を行っていただくとともに、届けたい内容に応じた的確なターゲティングや若者への訴求力が高いSNS等の活用など、デジタルマーケティングの手法等を積極的に取り入れた戦略的な情報発信に取り組んでいただきたいと思います。

 また、昨年実施しました「若者・子育て世代を対象にした県民実感度調査」、これを他の分野にも横展開するなど、県民の実感度のデータをエビデンスとした新たな施策展開や、効果的また機動的な改善につなげていくなどの、施策立案サイクルを各部局において積極的に取り入れ、施策の実効性を高めていただくようにお願いします。​

2 人材育成・確保の取組を通じた質の高い県民サービスの提供​

 2点目は、「人材育成・確保の取組を通じた質の高い県民サービスの提供」についてです。

 新たな行財政改革において掲げる「レジリエントな行政体制の強化」を実現するためには、職員一人ひとりの持つ力をさらに伸ばし、より質の高い県民サービスを提供できる取組を目指していかなければなりません。
 
 このため、新たな行革推進方針に併せて、「山口県人材育成・確保基本方針」を策定し、目指すべき職員像を「いきいきと働きながら、自身の能力を最大限発揮し、県民のウェルビーイング向上を目指して行動する職員」としました。
 
 この職員像の実現に向けて、「人材育成」に加え、「人材確保」、そして「職場環境の整備」を総合的に図るという観点から取組を強化していきます。
 
 職員の皆さんには、こうしたことを念頭に、これまで申し上げている、「現場重視」、「成果重視」、「スピード重視」、この「3つの視点」を改めて徹底をしていただくとともに、業務に当たっては、(1)「県民のための県政」であること、(2)高い志と「情熱をもって挑戦」すること、(3)あらゆる主体と「連携・協働」していくこと、(4)様々な変化に対して自らの思考や知識を柔軟に「アップデート」していくこと、(5)自らと組織の「ウェルビーイング」向上を意識すること、この5点を常に強く意識して、それぞれの仕事に取り組んでいただくように、お願いします。​

3 危機管理の徹底

 3点目は、「危機管理の徹底」についてです。
 昨年は、能登半島地震をはじめ、台風や豪雨による被害など、全国で大規模な自然災害が頻発をしました。
 職員一人ひとりが、こうした自然災害が、いつどこでも起こりえるものと、そうした認識の下で、常に緊張感を持ち、十分な心構えと、平素からの備えをしておくことが重要ですし、いざ災害等が発生した際には、初動の対応が極めて重要となります。

 こうしたことを念頭に、どのような事態にも迅速そして的確に対応できるように、それぞれの職務の中で、日頃から情報の収集・管理に努め、また、危機管理を徹底していただくよう改めて強くお願いしておきます。

終わりに

 以上、県政運営に関する私の考え方を申し上げました。

 私は、県民の皆様に安心と豊かさを実感していただけるように、これまでの取組の成果を基盤に、県のさらなる成長を実現していくとともに、人口減少をはじめ、県政が直面する様々な課題を乗り越えていく、そうした強い決意を持って、今年度の県政運営に取り組んでいく所存です。

 職員の皆さんにも、今年一年、私と同じ志をもって積極的に挑戦を重ねていただくことを強く期待をしています。

 この一年間、共に頑張っていきましょう。よろしくお願いします。