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知事発言集・知事就任訓示(令和8年2月20日)
はじめに
皆さん、おはようございます。
新たな任期のスタートを迎えるに当たりまして、これからの県政運営につきまして、私の基本的な考えと、皆さんへのお願いを申し上げたいと思います。
県政を取り巻く状況
私は、知事に就任以来、職員の皆さんと共に、「安心で希望と活力に満ちた山口県」この実現を目指して、県づくりに取り組んできました。
その結果、企業誘致による半導体・蓄電池、医療関連などの成長産業の集積や、移住者数の増加など、様々な成果が上がってきているところです。
今回の選挙を通じて県内各地を回り、こうした成果やこれまでの取組についてお伝えをしていく中で、県民の皆様の期待を強く感じ、その期待に応えられるように、取組をさらに推し進めていかなければならない、そうした思いを新たにしたところです。
その一方で、今住んでいる地域での暮らしを守ってほしい、もっと元気で安心して暮らせる地域にしてほしい、そうした将来に対する不安の声も多く耳にしてきたところです。
こうした声の背景には、県政の最重要課題である人口減少が加速度的に進行している、こうした現実があります。そして、この人口減少の影響は、今後、一層顕在化していくことが予想されます。
これをできる限り抑制をしながら、人口減少・少子高齢化社会にあっても、本県の活力を維持・向上をさせていくとともに、県民が安心して、希望を持って暮らし続けることができる、そうした県づくりを、迅速に、そして着実に進めていかなければなりません。
また、長期化する物価高騰から県民の暮らしや事業活動を守っていくことや、急速に進展するデジタル化やGXなどの新たな社会経済システムに対して、柔軟に、そして的確に対応していくことも不可欠です。
本県のさらなる成長のためには、現状の打開にとどまらず、社会構造の変容などに、将来を見据えて、先手を打って対応し、厳しく困難な状況を乗り越えていかなければなりません。
私は、これからの4年間、私たちが暮らすこの山口県をしっかりと守り抜き、そして未来を切り拓くために、県づくりを新たなフェーズへと高めていく、このことに果敢に挑戦をしていく考えです。
「成長と安心の好循環」の実現
私が目指すのは、強い産業による経済面での成長と、その成果を県民の暮らしの安心へとつなげていく、そして互いに高め合いながら、社会全体が持続的に発展をしていく「成長と安心の好循環」の実現です。
私たちの暮らしを守り、将来にわたって支え続ける原動力となるのは、雇用の創出や所得の向上をもたらす「強い産業」です。
私は、これまでの成果を基盤に、半導体等の成長産業の集積を一層加速をさせていくとともに、農林水産業や観光をはじめとするあらゆる産業の高付加価値化を推進するなど、本県が有する強みを活かし、潜在力を最大限に引き出して、確かな成長へと結びつけていきたいと考えています。
本県の未来をつくる「稼ぐチカラ」を高めることによって、人口減少下においても揺るがない、県民の生活を守る力となる、強靱で持続可能な産業基盤を構築していきます。
とりわけ、先日、計画申請書を提出し、これから選考が行われるGX戦略地域の指定は、脱炭素社会を迎える中で、本県産業を将来に向けて大きく飛躍をさせていく絶好の機会となります。本県には、コンビナートや製造業が集積をし、道路や港湾など、産業を支える基盤が充実をしているなど、すばらしい立地環境が整っています。また、脱炭素化に向けて、これまでにない企業間の連携や全国に先駆けた取組を行うなど、他にはない大きなアドバンテージを持っています。
このチャンスを何としても掴み取って、世界からの投資を呼び込み、日本有数のGX産業拠点の形成を目指していきます。
そして、こうした産業力の強化で得られた成長の果実を、子育てや教育、医療、福祉、地域交通など、県民生活を支える様々な分野へ確実に行き渡らせ、県内各地に暮らす方々の生活をしっかりと守り、不安なく暮らせる基盤を整えていきます。
今回の選挙期間に各地域を回る中で、中山間地域の過疎化が一層深刻化していることを目の当たりにしました。地域を守っていくためには、医療提供体制や地域公共交通のあり方など、地域が抱える課題について、将来の人口減少や年齢構造の変化を見据えた対策を講じ、持続可能な地域社会の形成に取り組んでいかなければなりません。
こうした取組を進め、県民誰もが、人生のどの段階においても、不安を感じることなく歩み続けられる、「人生100年を支える『安心』」を確立していきます。
この安心が県内全域、暮らしの隅々にまで広がることで、それが人材の確保・定着や消費の拡大を生み、企業活動や地域経済が一層活性化し、次の成長へとつながっていきます。
このように、成長が安心を生み、その安心がさらなる成長の後押をしていく、この好循環をつくり上げられるように、全力で取り組んでいきます。
この「成長と安心の好循環」を実現するためには、県政を支える行財政基盤の一層の強化について、新たな行財政改革を推し進めながら、これまでの取組で培ってきた県づくりの流れを、より強いもの、より確かなものにしていかなければなりません。
そのために、職員の皆さんには、本県の強みや特色を、さらなる「成長」へと結びつけていく、山口ならではの先駆的で実効性の高い取組や、人口減少下における限られた人的・財政的資源を、全体最適の観点から効率的に活用して「安心」を確保していく、新たな仕組みの導入など、一段上・一歩先を目指して、積極的にチャレンジを是非行っていただきたいと思います。
職員としての心掛け
次に、今後の県政運営に当たり、皆さんに心がけていただきたいことを、3点申し上げます。
県民起点の行政
1点目は、県民を起点とした行政の徹底についてです。
私たちの仕事は、県民の皆様の安心と幸せの実現のためにあります。現状を踏まえ、未来の姿を予測し、常に「県民の皆様のために、何をすべきか」と自らに問う、理解と共感が得られる対応となっているかを考えながら、日々の業務に当たっていただきたいと思います。
また、人々の意識や価値観の多様化が進む中で、県民や事業者の皆さんの声に真摯に耳を傾け、その背景にある課題やニーズを的確に捉えた上で、施策を構築していく必要があります。
そして、県が行っている取組を広く知ってもらうことも大変重要です。様々な施策の情報をしっかりと伝えることで、その効果をより多くの皆様に実感してもらうことができます。そこから得られる県民の思いや考えを、施策のさらなる充実へとつなげていくこともできます。
県の施策が果たしている役割を理解していただくことで、県政に対する信頼を深め、ひいては県民の参画を促すことにもつながります。
県民の皆様が成果を実感でき、高い満足度を得られるように、県民一人ひとりの立場に立って、その思いに応えることを強く意識をして、それぞれの取組を進めていただくようにお願いします。
スピード感を持った対応
2点目は、スピード感を持った対応についてです。
人口減少が想定を超えるスピードで進むなど、社会経済情勢は目まぐるしく変化をしています。このことは、県政にも様々な影響をもたらし、取り組むべき課題への対応が遅れることになれば、深刻化の度合いは一層増していくことになります。そのため、解決に向けて、従来の枠組みやスピードで業務を行っていては、県民の皆様の期待に応えていくことはできません。
職員の皆さんには、それぞれの分野で、その時々の状況を的確に捉え、先の展開を見据えて、先手先手で対応していただきたいと思います。積極的に解決策を模索して、迅速に実行に移し、そして、変化を恐れず、新たな発想を柔軟に取り入れて、これまで以上に「スピード」を意識して業務に取り組んでいただくようにお願いします。
あらゆる主体の力の結集
3点目は、県民の皆様をはじめ、市町や関係団体、企業、大学など、あらゆる主体の力の結集についてです。
これまでも、様々な主体との連携・協働を通じて、新たな取組を創出し、着実に成果へと結びつけてきました。
行政課題が一層複雑化、高度化をする、そうした中にあっては、多様な主体が課題意識を共有して、それぞれが有する知識やノウハウを戦略的・効果的に活用して対応していくことが、持続可能性を高めることにもつながり、今まで以上に重要になります。
人口減少など、県政を取り巻く状況が厳しい中で、これを乗り越えるために進める、「強い産業をつくり、経済成長を目指す取組」や、「県民の暮らしを守り、安心を確保していく取組」は、容易に成し遂げられるものではありません。こうした困難な課題にこそ、国と連携し、そして、本県のあらゆる主体の力を結集して取んでいかなければなりません。
本県に関わる多様な主体が、それぞれの強みを発揮し、ワンチームとなって取組を推進することで、より大きな成果につながります。皆さんには、この意識を改めて強く持っていただきたいと思います。
おわりに
以上、新たな任期のスタートに当たりまして、私の考えを申し上げました。
私は、これからの4年間を、山口県の20年後、30年後の姿を形づくる極めて重要な期間だというふうに考えています。その位置づけの下で、これまでの成果を基盤として、何としても「成長と安心の好循環」、これを創出するという強い決意を持って、新たな県づくりに全力をあげて取り組んでまいります。
このサイクルが力強く動き出していくことで、山口県は必ずや持続的な発展を遂げていくことができると、私はそのように確信をしています。
この思いを職員の皆さんとしっかりと共有をして、「安心で希望と活力に満ちた山口県」の実現に向けて、先頭に立って、皆さんと一緒に積極果敢に挑戦を重ねていきたいと考えています。
共に頑張っていきましょう。よろしくお願いします。

