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CIRレポート・k1305
CIRレポート 5月号(韓国)
家庭の月
国際交流員 池 垠 伊(韓国)
はじめまして。韓国からまいりました池 垠伊(チ ウニ)と申します。
これからこのページで、韓国の今の姿をお届けしたいと思いますので、どうぞよろしくお願いします。
日本と同じく韓国の5月は家庭に関わった記念日が集中している月で、このため、韓国では5月を「家庭の月」ともいいます。
5月の記念日としては「こどもの日」、「両親の日」、「先生の日」、「成年の日」などがあり、家族への愛情や大切さを改めて呼び起こす時期です。
5月になると、全国各地で、この記念日に関係した様々なイベントがたくさん行われ、行楽地は多くの人でにぎわいます。
こどもの日(5月5日)
韓国の「こどもの日」は日本と同じ5月5日で、次の社会の担い手である子ども達の成長や幸せを願います。
「こども」という言葉や、「こどもの日」という用語は、1900年代の初期には使われていませんでした。
それが、子どもに愛情を注ぐことのできる社会作りや、子どもの権利のために取り組んできた「パン・ジョンハン」という児童文学家やその団体によって、1922年に「こどもの日」が制定されました。
その後、1970年からは、国の祝日となっています。
「こどもの日」になると全国的な記念式典はもちろん、いろいろな自治体で体育大会、演劇公演、音楽会、美術大会などの、子ども向けのイベントが行われます。
この日に限り子ども達は、公園、博物館、記念館、美術館、体育館などの施設を無料で利用できます。
そのため、「こどもの日」になると、こういった施設は子ども連れの家族で混雑します。
両親の日(5月8日)
日本では父の日と母の日が区別されていますが、韓国では5月8日の「両親の日」に父と母を一緒に祝います。
「両親の日」は、1956年に制定された「母の日」がその始まりですが、母親だけではなく父親も祝うべきだという世論があって、1974年からは両方を祝うようになりました。
「両親の日」の各家庭の朝の姿としては、親は子どもが用意してくれたカーネーションを誇らしげに胸につけて職場へ向かうのが一般的です。
「両親の日」を控えて、学校では生徒たちがカーネーションを作ったり、丁寧にカードや手紙を書いたりして、両親に対する感謝の気持ちを伝えます。
そして「両親の日」をねらった色々な商品が出てきます。特にお年寄り向けの健康機器や健康サプリメントなどに人気があり、最近では「親孝行観光」という、海外旅行商品も売られています。
全国各地では、いろいろな記念行事が行われますが、特に老人を慰安するイベントなどが主流になっています。
先生の日(5月15日)
5月15日は「先生の日」で、先生に感謝する気持ちを伝える日です。
いくつかの過程を経て、今は「ハングル」を作った「世宗(セジョン)大王(デワン)」の誕生日である5月15日が「先生の日」となりました。
学校では、クラス全員が先生の前で「先生の歌」を歌ったり、カーネーションや手紙を送ったりしながら、先生に対する感謝の気持ちを伝えます。
昔から韓国では、「先生の影法師も踏んではいけない」という言葉があって、先生は尊敬すべき存在だとされていました。
しかし、今はそのような厳かなイメージはだんだん薄まってきて、今の「先生の日」は、生徒たちが主となって、先生のための面白いイベントをしながら、先生と楽しく過ごそうとしています。
昔は「先生の日」に、先生に対する感謝の気持ちを、贈り物に込めて送ったりしましたが、色々な不祥事が起きてしまったため、今は学校の裁量で休校したり、先生に何らかの金品を渡すことそのものを禁止したりして、不祥事の防止に向け、色々な工夫をしています。
しかし、先生は尊敬すべき存在だという気持ちそのものは色あせず、韓国人の心の中に残っています。「先生の日」になると、何年経っても、学生時代の恩師を毎年訪れる人の姿が多く見られます。
成年の日(5月の第3月曜日(2013年は5月20日)
「成年の日」は毎年5月の第3週月曜日で、今年は5月20日になります。
成人としての自負心と責任が与えられる日で、満20歳の若者たちが成人になったことを祝います。
法律的に成人になる年齢は満20歳ですが、運転免許を取得できる年齢は18歳で、選挙権は満19歳になれば与えられます。
伝統的に「成年の日」は、冠婚葬祭の中でも大事な節目とされてきて、今も多くの地域や機関によって、伝統的な「成年式」が行われています。もっとも有名なところは、昔、儒教の教育を担当していた「成(ソン)均館(ギュングァン)」で行われる成年式です。
今は伝統的な行事より、「成年の日」を迎えた個人やその家族、大学で行われるイベントがもっとも多くなっています。
特に若者の間では、成年の日に恋人から、香水とばらの花束、キスをプレゼントしてもらうのがおしゃれだとされていて、成年の日を恋人と過ごす人も少なくありません。
この時期、大学の祭りも5月中旬に集中しているため、大学の一番活気付く時期は成年の日の前後だともいえます。