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明けましておめでとうございます。
皆様には、新春を健やかにお迎えのことと、謹んでお慶びを申し上げます。
県議会では、県政の諸課題、議会改革に果敢に取り組んでいるところであり、新たな年を迎え、決意も新たに、県民により身近な存在となるよう、政策立案能力の向上や提言機能の充実、さらなる透明性の向上など、「開かれた県議会」に向け一層精進を重ね、その役割を果たしていきたいと考えています。
沖縄本土復帰から半世紀を迎えた昨年、2月に勃発したロシアによるウクライナへの軍事侵攻は、冷戦後の国際秩序の崩壊による地政学的不確実性がもたらす経済リスクや民主主義国家対専制主義国家という新しい対立の構図を浮き彫りにしました。我が国が位置するインド太平洋地域は、政治、経済、軍事など国家間による競争が顕在化し、グローバルなパワーバランスの変化の影響を大きく受けています。北朝鮮の度重なる弾道ミサイルの発射は、日本全土はもちろん、各地域においても、その平和や安全に極めて深刻かつ重大な脅威となるもので、台湾海峡を巡る動きも相俟って、この地域の安全保障を巡る現況は予断を許さない状況にあります。
こうした中、本県選出国会議員として、憲政史上最長の8年8か月の長きにわたり、内閣総理大臣の重責を務められた安倍晋三元内閣総理大臣が、凶弾に倒れる大変痛ましい事件が発生しました。「今日よりも、明日の方が良くなる日本を作りたい。」との強い信念のもと、日本が世界の真ん中で咲き誇れるよう鼓舞し続けた真の指導者でした。
突然過ぎる永遠の別れへの深い悲しみの中、国葬儀に続き、県民葬儀がしめやかに執り行われ、先生の長逝に深く哀悼の意を表し、そのご遺徳を忘れることなく、本県の発展に向け邁進することを固くお誓いしました。
昨年夏、第26回参議院議員選挙では、これまでの自公連立の政権運営が高く評価され、厳しい世界情勢の中にあっても人々の暮らしと産業を守り、全世代が安心して暮らせる社会を実現するための政策の訴えが、多くの国民に幅広く理解され支持されました。政府・与党の皆様には、山積する課題を打破し、疲弊している地域の生活や経済を守るため、諸政策をしっかりと前に進めていただき、日本、そして地方の着実な成長に向け活躍していただきたいと願っています。
県政では、昨年2月に行われた知事選挙において見事再選を果たされた村岡知事のもと、新型コロナウイルス感染症から県民の命と健康を守りつつ、傷んだ地域経済と暮らしを再生させる取組が力強く進められています。
8月には、周防大島町にデービッド・イゲ ハワイ州知事を始めとするハワイ州訪問団の皆様をお迎えして、山口県とハワイ州との姉妹提携締結の調印式が挙行されました。私ども県議会も、ハワイ州議会との友好提携調印に向け鋭意準備を進めているところであり、全議員参加で設立されたハワイ友好促進山口県議員連盟を中心に、これまで長年にわたって築いてきたハワイ州との交流を未来に向け、文化、教育、経済などの幅広い分野で、より一層発展を遂げるよう尽力する所存です。
また、本年は新たな総合計画「やまぐち未来維新プラン」に沿った県づくりが本格的に始動する重要な年であります。デジタル化や脱炭素化といった社会変革の動きを本県成長のチャンスと捉え、県議会としてしっかり支えてまいります。
県議会では、時代の要請に応じた地方創生の取組が加速・深化するよう、令和3年度から2つの特別委員会を設置し、有識者の方からの意見も聞きながら議論を重ねてまいりました。「脱炭素社会における産業発展方策調査特別委員会」では、本県の特性や環境を活かした産業発展に向けた政策提言をとりまとめ、政府等への要請活動を行い、「人にやさしいデジタル社会実現特別委員会」においては、近年急速に進展するデジタル改革の取組が、より地域の実情に即した形で、着実かつ効果的に進展するよう、取り組むべき事項について調査研究を進め、その対応を村岡知事に要請したところです。
また、世界中に蔓延した新型コロナウイルスに対する入国制限の規制緩和等により往来がしやすい環境になりつつある、この機会を逃すことなく、今後のASEAN地域における交流活動の更なる拡大を図るため、高い経済成長を遂げている、シンガポール、ベトナム、フィリピンに県議会議員訪問団を派遣しました。訪問団は県執行部と連携して友好交流を深めるとともに、県議会独自の交流や本県の新たな海外展開の足掛かり等を模索し、経済発展著しいこの地域の熱気と激しい国際競争の現状を肌で感じ、今後の県勢発展に繋がる可能性を持ち帰りました。
今春には4年に一度の統一地方選挙が実施されます。公職選挙法改正によって、本県の衆議院小選挙区は、4選挙区から3選挙区へ減少することとなり、「地方の声」が国政に届きにくくなることが懸念されます。また、近代化後の首都圏を襲った唯一の巨大地震「関東大震災」から100年を迎えますが、近年の頻発化・激震化する自然災害への備えの重要性はますます高まっており、加えて歯止めがかからない人口減少など、我々を取り巻く環境は大きく変化しています。
こうした中、県議会は活力ある地方創生に向けた取組を推し進め、多様化する地方議会の役割を的確に果たしていきたいと考えています。
今年の干支は「癸卯(みずのとう)」で、これまでの努力が実を結び、勢いよく成長し飛躍するという意味がこめられています。物事に挑み続け躍動するアスリートの姿が人々に勇気や感動を与える様に、私といたしましても、「夢と情熱」をもって、本県のさらなる振興・発展のために全力を尽くす決意です。
本年が、皆様にとりまして、輝かしく素晴らしい年となりますよう心から念願いたしますとともに、本県議会に対しまして、本年も変わらぬご支援、ご協力を賜りますようお願い申し上げ、新年のごあいさつといたします。
山口県議会議長 柳居 俊学