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森林・林業活力強化プロジェクト・素材生産力強化に向けた取組概要
素材生産力強化に向けた取組について
搬出間伐などによって木材の伐出(素材生産)を行えば、健全な森づくりと併せ、木材生産による収入が期待できます。
しかしながら、素材生産は、2~4名で行う多工程作業であり、大型の林業機械や高度な技術、チームワークを必要とします。現状の木材価格で森林所有者へ所得還元するには、採算性の合う生産コストや生産性を実現していかねばなりません。
当プロジェクトでは、低コストで生産性の高い素材生産システムの確立に向け、森林組合等林業事業体が実施主体となって次のことに取り組んでいます。
(1)団地の設定
利用期に達したスギ・ヒノキ人工林が集中して存在する森林を対象に、「森林整備加速化団地」を設定し、生産性向上に向け、具体的な目標と取組を明記した実行計画をたてます。
(2)事業地の集約化
団地内の森林所有者へ、地区座談会などを通して事業提案を行い、所有の異なる森林をとりまとめて、事業地の集約化を図っていきます。
(3)路網の整備
効率的な素材生産を行うには、林内路網の整備が不可欠です。地形や地質を考慮の上、使用機械や作業の手法・流れ(「作業システム」)に適応した丈夫で壊れにくく、森林にも優しい森林作業道等を整備していきます。
(4)作業の機械化
生産性を高めるには、作業を機械化することが必要です。搬出間伐等素材生産では、伐倒、木寄せ・集材(伐倒木を道端まで引き寄せること)、造材(伐倒木から3m、4mなどの丸太を採材すること)、運搬(造材した丸太を、トラックが乗り入れ可能な山土場まで運搬すること)の各作業工程で、チェーンソーをはじめ、各種の林業用機械を使用します。現場の条件に応じて機械を組み合わせ、ムダのない効率的な作業システムの構築に取り組みます。
また、一台でいくつもの処理をこなす高性能林業機械の計画的、段階的な導入を図っていきます。
(5)人材の育成
森林所有者へ事業提案を行い、事業地の集約化を図るには、幅広い専門知識を持った営業マン(「森林施業プランナー」)が必要です。また路網整備や搬出間伐の現場においては、高度な技術を持ち、機械を自在に操る技能者が必要です。
このような人材を育成、確保するため、各種研修への受講や、技術交流を積極的に行っていきます。
(6)改善に向けた取組
生産性の向上や低コスト化を実現するには、組織全体で目標と計画を持ち、実行した内容を検証し、課題を見つけ出して改善につなげることが重要です。
このため、「注PDCAサイクル」の実践などに取り組み、経営の改善、強化を図っていきます。
(注) PDCAサイクル
品質の維持・向上や業務改善を推進するマネジメント手法。
P(Plan=計画)、D(Do=実行)、C(Check=評価)、A(Act=改善)の4段階を繰り返すことによって業務を継続的に改善する。