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やまぐち森林づくり県民税・森林整備効果調査
1 調査方法
(1) 調査箇所(図1、付表1-1、1-2)
「公益森林整備事業」については、平成17年度事業地から8箇所、平成19年度事業地から8箇所、平成20年度に実施した人工降雨調査箇所から9箇所を選定し、県下で25箇所の定点調査地を設けています。
また、「竹繁茂防止緊急対策事業」については、流域毎に3箇所選定し、県下で12箇所の定点調査地を設けています。
(2) 調査内容
定点調査の内容は下表のとおりです。
事業名 |
調査項目 |
調査内容 |
付表番号 |
公益森林整備事業 |
地況調査 上層木調査 混交林化調査 土壌被覆率調査 光環境調査 |
調査区の地形・地質等 強度間伐実施後の上層木成長経過 広葉樹の侵入状況と成長経過 下層植生等による土壌被覆率の経年変化 林内相対照度の変化 |
2-1 3-1~3-3 4-1~4-4 5 6 |
竹繁茂防止緊急対策事業 |
地況調査 森林再生調査 土壌被覆率調査 |
調査区の地形・地質等 広葉樹の侵入状況と成長経過 下層植生等による土壌被覆率の経年変化 |
2-2 7-1、7-2 8 |
※地況調査は、調査開始年度のみ実施
2 調査結果
(1) 公益森林整備事業
1 上層木調査(付表3-1~3-3)
強度間伐実施後の全調査地のスギ・ヒノキの年平均成長量は、樹高が約0.4m、胸高直径が約0.5cmです。
主林木(スギ・ヒノキ)の形状比は、伐採後3~4年の間は若干低下したものの、その後増加傾向に転じています。
極端に強度の間伐を行った調査地(調査地ID K1704-1、-2 ヒノキ定性間伐、本数間伐率72.7~76.2%、胸高断面積間伐率67.1~74.5%)では、伐採2年後に立枯れ症状が確認され、本数密度がK1704-1では伐採直後の750本/haから250本/ha(枯死率約67%)、K1704-2では伐採直後の626本/haから501本/ha(枯死率約20%)に減少しました(平成24年度調査)。
また、冠雪による幹折れ等の気象害が散見されました。
なお、強度間伐による伐採の状況については、定性間伐では、伐採率について本数率より胸高断面積率のほうが低くなっています。一方、列状間伐では、本数率と胸高断面積率がほぼ同じ値となっています。このことから、定性間伐では主に劣勢木を伐採する傾向があると推察されます。
2 混交林化調査(付表4-1~4-4)
全調査地25箇所のうち23箇所(92.0%)は、強度間伐実施後、樹高2m以上(亜高木層以上)に達した広葉樹が生育しています。本数密度は、129~7,131本/haと調査地ごとに差がみられます。主な高・亜高木性樹種は、ヒサカキが25箇所のうち15箇所(60.0%)、タブノキ、シロダモ、アラカシ、ヤブツバキ、ネズミモチがそれぞれ12箇所(48.0%)、アラカシが8箇所(32.0%)、クロキ、サカキ、クマノミズキ、シイ類(スダジイ・ツブラジイ)がそれぞれ6箇所(24.0%)、アカメガシワ、クサギがそれぞれ5箇所(20.0%)などです。
樹高2m未満の広葉樹が生育していたのは全調査地25箇所のうち24箇所(96.0%)で、本数密度は、754~35,041本/haと調査地ごとに差がみられます。主な樹種は、ヒサカキが21箇所(84.0%)、ヤブツバキが13箇所(52.0%)、ネズミモチが12箇所(48.0%)、シロダモが10箇所(40.0%)、アラカシ、エゴノキ、タブノキ、シイ類(スダジイ・ツブラジイ)が6箇所(24.0%)などです。
全調査地25箇所のうち1箇所(4.0%)のみ樹高2m以上の広葉樹及び樹高2m未満(低木層)の広葉樹が生育していません。
3 土壌被覆率調査(付表5)
草本層植被率は、強度間伐実施から3~4年後まで増加し、その後は漸減傾向にあります。低木層植被率は、伐採1~5年で出現し、各調査地ともある一定のレベルでほぼ横ばいに推移しています。(図2)
次に、定性間伐と列状間伐を同時に実施した平成19年度事業地について、両施業方法の植被率と土壌被覆率を比較してみると(図3)、草本層植被率は、両施業方法ともに伐採前は5%に満たなかった草本層が経年に伴い発達し、伐採7年後には40%弱となっています。また、低木層は、両施業方法とも伐採から4年後に出現しました。落葉落枝層(A0層)による土壌被覆率は、両施業方法とも伐採直後に一旦大きく低下した後、定性間伐ではそのまま横ばいに、列状間伐では一旦上昇してから横ばいに推移しています。
なお、植被率、土壌被覆率は、いずれも列状間伐の方が定性間伐の値を上回るかたちで推移しています。
4 光環境調査(付表6)
ヒノキの立ち枯れにより生立木本数が減少するなど特異な調査地を除き、林内相対照度は経年とともに減少しています。(図4)
(2) 竹繁茂防止緊急対策事業
1 森林再生調査(付表7-1、7-2)
竹の皆伐後、12箇所すべての調査地で樹高2m以上に達した広葉樹等が生育しており、本数密度は、3,501~12,185本/haです。主な樹種は、クサギ、ヤブツバキ、アカメガシワ、ヒサカキがそれぞれ6箇所(50.0%)、エゴノキが5箇所(41.7%)、ネズミモチ、クロキ、サカキ、アラカシ、ハゼノキ、ヌルデ、シイ類(スダジイ・ツブラジイ)がそれぞれ4箇所(33.3%)などです。
樹高2m未満の広葉樹が生育していたのは全調査地12箇所のうち10箇所(83.3%)で、本数密度は、1,250~17,262本/haです。主な樹種は、ヒサカキが5箇所(42.0%)、アカメガシワ、エゴノキ、アラカシ、シロダモ、タブノキが4箇所(33.3%)などです。
2 土壌被覆率調査(付表8)
草本層植被率は伐採4~5年後まで増加し、その後横ばいを経て減少傾向が見られます。低木層植被率は草本層の推移を追随するかたちで伐採1~4年後に出現して増加し、その後減少傾向が見られます。(図5)
落葉落枝層による土壌被覆率は、12箇所のうち7箇所(58.0%)が80~90%程度で、4箇所(33.3%)が50~60%程度、1箇所(8.3%)が24%でした。