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「農林業産学公連携プラットフォーム」デジタル部会を開催しました。

ページ番号:0222502 更新日:2023年8月18日更新

第1回テーマ部会(デジタル部会)の概要

令和5年7月20日から21日に、農林業のデジタル技術をテーマに、デジタル部会を開催しました。
専門アドバイザー、外部連携会員、県関係者 約100名が出席し、
新技術開発、人材育成の取組や今後取り組むべきこと等について意見交換を行いました。
会議次第 (PDF:69KB)
出席者名簿 (PDF:180KB)

 デジタル部会   意見交換 
専門アドバイザー    専門アドバイザー

会議の内容

1. センター所長あいさつ


 所長あいさつ 

 本県の農林業が抱える諸課題に的確かつ迅速に対応するため、専門アドバイザーや外部連携会員の皆様方に御協力いただき、「農林業産学公連携プラットフォーム」を立ち上げました。
 プラットフォームでは、シーズを集積・ブラッシュアップし、新たなシーズを発掘・創出するテーマ部会を設置しており、本日は「デジタル技術」を活用した新技術開発や人材育成の取組について意見交換を行います。現在実施中の取組や、今後の取組方向について、皆様から多様な助言をいただき、本県農林業の課題解決に繋げていきたいので、忌憚のない御意見をいただきたい。(山口県農林総合技術センター所長 久田恒夫)。

2. センターの取組紹介・今後求められる取組に係る意見交換

(1)新技術開発分野
a 現在実施中のデジタル技術を活用した新技術開発について
 
研究テーマ(発表者) 主な内容 資料 主な意見等
イチゴ・トマト画像によるLAI、開花量の推定手法の開発
(農業技術研究室 原田浩介専門研究員)

イチゴ、トマトについて、定点等の簡易カメラ画像によりLAI(葉面積指数)、開花量(イチゴ)を数値化することにより、季節に応じた適切な植物体管理の指標とするとともに、生育バランス等の評価や出荷ピーク予測に活用する。

農業(イチゴ・トマト) (PDF:6.85MB)

〇中野アドバイザー
・LAI等の予測精度は現状で十分。県など地方自治体は「利用」に軸足を移すべき。
・花について、オランダのMPS(人にも環境にも配慮した花き認証システム)やGAPもあるが、農薬の使い方、減らし方については検討されているか。
→本課題では農薬関係は入れていないが、鮮度処理剤の使用等もあるため今後検討する。
・今後のスマート技術は、誰でも所有している端末であるスマートフォンで処理することを前提とすべき。開発段階から情報交換し、二重投資にならないよう留意を。

〇笹倉アドバイザー
・各種予測技術の生産者メリットがどこにあるのか明確にすべき。例えば花の共同選花を行うJAにとってのメリットはあるだろうが、生産者に何が得られるのか説明できないと活用されない技術となる。
→生産者にとっては、出荷1か月前までに開花時期がわかれば、肥料施用や農薬使用、夏の花ヤケ回避が可能となる等のメリットがあると考える。
・開花調節はポストハーベストで行うとのことであったが、需要との関係をとらえ、生育期間中のコントロールが可能となればより有効と思われる。

〇鷹尾アドバイザー
・AI解析の方向性について、いずれ無人化を目指すのか?スマホ撮影であれば必ず人が必要だが、匠なら画像撮影も不要ではないか。初心者の訓練のためなのか、あるいは画像データから人の目に見えない別のデータが得られるのか。
→(野菜)最終的にはWebカメラで数値化することを目指している。未熟な生産者はデータを活かすことが困難だが、匠が経験に基づいて行っている「植物の状態の把握」を見える化し、管理技術向上に活かしたい。
→(花)選花のピークの予測等、なるべく1回の撮影でデータが得られるようにしたい。

〇南部アドバイザー
・技術的にはよく検討されているが、開発の「戦略」となる方向性や目標設定見えない。「○○の予測が可能」というアウトカムの目標ではなく、当該技術活用により収穫量が上がる、コストが下がる等、アウトプットの目標でないと社会実装されない。

〇大黒アドバイザー
​・「マニュアル通りにすれば誰でも匠になれるわけではない。」という部分は多くの県で同じような悩みを抱えている。技術を指導する普及指導員等の指導力を上げていく必要がある。サポート機能は生産者へ生産の課題を見える化する機能になると思うが、産地全体を見える化し、産地全体の対策を考えることに活用するものか?
→現状は、若手生産者をフォローする仕組みとして研究を進めている。将来的には産地全体の情報共有に活用できるようになればいいと思う(原田専研)。
・画像解析に必要な画像はカメラで収集しているとのことだが、スマホの方がよいのでは?カメラはハウス内で複数設置するのか?
→両方活用できればと考えている。ハウス内の設置個所は代表1カ所(原田専研)
・LAIと画像のデータセットの利用方法は?
→LAIの推定モデル作成に使用(原田専研)。
・イチゴの開花量からの出荷予測の精度は?この予測は生産者にどのようなメリットがあるのか?
→現状は実測値で予測ができるかを検討した段階、気象の予測データでどこまで精度があるかは今後の取組。出荷ピークを±5日で予測することを目標としている(原田専研)。出荷予測により、生産者は農薬の散布時期等栽培管理の判断に活用できるメリットがある。(徳永部長)
・カメラで生育データを収集することは色々なところで実施しているが、社会実装に向けては、生産者がお金を払ってでも必要なデータか、収益にどうつながるかを示せないと使ってもらえない。
→料金は今後の課題。社会実装に向けては様々な課題があり、アドバイスが欲しい部分(原田専研)
・ウィークリーレポート機能、とても良い機能だと思うが、生産者に十分理解してもらうことが重要。実証の生産者の反応は?
→生育の変化がわかりやすいとの意見(原田専研)
→生産者の声に踏まえて改良してもらえるとよい。

・花きの予測は気温からの予測では精度が十分でないので、画像を組み合わせた?
 →そのとおり。気温での予測では、時期によってはズレが2週間になる場合がある    (藤田専研)。
・需要動向はどの程度先まで予測する?
→お盆等一般的な需要のピークに合わせて出荷ができるよう、予測を踏まえて調整する(藤田専研)。
・想定している運用方法は非常に有効と思うが、現時点で実情は?→気温からの予測システムを活用し、JAと花市場の交渉に活用している(藤田専研)

画像解析による県オリジナル花きの開花予測技術の開発
(花き振興センター 藤田淳史専門研究員)
県オリジナル花き(ユリ、リンドウ)について、生育データと環境データから出荷期を予測する技術に、AIを活用した画像解析・診断技術を導入し、各栽培ほ場の写真から出荷期を推定する高精度な出荷予測技術を開発する。 農業(花き) (PDF:3.69MB)
無人化技術を活用した林業技術体系の構築
(林業技術研究室 川元専研)
人工林皆伐跡地に再造林を行う現場で、多目的造林機械による施業(根株処理、植穴堀り、下刈り)を行うオペレーターが運用するARグラスの開発 林業 (PDF:2.35MB)

〇鷹尾アドバイザー
・個別技術を組み合わせた、非常にチャレンジングな取組。
・オペレーターがスマートグラスを装着して操作すると安全性に疑問が生じる。スマートグラスに送られる情報を直接機械に送れば無人化できるのでは。
・複数技術の組み合わせでトータルの無人化、自動化を目指しているが、個別技術のどれかでも実用化し、他県等と競合・二重投資とならないようにされたい。

〇中野アドバイザー
・労働者災害の視点からは、機械を導入して災害が増えては本末転倒である。労災が起きないことを大前提とした取組を目指してほしい。
・自然災害を誘発しない、安全に配慮した取組であることをPRされたい。

〇山田アドバイザー
・複数の機械、技術を組み合わせているが、すべての技術が必要なのか、どれか一つでも残ればよいと考えるのか?
→オペレーターが「根株を探す」という行為は現場で負担になっているので、それを軽減することから着想を得たが、技術開発としては一部分でも実用化できれば良いと考える。

〇大黒アドバイザー
​・植栽デザインは、斜面で対象物の位置情報がずれることが課題。スマート農業実証事業で、大豆ほ場でRTK、GNSSを活用した取組があったが、精度はどうであったか?(徳永部長)
→水平方向が2~3cmのずれなのに対して、垂直方向は5cmとずれが大きい。
・オペレーターがスマートグラスをつけて作業すると視野が狭くなって危険なので、ガイダンスを表示するものを機械に設置する方が良いのではないかと思う。

AIを活用した「やまぐち和牛」超音波肉質診断システムの構築
(家畜改良研究室 吉村専研)

クラウド上のビッグデータに集積した超音波肉質画像について、AIを活用することにより、迅速に高精度な肉質診断が可能となるシステムを構築し、細やかな肥育技術の指導や、経験の浅い技術者でも熟練者と同等の肉質診断を実現する。

畜産(肉質診断) (PDF:3.17MB)

〇中野アドバイザー
・高品質和牛生産を目指す県は多数あるが、山口県特有の悩みがあるのか?全国的なコンソーシアム等でやった方がいい課題とも見える。
・野菜の技術の時も感じたが、予測等の精度を上げることに注力するより、精度は8割でも現地実装し、現場が勢いづくようなところに尽力したほうがよい。
→スマート機器をセットにしたレンタカウ放牧など、地域活性化につながる使い方もセットで導入したい。

〇笹倉アドバイザー
・肉質診断は、早期に判定し例えばA4ランクの肉をA5ランクにできるか。
→現時点では24カ月齢で判定するため、これ以降はもうサシは入らない。調査後の牛の飼養方法を改善する意図。
→もっと若い子牛で判定し、当代でどのくらいの改善が図れるか検討すべき。
・山口型放牧も実際にやってみてどうか、が一番大事。脱柵の危険度がどのくらい下がるか、「行わなかったときの逸失利益」という見方で評価できる。

〇鷹尾アドバイザー
・山口型放牧は、コストがかかる下刈り部分を牛にやらせれば、かつての混牧林経営が再現できるのでは。

〇南部アドバイザー
・山口型放牧の目的は。
→繁殖雌牛の飼養、増頭及び耕作放棄地の解消が目的。肥育牛には通常使わない。
・山林で山口型放牧を行えば、畜産と林業の連携の好事例になるのではないか。

山口型放牧における放牧牛の省力的看視技術の開発
(放牧環境研究室 藤田研究員)

放牧牛や放牧地管理の省力化のため、GPSや電圧監視装置などのICT技術を活用し、遠隔地からの放牧牛の行動把握や脱柵防止が可能な看視システムを構築する。

畜産(放牧) (PDF:3.35MB)
 
b 今後求められるデジタル技術を活用した新技術開発に関する意見交換  
 
(アプリ開発等、実装時コストについて)

〇徳永農林業技術部長
・様々な種類のデジタル解析を進めているがどのように生産者に伝えるのか、普及・提供する部分で苦慮している。国はWAGREを活用したAPIサービスを始めているが、山口県では、その利用に至っていないのが実情。
・サービスを安価にするためには、機能を限定すべきか、多様化・多機能化してユーザーを増やしスケールメリットを出して安くすべきか、議論したい。

 

〇山田アドバイザー
・ユーザーが何を求めているか、仕様決定ができないとアプリ開発は困難。コスト低減はユーザーが増えないと難しい。
・アプリ開発では、単体企業で開発するよりも、プラットフォームで複数の開発者を募り、公的な相乗りクラウドでスタートし、ユーザーが増えてから自立を考えてはどうか。
・イチゴの解析技術では既に単体開発されている。今後、クラウド利用されるのであれば、クラウドのメーカーは固定しない方が低コスト化につながるのではないか。

(農・林連携について)
〇徳永農林業技術部長
・当センターでは、農業も林業も一体的に開発を進めており、より互いの技術が生かせる場面を検討したい。

〇鷹尾アドバイザー
・木材生産の観点からは、コストをいかに下げるかしかないが、林業振興には自然災害防止や、違法伐採の監視といった税金を投入する業務の効率化の側面もある。森林サービス産業化、コト消費という方向性もある。そこは農業、農山村も同様ではないか。
・森林の入口は農村である。農・林を上手くつなげるためDXが生かせないか。牧畜と林業の連携はぜひ検討してほしい。

(中山間地域における新技術開発)
〇徳永農林業技術部長
・中山間地域が多い山口県では、狭小地形でデジタル機器が使えるかが常に問題。

〇笹倉アドバイザー
・中山間地域では、省力だけで機械導入を進めるのは難しい。高精度な管理により品質向上に貢献出来る等、省力性以外の価値を付加できるかが重要。そのためには、機械を動かすだけでなく、データをどう活用するかを追求する必要がある

(新技術開発全般)

  〇南部アドバイザー
・本日全体の議論を通じて感じたことだが、山口県としての戦略が何か、明確にする必要がある。山口県の資源を生かした戦略を立て、一定のベクトルのもと研究等を進めないと、個別の研究段階の目的がブレる原因になる。
・山口県のみの開発に頼るとコストが高くなりすぎる。他県でも使ってもらえればコストは下がるし、開発段階から二重投資を防ぐ取組も必要。
(データシェアリングについて)  
〇徳永農林業技術部長
​・コスト面の課題があるが、安価で簡易なアプリを地域でシェアしている事例はないか?
〇大黒アドバイザー
・様々な県で取組が始まっている。
・データシェアリングは産地の生産の底上げを図るということで、今後も進んでいくと思う。
・コストについては、ある程度かかるのは仕方がないと思う。現状の取組は行政の予算の補助を活用している取組が多い。
・色々な機器の情報を束ねて見える化するには、メーカーを超えて標準化することでコスト低減につながると考えられる。農機API共通コンソーシアムで取り組んでいる。県の取り組みの中でも複数のメーカーの環境モニタリングデータの様式を共通化して見える化している事例はある。
(WAGRIについて)  

〇徳永農林業技術部長
・別の会議の中で、APIは提供できるが、アプリの提供はできないと説明があったが、具体的には?

〇大黒アドバイザー
・アプリのパーツとしてAPIの提供は可能だが、アプリをつくるのは商業ベースでの取組

※表中の大黒アドバイザーの意見は、会議当日が欠席のため、後日アドバイスいただいた内容を反映したもの 

【情報提供】
 ・​山口県におけるスマート農林業推進の取組について
     (農業振興課 鶴山主査、森林企画課 本田主査)
  農業関係 (PDF:244KB)
  林業関係 (PDF:130KB)

 

(2)人材育成分野
a 現在実施中のデジタル技術を活用した人材育成について
人材育成取組紹介
分野(発表者) 主な内容 資料 主な意見等

農業分野
(農業振興課 吉永主任、農林総合技術センター 森岡主査、森主査)

○農業振興課
「時代を担う農業デジタル人材育成事業」の紹介
○土地利用学科
 デジタル技術を活用した学修を紹介
 ・営農管理システム(KSAS)を活用し、作業記録や生育データ等を入力
 ・管理。得られたデータは、作業の振り 返りや改善等に活用
 ・遠隔作業支援ツール(スマートグラス)を活用した農業技術研修の実施
 ・各作業や機械の保守点検等に関する動画(VR含む)を学生自ら作成
 ・水位センサーを活用した効率的な水管理の試行、ドローンを活用した生育診断の試行
○畜産学科
 牛の行動データをデバイス又はカメラで収集してAIで解析し、特定の行動や状態を検知した場合に携帯端末等に通知するシステムを学修に活用

事業概要 (PDF:286KB)
土地利用学科 (PDF:669KB)
畜産学科 (PDF:886KB)

〇笹倉アドバイザー
・KSASの利用に感謝。経営管理システムは他社製品も多数あるが、機能は同様。システム利用の目的が明確になれば、より効果が高くなるのではないか。例えばGAP取得の際に必要なデータもとれる。
・ドローンで生育状況をセンシングし、生育データと連携して当該作の管理作業に反映可能。
→早速実施してみたい。学生にとっては卒論のテーマになると考える。
・旬ごとの作業時間を集計すれば、作業ピークがどこにあるか数理計画モデルへも応用でき、もでき、次期作の労務管理や空き時間の活用に活かせる。
→学科全体を一つの法人のようにとらえ、作業計画等に活かしたい。
・デジタルコンテンツの学生主体の作成は理解促進に役立つとは思うが、機器は常に進化する。メーカーから専門家を招き、新機種のポイントを聞いた上でコンテンツ作りに取り組めば、より理解度が深まる。

〇中野アドバイザー
・1日目から通じて、開発された新技術が人材育成に活かされているのか、県としての流れ、や一体感等が感じられない。研究と教育、農業と林業など、山口県らしさが見えるように横ぐしを刺すような整理が必要。

〇南部アドバイザー
・デジタル教育について、データ収集部分に労力をかけすぎではないか。毎日の日誌付けは飽きてしまい続きにくい。データ分析の手法を身につける方が大事である。AI等をデータ解析に費やし、データ入力は自動化を目指すべき。

〇笹倉アドバイザー
・スマート農機も機種によっては自動でデータ取得ができつつある。オープンAPIで共通化を進めており、機械メーカーが変わっても互換性がある社会になりつつある。

林業分野
(森林企画課 辻主幹、本田主査、農林総合技術センター山中主査)

〇森林企画課
 ・森林デジタル人材育成研修の紹介(森林分野において、レーザやドローン、GNSSの計測データを活用して各種解析を行うとともに、各種スマート技術と組み合わせた業務のマネジメントができるデジタル人材「コア技能者」を育成)。
 ・デジタル伐倒訓練の実現に向けた検討を進めることも紹介。

〇社会人研修室
 ハーベスタシミュレータ、伐木VR体験シミュレータを活用した研修の紹介

人材育成研修 (PDF:1.7MB)
デジタル伐倒訓練 (PDF:291KB)
林業研修 (PDF:763KB)

〇鷹尾アドバイザー
・デジタル人材育成研修を修了した人が、研修内容をどう活用されているかをリサーチし、フィードバックしてはどうか。
・安全VR研修をオペレーター研修の冒頭に行うのも効果的と思うが、一定の研修をやり終えた後に再度履修させたら、また別の効果があるのでは。
・デジタル伐倒訓練について、デジタル化を検討するに至った着想如何。
→研修生に安全な受け口、追い口の作り方等についてわかりやすく説明するため、例えば木の重心をレーザーでガイド表示し、木の重心を見据えた実習につなげるねらい。まだ構想中の段階であり、企業や大学と連携しながら開発を進めたい。

〇中野アドバイザー
・デジタル技術を用いた研修は効果測定が重要。デジタルを導入してもよくならないケースもある。現状を的確にとらえ、技術導入により何が変化したのかフィードバックが重要。
・デジタル研修導入により労働災害の減少や人役の減少につながる、といったアウトプットを意識して意義を説明されたい。

【情報提供】
 〇デジタルファーミング教育について(山口大学 荊木教授)
      ・文科省の事業を活用して取り組んでいるデジタルファーミングを実践できる人材を育成する教育。
  ・デジタルファーミングとは、データやスマート機器を適切に理解し活用できる農業と定義(スマート機器の操作演習や、データ解析に係る演習など)。
  ・教育ニーズから習得すべき能力を設定し、カリキュラムに反映するとともに、人的リソースやデジタルツールの共有化、教材の充実を図る。
 
b 今後求められるデジタル技術を活用した人材育成に関する意見交換  

〇中野アドバイザー
・デジタル技術開発は全国的に進められているため、「山口方式」に向けた取捨選択が必要になる。今後、SWOT分析等、改めて山口ならではの強みを生かせる取組とすべき。
・例えば、山口県は学校給食の地元産使用率がとても高い。デジタル技術は省力化だけでなく、安心・安全農産物の生産にも活用可能であり、子供たちの未来を担っているというストーリーが描ける。県民や他県に訴求できるストーリーを構築していただきたい。
・そのためには人材が重要であり、若手職員を中心に、プロジェクト全体をけん引できる人材の育成が望まれる。

〇南部アドバイザー
・山大にもデータが蓄積される取組であり、既存のものを含め膨大なデータ解析が可能となる。例えば需要に対応する販売計画から逆算し、生産計画、経営計画まで立案するなど。

〇笹倉アドバイザー
・農業大学校の「農大生の会社(一社やまぐち農大)」の取組は注目に値する。経営者の視点は労働者の視点と異なることなどを教えることができる。
→(福井校長)農大生の会社は設立されたばかりであるが、代表役の学生を中心に自主性が目に見えて向上するなど、姿勢が変わってきた。デジタル技術学修を含め、法人経営の実情やビジネス感覚を肌で感じるための学修に活かしたい。

3.​今後のプラットフォーム、テーマ部会の取り組みに係る情報交換

〇今後のPF、テーマ部会の取り組みについて(農林総合技術センター 木村主査)

・二日間の意見交換の中で、県の特徴や目的を明確化して取り組む必要があるという意見があった。
・農技センターとしても、県の総合計画である「やまぐち未来維新プラン」(R4.12月~)に基づいて新技術開発や人材育成を進めているが、国では「食料・農業・農村基本法」の改正が来年度に行われようとしており、そうした動きを的確にとらえる必要がある。今年度から各種リサーチを行い、法改正や国の計画等を踏まえ、県として力を入れていく部分を明確にするなど、方向性を出していきたい。

中長期スケジュール (PDF:120KB)

〇南部アドバイザーからの情報提供

・内閣府の戦略的イノベーション創造プログラム(SIP)第3期の「豊かな食が提供される持続可能なフードチェーンの構築」に参画。SIPでは、社会的課題の解決や、日本経済・産業競争力にとって重要な課題を各府省横断的に設定し、基礎研究から社会実装までを見据えて研究開発を推進
・「食料・農業・農村基本法」の改正において食料安保が重視されており、中国・インド等の人口増加により、日本が従来通りに食糧を確保できない状況が生じており、食料確保に向けた各種研究開発、社会実装に取り組んでいる。
・肥料(NPK)の確保(リサイクル含む)が実現したとして、野菜やコメは確保できたとしてもタンパク質が不足することが示唆されている。このため、大豆や魚等の増産によるタンパク質確保に向けた技術開発を進める必要がある。
・基本法やみどり戦略等と合わせ、県等の自治体がどのような取組に注力すべきか今後も情報提供する。

SIP概要 (PDF:584KB)

4.​外部連携会員からの情報提供

・西日本農業研究センター中山間営農研究領域:コムギ出穂期予測シュミレーション、ダイズ帰化アサガオ適期防除
・NECソリューションイノベータ(株):営農指導支援システム等の紹介
・東信電気(株):各種ロボット技術、農業Iot技術の紹介

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