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水の作文コンクール・シンガポールの水事情

ページ番号:0011576 更新日:2021年11月1日更新

山口県優秀賞

シンガポールの水事情

周南市立福川中学校 3年 坂根 巧望(さかね たくみ)

 シンガポールに家族で旅行した時のことです。ホテルの部屋にペットボトルのミネラルウォーターが一人二本も置いてありました。日本ではあまり置いてないので、ちょっとびっくりしました。それが泊まっていた間ずっと毎日一人二本ずつ用意されました。歯磨きする時にコップに水道水を入れると、水がにごっていて、何かもやのような物があるように見えました。日本では、透明な水が出てくるのが当たり前なので不思議に思いましたが、外国だからこういうものなのかな、と思ってあまり気にしませんでした。
 シンガポールの水道水は飲んでも大丈夫と言われています。シンガポールの水道水は、日本と同様に浄水処理がしっかりとされていて、水質も日本と同じ軟水です。日本と異なる点は虫歯予防の観点からフッ素が入れられていることです。だからホテルの洗面所などでの水道水も本当は飲むことができたのですが、慣れない水を飲んで体調を壊すこともあるので飲むことはやめておきました。
 水道水で生活するには問題がないと思われるシンガポールですが、実は水不足が深刻でいろいろな政策がとられています。水はマレーシアから購入していますが、水価格の値上げ問題が生じています。そこで、シンガポールは自国で水を供給できるような体制づくりを行ってきました。シンガポールの水道水には四十パーセントの割合でニューウォーターが入っています。ニューウォーターは造語ですが、下水から高度な浄水技術を使ってリサイクルされた水のことです。この水は、料理や飲み物に使われますし、シンガポールで有名なタイガービールにも使われているそうです。しかし日本人の僕にとってみると、どんなに綺麗な水だと言われても、下水を処理した水を飲む、と考えると気持ち悪くなってしまいそうです。日本では下水処理施設できれいにした水は川に戻されるものだからです。他には、シンガポールのシンボルが立ち並ぶマリーナベイをせき止めて、巨大な淡水の貯水池を完成させました。あのマーライオンの口から出ている水が淡水だったと知ってとても驚きました。それ以外にもたくさん貯水池があって、国土に降った雨の三分の二を集められるそうです。飲めなかった水を飲めるようにする技術開発がとても進んでいる国です。
 日本では蛇口をひねればいつでも清潔な水が流れ、そのまま飲める安全性をもち、断水などの不具合もほとんど起こりません。日本の水道システムは普及率のみならず、その水質の良さや漏水率の低さなどの観点からも世界一と言われています。先進国の大都市における平均的な漏水率が約三十パーセントといわれる中、東京都水道局は約三パーセントという驚異的に低い漏水率を維持しており、「世界最先端の都市水道モデル」と言われています。
 しかし世界の国々ではそれが当たり前ではない場所がたくさんあります。水道水を全国どこでも飲むことができるような国は大体十五ヵ国しかなく、国によってはジュースの値段より水の方が高く売られています。
 僕たちは、今普通に使えている水道水がいつでも、いくらでも出るものと勘違いしてしまいがちです。この水道水は決して簡単に手に入るものではなく、豊かな日本の自然環境のおかげで水資源が確保されており、水道局や多くの人々の手で守られていることをもっと自覚しないといけません。手を洗ったり歯磨きをしたりするときに水を出しっぱなしにして使っていないかな。シャワーを浴びるときに無駄に流しっぱなしにしていないかな。風呂の残り湯を活かせているかな。そういう僕たちが今すぐにでもできることから水を大切にする行動に改めていく必要があります。外国に行かなければ気づかなかった綺麗な水が当たり前に使える有り難さと大切さを、僕は必ずこれからの生活に活かしていきます。