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水の作文コンクール・今の私に出来ること

ページ番号:0011577 更新日:2021年11月1日更新

中央審査入選・山口県優秀賞

今の私に出来ること

周南市立桜田中学校 3年 山下 莉華(やました りか)

 私は花を育てることが大好きだ。育てた花が綺麗に咲きほこる姿を見ていると、とても幸せな気持ちになる。ホースをのばし、朝夕たっぷりの水をあげるのが私の日課だ。そのホースからは、そのまま飲むことが出来る澄んだ水が出る。少し前まで、私はそれが当たり前だと思っていた。
 ある日私は、ラジオから流れてきたCMを耳にして、衝撃を受けた。
「マダガスカルのネニーちゃんは、水を汲むために険しい道を毎日何往復もする。それでも手に入るのは、飲めば命を落とすかもしれない汚れた水。命の水、だけど命がけの水。」
その言葉は、しばらく私の頭から離れなかった。私は、マダガスカルについて調べてみた。そこには、私よりも小さな子供が、炎天下のなか濁った水を運ぶ姿があった。水を運ぶために学校にも行けず、やっと手に入れた水で、命を落とす子供も多いそうだ。
 実際、世界では二十億人以上もの人が安全な水を使用することができず、毎日六千人もの子供たちが亡くなっている。
 日本に産まれた私は、蛇口をかるくひねるだけで、綺麗な水を使うことができる。世界では、三人に一人が安全な水を使用することが出来ずにいるというのに、私たち日本人はたった一人で、一日に三百リットルもの水を使用している。
 SDGsでは、六番目に「安全な水とトイレを世界中に」という目標が掲げられている。
 安全な水を使用することが困難な地域は、サハラ以南のアフリカ諸国に多い。日本から遠く離れたその国の人達のために、私でも出来ることは何だろう。
「まずは自分で調べて、水問題の現実を知ることが大切なんじゃないのかな。」と、母は言った。
 確かに、母の言う通りだと思う。世界中の水問題について深く調べていくうちに、それはかなり深刻なものなのだと分かった。飲み水だけでなく、整備されたトイレを使用することができない人は四十二億人にも及ぶ。世界の六割もの人が、排泄物によって汚染された水の影響を受けているのだ。だから、トイレを整備することで、綺麗な水源から安全な飲み水が得られるようになることも知った。
 近年SDGsの目標に取り組み、トイレの設置や、古井戸の改修工事を行う企業が増えている。これらの支援により、子供たちは水を運ぶ必要がなくなり、教育を受けることができるようになった。
 また、水を綺麗にする浄化剤を開発した企業もある。一錠で約五リットルの水を綺麗にできる浄化剤は、三百円で千錠買うことができる。これにより、子供たちが安全に水を飲んだり、洗い物をしたりすることができるようになった。たくさんの命を救う技術は、本当にすごいと思う。私には誰かの役に立てる技術は全く無いけれど、その浄化剤を知ってから、ユニセフの募金箱に、毎日百円入れるようになった。まだ始めて間もないけれど、これを一年間続ければ、私の募金だけで二トンもの水を綺麗にすることができるのだ。
 直接携わることはできないとしても、募金という形で、綺麗な水を届けることができる。そして、子供の命を救い、未来につなげるための架け橋になればと思う。
 世界に目を向けて現状を知ることで、私の意識は随分と変わり、募金もより意味のあるものになった。募金は、今の私に出来る持続可能な活動だ。「安全な水とトイレを世界中に」というSDGsの取り組みに、これからも関わっていきたい。
 私は今日も花に水をあげながら、この綺麗な水が、一日でも早く、世界中に届くことを願っている。


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