本文
水の作文コンクール・水の問題
山口県優秀賞
水の問題
周南市立桜田中学校 3年 山崎 佳奏(やまさき かなで)
問一「水不足を解決するには、どうすれば良いでしょう。」
私の生きてきた十五年間で、水について考える時間は少なかったように思う。私と同じように、「水を大切に使いましょう。」「無駄使いはいけません。」といった周囲の言葉に、何となく従ってきた人もいるのではないだろうか。水のある生活が当たり前の環境で育った私には、いまいちピンとはこなかった。
しかし、私はある出来事から、水について興味を持つことができた。それは、去年の掃除時間のことだった。私がいつものようにバケツに入れた水で雑巾を洗っていると、同級生が私にこう言った。「何度も雑巾を洗った水で床をふくと、逆に床が汚れるのではないか。一回ずつ新しい水に換えるべきだ。」と。その言葉に、私はついカッとなってしまった。この掃除方法は小学生の時に教えてもらってからずっと変わっていないし、そんなにも多くの水を一回の掃除で使うのはもったいないと思ったからだ。私の心の中で、水について「もったいない」という感覚が残っていたのである。
その件があって、私は国ごとの一人あたりの生活用水消費量を、インターネットで調べてみることにした。驚くべきことに、日本は世界第二位だった。日本人はお風呂など、日常的に使う水の量が多いとは思うが、きっとそれ以外にも原因があると思う。皿洗いや歯磨きの時に水を出したまましたりなど、水に恵まれているからこそ、無駄に使っていることが多い気がする。
「水は簡単に、豊富に手に入れることができるのだし、お金も払っているのだから、そこまで問題にしなくてもいいのでは。」そんな主張もあるかもしれない。だが、日本だって無限に水があるわけではない。雨が降らなければ節水制限になることもあるし、最近は地球温暖化によって雪国の積雪量が減り、水不足の原因となっている。多量の雪は防寒費用や雪かきの重労働など、大変なことも多いが、それを乗り越えた春には、その雪は溶けて、恵みの水に変わるのである。地球温暖化がつくる暖冬は、積雪での苦労は減る分、得られる水も少なくするのだ。
現在、世界では水不足が問題となっている。原因はまず地球温暖化。そして経済の発展、医療の発展による人口増加で、近年、一人あたりの生活用水需要量が何倍も増加している。このままいけば、水の使用が制限される国や場所も出てくるだろう。日本は食料自給率が低く、大半の食料は外国から輸入されている。植物だろうが家畜だろうが、全ての生命の源は水だ。他国が水不足によって自国の食料分しか生産することができなくなれば、日本は一気に窮地に陥る。水不足という問題は、決して私たちと関係のない話ではないのである。
私がまだ小さかったころ、水のあふれる生活の中で子どもながらに、こんなに水を使いっぱなしで良いのかと感じたことを思い出す。それから十年以上が経ち、私はそんな問題意識すら忘れかけ、「水は豊富にあるので問題なし。」という誤った答えを、解答用紙に書こうとしていた。この地球に生きている住人として、次の命にバトンを渡す者として、環境問題という問いに対する正解を、常に考えていくことが必要だと思う。
長い歴史から見れば、私たち人間は、ようやくこの問題用紙に手をつけ始めた。問題は難解で複雑だ。しかし、問題をつくったのは人間である。それならば、いつか必ず解くことができるはずだ。「水不足を解決するには、どうすれば良いでしょう。」この問題に対して「地球」という解答者に、「人間を絶滅させること。」という答えを書かせることだけは、避けなければならない。