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知事記者会見録・令和3年2月16日実施分

ページ番号:0013141 更新日:2021年2月18日更新

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日時 令和3年(2021年)2月16日(火曜日)
11時30分~13時46分
場所 県庁2階 記者会見室

発表項目

知事

 皆さん、こんにちは。
 本日、私の方からは4点ございます。
 まず、新型コロナウイルスワクチン接種について、ご説明させていただきます。
 一昨日2月14日、国内初となる新型コロナウイルスのワクチンが薬事承認されました。
 これを受けまして、全国的にワクチンの接種開始に向けた準備が本格化をしてまいります。新型コロナウイルス感染症対策の切り札として大変期待が高いこのワクチン、これができるだけ早く接種ができるように、市町、また医療関係団体と連携をして、万全の準備を進めていきたいと考えています。
 まず、先行接種のスケジュールについてですけれども、明日から国立病院機構等の医師、また看護師など約1万人を対象に、国における先行接種が始まります。このスケジュールで言いますと、一番上ですね。国によるまず先行接種、全国で1万人が始まります。
 これは、本県におきましては、四つの医療機関において、今週中にも接種が始まる予定となっています。
 すでに、これらの医療機関におきましては超低温冷凍庫が配備をされていますが、接種開始の日程が固まりましたら、改めてお知らせをいたします。
 その後、新型コロナウイルスの診療に携わる県内の医療従事者を対象とした優先接種が始まってまいります。
 国の想定スケジュールにおきましては、3月の中旬までに各県において体制整備を完了するとされていますけれども、本県におきましては、それよりも早く2月下旬までに体制を整えることとしています。予定どおり、ワクチンが供給されましたら、3月の頭から接種が開始できるように、準備を進めているところです。
 ですので、この書いてあるのは、国の想定スケジュールではなくて、わが県のスケジュールですけれども、2月の末までに体制整備は終わらせると。で、ワクチンが来れば、3月頭からスタートができて、3月の末までに医療従事者の優先接種を終えると。3月始まってこの末までに2回接種しなければいけませんので、間を空ける必要がありますけれども、3月頭からスタートできれば、末までには医療従事者の接種が完了すると。4月になると、今度は高齢者等の接種が始まりますので、そちらにスムーズに向かっていける、それまでには医療従事者の接種が終わっているということが実現をできますので、それができるように体制は組んでいるところです。ですが、これはワクチンそのものが来るかどうかに大きく影響しますので、それはまだ国の情報を待っている状況でありますが、われわれとしてはできる準備をしっかりとやって、3月の頭からでもスタートできるように、3月の末にはきちんと物が整えば終わられるように整えているところです。
 具体的には、接種の仕方ですけれども、県内の22の基本型接種施設をワクチン供給拠点に位置付けまして、地域の医療機関、また公共施設等で接種を行う予定です。
 本県におきましては、約5万6千人の医療従事者の方が接種をされる見込みです。すでに、接種対象者のリスト化、これは済んでおりまして、現在は、接種を行う医療機関への割り当て、また資機材の調達などの最終調整を行っている段階です。
 そして、4月からはこの一番下のところですけれども、高齢者等の優先接種がスタートをすることになります。これに向けましては、現在、各市町におきまして、接種会場、そして医療従事者の確保、また接種券の印刷等の準備が進められているところです。
 県といたしましても、それぞれの地域ごとに圏域会議というのを設けまして、これを開催して、国の情報を共有する、そしてまた課題解決に向けた協議を行う、そうしたことを通じまして、市町の準備、これが円滑に進みますように支援に努めているところです。
 次に、ワクチンの接種にかかる相談体制の整備についてです。
 接種の開始に当たりましては、県民の皆さんにワクチンの内容、また接種後の対応などをしっかりと理解をしていただく必要があります。
 このため、国におきましては、昨日から、ワクチンに関するさまざまな情報、またワクチン接種の意義や、優先接種の順番などの基本的な相談に対応するために、コールセンターが設置されたところです。
 本県におきましても、今後、ワクチンに関する相談に対応するため、来週、22日の月曜日から「専門相談センター」を開設をすることにいたしました。
 具体的には、これですね、県におきまして専門的な相談ダイヤル、これを2月22日から開設をいたします。ここにおきましては、ワクチンの副反応等に関する相談、あるいは副反応発生時の受診に関するアドバイスですとか、有効性ですとか、安全性に関する情報提供、そうしたものを行うことにいたしております。こちら「083-902―2277」が電話番号になります。土日祝日も含めまして8時30分から17時半までということで、これはこうした知見を有する薬剤師、専門の薬剤師が対応することになります。
 なお、各市町におきましても、相談窓口を設置していただきまして、接種の時期、場所、また予約の受付等の相談に対して、きめ細かく対応できる体制を確保していますので、ご利用いただきたいと思います。
 加えまして、ワクチン接種によります万が一の副反応に備えて、専門的医療機関として「山口大学医学部附属病院」を位置付けて、医学的、そして専門的な相談や受診などに対して、総合的に対応できる医療体制を確保したところであります。3月1日からの運用を開始することにしています。
 県といたしましては、ワクチンが供給された際には、速やかに接種を開始できるように、市町、また医療関係団体と連携をして、一層準備の加速化を図ってまいります。
 続きまして、令和3年度当初予算案につきまして、ご説明をさせていただきます。
 初めに、予算編成の基本的な考え方についてです。
 新型コロナウイルス感染症につきましては、全国で感染者が高水準で推移をしています。大都市圏等においては緊急事態宣言が再び発令される事態となりました。
 本県におきましても、複数のクラスターの発生をはじめ、新規感染者が日々確認をされており、収束を見通せない状況が続いています。
 従って、より一層の警戒を強め、さらなる感染拡大をできるだけ早期に食い止めること、そして、感染状況を見極めながら、低迷する社会経済活動を段階的に引き上げていくことが目下の最重要課題です。
 一方、コロナの危機から生まれた社会変革の動き、これを的確に捉えて県づくりに生かしていく、このことは、未来の山口県の成長にとって極めて重要です。とりわけデジタル化はその原動力となることから、県政全般にわたりデジタル改革等を推進していきたいと考えています。
 このため、来年度予算においては、次に申し上げます3点を基本的な考え方として、予算案を編成したところです。
 まず、「新型コロナウイルス感染症対策の徹底と経済活性化の両立」です。
 今後の感染状況が見通せない中、コロナ対策については、これまでどおり県民の命と健康、これを守ることを最優先に、万全の対策を引き続き講じてまいります。
 次に、「危機から生まれた変化を成長へつなげる県づくりの加速化」です。
 コロナ禍を契機に急速に進みつつあるデジタル化、これは少子化や人口減少が進む地方にとって大きなチャンスです。このデジタル化を県政全般に強力かつ一気に進める、そうしたことで多くの地域課題を解決できる可能性を有しています。
 来年度当初予算におきましては、このデジタル化をはじめとする社会変革の動きを県づくりに積極的に取り込んで、そして本県の成長を加速させ、より大きな成果を生み出していきます。
 最後に「国の経済対策に呼応した緊急課題への対応」です。
 昨年12月、国におきましては、感染症の拡大防止やポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現、防災・減災、国土強靭(きょうじん)化の推進の三つの柱からなる経済対策が閣議決定をされ、本年1月28日に国の補正予算が成立しました。
 本県においては、この「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」、これに呼応して、国の補正予算も積極的に活用しながら、「15か月予算」の考え方の下、令和2年度2月補正予算と令和3年度当初予算を一体的に編成し、感染症の拡大防止対策や防災・減災、国土強靭(きょうじん)化の取り組み等の緊急課題に迅速、的確に対応していきます。
 なお、本日は令和2年度2月補正予算に計上している事業と合わせて一体的に説明していきます。
 来年度一般会計の当初予算の規模は7529億円、本年度当初予算に比べて788億円、11.7%の増加となります。
 また、国の経済対策に呼応した一体的な予算編成としては、本年度当初予算を1088億円、16.1%上回る規模となっています。
 それでは、予算編成の三つの柱に沿ってご説明します。
 まず、予算編成の一つ目の柱は、「新型コロナウイルス感染症対策の徹底と経済活性化の両立」です。
 冒頭に申し上げましたとおり、本県における感染者の発生は続いています。今後の見通しについては予断を許さない状況でありますので、引き続き高い緊張感を持って対応することが必要と考えています。
 よって、来年度当初予算におきましても、県民の皆さまの命と健康が第一との認識の下で、感染の拡大防止に備え必要な対策と、そしてこれとの両立を図りつつ、社会経済活動を段階的に引き上げていくための対策については、これまで同様にしっかりと予算を措置いたしました。
 具体的には、これから申し上げる四つの項目について、国の臨時交付金等を最大限に活用しながら、柔軟かつ万全に取り組んでいきます。
 最初の項目は、「感染拡大の防止」についてです。
 依然として収束する気配を見せない新型コロナウイルス感染症から県民の命と健康を守るため、「検査体制の確保」「医療提供体制の強化」「保健所等の体制確保」「社会福祉施設等の感染対策」に、引き続き取り組んでいきます。
 まずは、検査体制の確保についてです。
 環境保健センターや医療機関で行うPCR検査(遺伝子検査)や抗原検査等行政検査の実施について、現状と同様の約4000人の検査需要に十分対応できる体制を維持するなど、検査体制の強化を継続します。
 また、現在、県内14カ所に設置している地域外来・検査センターについては、引き続き、発熱患者の診察や検体採取等を一体的に行うこととしています。
 次に、医療提供体制の強化についてです。
 入院患者の受入病床につきましては、先般追加確保しました52床分を含む、合計475床分を今後も継続確保してまいります。
 また、軽症者等の宿泊療養施設についても引き続き確保するとともに、療養者の健康状態を測定し、体調変化を医療スタッフが早急に把握し適切にそのサポートができる体制を構築するため、必要な機器整備を行います。
 また、入院協力医療機関におけるコロナ陽性患者のさらなる増加に備え、一般患者との動線を切り分け迅速な検査体制を確保するため、コロナ陽性患者に対応するCT撮影装置等の整備を支援します。
 また、新型コロナウイルスワクチンの接種については、国において、医療従事者から優先して開始できるよう準備を進めるとされていることから、その体制確保に向けて、広域的なワクチン管理・移送の推進、供給体制や専門的相談体制の構築、全県的な広報活動など、円滑なワクチン接種に向けて必要な取り組みを速やかに行っていきます。
 次に、保健所等の体制確保についてです。
 感染拡大防止に最前線で取り組む保健所の体制確保を図るため、コロナに関する県民の問い合わせに対応する受診・相談センターに専用相談窓口「♯7700(シャープナナセンナナヒャク)」を継続設置します。
 最後に、社会福祉施設等の感染対策については、社会福祉施設や学校、また県民が利用する県有施設等における衛生用品の購入等について、適切に対応していきます。
 以上が、感染拡大の防止についての説明になります。
 次に、項目の2点目、「県民生活の安定」についてです。
 コロナの影響で収入が大幅に減少した生活困窮者等を対象に、住居確保給付金の支給、生活福祉資金の緊急貸付原資の積増し、家計急変世帯の高校生等に対する授業料減免等を継続実施し、困っている方に寄り添った支援を行うとともに、コロナ禍にあって、感染防止に配慮した「新しい生活様式」に基づいて運営を行う子ども食堂を支援します。
 次に、3点目、「県内経済の下支え」についてです。

まず、県の中小企業制度融資について、コロナの影響により中小企業の資金繰りに支障が生じないよう、経営安定資金の融資枠を前年度当初予算より360億円増額するほか、国の保証制度創設にあわせて経営安定資金の一部を「伴走支援枠」として確保し、金融機関の継続的なフォローを受けながら経営改善等に取り組む場合に保証料の一部を補助します。
 また、本県の雇用維持や新規雇用の創出に向けて、コロナの影響を特に受けている製造業やサービス業等の業種を対象に、企業内における配置転換や求職者のキャリアチェンジ等について支援を行います。
 また、コロナの影響を受けた事業者の販路拡大を図り収益を確保するため、コロナ禍の中、関心が高まっているインターネット通販サイトにおいて商品の送料を県が支援します。
 次に、項目の4点目、「消費需要の喚起」についてです。
 新規感染者の確認が続き、感染拡大防止対策に注力すべき状況にありますが、大きな打撃を受けた観光などの消費需要を喚起する施策についても、今後の感染状況に留意をしながら、適切かつ効果的に行いたいと考えています。
 まずは、落ち込んでいる観光需要の回復を図るため、プレミアム付き宿泊券やフェリー乗船券の発行による「行こうよ。やまぐちプレミアムキャンペーン」について、割引率や発行枚数を今年度と同様の規模で展開していきます。
 また、県産農林水産物の需要回復・拡大に向けまして、引き続き消費の低迷が懸念をされます日本酒・県産花き・高級魚加工品などを、一定額以上の購入金額から割り引いて販売する「もっとみんなでたべちゃろ!キャンペーン」を今年度と同様に実施します。
 また、感染症対策が施された公共交通機関と連携したデジタルスタンプラリーや県内のウォーキングイベントなど、安心・安全を前面に打ち出した、効果的で観光客のニーズに対応した観光プロモーションを展開します。
 加えて、オンラインでの大々的な観光PRイベントの開催など、コロナの状況に臨機応変に対応できるウェブを活用したプロモーションの取り組みをしっかりと強化していきます。
 以上が、各項目に掲げた取り組みの概要です。
 次に、予算編成の二つ目の柱であります「危機から生まれた変化を成長へつなげる県づくりの加速化」です。
 新型コロナウイルスの感染拡大に伴いまして、現在の社会におけるデジタル化の遅れ、これが浮き彫りとなりました。社会全体のデジタル化に向けた動きが急速に、今進んでいるところです。
 デジタル化は、コロナによってもたらされたピンチを逆にチャンスと変えていく、今後の成長につながる、また社会を大きく変革する、そうした原動力となるものです。
 コロナの存在を前提とした「新たな日常」の中で、デジタル化の恩恵が県民に行き渡り、そしてこれまでよりも豊かで安心して安全に暮らしていける社会、これが山口県が目指すべき未来であると考えています。
 そのため、今申し上げました本県の未来を実現し、本県での暮らしが便利になったと、そうしたことを県民の皆さまに実感をしていただくために、国の政策に呼応する、それだけでなく、市町をはじめ、多様な主体と連携・協働しながら、県政の幅広い分野でデジタル改革、これを強力に推進をしていくなど、コロナの危機から生まれた社会変革の動きを施策の推進に確実に取り込んでいきたいと考えています。
 まず、項目の一つ目は「デジタル化の推進」です。
 デジタルによるより豊かな未来の社会、この実現を目指して、デジタル技術を生かして変革を生み出すデジタルトランスフォーメーション、いわゆるDXを全県的に推進するため、拠点を整備し、地域課題の解決等に向けたさまざまな取り組みを展開していきます。
 具体的には、拠点においては、自治体等から相談対応や、最新のフレームワークに基づくDXコンサルティング、アプリ開発やビッグデータ解析等への技術支援、デジタル人材の育成を推進することとし、そのために必要となるアプリケーションやデータプラットフォームが共同利用できる山口県版のクラウド環境を備えます。
 また、推進拠点を核に、市町をはじめ多様な主体と連携・協働し、それぞれが持つ知見やノウハウ等を結集し県政の幅広い分野でDXを推進するための連携体制を構築し、地域課題の解決やイノベーション・ソリューションの創出に向けた企業と連携した取り組みやシビックテック、データ利活用の促進、県民や行政、若年層等を対象とした人材育成に取り組みます。
 次に、デジタル技術を活用した分野別の取り組みについてご説明いたします。
 最初に、「子育て・教育DX」についてです。
 AI(人工知能)やアプリ等の活用によって、安心して子どもを生み育てることのできる環境を整備していきます。
 まず「子育て関係」では、安心して妊娠・出産・子育てができる環境を整備するために、県民から相談ですとか、問い合わせに24時間365日対応できる、全国初となるAIを活用した総合的な子育て支援システム「子育てAIコンシェルジュ」を導入します。
 これは、多くの方が利用されているLINEを基盤として、相談・問い合わせにAIチャットボットが回答するという出産から子育てまで一貫した伴走型の支援の実現によって、子育て世帯をいつでもサポートしていきます。
 併せて、県内の市町、また県の子育て情報、そして予防接種のスケジュール管理、不審者情報、そうしたさまざまな情報を提供する母子手帳アプリや子育て関連サイトとの連携も盛り込むなど行政サービスの充実を図り、県内全市町が県と一緒になって県民の子育てを応援していきます。
また、子育ての不安や育児疲れ、児童虐待、DVなどの問題の深刻化を未然に防止するため、これらに関する悩みにワンストップで、いつでも、どこでも、相談者につながる、SNSによる相談体制を構築します。
 これは、国が開始を予定していますSNSを活用した虐待相談窓口の設置に先駆けて始めるものでありまして、国や子育てAIコンシェルジュとも連携し、さまざまな相談にきめ細かく対応していきます。
 次に「教育関係」では、今年度1人1台タブレット端末、これを整備をいたしました。これも含め、さまざまなICT(情報通信技術)環境の整備をしたわけですが、これらを活用いたしまして、子どもの可能性を広げる「やまぐちスマートスクール構想」を推進していきます。
 まず、「一人ひとりに合った学びで力を引き出す学校!」の実現に取り組むため、児童生徒一人一人に最適な指導を学年が進んでも継続して実施できるように、学習履歴や生活記録等の教育ビッグデータを一元管理する統合型校務支援システムの全県立高校への前倒し導入、またデータの集積・分析等を行うためのプラットフォームを構築します。
 併せまして、「海外・地域・他校とつながる学校!」の実現に向けて、オンラインによる、複数校との連携授業、また海外や県外の教育機関との遠隔授業の実施に取り組むなど、今年度整備したICT環境を余すところなく効果的に活用した先進的な教育を推進していきます。
 加えまして、地域の産業界を牽引するDXに対応した職業人材の育成を進めるため、専門高校においてデジタル化に対応した産業教育装置を整備します。
 次に、「防災・インフラ点検高度化」についてです。
 IoT(モノのインターネット)、またAIなどのデジタル技術を最大限に活用し、高度なインフラ監視・点検による日本一の安心インフラやまぐちの実現を目指していきます。
 まず、高度なインフラ監視・点検の実施により、河川の堤防や橋りょうの点検作業の迅速化、異常の早期発見・早期対応を目指し、河川・橋りょうの維持管理等における衛星やドローン等を使った広範な地形の変状監視、またひずみ計等で計測したデータのAI解析による構造物の健全度診断等を行います。
 また、建設現場でのインフラメンテナンスの高度化・効率化を実現するため、建設産業において、測量・設計、施工、維持管理の各段階で、対象とする構造物等の形状を立体的に表現した3次元モデルの活用を推進します。
 こうした取り組みは、作業の迅速化等による安全性・生産性の向上、また作業日数の短縮による休日の確保、また就労環境改善による担い手の確保につながり、建設産業における働き方改革の推進が期待されます。
 次に、中堅・中小企業DXについてです。
 中堅・中小企業のデジタル化の推進により、AI、IoT等の未来技術を活用したDXを促進し、その成果の社会実装に向けた取り組みを支援することで生産性の向上や経営革新を促し、地域経済を牽引する中核企業の創出や中小企業の成長を図っていきます。
 まず、DXによる企業の持続的成長を強力に後押しするため、中小企業におけるクラウドサービスの導入支援からセミナー、ワークショップの実施、企業内におけるDX推進人材の育成、システム構築に対する補助制度の創設など、企業のDXの取り組み状況に応じたきめ細かな支援を行うとともに、推進拠点の整備により企業のDXを総合的に支援する体制を構築します。
 また、企業の研究開発の迅速化・効率化・低コスト化と併せて、非対面・非接触等「新たな日常」に対応した研究開発基盤の構築を図るため、産学公連携のもと、先端研究機器の遠隔利用等によるバーチャルラボを整備し、新たな研究開発モデルの構築・実証や解析データの共用化等に取り組んでいきます。
 また、先進デジタル技術によりものづくり企業を高度化し、県内ものづくり企業等における生産性の向上や新たな付加価値の創出を促進するため、5G(第5世代移動通信システム)・AI等の導入・利活用や新たな製品・技術等の創出に向けた取り組みを一貫して支援するとともに、高度デジタル人材を育成し、DXを加速していきます。
 また、中小企業のデジタル技術の導入を応援するため、県制度融資に「DX対応支援資金」を新たに設定し、DXを通じた革新的な生産性向上、既存ビジネスの変革や新規ビジネスの創出に向けた取り組みをサポートします。
 続いて、コロナがもたらした変革に対応した新たな働き方や就職・採用活動の普及・定着や商店街の新たな取り組みを支援していきます。
 まず、コロナ禍を契機とした新しい働き方を応援するため、普及が進みつつあるテレワークやウェブ会議の利用促進、またDXを活用した職場環境の好事例の創出など、「働き方の新しいスタイル」の実践・定着を推進します。
 また、コロナ禍にあっても若者等の就職や県内中小企業の採用機会を確保するため、コロナに負けない新たな就職・採用スタイルとしてオンラインによる就職・採用活動を支援し、県内就職を促進していきます。
 また、商店街が抱える課題の解決と「新たな日常」に対応するため、EC(電子商取引)サイト上でのバーチャル商店街の開設や実店舗でのバーチャルフィッティングなど、デジタルとリアルの融合による商店街におけるビジネスモデル創出に向けた実証事業を行い、商店街におけるDXを推進していきます。
 次に、「スマート農林水産業」についてです。
 農林水産業の分野においても、デジタル技術を活用し、県産農林水産物の需要拡大や経営の効率化、生産性の向上を図り、本県の農林水産業の成長産業化を推進していきます。
 まず、インターネットの利用機会の増加など、感染症の拡大により生じた消費行動の変化に対応し、やまぐちの農林水産物を応援するため、「やまぐちぶちうま!アプリ」を開発し、特に若年層の需要開拓を行うほか、AR(拡張現実)機能による料理動画配信サービス付きカタログギフトの作成により未来型の販売促進に取り組み、県産農林水産物のさらなる需要拡大を図っていきます。
 また、コロナ禍による首都圏での商談機会の減少を受けまして、「新たな日常」に対応した非接触型ビジネスへの誘導を推進するため、首都圏のバイヤーとのオンライン商談環境の整備、またAIカメラを搭載した自動販売機によるマーケティングの実証からEC販売への早期展開を支援します。
 また、農業における後継者不足が一層進行する中、デジタル技術を活用した農業経営資産の可視化やデータベース化等による経営継承モデルの実証を行い、円滑なマッチングによる経営資産の継承を実現する仕組みを構築していきます。
 この仕組みを柱とした、農業分野における経営継承の取り組みを「農の継活」と称して、山口県発の取り組みとして発信していきます。なお、デジタル化した継承情報を県域でデータベース化し公開をすることは全国でも先進的な取り組みでありますし、中四国では初めての試みとなります。
 続きまして、畜産・漁業・林業の各分野においてもデジタル技術を積極的に取り入れていきます。
 畜産分野では、飼養管理の省力化や生産性の向上を図るため、牛の個体情報を集約管理するクラウドシステムや健康監視システムの導入によって、農家とJA等関係機関が一体となった見守り体制を構築します。
 水産分野では、漁業者の操業の効率化や収益性の向上を図るため、デジタル技術の活用により、マーケットインの観点を取り入れた生産・流通体制の構築に向けた実証を行います。
 林業分野では、作業の安全性と主伐から再造林までの施業全般における採算性の向上を図り、労働災害発生の低減や軽労化による労働環境改善の実現とスマート技術による次世代型林業の転換を促進するため、スマート林業技術の現場実装を支援していきます。
 次に、「地域課題の解決につながるソリューションの創出」です。
 デジタル技術の導入・活用により、これまで対応が困難であった地域課題等を解決に導くソリューションの創出を展開していきます。
 まず、県内で若者の大麻乱用者が急増している実態を踏まえ、AIがSNS内の大麻関連キーワードを巡回し、検知した利用者の端末画面に注意喚起・警告を表示する仕組みを導入し、大麻乱用の未然防止を目指します。
 また、児童・生徒が身近な危険をデジタル技術により体験し被害を未然に回避する方法を自ら考える力を育て、自主防犯意識の高揚につなげるため、地域の危険箇所等を体感できるVR(仮想現実)動画を活用した防犯・交通安全教室を実施します。
 また、「みんなでぶちエコ」の合い言葉の下、県民の行動変容を促し、低炭素型ライフ・ビジネススタイルの定着を促進するため、家庭部門における温室効果ガスの排出量削減に向けて実践行動に応じたポイントを付与する機能を持つ、「CO2排出の見える化」アプリの開発・運用を行います。
 また、IoTを用いた遠隔・統合制御による再生可能エネルギーの有効活用に向けて、EV(電気自動車)の蓄電機能を活用したモデルの実証を行い、今後の普及が期待されるEVを利用して、再エネを賢く使う取り組みを推進していきます。
 また、業務の効率化やサービスの質の向上につなげるため、コロナ対応など負担が増加している介護事業所・障害福祉サービス事業所へのICTやロボットの導入を支援していきます。
 次に、「デジタル・ガバメントの推進」についてです。
 先に述べましたように、社会のデジタル化の遅れという点において、行政分野では特にこれが顕著となっています。コロナ禍においては、このことに迅速に対処し、デジタル技術の活用による行政サービスの質の向上に取り組んでいくことが求められます。
 こうしたデジタル・ガバメントの構築に向けて、県が率先して、行政手続きのオンライン化やICTによる業務の効率化を推進し、県民の利便性や満足度を高めるデジタル技術を活用した行政サービスの提供を追求していきます。
 まず、電子申請や電子決裁等、行政のオンライン手続きの利便性を高めるためのポータルサイトの構築や、ペーパーレス会議の積極的な導入、ウェブ会議における環境のさらなる改善等に取り組んでいきます。
 また、相談対応サービスの質の向上を図るため、AIチャットボットの導入による県民相談の環境整備を進めるほか、住民票の交付や納税証明の発行など市町の共通事務をRPA(ロボティック・プロセス・オートメーション)に自動処理させる仕組みを構築するための実証を県と市町で共同実施し、デジタル化を推進していきます。
 また、納税者の利便性を向上させるため、インターネット上で県税の支払いができるよう、キャッシュレス収納の拡大を図ります。
 また、大学・研究機関と連携した遠隔講義の実施など質の高い授業を実現し、オンラインを活用した探究的な学習活動を推進するため、YSN(やまぐち情報スーパーネットワーク)を活用し、県立高校と、国の学術情報ネットワーク、SINET(さいねっと)と言いますけれども、こうした国の学術情報ネットワークとの接続を可能とする環境整備を行います。
 また、展示室内外をオンラインでつなぐ新たな博物館空間の構築を図るため、県立山口博物館の所蔵品をデジタル化し、オンライン上での鑑賞機会の拡大や学校等での学習活動に有効活用するほか、新しい生活様式に対応した新たなサービスを提供するため、県立山口図書館において、インターネット上で利用可能な利便性の高い電子図書館を新たに導入します。
 次に、項目の二つ目、「新たな人の流れの創出・拡大」です。
 コロナの感染拡大により、テレワークの経験等を通じて地方移住への関心が高まっています。この人々の意識・行動に生じた大きな変化を的確に捉え、本県への人の流れを創出していきます。
 まずは、テレワークで人を呼び込むため、県庁1階に「地方創生テレワーク」のモデルオフィスを開設し、都市部の働き手を積極的に受け入れる体制を構築していきます。
 こうした環境整備は全国で初めての取り組みであり、国の地方創生移住支援事業も引き続き活用しながら、都市部テレワーカーの本県への移住を支援していきます。
 また、休暇先でテレワークを行うワーケーションについても今後の普及拡大が見込まれることから、都市部から本県への人の流れの創出を加速させるため、一体的な誘致を行うための全県的な推進体制を構築し、プロモーション活動や情報発信、拠点施設の設置による受け入れ環境整備等を行います。
 続いて、コロナ禍により高まったキャンプ需要等に着目し、新たなツールを生かして県内外観光客の県内周遊を促進します。
 まず、自然豊かな本県のポテンシャルを生かして、キャンプ場を拠点にアウトドアスポーツを結びつけた、新しいスポーツツーリズムとなる「スポーツフィールドやまぐち」の推進に取り組んでいきます。
 また、デジタルの活用により県内観光事業者の集客力アップを実現するため、観光事業者によるデジタルプラットフォームを活用した情報発信やマーケティングを支援することで国内外観光客の周遊を促進するほか、二つの県立美術館の収蔵品のデジタル化とそれを活用した魅力あるコンテンツの造成を基に、リアルとバーチャルが融合した新しい美術館の魅力の創出と、これと連携した地域周遊につながる取り組みを促進し、新たな人の流れをしっかりと創出・拡大していきます。
 次に、三つ目は「『新たな日常』を支える人材育成」です。
 本県の将来を担い、未来を切り開いていく若者達が、困難な課題に果敢に挑戦し、乗り越えていく力を備えることができるよう、新時代に対応できる人づくりを推進していきます。
 まず、多くの主体が協働して子どもの学び場を創ることで人づくり推進の機運醸成を図るため、デジタルからアナログまでさまざまなツールを活用し、子どもの創造力・表現力を伸ばし育てるワークショップを一堂に集めたイベントを開催します。
 また、グローバルとローカルの両方の視点を兼ね備えるグローカルリーダーを育成するため、本県の自然や文化等をテーマに、外国人留学生等の多様なメンターを交えたワークショップ等を組み合わせた育成プログラム「やまぐち未来維新塾グローカル」を実施します。
 また、乳幼児期からの人づくりに不可欠な幼児教育や保育の質の向上を総合的に推進するため、「山口県乳幼児の育ちと学び支援センター」を設置し、幼児教育・保育の一体的な推進体制を整備するとともに、専門研修の開催や幼児教育アドバイザーによる指導・助言等を実施します。
 以上が、各項目における取り組みの概要です。
 最後に、予算編成の三つ目の柱であります「国の経済対策に呼応した緊急課題への対応」についてご説明します。
 今回の予算編成では、国の「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」、これに呼応し、いわゆる「15か月予算」として、令和2年度2月補正予算と令和3年度当初予算を一体的に編成することとしており、2月補正予算のうち、経済対策に関連する事業費は約300億円となります。
 主なものとして、国の補正予算を積極的に活用し、新型コロナウイルスワクチンの接種体制や軽症者等の療養体制の確保等感染症拡大防止策、専門高校におけるデジタル化に対応した産業教育装置の整備等ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現に取り組みます。
 また、老朽ため池の整備や河川改修などの防災・減災、国土強靱(きょうじん)化の推進に向けた取り組みをはじめ、「防災・減災、国土強靭化のための5か年加速化対策」で追加措置された予防保全型インフラメンテナンスへの転換に向けた橋りょう補修等の老朽化対策等を進めるとともに、農林水産業の成長産業化を支える農業基盤の整備等に取り組むこととしています。
 これらの関連予算のうち、補助公共・直轄事業負担金は約224億円でありまして、令和3年度当初予算との一体編成において、前年度当初予算を上回る規模を確保したところです。
 令和3年度当初予算における財源不足及び財源調整用基金の状況につきましては、お手元の資料の43ページをご覧いただきたいと思います。
 当初予算の編成方針の公表時点における来年度の財源不足額70億円については、県税収入見込みや国の地方財政対策等を踏まえて、国補正予算における臨時交付金等の最大限の活用や予算編成過程における歳出削減、そして財源確保等の取り組みにより、当初予算ベースの最終的な財源不足は45億円となりました。
 一方、財源調整用基金につきましては、令和2年度6月補正においてコロナ対策の財源として取崩しを行い、その時点での年度末残高見込みは9億円程度まで減少しました。
 その後、国の2次補正に伴う臨時交付金の追加交付額が示されたこと等により積み戻しを行うこととしていますが、先の財源不足額45億円をこの財源調整用基金の取崩しで対応するため、令和3年度末時点の基金残高は95億円となる見込みです。
 次に、来年度当初予算における「プライマリーバランス」について、44ページをご覧ください。
 県債発行額を公債費以下とする、プライマリーバランスの黒字に着目した財政運営を継続することにより、一般分の県債のプライマリーバランスは平成13年度以降21年連続の黒字、県債全体でも平成24年度以降10年連続の黒字となる見込みです。
 以上、当初予算案の概要をご説明しました。
 コロナの感染者の発生が続く中、県政の最優先事項は、県民の命と健康を守るために、さらなる感染拡大を防ぐこと、そして低迷する社会経済活動を活性化することです。
 そして、デジタル化をはじめとした社会変革の動きを的確に県政推進に取り込み、山口県の未来の成長に確実につなげていくことが必要です。
 私としては、来年度予算を通じて、コロナ対策やデジタル化などの国の政策とも連携を図りながら、コロナの危機を本県のさらなる成長のチャンスに変えていく、デジタル技術を活用した取り組みを力強くスピード感を持って前に進め、県民の皆さんにその恩恵が行き渡って、豊かで、安心・安全に暮らせる山口県が実現できるように、しっかりと取り組んでいきたいと考えています。
 次に、令和3年度の組織概要について、お手元の資料により説明いたします。
 令和3年度組織については、簡素で効率的な体制整備に努めるとともに、「『コロナの時代』に対応するための施策推進方針」に基づき、主要課題への対応に重点的な職員配置を行い、組織力の強化を図ることとしています。
 まず、1点目は、デジタル推進局の設置についてです。
 県政のさまざまな分野でデジタル化を進める、デジタル技術を活用して社会変革を生み出すデジタルトランスフォーメーション(DX)を強力に推進するため、「デジタル推進局」を総合企画部内に設置します。
 同局は2課体制とし、「デジタル政策課」は、県政各分野におけるデジタル化及びDXの総合的な推進に関する業務を所管し、「デジタル・ガバメント推進課」は、行政手続のオンライン化等、県民や事業者にとって利便性の高い行政のデジタル化の推進等を所管します。
 構成職員は総勢30名程度を見込んでおり、県職員のほか、民間人材から新たに採用する情報職の職員や、市町からの受け入れ職員で構成するとともに、全庁を挙げた推進体制を確保するため、全部局の関係職員による兼務体制についても検討していきたいと考えています。
 さらに、局内においては、専門的な知見から局長等に技術的助言を行う民間人材を登用することとしています。
 2点目は、「新たな時代の人づくり推進室」の設置です。
 新たな時代の人づくりに関する取り組みを、関係部局が連携・協働し、総合的に推進していくため、教育庁を含む庁内横断的な組織となる「新たな時代の人づくり推進室」を総合企画部内に設置します。
 以上が、令和3年度の組織の概要となります。
 県としては、新型コロナへの対応を最優先とする中においても、こうした組織体制の整備を通じまして、危機から生まれた変化をこれからの成長につなげ、その加速が図られるよう、全力で取り組んでまいります。
 最後に、上関大橋損傷に係る今後の対応についてです。
 上関大橋の損傷発生以降、応急工事の実施によって、通行規制を段階的に緩和していますが、上関町民をはじめ、橋を利用される皆さまに、大変なご不便をおかけしています。
 現在、室津側の橋げたをグラウンドアンカーで固定する工事を進めており、3月末には完了する見込みとなりました。
 完了後は、20トンを超える大型トレーラなどの特殊車両を除いて、2車線での対面通行が可能となります。
 これにより、現在運航している代替フェリーについては、終了する予定としています。
 また、4月以降については、約20センチの段差を解消し、橋を損傷前の状態に戻す工事を、引き続き行うこととしており、工期の短縮に努め、早期完成を目指してまいります。
 私からは以上です。

朝日新聞

 予算の関係でお伺いしたいのですけども、今回税収減とコロナ対策で使えるお金が限られる中で、事業についても優先順位を付けて選別していく必要があると思うんですけど、今回の予算案の中ではどういうふうに優先順位を付けられたのでしょうか。

知事

 そうですね。おっしゃるとおり税収がコロナ禍にあって大幅に減り、またコロナ対応等でさまざまな歳出増があります。ですので、限られた財源を今まで以上に有効に使わなければいけない。そういった取り組みの中で、予算を編成してまいりました。まず、予算編成の基本的な考え方といたしまして、しっかりとコロナを克服をする、そしてまた、地域の経済を回復させていくということがあります。そのためにはしっかりとコロナの感染拡大の防止対策を講じていく、皆さんに安心した医療提供体制を整備する。また、検査体制も万全のものを整えていって、県内におけるコロナの感染拡大をしっかりと抑えて込んでいくということがまず第一です。そのために必要な予算はしっかりとまず組んでいこうということ。それから地域が大変疲弊しておりますので、地域経済の維持、また回復に向けてさまざまな支援、制度融資ですとか、あるいは需要喚起策というものもしっかりと講じていくことにしております。それとともに、またこのコロナ禍の中で今大きく新しいチャンスも生まれている。一つはデジタル化であります。これは国全体で今回のコロナ禍によって、デジタル化の遅れというのが非常に顕著になった。これを大きく、この社会全体で進めていくという大きな流れもあるわけです。特に、地方においては、デジタル化によって行政サービスを向上することができる。また、県民の皆さんの暮らしのいろんな場面でこれまで以上に豊かさ、より便利さ、これを実感できるものがさまざまな技術革新によってできるようになってきております。これを、この期間に、大いに前にぜひ進めていきたいと思いますので、組織体制の整備もそうですけれども、しっかりとそのために各分野においてですね、取り組みを前に進めていく、スタートしていくということを今回の予算においてしっかりと講じていこうと、そうした考え方で取り組みをしております。
 一方で、さまざまな事業についてもですね、見直しをし、経費についても節減できるところはしっかりと行っていくことによってメリハリを付けた予算を編成をする、これを通じて財政の一定の、何と言いますか、税収減、歳出増がありながらも何とか財政を前に進めていく、一定の歳出抑制と、あるいは財源確保を図りながら前に進めていくということに取り組んだのが今回の予算であります。

朝日新聞

 デジタル化の取り組みについて、今、便利になったと実感できるようにもなっていったというような話もありましたけど、このデジタル化というのが、どれくらいの期間で、どのくらいの効果が見込めるものなのかということを、知事のお考えを改めて伺ってもよろしいでしょうか。

知事

 この期間というのが、どんどん技術が進んでいけばどんどん新しいことができるようになってくるわけですね。当然技術革新によってさまざまなデータを同時に処理できるものが増えれば増えるほど、これはできることの可能性が増えてまいりますし、また、私、特に全国知事会の中でも強く求めているのが基盤の整備です。特に、超高速のブロードバンドの整備、これを全国津々浦々まで整備されることによって初めて本当に厳しい地域も含めてデジタル化のそのサービスの恩恵を受けることができるようになるわけです。今、今年度においても、5Gを活用して遠隔医療に向けましたさまざまな実証事業等も行っておりますし、また今回もそうですけれども、教育ですとか、子育てですとか、農林水産業、また、そのインフラの管理等、さまざまな分野でデジタルを使ってよりサービスを向上させる、より安心で便利で豊かさを享受できる、そうしたサービスをどんどん展開していきたいと思いますが、そのためには、しっかりと基盤が整備されなければいけません。そうしたことも国の方に強く求めて、ぜひ全国の超高速のブロードバンドの整備、これを津々浦々行われるように、今制度改正を求めているところです。そうしたものもどんどん進めていけばいくほど、よりさまざまな本当に今はできないサービスが今、例えば、今生活をするにしても、産業面においても、さまざまなネックがあるところが、その技術を使うことによって解消できて前に進んでいくことができる。そうした可能性が大いにあるわけですので、その追求というのは終わりはないわけですね。ただ、非常に遅れているところにどんどん国の方もですね、進めていく、そうした体制なり、予算のバックアップというのもどんどん進んでいるところです。この機会に一気にですね、進めることによって、まず大きな一歩を踏み出していきたいと思っております。

朝日新聞

 今回の予算案の中でも、デジタル化に関する事業がたくさんありますけど、特に今年来年度進めていきたい取り組みというのはどういったところになるでしょうか。

知事

 まずですね、これは、いろいろ先ほど説明しましたように、資料も皆さんありますけれども、いろんな分野についてのデジタル化を進めていきたいと思いますが、まず政府においても、デジタル・ガバメント、デジタル庁もつくられておりますけれども、組織もしっかりとつくって、本県におきましてもさまざまな分野のデジタル化をしっかりと進めていきたいと思います。
 まず、一つ目は、足元のところで行政のデジタル化。これはさまざまな手続きもオンライン化をし、RPA等を使ってですね、より効率的なデジタル・ガバメントをつくっていくということをやっていく必要があります。もちろんそうしたことで行政の効率化が図られて、皆さんの手続きも楽になるようにしていきたいと思っておりますが、ただデジタル化それだけでなくて、やっぱり私が思うのは県民の皆さん、暮らしですとか、仕事ですとか、産業、安心・安全、さまざまな面でデジタル化の恩恵を感じてもらえるように事業を展開していかなければいけないと思っています。ですので、デジタル局、推進局においては、全体的に統括もし、デジタル・ガバメントも進めていきますけれども、もちろん各部局もですね、一緒になってそれぞれの分野においてのデジタル化を進めていくことにしているわけです。具体的に何があるかというと、今申し上げたとおりですけれども、例えば、子育てについて言いますとですね、先ほど言いましたように、AIを使って子育てに、妊娠から出産、子育てまで一貫してさまざまな相談に応じる24時間365日応じる、そうしたAIのシステムというのを作っていく、そしてまた母子手帳も、今、紙でありますけれども、こうしたものもデジタル化していって、さまざまな育児の記録だったり、あるいは予防接種が近くなってくると予防接種、そろそろこの接種ありますよというのを直接お知らせをする。要は、行政のサービスというのはいろいろありますけど、子育てに関してもさまざまなサービスがありますけれども、これをいちいち来てもらってですね、本人が確認してということではなくて、こちらからプッシュでこれがありますよ、こんなサービスがありますよ、そろそろ予防接種の時期ですよと、あるいは不審者の情報もですね、子どもが大きくなってくるといろいろと心配がありますけども、住んでいるエリアでこんな不審者情報がありますよというのをプッシュ型で教えていく。そうしたデジタル技術を使って、これまでは本人が来てもらわなければいけなかったところが役所の方から、行政の方から必要な情報というのをどんどんプッシュ型で伝えていくことができるようになります。そうしたことをですね、一つのシステムでしっかりと作っていきたいと思いますし、また全ての市町一緒になって作っていくようにしています。これは、要は子育て関係、今言ったように全県的に共通に提供していきたいものもありますけれども、各市町それぞれが独自のサービスを行っていますので、それぞれうちの市町ではこういったことを住民に伝えたいですとか、そういったものがさまざまあるわけですね。それを登録してもらった方の住所に応じてその方を対象に個別に情報提供するですとか、そうしたこともきめ細かく行っていく。これによって、妊娠から出産そして子育て一連の期間、本当にいろんな苦労が多い時期ですけども、行政の方で全面的に伴走型でサポートする、そうしたシステムを、これが全国で初めて作っていきたいと思っています。そうした取り組みによって、これは本当にまさにデジタルできめ細かく寄り添ってですね、サポートができるようになってまいりますし、また、子育ての時期が終わって、今度、教育の段階に入ってきますと、今、スマート、やまぐちスマートスクール構想ということを申し上げましたけれども、1人1台PCの端末等の整備も行いました。これをぜひ、フルに使ってしっかりとした教育を提供していきたいと思います。例えば、もちろん一人一人に端末を配備することを通じ、子どもたちの学習についてのよりきめ細かなデータの把握もできるわけです。校務支援システムというのを入れて、その子どもの学習の履歴、どういったところに課題があると、そういったところも含めて、しっかりとデータとして管理ができる。これによってきめ細かな教育がより一層できるようになってまいります。それから、基本的に全ての県立学校にPCが整備されて、1人1台持っているという、そして学校同士がつながっている環境、インターネットともつながっているという環境を使っていろんなことができるようになります。これも今言ったやまぐちスマートスクール構想の中でやろうとしておりますけども、例えば、一つは海外の学校と全ての県立学校と結び付けてですね、全ての県立高校がどこかの海外の学校と結び付く、そうしたことで国際的な授業を行っていくということもですね、これを実現するようにしてまいりますし、また、例えば、非常にレベルが高い授業ですね、これをその学校だけで行うわけでなくて、全校を通じて同時に海外授業を行うですとか、あるいは、専門高校等で言いますと、いろんな資格を取る生徒たちが、例えば危険物取扱者ですとか、測量士補ですとか、簿記ですとか、いろんな資格を取るわけですけども、それに応じた講座を、これは、その学校だけではなくて全校に、関係する学校にみんな一斉に配信をしてより専門的な授業ですとか、講座というものを設けることができるようになるわけです。そうした形で、より質の高い教育というのを、この基盤が整ったことによって初めてできるようになる、これをフルに活用してやっていきたいと思います。
 いいですか、そんなところです。

朝日新聞

 子育てと教育のDXというところで取り組んで。

知事

 今言ったのはそうですよ。他もそれぞれあります。例えば、インフラの点検で言いますと、上関の橋の事故のことも最後申し上げましたけれども、これも法定の必要な点検というのは全てやっているわけですが、そうした老朽化等によってですね、原因は今しっかり精査をするところでありますけれども、老朽化等によって事故が起きたわけですね。非常にインフラ全体が老朽化を今している状況の中で、これをどのように、その効率的に、また高度な形で管理できるか、点検できるかというのが、これから大変重要になってきます。山口県は、実は県で管理している二級河川というのが全国で2番目に長い、そしてダムの数も山口県は全国で2番目に多いという県です。これがどんどん老朽化をしていくということの中で、ここをいかに効率的に管理するか、点検するかという、それをですね、いかに整えるかというのが大変大きな、これから課題にますますなっていきます。そうしたインフラメンテナンスの高度化、効率化をですね、高度な技術を使ってやっていこうという中で、衛星ですとか、ドローンを使って、現在のインフラの状況をしっかりと監視をする。どう変わったかというのを監視をすることによって、本当は人が行ってですね、できれば良いんですけども,これを全部、これだけのさまざまなインフラをですね、なかなか全てを見るというのは難しいです。しかし、衛星ですとか、ドローンですとか、そういったものを使って現状を監視することによって速やかに、その変化を把握することができて、速やかにその対処ができるようになってきます。そしてまた、例えばインフラでも何かひび割れがあれば、そこをきちんと鮮明な画像で撮ってAIで診断させれば中がどうなっているかというのを、これはある程度把握ができるようになってくる。もちろん目視でやっていくというこれまでのものも併用しながらですけれども、AIを使ってよりさまざまなデータを入れた形で、より適切な分析ができるようになってまいります。そうした衛星ですとか、ドローンですとか、AIですとか、そうしたものを使って、日本一安心できる、そうしたインフラの管理をしていく、そうしたことを実現していきたいと思います。
 それから、あとは産業分野でもさまざまな分野で、特に中小企業が困っていますから、そうしたところをサポートする仕組みですとか、農林水産業においてもですね、それぞれの分野においても高度な技術を使って生産性を高めていく、人が少なくてもより付加価値が高いものが作ることができたりですね、収穫できたりということを実現をしていきたいと思いますので、これはさまざまな分野についてありますので、今予算で説明した、全部挙げていれば切りがありませんけども、そうしたことをやることによって、本当に県民の皆さんがこうやってデジタル化によって自分たちの暮らしが便利になったり、より安心が増したりですね、そうしたこと、より教育が充実したり、そうしたことを実感してもらえるような取り組みを全県的に進めていきたいと思います。

朝日新聞

 デジタル化の取り組みがさまざまな分野で進めていこうとされていますけど、特に県として力を入れたい分野というのはどうでしょうか。

知事

 分野について特にどこというのはありませんけれども、ただ、やはり、より何と言いますか、いろんな課題についてデジタルがあれば解決できる方法があれば、速やかにそれを行っていきたいと思います。例えば、今言ったような子育てとかでも、本当に子育ての時期っていろんなサポートが必要なわけですね。今言ったように行政の提供しているものについてもできるだけきちんとお知らせをすることも必要ですし、さっきは言いませんでしたけれども、地域の子育て支援団体とつなぐような、そうしたことも、こうした基盤をつくることによって円滑に行くだろうと思います。そうしたつなぐことができる部分というのがデジタルの技術を活用することによって大きく展開ができますので、そうした本当に必要なところですぐに展開できるものをまずやっていくということがまず重要だろうなというふうに思います。ですので、単にこの分野ということに限りませんけども、例えば、本当に子育てだったり、今の教育でもすでに整っているから、それを使って最大限活用できるようにはしていきたいと思いますし、とにかくできることをそれぞれの分野においてしっかりと進めていくということでさまざまな分野で、この恩恵を皆さんが実感できるような、そうした取り組みを展開していきたいと思います。

朝日新聞

 経済活性化の両立という項目についてなんですけれども、他県で伺いますけど、緊急事態宣言が再発令されて県内でも打撃を受けた業種というもがたくさんあると思うんですけど。

知事

 何が。

朝日新聞

 打撃を。経済的な打撃を受けた業種が。知事としては、どこが、どの業態が打撃を受けているとお考えでしょうか。

知事

 そうですね、これは、本当にさまざまな分野がありますので、特に人が往来するところですね、観光、また飲食、そうしたところについては大きな打撃があるだろうというふうに承知をしております。ただ、当然これは、そこ直接もありますけれども、それに関連してさまざまなですね、いずれも裾野が広い産業ですので、これに関連してさまざまな影響が広く受けているというふうには思います。

朝日新聞

 特に、飲食店とか、飲食店が送迎で使われるタクシー業界とかは、特に大きな影響を受けていると取材を通しても苦しい声を聞くんですけども、そういったところへの支援というのはどのように考えられていますか。

知事

 これまでもですね、こうしてきているところで、特別給付を行ったり、あるいは業種を転換するための支援っていうのも行ってきていますけれども、新年度の予算におきましても、本当に経営的に困っているところについては融資についても、きちんと額を確保し、これを実行していきたいと思いますし、また、特に、需要の喚起につきましては、これは今大変コロナの第3波がある中で、緊急事態宣言は山口県は出ていませんけれども、全国的にやっぱりみんなそういう飲食とかに向かわなくなってきておりますので、本当に大きな痛手だと思います。一番大事なのは、ここをしっかりとコロナを収めて、再び経済を動き出すようにしていくっていう、そのために、しっかりコロナを抑えていくっていうことがまず重要でありますけども、需要喚起についても、しっかりと関わっていく必要があります。で、今、国の「Go To イート」のキャンペーンは、山口県ではずっと進めていまして、テレビコマーシャルでもずっと流しているところです。ただ、これ県内に今100億円、国の予算としては、山口県の枠としては100億確保して、券を売っているところですけれども、現実、売れてるのは40億も満たない額になってます。まだまだ、山口県の枠っていうのが余っている状況。これ全国的に実は同じような状況になっていますけれども、しっかりとこれをまず売って、非常に割引率の高いものですので、ぜひ買ってもらって飲食を楽しんでいただきたいというふうに思います。引き続き、その辺のPRですとか、いうことは行いながら、また一方で、われわれとしては、しっかりコロナを抑えていく、そしてまた、飲食店でコロナ対応をしっかりしている「取組宣言店」ありますけれども、これもより広げていって、県民の皆さんが、一方で安心して飲食を楽しめるような環境っていうのも引き続き充実を図っていきたいと思います。

朝日新聞

 先ほど融資、経済的な支援としては融資額を確保されたというようなお話もありましたけど、こうした状況の中で、返すのが返せないような、なかなか借りることもできないっていうような声も聞くことがありまして、そうするとまあ、直接的なものですと、補正では、4月の補正では、飲食店一律10万円というのもありましたけど、それらを見送られた判断ということについて、伺ってもよろしいでしょうか。

知事

 そうですね。私的には、つまり経営的な支援は基本的には融資っていうのを基本的にやるべきだというふうに思っております。もちろん、経済活動の中で、自分のところで収入を稼いで、それでやっていくっていうことを、まず正常な状態に戻していくっていうことが基本だと思いますので、その施策としては、まず融資を基本としながら需要喚起をしていくっていうことを基本的なこととして考えていきたいというふうに思っております。ですので、まず需要喚起については、「Go To」がありますので、まずそれをしっかりやっていきたいと思いますけれども、さらに追加で必要なものがあれば、また、これ当初予算、今の段階では、緊急事態宣言も全国的に出ている状況の中でありますけれども、落ち着いた段階で、より需要喚起をするっていうことも県独自には考えていかなければいけないというふうに思いますので、そこは引き続き状況を見ながら考えていきたいと思います。直接、経営的な支援ということをする時には、国の方では雇用調整助成金等もあります。この間知事会では、持続化給付金ですね、厳しい中で、これは全国的にぜひもう一度、再度実行してほしいという話もしたところでありますけれども、そうした国への働き掛けもしながら、県内の状況に応じて、これから、この当初予算で全て終わりじゃなくて、補正予算等でも必要な対策はこれから講じていきたいと思います。

朝日新聞

 「Go To イート」を使えるのは山口に限らず全国で使えるわけですけれども、他県では、「Go To イート」に加えて、県独自の取り組みとして、鳥取県では、タクシー千円で3時間貸し切りにしたりとかいうような取り組みもありますけど、山口としては、今後どのような取り組みを検討されてますでしょうか。

知事

 そうですね。現在の需要喚起策としては、「Go To イート」のところが全く、全くっていうか、かなりまだまだ販売が、より強化をしていかなければいけないところがありますので、そこをしっかりとやっていきたいと思いますが、今後、第3波がある程度収まってきて、収まってきてほしいと思っていますが、収まってきて、その時点でのその状況をよく見ながら、必要な対策っていうのは追加的に講じていきたいと思っております。

朝日新聞

 この今回の当初予算案の中では、感染状況を見ながら今後判断していくということでしたけど、前回の経済対策としては、十分だというようなお考えになるのでしょうか。

知事

 いや、十分ってことはないですね。もちろん、これはその時点その時点で必要な対策をしっかり講じていかなければいけないと思いますので、今年度予算においてもそうですけれども、まあ4月だったり、6月だったり、その都度その都度、必要な対策っていうのは補正として講じていますので、じゃあ今回の当初予算で今年の1年間これで全部と思ってなくて、追加でもちろんその時点その時点で必要な、これは感染防止対策が必要なのか、あるいは需要喚起の局面なのかっていうのは、なってみなければ分からないところもありますけれども、その時点で必要なものをしっかりと講じていくように考えてます。

朝日新聞

 基金の話なんですけど、基金、一時9億円ある基金を取り崩したんですけれども、95億円まで今戻ったわけですけど、この使い道として、今想定されているのはどういったものがあるか、伺ってもよろしいでしょうか。

知事

 分野とすれば、今使っているような。財調基金の話ですか。

朝日新聞

 はい。

知事

 そうですね。財政調整基金。もちろんこれ自体の目的は、財源不足を埋めるためのものですから、何かに使うっていう特定のものじゃないですけれども、今の状況で、財政需要として大きいのはもちろんコロナ対応ですね。そうしたことへの活用も考えられます。ただ、当然これは国からの交付金等もありますので、そうしたものをまず優先的に充てていって、なお足りないところは財政調整基金でというような、そうした順番になってくると思います。

朝日新聞

 先ほどの話にも、この予算で終わりじゃなく、また、4月、6月でも補正を組んでいくというようなお話しでしたけど、今基金があって、その不足分を埋めるための基金として95億円ある中で、必要な経済対策っていうのは、4月、6月にやるんであれば、今やってもいいんじゃないかというような考えもあるんですけど、その点についてはいかがでしょうか。

知事

 4月というのは、前回はコロナが起きて、臨時で議会を開いてやったわけですね。通常でいけば6月議会っていうのが次の議会になろうと思いますけれども、その時点で必要な対応を考えていきたいと思います。

朝日新聞

 今の判断を見送られたのはどんな理由でしょうか。

知事

 今まず需要喚起策について言うと、飲食の話だけでいいんですかね。飲食の話について言うと、「Go To イート」を今どんどん進めているわけですね。ただ、これがやっぱりみんな、なかなか外出とか飲食を控えている中で、購入が進んでいかない、100億の枠がこれは今、もともと2月末までが最初の販売が、それが3月末まで延びましたが、昨日か、また連絡が来て、5月末まで販売を延ばすと。要は全国的にこれ売れてないので、もっと延ばして、しっかりとこれを買ってもらうようにしようというふうになっております。それを使える日が6月末までとなっていますので、ここにさらに乗せて、山口県独自の、例えば食事券出すこともできなくはないですけれども、もともと100億あるやつが30億、40億しか売れてない中で、それで追加で出すということよりも、まずこの100億をしっかりと購入してもらおうということが優先だと思いますので、それをまず年度の当初ではしっかりと、この5月末まで、そして使えるのは6月末までと決まっていますから、ここをまず、半分以上残っているわけですから、これをしっかりとPRをして買ってもらって行ってもらうっていうことが重要だと思いますし、それを促すためには、PRも重要ですが、コロナをしっかりと抑えていって、また「取組宣言店」を増やして、PRもしっかりやって、安心に利用してもらうっていうことが、まず第一にやるべきだろうと思いますので、その次にまた、その先の展開については、その時点の状況等を見ながら考えていきたいと思いますね。

朝日新聞

 今、これ飲食の話でしたけど、鳥取が取り組みを進めているようなタクシー業界への支援とかっていうのについてはいかがでしょうか。

知事

 そうですね。そこはまたよく状況を見ながら、どういった分野に、どういった業界なりですね、にどういった深刻な影響があるのかっていうところを見ながら、全体的にどういう対策をするのかっていうのは考えていきたいと思います。

朝日新聞

 今はまだどんな影響があるかっていうのを確認を進めてる段階という話でしょうか。

知事

 もちろん各部局、昨日の庁議でも言ったんですけれども、それぞれの分野、所管している分野について、コロナの影響等は常々しっかりと確認をし、必要な対策を考えるようにということは言っておりますので、そうした中でまた考えていきたいと思います。

中国新聞

 あと数日で、2期目の任期が残り1年になるんですけど、改めて、3期目への考えがおありでしたら教えてください。

知事

 現時点、この1年ずっとそうですけども、あと数日でと言うと、あと数日したらまた、数日というか、コロナが山口県で起きて1年となるわけですね。この1年間ずっとコロナによって、全くわれわれの環境は大きく変わったわけです。このコロナを、しかし1年経って、まだ第3波の波の中にあり、これをしっかりと抑えていくということ、そしてこれによって傷んだ経済を回復をしていくということ、また、デジタル化等の話も先ほどから申し上げておりますけれども、今の社会の変化を次の未来につなげていく、そうしたことをやっていくとても重要な時であります。そうしたことをまず今は専念をしてやっていくことをしておりますので、まあその先について、今考えていることはありません。

中国新聞

 ただ、今回の予算を見ると、デジタルであるとか、人づくりであるとか、新しい組織をつくられて、かなり将来を考えてということに尽きると思うんですが、3期目へ のある意味意気込みかなという、こちらとしては感じてしまうんですけど。

知事

 それは、何かその都度その都度、やるべきことをやるっていうことをですね。当然、それは時間がかかるものもありますから。そうすると、もう任期が近いから、時間がかかることは始めないっていうことになるとスタートが遅れてしまうわけですよね。デジタルはまさに今進めていかなければいけないことですし、そのために、国のさまざまな支援策も実際ありますから、そうしたものを使って一気に進める大きな機会でもあるわけですね。そうしたタイミングで、将来に向けて必要なことをやるっていうのは、任期がどれだけ残っていようと、同じように考えてやっていかなければいけないことだと思います。

中国新聞

 あくまでも今は考えていないということでいいですか。

知事

 はい。

中国新聞

 で、あと、財政のことについてお聞きしたいんですけれども、予算方針の時は、極めて厳しいと財政が言われていたんですけれども、今の認識はどうですか。

知事

 それは厳しいですね。もちろん税収も、これまでになく大きな一気に減少をしておりますし、当然歳出についても、コロナ対策もどこまで本当にこれからさらにかかっていくのか、また、傷んでいる経済を回復するために、どれだけの財政出動をしなければいけないかっていうのが全く見通せない状況ですから、そうした将来的な不安定な要素を含めて考えても非常に厳しいと思います。

中国新聞

 非常に厳しいという認識で。

知事

 はい。

中国新聞

 今、行財政改革を凍結されていますけど、その凍結を解かれるっていうタイミングっていうのは、どういった時になるんでしょうか。

知事

 そうですね。このコロナ対応で、必要な財政出動は機動的にしなければいけないし、例えば財源についても、基金100億円っていうのを目標にやっていましたが、これにこだわって、必要なことをできないっていうことではいけませんので、そうした意味で財政健全化の取り組みを今凍結をしておりますが、これはまた再開をして、また財政を健全化するっていう道筋はまた元に戻っていかなければいけないと思います。ただ、それがいつ戻るかっていうのは、やっぱり今そもそも凍結しているのが、コロナへの対応を機動的に、力を入れてできるようにということでやっていますので、これが収束をした後に、その時点で考えていくということになります。今時点では、まだ税収もこれからどれだけまた落ちていくのか、コロナ対応が実際いつまで必要であって、それによって傷んだ経済の回復にどれだれの財源出動をしなければいけないのかっていうところが見通せませんので、現時点で、いつそれをリスタートするっていうことは申し上げられませんけれども、収束をしていって、コロナについてのある程度の落ち着きが出たところで、またその時点で考えていきたいと思います。

中国新聞

 基金が95億円、今日時点、当初の予測よりは、かなり大きい額だと思うんですけれども、それあってもなかなか見通しっていうのは難しいんでしょうか。

知事

 もちろんこのコロナの財源って、県費だけでやっているわけじゃなくて、むしろ国費の方が相当入っていますから、今こうしてもっているわけですよね。国の交付金等がなければ、もう基金がゼロなっても全然足りないぐらいの財政出動、これはこの1年間にしていますから、そうした実際国のこれからの追加的な財政需要に対して、国からこれからもいくら実際に財源的な手当てされるのかっていうのが見通せない状況ですので、ここは全く予断を許さないと思います。

中国新聞

 あと、市町との県有施設の移管を、これもストップしていると思うんですけど、協議、このタイミングっていうのをコロナが収束しない限りはできないっていうことでしょうか。

知事

 そうですね。財政健全化の一環として、一つの項目としてこれはやっていましたので、もちろん財政健全化全体をどういうふうに、その取り組みを再度スタートするかっていうところと関わってくると思います。

中国新聞

 ありがとうございます。

NHK

 今の中国新聞さんの質問に関連するんですが、国等の交付金で、今ある程度財政状況も保たれているということなのですが、新年度以降も、今回の第3次補正でまた地方創生臨時交付金が決まりましたけど、新年度以降も国に対して、必要な財政面の支援、どういうふうに今後もやっていきたいというふうにお考えでしょうか。

知事

 そうですね。国全体で今、臨時交付金が補正が3回ありまして、全部で4.5兆という枠が各地方団体に交付されております。山口県に対しては260億円程度交付をされておりまして、これを使ってコロナに関するさまざまな感染防止対策だったり、あるいはさまざまな需要喚起策っていうのをやっているわけですね。これがないとたちまち財政的には立ち行かなくなってきます。って言うのが、基金も今回の予算では95億とっておりますけれども、さっきも言いましたが、この交付金がなければ、もうゼロになっても全然足りないぐらいの財政出動をしているわけですね。税収も落ちていますし、その税収が落ちた分の財源も通常の行政サービスをするための財源っていうのもきちんと確保してもらわなければ立ち行かなくなってまいりますので、ここは本当にコロナ対策、感染を抑えていく、また地域をしっかり守っていくために財源っていうのは、まず最初に必要な絶対欠かせないものでありますから、このことについてはしっかりと引き続き、国にも強く求めていきながら、これからの補正等でも、さらに国に追加的な額を求めていきたいと思います。

NHK

 分かりました。デジタル化のことでお伺いしたいんですが、かねてから知事がデジタル化について推進していくということで、都市と地方との格差を小さくする可能性があるということでお話しされていると思いますが、今回の新年度当初予算に組み込まれた事業を含めて、そういった点では、どのような思いを込められているのでしょうか。

知事

 そうですね。例えば、今言った教育についても、どんどん地方っていうのは、生徒が減っていって、学校の規模が小さくなったり、統廃合されていったりということがなってくるわけですね。少ない生徒、あるいは少ない先生ですと、そこでできる教育というのも、おのずとどんどん制約がかかってきます。しかし、1人1台PCを導入して、全県的に一斉に、例えば高度な授業ですとか、あるいは専門的な授業、そうしたものを展開できるようになってくれば、これは一つ一つの学校で、少ない生徒、少ない先生でやらなければいけなかったことが、そこが大きく打破されて、全県的により数字の高い、水準の高い高度な授業、ほんとに質の高い授業っていうのが展開できるようになってきます。そうした意味では、人口減少によって教育の面でのハンデというのは、そこで克服することができるわけですね。それだけではなくて、本当に通信網、今、全国知事会の本部長として求めていますけれども、全国津々浦々そうしたサービスが提供されて基盤が整っていけば、そこを通じて、例えば、高齢者であれば医療の提供、これも今、5G等で実証事業をやっていますけれども、健康状態の確認ですとか、あるいは離島の支援ですとか、さまざまな食を提供するためのサービスですとか、いろんなことができるようになってくるわけです。また、災害等も多い中で、インフラの管理もデジタルを使ってしっかりと点検できるようになれば、災害が多い中でより安心な地域社会というのをつくることができるようになってきます。
 そうした意味で言いますと、人口減少とか、少子高齢化によって地域が抱える課題というのをいろんな面で解決をできる、その可能性を大いに持っているのがデジタル技術でありますので、これをしっかりと山口県において、個別の分野にきめ細かく見ていきながら展開をしていきたいというふうに考えております。
 特に、もう一つ言いますと、コロナ禍の中で都市部から地方への人の流れというのがだんだん生まれてきています。東京はずっと転入超過、転出転入のプラマイでいくと転入超過でずっときているわけですけれども、コロナ禍の中で東京からの転出超過というのが起きています。毎月転出超過になってきている。これは、東京が抱えるさまざまなリスクというのが、今回のコロナ禍によってもより明らかになった、これで地方の方に人が向かっているという面があります。さらに、地方の方でそうした受け皿としてデジタル環境、特に移住してこられる方も言われるのは、デジタル環境の整備ですけれども、そうした環境をしっかり整うことができれば、どんどん地方で住んで、暮らして、豊かさを味わいながら仕事もできる、移住そのものもありますが、テレワークですとか、ワーケーションですとか、いろんな働き方というのも場所にとらわれずに行うことができるようになってきていますし、地方には、それをしっかりと引っ張ってくるポテンシャルが強くあるわけですね。このデジタル化によって、その可能性が大きく開花できる、そうしたことであります。
 ですので、今回、テレワークができる場所も県庁の中に設けたりですとか、DX推進拠点を設けて県内もさまざまデジタル化を進めていこうですとか、そうしたことを行っていくのは、そうしたことも狙いとしては、持っているわけです。

NHK

 分かりました。もう1点、コロナの感染状況についてお伺いしたいんですけれども、今、県内では、新規の感染者数が減少傾向にあると認識しているんですけれども、明日も対策本部会議を開催されるということで案内を受けているんですけれども、今、山口県「ステージ3」にあるということなんですけれども、もちろん専門家の方のご意見を踏まえた上でのご判断だと思いますけれども、ステージについて引き下げるということを念頭に、専門家に意見を聞かれるお考え等はございますでしょうか。

知事

 はい。感染状況のステージについては、今「3」に引き上げたところですけれども、山口県内の六つのモニタリング指標で言いますと、2月10日以降これらの指標が「ステージ3」の基準を下回っている状態になっております。そうした中で、今お話ありました有識者からなりますモニタリング会議を12日に開催をしまして、現在の感染状況についての意見を聞きました。そうしましたところ、クラスターが発生した医療機関では、現在も新たな感染が確認をされている、そして予断を許さない状況であって、ステージの引き下げは、今後の新規陽性者の発生状況や、現在の陽性者の減少傾向等を勘案して判断すべきと、そうした所見、見解でありました。

 そうしたモニタリング会議の意見を踏まえまして、現時点においては、今の「ステージ3」の段階を据え置いておくことが適当であろうというふうに考えています。

NHK

 今、クラスターが起きていて、新規感染等の今後の推移について見てから。

知事

 そうですね。クラスターが起きている場所での新規感染がどうかというところと、それ以外の通常の県内でのですね、新規感染が今あまり起きていませんけれども、その状況は本当に起きないのかというところをもう少し見極めてからということです。

NHK

 分かりました。ありがとうございました。

毎日新聞

 先ほど触れられました3期目に関することで、現在は考えてらっしゃらないということですが、いつ頃までに決めようと思ってらっしゃいますでしょうか。

知事

 いつ頃までに決めようということも考えているわけではないです。時期が近づいたら考えていかなければいけないと思います。

毎日新聞

 昨年、センチュリーの購入を巡って問題になりました備品購入費のことに関しまして、改めてどの辺を見直して、今回はしっかりとチェックができたかどうかということと、これだけ長時間説明を受けてもまだ、備品購入費というのをどのくらい一体何を買っているかというのは僕ら県民には伝わってきません。今回、100万円以上のものは200件余りあって、それに関しては、知事は直接チェックをしたんだというふうに伺いました。だから、そういった200件、100万円超えるようなものはホームページで公開するだとか、何か、この備品購入費、微々たるものもあるので全部というのは無理かもしれませんが、一定の金額以上のものはホームページで公表するとか、何か改善する方法はないでしょうか。

知事

 まず、備品購入費につきましては、要求がありました全ての公用車、そして1件あたり100万円以上の物品につきまして、財政課から報告を受けまして私自身も内容の確認をしたところです。そうした中で、要求については、必要性、妥当性について確認をして認めているところです。
 ですが、予算の中身について、どこまで詳細に示すかということでありますけれども、当然、議案に出しているものですとかそうしたもの、あるいは今回の資料で県民の皆さまに直接関わるものというのはですね、できるだけ細かく出すようにしているところでありますので、そうした中でこれからもやっていきたいというふうには思っております。備品だけ取り出してですね、出していくっていうのは、全体として何を出していくかっていうことからすると、もっと県民の皆さんに直接関わるような身近なサービスのものを、まずは出していくべきではないかというふうに思っています。

毎日新聞

 センチュリーを巡りまして、元県職員の方が近く購入金額2千万円余りの返還を求める裁判を起こすということで、先日集会を開かれていました。県民が裁判を起こすという事態まで至ってしまったこと、特に、元県の職員でいらっしゃったっていうのを踏まえて、これが裁判になってしまうということに関しては、どのように感じられますでしょうか。

知事

 そうですね。行政を相手方にした裁判というのは、いろんな裁判がありますので、それぞれの皆さんが、それぞれの行いでされることだというふうに思いますので、そのことについて特段コメントはありませんけれども、まだ、裁判を起こすということが報道であるのは現在承知しておりますが、今、その訴状が来ているわけではありませんので、もしされるんであれば、それが届き次第中身を確認して対応を検討していきたいと思います。

毎日新聞

 もう1点。2012年度まで県の方からしてらっしゃいました下関にある朝鮮学校に対する補助金を公費支出しなくなって10年近くになってまいりました。
 先日、政党から知事に対する予算要求があったときに、それを出してほしいという要求に絡めて、毎月1回関係者が県庁前で座り込みをしてらっしゃると思いますが、その姿は知事の目に入っているか、声が聞こえているかっていうことを政党の方が問うたときに、知事は「あ、見えています。聞こえています。」ということをおっしゃっていますが、熱心にああやって補助金を出してほしいと言ったり、毎月座り込みまでされているのに、なぜ、応えられないんでしょうか。

知事

 その考え方については、これまでも議会答弁等でも繰り返し述べているところでありまして、総合的に考えて補助金を再開するということは、現時点では考えていないということです。3点ほど言っていたかと思うんですけど、基本的な考え方としてはそれを維持しております。

毎日新聞

 毎月座り込みをされていて、先月は1月座り込みをされたときは、一番寒い、極端に寒い中でやってらっしゃいました。昨年の夏、座り込みをやっているときには、猛暑の中でやってらっしゃいまして、どなたか熱中症で倒れたり、あるいは低体温症で倒れたりするんじゃないかなというふうに思います。
 何か、中に、庁舎の中に入れて、来ていただいたときにお話をする、年に1回は知事が直接話す、そういったことはできないでしょうか。

知事

 庁舎の中の話はちょっと財産管理の問題とかあるのかもしれません。よくそれは分からないので担当課に確認をしていただきたいとは思いますが。いずれにしても、いろんな要望がありますので、そうしたものは、それぞれの担当課の方で話を聞いた上で、私の方に上がってくるようになっておりますから、そうした中で対応していきたいと思います。

毎日新聞

 もう1点。岩国に予定されています県立武道館の計画のことを2020年度には基本計画策定という1900万円の予算があったなと思います。それが、今年度中におおむねでき上がって、2021年度は、設計から着工へって予算が計上されてくるかなと思いましたが載っていないように思います。その辺の進捗と、まだ設計・着工の方に進んでいけないようであれば、どうしてそうなっているかっていうことを教えていただけますでしょうか。

知事

 武道館の話。

毎日新聞

 武道館です。岩国の基地交付金を使った武道館です。

知事

 今ですね、基本計画策定中なんですけれども、その中で施設の機能とか規模とか整備場所とかを決めることにしていますけれども、それがまだ策定できていない状況でして、この基本計画ができましたらその内容を踏まえて、次のステップとすれば基本実施設計に入ることになります。その関係経費については、基本計画策定後に対応することにしていますので、またその時点で、補正予算等で対応する予定であります。

毎日新聞

 分かりました。ありがとうございます。

山口新聞

 先ほど、行革(行財政構造改革)の話があったんですけれども、維新プランについて、これが2022年度までの計画だと思うんですけれども、これについても、クルーズ船の誘致とかコロナで大きく影響を受けて先が見通せない状況というところだと思うんですけれども、これについても一時凍結とか、知事として今どのように考えられていますか。

知事

 維新プラン(「やまぐち維新プラン」)自体が目指している方向自体は変わってなくて、これにさらにデジタルとかですね、そうしたもの、新しい予算をのせていかなければいけないと思いますが、今ちょっとコロナの中で、大きく状況が変わってきていますけれども、県が目指している方向自体は、変わっているものではありません。当然、観光とかもですね、非常にどんどん右肩上がりで増えていましたが、今、コロナでがっと落ちていますけれども、これは、コロナが収束すればまた元どおりにですね、元の軌道に、また上昇の方にもっていきたいというふうに思っておりますので、その目標自体を変えるものではありません。けれども、当然、このコロナ禍の中で立てた目標よりも随分と状況変わっていたりとかですね、達成が困難になったりということころはありますので、そこはまた、コロナの収束を見据えてですね、例えば、観光とかについてもインバウンドであれば、今のうちから海外とのネットワークをしっかりとつくっていって、再開後に、すぐに需要を山口県に引き込んでこれるように、そうした準備を進めているところです。

 基本的な考え方は維持しながら、コロナの状況を見ながら、それに向かって進めていきたいと思っています。

山口新聞

 見直しはしないということで理解してもよろしいですか。

知事

 細かい目標を個別に、何と言ったらいいのかな。全体的にですね、見直しとはいかないですけれども、個々の目標によってはあるのかな。
 要するに、個別の分野のあれですよね、達成目標みたいなやつですよね。

総合企画部長

 プランの見直しは予定していません。

山口新聞

 分かりました。あと、先ほども話が出た任期のところでなんですけれども、2期目の最終年度というところでは、知事としては集大成というか、2期目の集大成というのは、どういう位置付けで組まれたのか、その辺の意気込みが、思いがあれば教えてください。

知事

 平時であれば、平時で元々ですね、何も状況が変わっていない、コロナがなければっていうことですけれども、なければ、きちんと維新プランに基づき、例えば、新規のさまざまな、産業面においての事業化だったり、誘客だったりですね、農林水産物の海外展開だったり、いろんな目標を立てて、それが順調に進んできておりましたけれども、今、コロナの中でさまざまな面が難しくなってきておりますから、計画的に進めてきたものを最後にどうするかというところの環境ではそもそもないと思っておりまして、新年度の予算で言いますと、先ほど来、言っておりますけれども、いくつかの狙いがあります。
 一つは、コロナの克服、そして地域の回復、そして将来に向けた新しい未来への新たな前進。そうしたことを掲げて、狙いとして組んでおります。要は、当面この1年間は、コロナをいかに県内で拡大をさせずに抑えて、そして経済、社会を回復させるかというところが中心になってきますので、そのことを、これからコロナがどういうふうに動いていくのか、第3波が少し収まってきていますけれども、これまでの経験で言えば、当然、第4波とか、第5波というのが、ワクチンの供給との兼ね合いもありますけれども出てくるだろうと思いますので、その都度、その都度、やっぱりしっかりと感染を抑えていく、経済の影響を最小限にとどめていって、コロナが収まっているときには、しっかりと経済を回復するということをやっていかなければいけませんので、残り1年間はそうした、常にその刻々と変わっていく状況に対して、しっかりと山口県を守っていくということが重要だと思いますから、そうしたところに専念をしていきたいと思います。

山口新聞

 最後に1点。今日、議運(議会運営委員会)があって、被害者支援条例(山口県犯罪被害者等支援条例)の条例案を今度の県議会に提出されるということなんですけれども、山口県としての被害者支援条例の制定にあたって、知事としての思いというか、どのような社会になってほしいかというところを教えてください。

知事

 そうですね。やっぱり、犯罪被害者の皆さま、犯罪に遭ったことは、そもそもなんですけど、その後もですね、大変苦しい、地域で暮らしていく上でもいろんな不安とかを抱えながらということになりますので、そこに対するできるだけのサポートを行政としていくべきだというふうに考えております。そうしたことで言いますと、条例も設けますが個別に支援措置もですね、全国的に進んだものも講じることにしております。そうした点で、本当に困っている皆さま方に、できるだけのサポート、支えができればなというふうに思いますので、ぜひ、この条例もしっかりと実現をしてですね、施行して、そうした社会に向けた大きな一歩を踏み出していければと思います。

山口新聞

 ありがとうございました。

読売新聞

 2期目の任期残り1年もう間もなくということで、感想をお伺いしたいんですけれども、2期目の3年間を知事として県政運営のかじ取りを担う知事としてですが、どのような3年間だったか、ご自身で振り返ってみて自己評価をお聞かせください。

知事

 そうですね。1期目から、特に産業力を高めていく、また、交流を拡大することによって地域を活性化をしていきたいという思いでやっておりましたので、今の維新プランにもそうした考え方で盛り込んでおります。県内の集積されている産業について将来を見据えて、それを伸ばしていくためのさまざまな研究開発の支援だったり、あるいは山口の立地の優位性を生かして企業誘致も進めてきました。これ非常に調子がよく進んできていたところです。誘致の企業件数もそうですけれども、雇用の人数もかなりの規模、そしてまた、特に将来的に成長が見込まれるような医薬とか医療の関係の企業というのも多く誘致もできましたし、また、観光についても、県内の観光客も過去最大の規模にもなり、またインバウンドも飛躍的に伸びた、県内でそうした交流人口の拡大、そして県産品のさまざまな首都圏や海外への展開というのも大きく進めていたところで、その成果が表れてきていたところです。これが前半の2年間ですね。去年、この1年間は、どうしてもコロナ対応ということで、そうした環境が大きく変わってきましたので、とにかくコロナを県内で拡大させないということに専念をして、そのために必要な検査体制の整備、それから医療体制の整備、こうしたことに万全の対応をしていこうということと、地域経済への痛手をできるだけ抑えていき、回復させていくということに専念をしたところですので、コロナ前とコロナ後でですね、全くやるべきことも、実際やっていくことも大きく変わったなというふうに思っております。残り一年間、今言ったように、今まさにコロナの真っ只中でありますから、感染をしっかり抑えていく、経済を維持していく、それからワクチンですね、これから始まりますけども、しっかりと県内で、円滑に迅速に接種ができるような体制、これを県内の市町、また医療機関と一緒になって組み立てていきたい、進めていきたいと思います。それからデジタル化はもちろん、新しい、これからの未来に向けた前進として進めていきたいと思います。

読売新聞

 今、コロナの影響で平時とは言えない状況になってますけども、知事が総務省の官僚を辞めて知事になろうと思われてから、こういう山口県にしたい、こういう山口県に導こうと思われて、今、県のトップをされて、現在今、当初、描いていた目標とかと比較して、どのような今、現時点がどのような段階にあるというふうに思われていますか。

知事

 山口は産業の集積もあり、また観光面でも素晴らしいポテンシャルがたくさんあるけれども、それが生かしきれてないなという思いを前から持っていたわけですね。そうしたことをぜひ生かして、これからの山口県の未来に向けて伸ばしていきたいと、そういった思いで、私は県政に取り組んでおります。ですので、そうした面では産業の集積だったり、新しく呼び込んでくる、あるいは観光だったり、県産品のさまざまな展開っていうことを、特に力を入れたのはそうしたところでやってきておりますが、その成果は、具体的な数字として現実に表れてきているところですし、ただその、コロナの中で、今それが少し止まっていると、特に観光とかですね、人の往来とか、物の行き来みたいなところではなかなか難しい面がありますので、いったん足踏み状態ですけども、それはまた再開ができればと思います。それと併せて、今、コロナの中で、先ほどから言ってますが、デジタルというのが出てきてます。これは本当に、何て言いますか、これからの日本においてとても重要なインフラだと思うんですね。個々のサービスもそうですが、これもさっきから言いましたけども、インフラ、情報通信基盤をしっかりと全国整備をすることによって、地域が本当に難しい人口減少とか、担い手不足とかなってる中で、それを克服できるという、本当に大きく局面を転換できる可能性があると思っておりますので、これは全国知事会の本部長としてもしっかりここは進めていきたいし、デジタル化をどんどん地方の方に伝えていく必要があると思います。先日、オードリー・タンさんと意見交換をウェブでしましたけれども、そこでも、台湾では5Gは地方の方から整備してるんだって話がありました。よりその必要度の高い、それによってより助かる場面の多いところから先にやっていくという発想なんだということで、なるほどと思いましたけども、日本も同じでですね、本当に一極集中はどんどん一貫して進んできて、地方が疲弊する、これはやはり持続可能性はないわけで、どんどん地方から首都圏に人口が集中していって、地方にいなくなってしまったら、いろんな食とかエネルギーとかいろんな面含めて日本は立ち行かなくなりますから、持続可能性がないわけで、どっかではやっぱりそれは食い止めて、地方の方でしっかりと活力ある地域がつくられなければいけないと思います。そうしたことに転換していく上では、このデジタル、基盤の整備を含めて、とても重要なポイントだと思うんです。だからそれはコロナ禍の中で、新しく地方が気付かされたというか、まさに技術が地方の課題を克服する可能性が出てきていることを、今われわれはそれ感じていて、そこをしっかりと進めるってことが、もう一つ大きな柱として、これから重要だなと思ってますし、そうした思いで今回予算なり、組織もですね、組み立てているところです。

読売新聞

 話は変わるんですけども、コロナのワクチンの関係で質問したいんですけど、2月中に接種の体制を、医療従事者向け、県内の医療従事者向けについて2月下旬くらいに体制を整備して、3月頭から接種を開始していきたいという話でしたけども、医療従事者の中とか、一般県民の方の中には、そもそもこのワクチンというのがどういうものなのかという理解ができてない部分があるのか、副作用に対する怖さというか、そういうこともあって、ワクチンが打てるようになったからといって、受けるかどうかは検討したいみたいなことをおっしゃる方が最近、取材していて、そういう方がいらっしゃるのを感じるんですが、知事は現時点で接種を県民の方、医療従事者も含めて、高齢者も含めて受けてほしいかどうか、どのようにお考えですか。

知事

 そうですね。もちろんいろんな不安もお持ちの方も多くいらっしゃると思います。それは副反応ですね。副反応について、情報がまだまだ足りてない面があると思いますので、ここは国の方にも強く、そうしたところについて国民の皆さんに分かりやすくですね、コロナの効果とか、副反応も含めてしっかりとお伝えしてもらうってことが重要ですし、そのことは、全国知事会を通じても求めています。今回先ほど紹介しましたが、国の方でもコールセンターの設置をされ、県においても、専門相談センターを設けます。ここにおいては副反応も含めですね、接種に関する専門的な相談に応じていくことにしてますし、専門のですね、薬剤師の方についてもらって相談に応じるということで、そうした不安の、適切な情報、正しい情報をしっかり提供して不安に対して対応していきたいというふうに思います。やっぱりこのワクチンは非常に効果の高いものですし、ファイザー製であると言われているように95%効果があるということですね。このコロナを抑えていく上では、社会一人一人がもちろん接種をして、個人の自分の身をコロナから守るってことはまず意識して、ぜひ接種を、よくいろんな情報も確認したうえで、しっかりと提供もして、確認もしてもらった上で、接種についてはぜひ受けていただきたいと思います。これはまず一つには、わが身を守るため受けていただきたい。それからやっぱり国内、県内もそうですけれども、日本全体でコロナの感染拡大を抑えるためには、やっぱり多くの方が接種をして、集団免疫を持っているという状態をつくることが必要なわけですね。国民のかなり多数の割合の方が接種をすることが実現できれば、それによって人から人へ伝わるっていう部分がぐっと抑えられる。結果、日本全体で感染拡大が抑えられるということになりますので、そうした国内での感染、また地域での感染拡大を抑えるためにも、とてもこのワクチンが重要ですので、そうした点からもぜひ、接種が、われわれも迅速にスタートさせていきたいと思いますが、始まった際にはぜひ皆さんに接種を受けていただきたいと思います。

読売新聞

 今お話の中で、まず新しい情報を提供したいというお話がありましたけども、今回、この記者会見では専門相談ダイヤルを開設しますというお知らせをいただいてますけれども、これはあくまで受ける側の県民の方たちが相談をしてきて、それに対する答えというか、回答するようなものだと思うんですが、例えば国の方で正しい情報を発信してもらってという話がありましたけれども、県の方から、感染を防ぐ効果を上げるために理解を深めてもらうということで何か積極的な情報提供っていう体では何かお考えですか。

知事

 ワクチンそのものの効果とか作用、副反応がどんなものがあるのかとか、あるいは程度とかということについては、これは国の方の情報をわれわれはもらうしかないですね。だから、われわれ独自な知見を持ってるわけじゃないですから、あくまでもその国が発した情報をとなりますけど、例えばコロナ対策でも、感染防止にどういったことをやるかとかですね、例えば3密対策っていうのは、国の方から具体的に例が示されて、それをわれわれの方でもPRしたり、ホームページに載せたり、あるいは今、LINEとかツイッターもやってますけど、そういったところで載せていったりプッシュ型でもやっていくっていうことをですね、やっておりますけれども、同じように副反応についても、国の方から示されたものについては、しっかりと県民の皆さまに届けられるように、われわれとしてできることはしっかりやっていきたいと思います。

防府日報

 行革の関係なんですけれども、もともと知事の一期目の最後の年から5年の計画っていうことで進められて、実質的には動いたのは3年余りだと思うんですけども、この3年間ですね、成果っていうものを改めて今年度の新年度の予算を組むに当たって精査されたと思うんですけども、その辺の評価、特にあくまで結果論だとは思いますけれども、本年度末の基金残高は最終的に140億円になるということで、当初の見込みよりかなり上回ってますけれども、そういったことも含めて3年余り、取り組みの評価をお願いします。

知事

 私も財政を主に担当して、総務省にいた時にはやっておりましたので、財政状況も厳しいところも、そうでないところもいろいろと見てきましたけれども、山口県は非常に財政厳しい状況にありますし、今もありますし、改良始める前ありました。端的には、支出と収入と比べた時に、その歳出ギャップがあって、歳出歳入ギャップがあって、それを基金で埋めていく、それが解消されなければ予算上の基金は毎年減っていって、いずれ枯渇をして財政が立ち行かなくなるというところが見えていましたので、これはこれを構造的に変えなきゃいけないということで、出来るだけ歳入の確保の努力をする、そして歳出については抑えるべきものはしっかり抑えていくっていうことをやって、まず構造的な収支が均衡するようにしていくということで、この5年間の計画を始めたわけです。具体的には歳入確保はいろいろな財産の売り払いとかやりましたけれども、実際には歳出を抑えていくっていうことがとても重要です。そうした中で言いますと、事務事業については、毎年、こうぐっと抑えて必要なものは見直しをしてきましたし、特に人件費が、正職員の数もだいぶ減らして抑えてきておりまして、構造的にはだんだん均衡する形に今はなってきておりまして、ゴールまでもう一歩だなと思っていたところでありました。基金の残高についてもだいぶ回復ができておりまして、100億円っていうのをコンスタントに維持できるかなというところでありましたけれども、今のコロナの中で、税収もガクッと落ち、歳出もこの臨時的な財政支出要因っていうのは、とても今、大きく出ておりますので、今、例えば常に貯金をこらえて持っておくというのは難しいですし、逆に必要な歳出はしっかりと財政支出をしなければいけませんので、それにこだわらずにやっていかなければいけない時期だと思っております。これまでは毎年毎年ある程度、この辺までいこうと思ってやって、それは着々ときていたところですね。そこが今、途切れておりますけれども、かなりの部分、改善は図られてきてはいた状況だと思います。道半ばで今、ちょっと中断というか。

防府日報

 そういう意味ではそういった取り組みをしないまま、やはりコロナ禍っていう状況に陥っていれば、かなり財政としては、厳しかったというレベルではないくらい、危機に陥っていた可能性もあったということですか。全くそういう取り組みをしなければです。

知事

 しなければもう、今頃だめだったかもしれない。貯金はもう全然なくなっております。

防府日報

 そういう意味では、3年余りやってきた部分が今の、財政的に厳しいかもしれませんが。

知事

 厳しいけどまだ何とかなってるっていうのは、それは当然これまでの改革の積み重ねがあるからだと思います。

防府日報

 分かりました。ありがとうございました。

中国新聞

 デジタル化のところに戻ってお話を伺いたいんですけども、今回の事業の多分野に、いろんなところにデジタル化、デジタル化っていう言葉が出ているんですけど、先ほどから知事がおっしゃっている、山口県が目指す新たな未来のデジタル化っていうのを繰り返しおっしゃってますが、この事業を全てやって、1年後に、山口県というのは知事が目指す新たな未来に向かって、どの程度まで、押し上がっているのか、今がどの辺で、どのくらいまで上がるとか、富士登山に例えて。

知事

 それは、そういったものがあればいいなっていうふうには、思われてるだろうし、私もそういうのがあればいいなと思いますけれども、ただデジタル化って、ここがゴールだって多分ないんですよね。多分、もっとどんどん豊かになれるんだと思います。だから、これは到達点という、到達点がどんどん変わっていくんだと思いますね。技術だって4Gから5Gになってくれば、できることが全然変わってきますし、インフラも整ってくれば整ってくるでできることがずいぶん変わってくると思いますので、なかなかその到達点をどこっていうふうには言いづらいと思います。もちろん、分かりやすい目標を立てていくことはしようと思います。個別の分野において、教育においては、例えば県外の海外の高校と結べている学校が何校できたか、これは全部最終的にはしたいと思いますけども、そういうところを進行管理するとか、あるいはAIチャットボットとか使って、デジタルを使った子育て支援であれば、これを使っている方がどれだけかっていうのは、どんどん増やしていきたいと思います。そういったものはありますけど。デジタル全体で、一つの物差しでいくらということはなかなかこれは言いづらいところがあると思いますけれども、ただ確実に、やっぱりそれによって便利になったりとか、安心になったりとか、そうしたことは必ず生まれてくると思いますので、そうした実感レベルをぐっと上げていきたいなというふうには思ってます。

中国新聞

 おそらくとりあえず全て出て来るのが1年先、それよりもっと先になると思うんですけど、先ほどからやはり知事の任期の話の出てきていますけど、前回は9月の定例会で進退発言で表明なさってるんですけど、おそらくその頃に、コロナが完全に収束して、知事が描くデジタル社会っていうのは、まだ実現してないと思うんです。そういった意味でも、やっぱりまだまだやり残した感はあるかなというような実感、今ご自身おありですか。

知事

 いやいや、まだまだやるべきことはたくさんあると思います。ただ、みんな元気、私なんか限らずね、みんな別にやり終わってる人なんていないと思うんです。常にいろんな事業は進行中ですしね。例えば下関北九州道路だって、平井知事の時からずっとやってるわけですからね。それはそう考えると、何か自分が始めたものを全部終わらないと終わらないっていうことじゃ、一般的にはないと思いますので、そこに絡めて、私のどうするかっていうのを判断するのは皆さんがどう解釈するかですけれども。途中だから辞められないとか、そんなことじゃないと思います。

中国新聞

 コロナ禍もあって、やりたいことができなかったっていう、そういう状況がおありですよね。

知事

 もちろんだから、維新プランにしても何にしても、計画持って、そのゴールを目指して進めていましたので、それが今、コロナの中で中断というか、そういうふうにせざるを得ない状況ってのはありますから、そこに対する、もちろん悔しいというか、しっかり進めたいという思いは持っておりますけれども。ただ、今起きていることに対してしっかりと全力を挙げるっていうのは、私の役割だと思いますので、そこはコロナをまず克服をする、で地域を回復すると。そしてまた未来に向けての前進も始めていくということをですね、努めていきたいと思います。

中国新聞

 それともう1点、先ほど、備品購入の話が出たんですけど、そもそも知事が今回、この部分までチェックするようになったのは、過去の記者会見の中で、検討が十分でなかったという大きな反省に至ってやられたことだと思うんですけど、実際にその200数点の備品、チェックして見られてですね、率直な感想をお伺いしたいんですけど、やって良かったとか、これからもチェックしなきゃだめだなとか。

知事

 何と言いますか、例えば過大なものだったり、不急不要なものだったり、何か私の目で見てこれはおかしいなってものはなかったということを確認したという意味では良かったと思います。

中国新聞

 来年以降も続けていかれますか。

知事

 そうですね。続けていきたいと思います。

中国新聞

 来年以降、選挙もまだ。

知事

 またそれに絡めたら、何も話ができないな。それは別に言わない。

中国新聞

 はい、以上です。

朝日新聞

 ちょっと話題が変わるんですけれども、2月3日のJOC(日本オリンピック委員会)の臨時評議会で、森喜朗元首相が、女性がたくさんいる理事会は時間がかかるですとか、女性を増やす場合には発言の時間を規制しなければいけないとか、そういった発言をされて、それが国内外から大きな批判を呼びまして、森元首相は会長の職を辞職されたわけですけれども、この発言に関して受け止めをちょっと伺ってもよろしいでしょうか。

知事

 まず、発言自体はあり得ない発言だと思います。女性というひとくくりにして、それを蔑視するようにとられる発言ですので、大変残念なことだと思います。

朝日新聞

 辞職したことについてお伺いします。

知事

 そうですね。ここは、そうですね、責任のとり方っていうのは、それぞれ本人が考えられることですので、私の方から、それが良い悪いという評価をすべきものではないと思いますが、ただやっぱりオリンピック、今、その組織委員会自体は、オリンピックの実現に向けて、関係者の皆さんと力を合わせて、前に進めていかなければいけない時であると思いますので、できるだけこれがまた正常な形に戻るように、新しい体制を速やかに構築をしていくということが必要なのではないかと思います。

朝日新聞

 その後任選びを今進めているところだと思いますけれども、県も聖火リレーを含めて、さまざまな形で五輪に関わっていますけれども、どういったふうな形で、どういったプロセスで後任が選ばれるのがふさわしいというふうにお考えでしょうか。

知事

 プロセスは当然ルールがあるでしょうから、そのルールにのっとって行われるべきだと思いますので、そうした進め方を期待をしております。そのどういった方が良いかというのは、もちろん、その役割をしっかりと果たせる人というのが最も重要でして、今コロナ禍の中で、本当に開催ができるのかどうかっていうところ、大変厳しい中で、いろんな意見も総合しながら、国民の皆さんの理解も得ながら、前に進めていかなければいけませんし、IOC(国際オリンピック委員会)ですとか、東京都ですとか、関係する先はたくさんあるわけですよね、そうしたところとの調整も円滑にしながらやらなければいけないと思いますので、大変大きな役割というか、難しい仕事だとは思いますけれども、そうしたことをしっかりと担える方にぜひなっていただきたいと思います。

朝日新聞

 ちょっとまた話が変わる、またちょっと任期の話にぶり返しになるんですけれども、先ほどからこの2年、任期7年を振り返っておられて、産業振興に関して、実績を強調されていましたけれども、県の課題として、人口減ですとか、若者の県外流出っていう問題があるかと思いますけれども、こちらに関する知事の取り組みと、県体制の自分の評価っていうのはいかがでしょうか。

知事

 そうですね。若い人たちの流出っていうのが進んで、継続しているところが、やっぱり山口県の活力を奪う最大の要因だと思います。ですので、山口県内において何をしなければいけないかというと、まずは一つは、しっかりと魅力的に働く場所っていうのをたくさんつくることですね。山口県は産業の集積が素晴らしいものがありますから、これがやっぱり将来に向けても明るいよっていうことが言えるように、さまざまな既存の企業のこれからの成長に向けた支援もしていく、それから新しいその企業をしっかり誘致していって、これからの成長を引っ張っていくような企業を誘致して、そこに希望を持って入ってもらう若者を増やしていくっていうことが、まず最初に必要なことだと思います。それとともに、暮らしやすい環境ということで言いますと、安心・安全の確保もそうですし、子育て支援が増えるとか、充実するべきことがたくさんありますけれども、そうした環境、働いたり住んだりする環境を整えていくということですね。それから、個別に話していくと細かくなりますけれども、例えば高校とか、あるいは企業と高校生をしっかりつないでいく、高大の連携だったり、企業のインターンシップだったり、できるだけ多くの企業を知ってもらうための取り組みっていうことも行ってきましたし、県外に出て行った子どもたち、学生に対しては、県外の大学と就職協定、これも私知事になってから、かなり多く結んで、実際にその山口県出身の学生の子に、直接に山口県内の就職とか、企業の情報を伝えてもらう、あるいは就職に関するイベントをその学校の中で開いていくですとか、そうしたことを行って、山口県に残ってもらうっていうことを行ったり、あるいは個別の、例えば産業人材であれば、その奨学金制度ですね、山口県の中で働けば返済が事実上免除になる奨学金制度だったり、あるいは医師の確保ですとか、その辺でも、より山口県に定着してもらうための制度の充実っていうのも図ってまいりました。なので、そういった意味で、やるべきことっていうことは、ある程度明らかであって、そのことをしっかりとやっていったところでありますが、ただやっぱり大きな流れとして、特に今コロナの前までは、非常に就職率も皆全体的に上がりましたですね。有効求人倍率も跳ね上がってきました。そうすると都市部の、やっぱり大都市部の方に、非常に良い条件での仕事っていうのがどんどん増えて、やっぱりそこに引っ張られるっていうのが、他方で生じているわけですね。むしろ経済が良くなるのはありがたいんですけれども、良くなればなるほど、若い人たちが都市に流れていくっていうことが、これはこれまでもずっと起きてきたことですので、そうしたところでなかなか苦戦したところもありますけれども、私なりに、山口県で住んで、働いてっていうところを充実できるようには、できる努力を個別に手を打ってしてきたつもりではあります。

朝日新聞

 そういう意味では、まだ道半ばというか、まだまだという。

知事

 そうですね。それは、まだまだ山口県が将来にわたって安心だというには、まだまだやるべきことはたくさんあると思います。

朝日新聞

 また新年度予算の話に戻るんですけれども、飲食店の支援っていうお話にちょっとまた戻るんですけれども、先ほども弊社の藤牧のフレーズといい、結局6月の補正の時点で、また新たに手を打っていくというような話をされていたかなと思うんですが、われわれが実際取材をしているところですと、12月の稼ぎ時も、第3波が来て、お客さんがかなり減ってしまい、また3、4月も歓送迎会シーズンですが、お客がかなりこう減るんではないかというところで、コロナ禍も1年経っても、もう本当に限界だというような声も届いておりまして、6月末、6月の補正までもつのだろうかという、そういうふうな不安もあるかと思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。

知事

 そうですね。まずその融資について、補正予算で組んで、これまでもきました。そこについても、また今回当初予算でもしっかりと枠を設けやっていきたいし、条件とかの改善も図ることも行っていきたいと思いますが、事業を続けるためには、やっぱり当面をつなぐための資金がいるし、そもそも、やっぱりなぜ苦しいかというと、需要がないから苦しいわけですよね、ここをしっかり回復するということが必要です。今言ったように、特に飲食で言いますと、「Go To イート」ですね、これが今どんどんこれを売り出して、よりお得に、県内での飲食を楽しんでもらいたいという思いを持ってPRしていますが、これがなかなか苦戦をしている状態です。割引自体は非常に良い割引だと思いますけれども、やっぱり、飲食に今出ていくっていうことについての、やっぱりマインドがかなり冷えているというところだと思いますので、これもしっかりと、もちろんPRをして、きちんと売るって、これが今40億弱しか売れていないところが、100億売れば、それだけその経済的には、効果っていうのが大きいわけですから、まずそれを目指していきたいと思いますし、しかし買おうと思うようになるための環境として、一つは感染を、何度も言いますけれども、しっかり抑えていく、それからお店の方での対策っていうのをしっかりサポートし、「取組宣言店」を増やして、安心して飲食ができるっていうふうな認識を皆さんに持ってもらえるような環境っていうのを整えていくことが重要だと思います。

朝日新聞

 今のお話を伺うと、やはりそもそも感染状況というものが、まだ収まらない、第3波が収まらない中で、消費者のマインドっていうのが冷えていて、なかなか飲食に出ることがないというところですけれども、この感染状況とか、先がなかなか見通せない中で、「Go To イート」を売り出すっていうのも分かるんですけれども、結局それは、そのマインドが変わらないといけない、まず感染状況が変わらないといけないというふうになると、結局やっぱり、その当座のところの直接的な支援みたいなものが必要なのではないかという話も出てくるかと思うんですけど、そこら辺についてはいかがでしょうか。

知事

 そうですね。われわれとしては、そこは何と言いますか、制度的な融資でもって対応しておりますが、国の方においては、今、この間も知事会でも言ったんですが、持続化給付金ですね、雇用調整助成金はまた延長されましたので、雇用の確保については、一定の国全体での支援がありますけれども、経営が厳しい、これは飲食に限らず、中小企業全般にわたって、持続化給付金というのを国の方が一度設けましたけれども、これをぜひ再度やっていただきたいということで、知事会の中でも発言をして、これは実際の知事会としての要望としても、そうしたことを含めて行っております。この経営の大変な部分については、何と言いますか、どうしても地方の方でそれを完全に支えるっていうのは限界があります。財源的にも限界があると思いますし、実際にこれは山口県だけではない、全国的にですね。緊急事態宣言が起きているエリアに対しては、いろんなまた休業、時短に対する支援とかありますけれども、実際の影響というのはそうではない、全国的にやっぱり影響が出ているわけですね。本当に感染が全国的に増えている中で、やっぱり緊急事態宣言に限らず、そうしたマインドがぐっと冷えてきています。それによってダメージを受けている企業っていうのも、さまざまな分野についてあるわけですので、そこに幅広く支援をするっていうのは、やっぱり国の方で、しっかりとぜひ、ここはこうしていただきたいと思っておりますので、持続化給付金については、再度ぜひ支給をしていただきたいということをお願いをしているところです。

朝日新聞

 先ほど、限られた財源の中で、さまざまなダメージを受けた業界に支援をしなければいけないというところで、今回の新年度予算では、特に観光というところと、農林水産っていうのがありますけれども、やはり県内いろいろな業界の方々がおられて、県がどういうふうな支援策を打っていくのかということについて、納得していく上で、知事の説明っていうのは、結構かなり大事なことだと思うんですけれども、今回、限られた予算を観光に振って、飲食などに振らなかったっていうのは、県独自の支援策という意味ではですけれども、制度融資とかはありますけれども、加えてという形で、これはどういうふうな判断からでしょうか。

知事

 これは、全体としてどういう支援が講じられているかっていうところを見た時に、県としてどの部分が足りないかなということを考えていくっていうことをベースにしています。旅行については、今「Go To トラベル」が止まっていますけれども、これはいつ再開されるかも分からない、山口県だけが対象にしたものではありませんから、県内でしっかりと需要をつくっていくという意味では、この今回のまたプレミアムキャンペーンですね、これを今年度と同規模で実施をするということを組み立てました。また農林水産の関係も同じように、しっかりとそこを支援していこうということを行っています。それは言ってみれば、飲食の方について言いますと、先ほど言いましたように、需要喚起なんですよね。観光にしても、農林水産物にしても、需要喚起策なんですけれども、飲食の需要喚起について言いますと、「Go To イート」が国としてはかなりのロットが用意されて、今実際にそれが販売されています。それが100億というのに対して、40億弱しか売れていない、締切が今3月末までだったのが5月末まで、昨日延びましたけれども、そこでしっかりとそれをまずさばいていくということが必要であって、ここに県独自のものをつくっても、供給量が多い、過剰な上にさらにそれに乗せるっていうだけのことになってしまいますので、まずこれは期間限定のものですから、これはしっかりと展開をしていくっていうことを注力をし、それが終わった段階で、厳しい状況が依然続いていれば、それに対して県独自のものを考えていくと、そういったステップで考えていきたいと思っていますので、この予算で全てということではなくて、この予算も、全て国の方の対応する事業がどんなのがあって、足りない部分は今これがあって、県はこれをすると、国の方の事業が終わったら、また次のその状況を見て考えていくという、そういった全体の絵柄の中で考えているところですので、またその国の事業が終わったり、その時の状況によって、追加の補正をすると、そうしたことの中で、必要な対策を講じていきたいと思います。

朝日新聞

 今の関連で、飲食店への県独自の支援っていうのは、国の「Go To イート」があるからというような、そういう説明だったと思うんですけど、「Go To イート」って、接待を伴うそのキャバクラとか、結局は対象外だと思うんですけど、そういった接待を伴う店、特にまた疲弊していて、前年比よりも8割減だというような話も聞いたりするんですけど、その辺りへの支援というのはどのようにお考えでしょうか。

知事

 そうですね。そこも大変苦しいところが、経営的に苦しい状況が続いているっていうところだろうと思います。実際そういったお声をお聞きをします。確かに「Go To イート」の範囲というのは限定されているので、風営法(風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律)とか提供されているところっていうのは、対象外になっていると承知をしております。何と申しましょうか、需要喚起というのが、飲食とかも、安心してできるようになれば、そうした一時的には、まず「Go To イート」で需要が増えて、そこからさらにまた、次のお店に行ったりとかいうことにつながっていくんだろうと思います。まず最初の飲食にしても、一次会というか、そうしたところの需要がまず冷え込んでいるところがありますので、そこから、またより一層の感染も収まっていけば、その次にっていうのになってくるかとは思いますけれども、そういった中で、まずは「Go To イート」の販売っていうところをしっかりと行っていくっていうことが、対策としては必要かなと思っています。

朝日新聞

 先ほどの経済的な支援として挙げられていた制度融資なんですけど、2020年度の方でもすでに始められて、すでに借りている、困っている方は借りられていると思うんですが、また来年度始まって、さらに苦しくなっているというような状況が続く中で、またその別の支援の形っていうのが検討されているものがあれば伺いたいのですが。

知事

 そうですね。借りている方が、まだその限度額まで借りるっていうこともあるでしょうし、借りてまた今度返済が始まっているところを延ばすということもあるんですね。それもできるようになってきてまして、そのコロナが収まると思ってこの返済計画を立てたけれども、まだ収まらないので、もうちょっとこの返済を後送りしたいとか、そうした場合に、そこに対してもまた支援をするような形をとっています。

朝日新聞

 その制度融資って、もともと2年ですかね、据え置きっていうのがあったと思うんですけれども。

知事

 そういう期間をフルに使わずに、もう返済を始めようとしている人とかいるんですね、計画で、それをこう延ばしたりとかいうことは、負担なくできるようになっているようにしているということです。そうしたものもありますので、そうしたことも活用をしていただきたいと思います。

朝日新聞

 6月になって、また状況を確認して対策をという話でしたけども、今検討されているもの、こういった業界への支援が必要だと考えていれば、どんな業界なんでしょうか。

知事

 飲食店については、今ずっと皆さんが言われているとおり、非常に厳しい状況があると思いますから、ただそこは今「Go To イート」が全然売れ残っている状況の中で、県にさらにそれを上乗せしていくということは考えておりませんということで申し上げているわけですけれども、それが終われば、またその時点で厳しい状況があれば、対策を考えていかなければいけないというには思っています。

朝日新聞

 今県が把握しているその厳しい状況というのは、結局飲食の話ですけれども、その他どんな業界が厳しい状況にあるんでしょうか。

知事

 飲食以外。
 人がいろいろと行き来をしなくなっているわけですね。いろんなイベントもなくなっていますから、これは挙げればいろいろあります。先ほどの話でタクシーとかもそうでしょうし、イベントがなくなれば、イベントに関係するような業者だったり、あるいは当然お花とかも使わなくなるんでですね。花屋さんですとか、花卉(かき)生産者っていうのも痛手を受けております。特に、その外食に特に影響するような、例えば日本酒とかも、なかなか家庭で飲むというよりも、飲食店で飲むという場合が多いでしょうから、そうしたところでの需要減というのも大きいものがあるでしょうし、全てを網羅的に申し上げることはできませんけれども、やっぱりこの、飲食とか抑えたり、旅行を抑えたり、イベントを抑えるっていう人が、こう密に触れ合うところが抑えられるところに伴って、幅広い産業に影響が出ていると思います。

作成:山口県総合企画部広報広聴課

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