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認知症・「若年性認知症」について

ページ番号:0018531 更新日:2023年3月31日更新

1 「若年性認知症」とは

認知症は発症した時期で大きく3つに分けられます。

  • 18歳~39歳で発症する・・・・若年期認知症
  • 40歳~64歳で発症する・・・・初老期認知症
  • 65歳以上で発症する・・・・・・老年期認知症

 「若年性認知症」は、若年期・初老期認知症の両方を含んだ名称です。社会的・生物学的要因から、女性よりも男性の方が2倍程度多いといわれています。
 物忘れや徘徊など、症状は高齢者の認知症と重なることが多いですが、「若年性認知症」の方には、病気に対する苦しみだけではなく、働き盛りであったり、子育て中であったりすることから、これらに付随する様々な問題が生じます。

2 「若年性認知症」の方の苦しみ・悩み

(1) どんな病気か理解されていない

 「若年性認知症」は、社会一般の認識が不足しているため、怠け者と見られたり偏見を持たれがちです。家族も病気とは思わず、放置したり、無理強いをすることがあります。また、周囲に気づかれないように閉じこめるなど、誤った対応を取る場合もみられます。

(2) 家族関係に大きな影響が出る

 例えば、「若年性認知症」の原因となる疾患の1つである「ピック病」になった場合、性格や行動に異変が生じます。怒りっぽくなる、約束を破る、不潔になる、相手を無視する、暴力に訴えるなどの症状がみられます。
 家族などの介護者は、その対応や介護疲れからうつ状態になったり、家庭不和が生じたりします。また、子どもたちへの影響も大きく、病気を受け入れることができず、不登校になったり非行に走るなどといった場合や、受験の時期に重なり危機的な状況に陥る場合もあります。また、親子関係に歪みをきたしたり、「遺伝するのでは」と悩む子どももいます。

(3) 経済的に困窮する場合が多い

 働き盛りの男性が認知症を発症すると、失業や病気休暇による収入減などの問題が起こります。家族の生活費や教育費、また治療代などに困る場合も少なくありません。子どもが進学を断念する家庭もあります。妻が働きながら介護をしている場合、肉体的・精神的に追いつめられてしまう場合も多いと考えられます。
 また、本人の判断能力が低下していることを利用して、財産をだまし取られるケースもあります。

(4) 医療や福祉サービスを専門的に受け入れる施設が見つかりにくい

 介護保険制度は、基本的には高齢者の方に必要な介護サービスを提供する制度であることから、「若年性認知症」の方に対しては、入所・通所施設での対応が難しい場合もあります。
 また、介護保険が適用されない場合があります。40歳以上であれば、「老化に伴って発症した」認知症は給付対象になります。しかし、交通事故などによる頭部外傷による後遺症や、アルコール脳症などからなる認知症は「老化に伴っていない」ため適用外となります。​

3「若年性認知症」の原因となる疾患

(1) アルツハイマー型認知症

原因

 脳の中にβアミノイドと呼ばれるタンパク質が蓄積することが原因の1つといわれています。βアミノイドが蓄積すると脳の細胞が死んでしまいます。

特徴

 老年期での発症が多く、年齢とともに増加し、85歳以上の発症率は65歳の発症率の10倍以上であるとのデータもあります。認知症疾患の約半数はアルツハイマー型認知症です。

症状

 初期は「物忘れ」で始まります。一部の方は意欲低下の症状で始まるため、「うつ病」と誤解されることもあります。
 中期になると、瞬間的な事柄しか分からなくなります。見当識障害もみられ、日時、物や人の名前を忘れ、相手の言葉の意味も理解できなくなり、コミュニケーションが難しくなります。大声などの行動障害も多くなります。
 後期になり身体障害を合併すると、行動障害は軽減されるか、無くなります。
 けいれん発作が始まり、歩行や食事が困難となり、寝たきりとなります。

(2) 前頭側頭型認知症(代表的な疾患はピック病)

原因

 前頭葉や側頭葉が限局的に萎縮するために起きます。

特徴

 意欲低下や性格変化などが生じる前頭葉症状と、言語の障害などが起こる側頭葉症状がみられます。アルツハイマー型認知症と比べて、発症年齢が若い傾向にあります。

症状

 人格変化が主な症状で、自身の身なりや周囲への対応に無関心になります。そのため、統合失調症や更年期障害と間違えられることがあります。毎日同じコースを何度も歩き回ったり、同じ言葉を話し続けるなど「繰り返し行動」が見られます。
 また、他者への配慮や礼儀がなくなります。衝動的な暴力行動が見られることがありますが、本人には悪気はありません。食べ物の嗜好が大きく変わり、無口になっていきます。

(3) 血管性認知症

原因

 脳梗塞や脳出血など、脳血管障害が原因で起きる二次性の認知症です。

特徴

 傷害された部位により症状が異なり、めまい、しびれ、言語障害、知的能力の低下などには「むら」があります。また、記憶力の低下が強い割には、判断力や理解力などが相対的によく保たれている場合(まだら認知症)があります。

症状

 アルツハイマー型認知症と同じように、記憶障害や日時等の見当識障害から始まります。ただし、慢性進行するというよりは、能力が階段状に低下していきます。

(4) その他

その他、以下のものが認知症になる疾患です。

  •  頭部外傷後認知症
    • 交通事故の後遺症など、頭部に外傷を受けた後に発症します。
  •  アルコール関連認知症
    • アルコールを長く大量に飲み続けることで、脳細胞の萎縮が起こります。
  •  レビー小体型認知症
    • 脳内にレビー小体という物質が蓄積することにより発症します。

4 「若年性認知症」の方が利用できる制度・施設

(1)介護保険

 40歳以上であれば、介護保険の「特定疾病」の1つとして「初老期における認知症」が認められていますので、給付対象になります。
 介護保険の適用がない場合は、以下の医療制度などが利用できる場合があります。

  • 外来医療…精神科デイケア、重度認知症者デイケア、訪問看護など
  • 社会復帰施設…ショートステイ、グループホーム、小規模作業所など
  • 病院…精神科一般病棟、認知症病棟など

(2) 自立支援医療制度

 認知症は適応疾患に含まれていますので、通院医療費の90%の公的補助があります。外来通院とデイケアの医療費の支払いに利用することができます。
 ※詳しくは、県精神保健福祉センター(083-902-2672)及び市町担当課にお問い合わせください。

(3) 障害年金

 傷病等により一定の障害状態になった場合、加入されている年金の種別に応じ、障害基礎年金、傷害厚生(共済)年金等などが支給される場合があります。
 ※詳しくは、管轄の社会保険事務所にお問い合わせください。

(4) 特別障害者手当

 障害が重複するなど、精神または身体に著しく重度の障害をもつ20歳以上の方で、日常生活に特別の介護を必要とする場合に支給されます。
 ※詳しくは、市町担当課にお問い合わせください。

(5) 介護手当

 介護者の負担軽減を図ることを目的とした制度で、月額1万円が支払われます。当該者は居宅でおおむね6ヶ月以上寝たきりの状態にあり、日常生活において常時介護を要する重度心身障害者の介護者に支給されます。
 ※介護手当を実施しない市町がありますので、詳しくは、市町担当課にお問い合わせください。

(6) その他(成年後見制度)

 判断能力が著しく低下した当事者に代わり、契約などの代理をする人を専任したり、誤った判断の下で交わされた契約を取り消すなど、当事者を保護する制度です。
 ※5「若年性認知症」に関する相談窓口をご参照ください。

5 「若年性認知症」に関する相談窓口

若年性認知症支援相談窓口

若年性認知症支援コーディネーターを配置し、本人・家族はもとより、医療・福祉関係者や事業所等からの相談を受け、市町や関係機関等と連携しながら、医療、福祉、就労等の総合的な支援を行います。

 リーフレット「ご存知ですか?若年性認知症」(表) (PDF:658KB)

 リーフレット「ご存知ですか?若年性認知症」(裏) (PDF:720KB)

開設場所

県立こころの医療センター(宇部市大字東岐波4004-2)

相談電話

専用:0836-58-2212(相談は無料)月曜日~金曜日(年末年始・祝日を除く)午前9時~午後5時

相談機関等

相談内容

県内設置数・窓口

認知症疾患医療センター

医療ソーシャルワーカー・保健師等が、本人・家族、介護・福祉関係者から様々な相談に応じるほか、保健・医療・介護機関等と連携を図りながら、認知症に関する情報提供を行います。

認知症疾患医療センター

地域包括支援センター

高齢者の介護や福祉などの総合的な相談に応じるとともに、ケアマネージャーをはじめ保健・医療・福祉等の関係機関と連携して、高齢者の地域生活や介護予防を支援します。

各地域包括支援センター(R4.5.1現在) (PDF:150KB)

在宅介護支援センター

介護に関する相談に応じるとともに、市町や地域包括支援センター等との連絡調整などを行います。

各在宅介護支援センター

市町

身近な相談窓口として、保健・医療・福祉に関する総合的な相談に応じるほか、各種サービスを利用する際の申請窓口になります。

【参考】若年性認知症に関する市町の相談窓口(PDF:99KB)

健康福祉センター

保健・医療・福祉に関する総合的な相談に応じるとともに、訪問指導や各種情報提供を行います。

県内8箇所

精神保健福祉センター

精神科医、臨床心理士、ケースワーカー、保健師等を配置して精神保健福祉に関する専門相談に応じます。

山口県精神保健福祉センター
Tel 083-902-2672

家族・介護者の会

多くの市町に、認知症高齢者の家族会や介護者の会があり、介護している人々がお互いに思いや悩みを話し合ったり、リフレッシュしたり、介護に関する勉強をしています。

  • 山口県認知症を支える会連合会(県内の家族会等が集まって結成された団体)
    Tel 090-2007-4683、0820-77-0679(郡方:こおり方)。
  • 公益社団法人認知症の人と家族の会山口県支部(全国家族会の山口県支部)
    Tel 083-925-3731

市町又は市町の社会福祉協議会

権利擁護について

本人に代わり財産の管理等を行う成年後見制度や、日常的な金銭管理などを行う地域福祉権利擁護事業に関する相談をお受けします。

  • 山口県地域福祉権利擁護センター(県社協)
    Tel 083-924-2845
  • 山口県弁護士会
    Tel 083-922-0087
  • リーガルサポート山口(山口県司法書士会)
    Tel 083-924-5220
  • 権利擁護センターぱあとなあ山口
    (山口県社会福祉士会)
    Tel 083ー928-6644

6 「若年性認知症」に関するガイドブック等

編集発行:社会福祉法人仁至会 認知症介護研究・研修大府センター

(1)「若年性認知症ってなんだろう」(改訂5版)冊子

 若年性認知症と診断されたけれど、「この病気について何も知らない。どうしていいかわからない。どこに相談したらいいのだろう・・・・・。」 そのような人のために、若年性認知症についてわかりやすく解説したパンフレットです。​
 https://y-ninchisyotel.net/wp-content/uploads/oh_30_cordetebiki.pdf<外部リンク>

(2)「若年性認知症ハンドブック」(改訂5版)冊子

 これからの仕事のこと、経済的なこと、症状のこと、日常生活のこと、子ども達のこと。 この冊子には、ご本人とご家族が知っておきたいことが記されています。みなさんに安心していただくためのハンドブックです。​
 https://y-ninchisyotel.net/wp-content/uploads/2022_jyakubook.pdf<外部リンク>

(3)「若年性認知症支援ガイドブック」(改訂5版)冊子
     ~相談を受ける人が知っておきたいこと~

 ご本人やご家族から相談を受ける人に読んでいただきたい冊子です。相談者の状況やニーズに応じ、適切な制度やサービスの情報をわかりやすく伝える事が出来ます。 ご本人やご家族の支援のために作られた、支援者のためのガイドブックです。​
 https://y-ninchisyotel.net/wp-content/uploads/guidebook_2022.pdf<外部リンク>

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