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人口の減少や高齢化の進展、地方から都市部への人口移動、相続件数の増加等を背景に、土地を利用したいというニーズが低下する中で土地の所有意識が希薄化し、不動産登記簿により所有者が直ちに判明しない又は連絡がつかない、いわゆる「所有者不明土地」が全国的に増加し、今後も増加の一途を辿ることが見込まれています。
所有者不明土地は、都市開発やインフラ整備の様々な場面において、所有者の探索等のため多大な時間や費用と労力を要し、円滑な事業実施への大きな支障となっています。こうした状況を背景に、平成30年に「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法」が成立しました。当法律では、所有者不明土地の円滑な利用等を図るため、次の4つの仕組みが導入されました。
地域福利増進事業の創設(使用権の設定) |
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公共事業における収用手続きの合理化・円滑化(所有権の取得) |
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管理の適正化のための勧告・命令・代執行 |
管理が実施されないと見込まれる所有者不明土地(管理不全所有者不明土地)について、周辺における災害発生等を防止するため、勧告・命令・代執行の権限を市町村長に付与 |
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所有者不明土地管理制度・管理不全土地管理制度に係る民法の特例 |
地方裁判所に対する所有者不明土地管理命令・管理不全土地管理命令の請求権を地方公共団体の長等に付与 |
不在者財産・相続財産の管理に係る民法の特例 |
家庭裁判所に対する不在者財産の管理に必要な処分及び財産管理人の選任の請求権を地方公共団体の長等に付与 |
所有者不明土地対策に関する計画及び協議会 |
市町村は、所有者不明土地の利用の円滑化及び管理の適正化等を図るため、所有者不明土地対策計画の作成や所有者不明土地対策協議会の設置が可能 |
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所有者不明土地利用円滑化等推進法人の指定制度 |
市町村長は、特定非営利活動法人や一般社団法人等を所有者不明土地利用円滑化等推進法人として指定が可能。 |
令和3年4月21日に「民法等の一部を改正する法律」(令和3年法律第24号)及び「相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律」(令和3年法律第25号)が成立しました(令和3年4月28日公布)。両法律では、所有者不明土地の発生予防と利用の円滑化の両面から、民事基本法制の総合的な見直しが行われています。
登記がされるようにするための不動産登記制度の見直し |
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土地を手放すための制度の創設 |
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【法務局】所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し(民法・不動産登記法等一部改正法・相続土地国庫帰属法)<外部リンク>