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旧県会議事堂復原・詳細情報(その1)
Old Prefectural Assembly Building
4 旧県会議事堂の詳細情報(その1)
1 工事の対象の名称等
- 県名
山口県 - 名称・構造形式
旧県会議事堂
煉瓦造、建築面積708.0平方メートル、二階建、正面玄関ポーチ付、桟瓦葦
正面中央塔屋付、銅板葦
設計図五枚
附工事関係記録六冊
ア 明治四十四年
県庁舎改築之件
イ 自明治四十五年 至大正六年
県庁舎建築往復一件 附復命書 其の一
県庁舎建築に関スル往復一件 其の二
ウ 大正二年度
県庁舎建築一件敷地構造ニ属スル分
エ 大正二年
県庁舎建築一件地形ニ属スル分
オ 大正二年
県庁舎建築ニ関スル木材一件 - 修理方針
屋根葺替及び部分修理、構造補強、床組、小屋組等木部、外壁モルタル、内壁漆喰
2 指定年月日
昭和59年12月28日(文部省告示第147号)
3 建造物概要
- 名称・所在地
名称 : 山口県県会議事堂 1棟
所在地 : 山口県山口市滝町1番1号 - 構造形式
煉瓦造、建築面積708.0平方メートル、二階建、正面玄関ポーチ付、桟瓦葦、正面中央塔屋付、銅板葺 - 主要寸法
区分 |
摘要 |
東西棟寸法 |
中央棟寸法 |
議場棟寸法 |
---|---|---|---|---|
桁行 |
桁行両端壁真々間 |
12.726m |
18.180m |
15.453m |
梁間 |
梁間両端壁真々間 |
7.272m |
8.787m |
18.180m |
軒高 |
地盤面より軒先外下角まで |
9.666m |
9.666m |
8.151m |
棟高 |
地盤面より棟頂上まで |
11.787m |
12.876m |
12.876m |
平面積 |
外壁其々内側面積 |
708.000平方メートル |
||
屋根面積 |
平葺面積 |
1.010.214平方メートル |
4 破損状況
- 概要
外壁仕上げのモルタルと内壁の漆喰を目視すると、構造体の煉瓦自体に起因すると思われるひび割れが認められる。特に東階段室西面のT字形に煉瓦壁が交差する部分のひび割れは、1階床より2階天井まで達している。また、この部分の斜めに入っているひび割れは、煉瓦を貫通している。また、すべての廊下アーチ中央部に、縦方向のひび割れが見られる。
調査工事におけるこれらの構造体の調査と耐震診断の結果、議場棟及び東西棟の両翼部を中心として、耐震構造的に弱点があることが判明した。 - 屋根
銅澤瓦は全体の25%程度に亀裂や割れが生じていた。屋根面が複雑に組み合い、ポカルが乗る中央棟正面は、オーバーフローのため各樋部分に雨漏りが生じ、野地を腐朽させている。
軒樋は錆による破損が著しく、特に呼樋が煉瓦壁体を貫通し、折れ曲がって縦樋に接続しているため、オーバーフロー等による雨漏りが多量に煉瓦壁体に寝透し、内外壁を破損させている。
車寄と傍聴人階段室の鉄板葺は、全体に錆や磨滅による劣化が著しい。また車寄屋根の軒先の櫨は、水勾配がほとんどなく、正面側は雨漏りを生じている。 - 外壁
ひび割れは大小含めて多数発生しており、微細なひび割れは外壁の全面におよんでいる。またテストハンマーによる打診調査により、全体の37%で浮きを生じていることが判明し、特に西面では67%と著しく、窓廻りは大半で浮きが分散して見られる。その他、軒樋からのオーバーフローとそれに伴う金属の錆による汚損箇所が多く、後世の補修跡の劣化も見られる。 - 内壁
煉瓦壁体に浸透した軒樋と呼樋からの雨漏りによる破損が甚大で、特に2階の参事会議場とその下の議員控室では、エフロレッセンスが広範囲で生じており、浮きや劣化も著しい。その他にも、雨漏りによる汚損や亀裂及び上塗の浮きが各所で見られる。 - 天井
2階の書記室は雨漏りが進行しており、浮きが全体に及び、亀裂も著しい。その他、議長副議長室と参事会場も、浮きと亀裂が各所で発生している。車寄は後補のモルタル塗りに変わっているが、雨漏りによる剥落・亀裂を生じている。 - 建具
扉は雨の吹き付けにより、足元の腐朽が一部で見られ、正面玄関では扉の下框が反りによる変形を生じている。
窓の大半はガラスパテの欠損と緩みが見られ、上げ下げ窓では吊り紐の切断または欠失により開閉に支障を来しているものがある。
金具は障泥止金具の欠失、差し込み錠の欠損、フランス落しの操作不良などが多く見られる。 - 内装
議場の腰羽目板、傍聴人階段室の巾木は、壁からの漏水により一部で蒸れ腐れを生じている。階段は東西ともに、弛緩してきしみを生じ、巾木と段板の間に隙間が開いている。特に東側階段は、段板が全体に東側に傾斜している。建具枠は、傍聴人階段室2階が雨漏りにより腐朽を生じており、1階西側廊下の窓膳板も、壁体との取り付き部に腐朽が見られる。
演窓装置は、カーテン上飾りとレースカーテンの大半が欠失しており、ロールブラインドはすべて欠失している。 - 塗装
外部木部のペイント塗りは劣化と剥落が著しく、ガラリ等鉄部のペイント塗りは錆による剥落が著しい。内部では後世に塗り重ねられたペイントが一部で剥落を生じており、ワニス塗りは給仕室、1階参与員室、2階控室、及び議員控室天井等に残るが、汚損と沈硬により美観を揖ねている。 - 外溝
葛石、正面階段右は鉄錆と苔・カビによる汚揖が見られ、一部にひび割れや欠損を生じている。馬車道の耳石は弛緩箇所が多く見られ、一部は割損を生じている。
犬走りのモルタルは、表面が雨に洗われて洗い出しの状態になっており、ひび割れや表面剥離も見られ、金属の錆による汚揖も生じている。また正面東側では、建物との間に1cm程度の隙間が開いており、全体に沈下も生じている。馬車道の洗い出し床面は、全体に沈下して耳石と隙間が開いており、また横幅全体に達するひび割れも見られ、表面の剥落も生じている。 - 設備
電気配線器具は2階廊下のスイッチが1箇所で発熱しており、点滅不良のものも4箇所ある。
山口県政資料館
旧県会議事堂復原
所在地 |
山口市滝町1番1号 電話 083-933-2268 |
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交通案内 |
(バス利用)県庁前下車徒歩1分 |
開館時間 |
9時~16時30分 |
閉館日 |
毎週月曜日(月曜日が祝日の場合は開館日とし、その翌日以降の最初の平日を閉館日とする。)、年末年始(12月28日~1月4日) |
入館料 |
無料 |