建設業における労働災害が多数発生する現状を踏まえ、「建設工事従事者の安全及び健康の確保の推進に関する法律」の規定に基づき、平成30年(2018年)5月に「建設工事従事者の安全及び健康の確保に関する山口県計画」を策定しました。今後はこの計画に基づき、関係団体・機関と連携し、工事関係者への山口県計画の周知と労働災害発生防止に取り組んでいきます。
山口県計画の概要
はじめに 現状と課題
○ 建設業における重大な労働災害の発生状況を重く受け止め、建設業における災害の撲滅に向けて一層の実効性ある取組の推進が必要
- 本県の建設業における労働災害の発生状況は、長期的には減少傾向だが、過去最少の平成26 年181人から、平成27年198人、平成28年260人と2年連続で増加中
- 一人親方等を含めた建設工事従事者全体では、平成27年は6人、平成28年は11人が死亡
○ 一人親方等は、建設工事の現場で他の関係請負人の労働者と同様の作業に従事しており、安全・健康の確保について、特段の対応が必要
○ 建設工事従事者の高齢化が進行している中、建設業を魅力的な仕事の場とし、地位の向上を図りつつ、中長期的な担い手の確保を進めていくことが急務
第1 基本的な方針
1 適正な請負代金の額、工期等の設定
- 不当に低い請負代金や短い工期は、労働災害の発生につながるおそれあり
- 労働災害防止対策の経費は、元・下請負人が義務的に負担すべき費用
- 週休二日や施工に必要な日数等を確保した上での工期設定が必要
2 設計、施工等の各段階における措置
- 設計段階では、施工条件を踏まえ、安全・健康確保に配慮した施工方法等の検討が重要
- 施工段階では、労働安全衛生法令に基づく最低基準の措置だけでなく、安全・健康確保措置を自主的に講ずることが重要
3 建設業者及び建設工事従事者の安全及び健康に関する意識の向上
- 元・下請負人の意識が低い場合、建設工事従事者の不安全行動を誘発するおそれあり
- 近年、作業に潜む危険への感受性低下を指摘する声あり
- 建設業者及び建設工事従事者の安全・健康意識を高める教育や、安全文化の醸成促進が必要
4 建設工事従事者の処遇の改善及び地位の向上
- 建設工事従事者の安全・健康確保に向けた取組の前提として、適切な賃金水準の確保、社会保険の加入徹底、働き方改革の推進等が図られることが必要
第2 県が総合的かつ計画的に講ずべき施策
1 建設工事の請負契約における経費の適切かつ明確な積算等
(1)安全及び健康の確保に関する経費の適切かつ明確な積算等
- 安全衛生経費が、適切かつ明確に積算され、下請負人まで確実に支払われるよう、国の施策を踏まえ対策を行うとともに、立入検査等を通じ、法令遵守の徹底を図る。
(2)建設工事従事者の安全及び健康に配慮した工期の設定
- 「建設工事における適正な工期設定等のためのガイドライン」を踏まえ、適切な工期設定等について、下請契約まで含め、環境を整備する。
- 特に公共工事において、施工時期を平準化する等、計画的な発注を実施する。
2 責任体制の明確化
- 元請負人及び下請負人が役割を適切に果たすよう、立入検査等を通じ、一括下請負の禁止、技術者の専任配置、元下間の対等関係に基づく適正契約等に関して、法令遵守の徹底を図る。
- 中小建設業者の安全衛生管理能力の向上に向けた教育等の支援を行う。
3 建設工事の現場における措置の統一的な実施
(1)建設業者間の連携の促進
- 労働安全衛生法に基づく元請負人による統括衛生管理が徹底されるよう周知を図る。
(2)一人親方等の安全及び健康の確保
- 一人親方等の業務中の災害を的確に把握し、災害防止対策の基礎資料として活用する。
- 一人親方等の業務特性や作業実態に関して、課題を整理し、対策を検討する。
- 建設業者による一人親方等への安全健康配慮や、一人親方等に対する安全衛生に関する知識習 得等の支援がなされるよう、その促進を図る。
(3)特別加入制度への加入促進等の徹底
- 一人親方に対する労災保険の特別加入制度への加入の積極的な促進を徹底する。
4 建設工事の現場の安全性の点検等
(1)工事現場の安全性の点検、分析、評価等に関する建設業者等による自主的な取組の促進
- 建設業者によるリスクアセスメント等の活動を支援する。
- 建設業者の安全衛生管理を評価する取組や、安全性の点検等に関する自主的な取組を促進する。
- 安全性の点検等の自主的な取組を一層活発にするため、元下間の連携等を促進する。
(2)建設工事従事者の安全及び健康に配慮した設計、建設工事の安全な実施に資するとともに 省力化・生産性向上にも配意した工法や資機材等の開発・普及の促進
- i-Constructionや、生産性向上に配意した安全な工法等の普及を推進する。
- 「やまぐち発新製品」の周知等により、新技術の効果的な活用を促進する。
- 建設工事従事者の高齢化を踏まえ、熱中症対策など作業環境の改善を図る。
5 建設工事従事者の安全及び健康に関する意識の啓発
(1)建設工事従事者の従事する業務に関する安全衛生教育の促進
- 安全衛生管理の能力向上教育などを促進し、建設工事従事者に対する教育への支援を行う。
(2)建設工事従事者の安全及び健康に関する意識の啓発に係る自主的な取組の促進
- 建設業者等の安全衛生活動の取組や災害対応事例について情報発信する。
- 心身の健康確保のための自主的な取組を促進し、健康相談窓口の周知と活用促進を図る。
第3 総合的かつ計画的に推進するために必要な事項
1 建設工事従事者の処遇の改善及び地位の向上を図るための施策
(1)社会保険の加入の徹底
- 法定福利費の適切な確保及び社会保険の加入の徹底について実効性のある対策を推進する。
- 社会保険の適用が除外される場合、誤った加入指導が行われないよう周知を図る。
(2)建設キャリアアップシステムの活用推進
- 官民一体となって建設キャリアアップシステムの活用を推進する。
(3)「働き方改革」の推進
- 適正な工期設定、休日の確保、適切な賃金水準の確保等、建設業における働き方改革を進める。
2 墜落・転落災害の防止対策の充実強化
(1)労働安全衛生法令の遵守徹底等
- 墜落・転落災害の減少に向けて、労働安全衛生規則に基づく措置の遵守徹底の促進を図る。
- 足場からの墜落・転落災害について、「より安全な措置」等の一層の普及の促進を図る。
(2)墜落・転落災害防止対策の充実強化
- 墜落・転落災害の発生状況や関連施策の実績等を踏まえ、災害防止対策の促進を図る。
3 基本計画の推進体制
- 関係団体・機関による推進組織を設置し、関係者が連携しながら施策の遂行を推進する。
4 施策の推進状況の点検と計画の見直し
- 随時、見直し・検討を行い、必要があれば速やかにこれを変更する。
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