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公安委員会の開催概要(令和4年4月20日)
審議概要
本部長、警務部長、生活安全部長、地域部長、刑事部長、交通部長、警備部長、情報通信部長及び首席監察官同席の上、下記の報告を受けた。
うそ電話詐欺被害防止対策の推進状況(1~3月)
生活安全部長から、「3月末のうそ電話詐欺の被害認知件数は24件(前年対比+9件)、被害額は1億757万円(前年対比+8,471万円)であった。
手口別では、預貯金詐欺が4件(前年対比+4件)、被害額は622万円(前年対比+622万円)、架空料金請求詐欺が17件(前年対比+14件)、被害額は9,478万円(前年対比+8,975万円)であった。
被害額が大きく増えた理由は、長門市と山陽小野田市でNTTファイナンスを騙る多額被害の架空料金請求詐欺が2件発生したためである。
過去5年平均の1月の認知件数が4.4件であるのに対し、本年の1月の認知件数は10件と大幅に上回った。
年代別被害発生状況であるが、65歳以上が14件、58.3パーセントと半数を占める一方で、若者の被害も認知しており、幅広い年齢層で被害が発生している。
高齢者被害の世帯構成は、独居世帯が8件、57.1パーセントと半数を占めた。
被害の未然防止件数は35件であり、阻止率は59.3パーセントであった。このうち、29件は、コンビニエンスストア店員の声掛けによるものであった。
被害防止対策であるが、1月11日から19日までの間に5件の被害を認知したため1月20日から26日までの間、うそ電話詐欺警戒警報を発令したが、その期間中に長門市の多額被害を認知したことから7日間延長し、2月2日まで警報を発令した。
期間中の主な取組としては、
〇 赤十字血液センターと連携した広報(下松)
〇 コンビニエンスストアにおける電子マネー販売時における声掛け訓練(光)
〇 高齢者宅への戸別訪問による防犯指導(萩)
〇 学校と連携した孫世代からの高齢者(祖父母)の心に響く被害防止広報(山口南)
を実施した。
今後の対策としては、
〇 県内の全郵便局等に対する水際対策強化の協力要請(実施中)
〇 県内に本店を置く金融機関に対する水際対策強化の協力要請
〇 うそ電話詐欺被害防止コールセンターと連携した被害防止広報
〇 市町等の関係機関、団体と連携した被害防止広報
に取り組んでいくこととしている。」旨の報告があった。
弘永委員から、「預貯金詐欺や架空料金請求詐欺が増えている中、コンビニや金融機関と協力することによって高い阻止率(約6割)が保たれている。警察だけの力ではどうにもならないこともある。是非、警察以外の力も引き寄せて、取り組んでもらいたい。未然に被害を防いだ35件のうち、29件はコンビニであり、以前は銀行であった主戦場が、コンビニに移っていることを認識しなければならない。光では、コンビニにおける声掛け訓練をしているが、ほかの地域でも積極的に訓練をしてもらいたい。また、被害者の年齢は、50歳以上が多いが、今後は声掛けについても比較的若い年齢層にまで広げることが必要になってくると思うので、しっかりと取り組んでもらいたい。
2点質問であるが、金融機関への協力要請は、県内に本店を置く金融機関とされているが、他県金融機関の支店等に対する働き掛けはどうするのか。また、被害防止コールセンターとは、どのような連携を図っているのか。」旨の発言があり、生活安全部長から、「他県に本店を置く金融機関は、本店を置く県警察が協力要請をしており、まずは県内に本店を置く金融機関への協力要請を進めていくこととしている。また、コールセンターは、数年前から始めている事業であり、実際の被害状況を踏まえて、NTTマーケティングアクトのオペレーターが一軒一軒のお宅に注意喚起の電話をしている。」旨の説明があった。
弘田委員長から、「被害者の分析から、被害の原因となる顕著な傾向はないのか。あれだけ注意喚起しているにもかかわらず被害が減らないのは、どこに問題があるのか。」旨の発言があり、生活安全部長から、「被害に遭われた方には、生活安全課員が家族構成などを事細かに聞き取りして同様の被害がほかで発生しないよう分析を進めている。家族と同居していても被害に遭う方もおられるが、やはり独居で、社会とのつながりがない方が被害に遭う傾向が強い。詐欺被害に遭わないよう気を付けなければならないことは、誰もが頭の中にあるようだが、一旦電話を受けると次から次にいろいろなことを言われてパニックになってしまう。また、耳元でささやかれると騙されやすいなどの傾向があるというデータも出ている。被害に遭わないためには、留守番電話にしておいて、電話が架かってもすぐに電話を取らず、知り合いからの電話であれば電話に出るようにするなど、電話の取り方も工夫することが必要である。」旨の説明があった。
うそ電話詐欺に利用されたIP電話の契約に伴うSMS認証代行業者の検挙
刑事部長から、「萩署が、IP電話の契約に伴うSMS(ショートメッセージサービス)認証代行業者を私電磁的記録不正作出・同供用罪で検挙した。本件認知は令和3年11月、検挙は本年4月7日である。被疑者は、青森県下に居住する自動車部品販売業の男(32歳)である。
SMS認証とは、インターネットを使ってサービスの申し込みをする際、登録された携帯電話番号にサービスを提供する事業者がSMSで4桁等の認証番号を送信し、利用者がその番号を申込画面に入力することで、事業者側が携帯電話使用者と申込者が同一であることを確認し、なりすましなどによる不正契約を防止するものである。
捜査状況であるが、本件前段として、令和3年11月に萩署管内で約60万円被害の融資保証金詐欺を認知し、捜査したところ、うそ電話詐欺グループが被害者との通話にIP電話を使用していたことが判明した。同IP電話番号の契約者を捜査したところ、本人確認のために登録された電話番号がデータ通信とSMS通信だけ可能なデータ通信SIMの携帯電話だった。そこで当該SIMの捜査をしたところ、被疑者が判明したものである。
被疑者は、Twitterで広告を出し、報酬を得て認証代行をしていた。
現在、うそ電話詐欺グループの解明に向けて捜査を進めているが、今後、ほかの事件においても、IP電話を始めとした犯行ツールの供給遮断のために、あらゆる法令を駆使して捜査を徹底していく。併せて、『認証代行が悪いこと』を広く周知していきたい。
また、犯罪は巧妙化して、様々なデジタル技術やシステムを駆使して行われており、これに対峙する捜査員もデジタル技術・知識を高めなくては検挙できないことから、生活安全部とも連携して捜査員に対する各種教養を進めていく。」旨の説明があった。
弘田委員長から、「これからこうした犯罪が増えてくると大変である。どのように対策を進めるのか。」旨の発言があり、刑事部長から、「うそ電話詐欺が発生したら、多くのデータを収集して、犯人にたどり着ける情報を見つけ出し、地道に捜査していく。」旨の説明があった。
また、本部長から、「電気通信事業者に対する働きかけも大切であり、うそ電話詐欺グループは、セキュリティ面で弱い部分を狙って犯行に及んでくるので、今の実態を警察庁に報告し、総務省を通じて事業者に申し入れする必要がある。」旨の説明があった。
オンライン優良運転者講習モデル事業の実施状況(3月中)
交通部長から、「この事業は、オンラインによる優良運転者講習の全国運用に先駆けて山口県を含む4道府県でモデル事業が実施されている。
オンライン講習の受講対象者は、マイナンバーカードを所有する県内居住の優良運転者である。
実施期間は、令和5年3月31日まで延長された。
実施状況であるが、山口県の3月中のオンライン受講者は、2月に比べて減少した。この傾向は他の道府県においても同様である。減少した要因は、利便性やコロナ対策等による広報が不足していたことが考えられる。
先月、公安委員会に報告したときは、オンライン受講者に対するアンケート調査結果で反響は良好だと報告したが、今回は、3月2日から1週間、総合交通センターで優良運転者講習を受講した人のうち、オンライン講習を受講していない人を対象にアンケート調査を実施した。
まず、今後のオンライン講習の受講について聞いたところ、『今後は受講したい』と答えた人が半数近くを占めた。アンケート調査対象者のうち、マイナンバーカード取得者の約半数がオンライン講習を知らないと答えており、このことからも県民に十分な周知がなされていないことが浮き彫りとなった。
なお、オンライン講習を知っていると答えた人に対して、次回の免許更新の際はどうするか聞いたところ、『オンライン講習を受けたい』と答えた人と『分からない』と答えた人が全体の約8割を占めた。今後、こうした人がオンライン講習を受講するように取り組んでいきたいと考えている。
次にオンライン講習を知っていると答えた人に対して、オンライン講習を利用しなかった理由を尋ねたところ、一番多かったのは『従来からの講師による対面講習で良い』であり、2番目に多かったのが『スマートフォンの操作が不慣れ・面倒』であった。そのほかの少数意見としては『暗証番号の入力が不安』、『パソコンにカメラの設置がない』、『顔認証以外の方法はないのか』などがあった。
今後、専用サイトへのアクセス方法や顔画像の撮影方法などについて、不慣れだとか、面倒だとかいうイメージを払拭できるよう広報に力を入れていきたい。
そのほか、少数ではあるが、何らかの不具合により受講を断念した人もいるようであった。その原因を明らかにするとともに、安定したシステムの提供にも配意していきたい。
今後の対策であるが、オンライン講習の実施から2か月が経過したところ、システムの運用については大きな支障がなく推移しているものの、まだ県民の認知度が低いので、今後も利便性などの周知に向けた広報活動を強化する必要がある。
引き続きオンライン講習受講者や未受講者の意見要望の把握に努めるとともに、交通センターや警察署の免許窓口担当者からも意見要望を吸い上げて、受講者の利便性の向上や免許業務の改善に努めていくこととする。
なお、先日、山口放送からオンライン講習に関する取材を受けて、その結果が、4月26日(火)午後6時15分からの『ニュースライブ』で放送される。」旨の説明があった。
弘永委員から、「優良運転者になるためには、一定の期間、無事故、無違反でなければならないなどの要件があり、そうしたことを考えると要件を備えた若いドライバーはまだ少ないかもしれない。若い人は、インターネットを通じてオンライン講習などの情報を得るのが得意だと思うので、若い人たちの年齢が上がるにつれて普及率も上がっていくのではないか。
せっかくモデル事業の4道府県に選ばれているので、それなりの結果を示せるような取り組みを進めてもらいたい。また、テレビ放送の件であるが、この事業に限らず、警察の施策等をテレビで見ることはよくある。これは、各部門の広報担当者が広報活動に尽力されている証だろうが、引き続き警察の業務が県民に理解してもらえるようアピールしてもらいたい。そうすれば、相乗効果を生み、各種業務の成果も上がっていくと思われる。」旨の発言があった。
弘田委員長から、「山口県は免許の更新場所が多く、ほかの県とは異なる特性を持っている。そうした面を生かしつつ、オンライン受講者が増えるよう事業を進めてもらいたい。」旨の発言があった。
決裁・報告
課長等から下記のとおり説明を受け、決裁を行うなどした。
決裁概要
- 運転免許の行政処分 運転管理課長から、運転免許の行政処分に係る意見の聴取・聴聞への出席者5人からの聴取結果について報告を受けるとともに、処分理由等の説明を受けた後、審査の上で処分を決定した。欠席者16人のうち14人については、運転管理課長から処分理由等の説明を受けた後、審査の上で処分を決定し、2人については、再呼出しとした。
- 審査請求の受理 運転管理課長から、1月7日付けで警察本部長が行った処分について審査請求を受理した旨の説明を受け、了諾した。
- 意見の聴取・聴聞の主宰者指名 運転管理課長から、5月11日に開催する意見の聴取・聴聞における主宰者の指名について説明を受け、決裁した。
- 苦情の申出の受理 公安委員会会務官から、 ・ 3月24日及び4月12日付け公安委員会宛て苦情の申出 ・ 3月24日及び4月13日付け公安委員会宛て苦情の申出 ・ 4月4日及び12日付け公安委員会宛て苦情の申出 ・ 4月7日付け公安委員会宛て苦情の申出 2件 以上5件について、調査所属等の説明を受け、苦情として受理した。
- 山口県道路交通規則等の一部改正 運転免許課長から、改正道路交通法の施行に当たり、山口県公安委員会が所管する規程等の一部改正について説明を受け、決裁した。
- 交通信号機の決定 交通規制課長から、交通信号機の新設(3署、4か所)、廃止(6署、10か所)について報告を受け、決裁した。
- 航空法改正に伴う公安委員会事務専決規程等の改正 生活安全企画課長から、航空法改正に伴う新たな公安委員会事務及び当該事務の専決規程等について説明を受け、決裁した。
- 審査基準・処分基準の改正 生活安全企画課長から、風営適正化法及び出会い系サイト規制法の審査基準及び処分基準の改正について説明を受け、決裁した。
- 意見聴取の開催等について 組織犯罪対策課長から、5月18日に開催する七代目合田一家に対する意見聴取の要領について説明を受け、決裁した。
報告概要
- 山口県公安委員会事務の専決状況 運転免許課長から、3月中の運転免許課関係の山口県公安委員会事務の専決状況について、交通規制課長から、3月中の交通規制課関係の山口県公安委員会事務の専決状況について、生活安全企画課長から、3月中の生活安全企画課関係の山口県公安委員会事務の専決状況について、運転管理課長から3月中の運転管理課関係の山口県公安委員会事務の専決状況について報告を受けた。
- 春の全国交通安全運動の実施結果 交通企画課長から、4月6日から15日まで実施された春の全国交通安全運動の実施結果について報告を受けた。
- 銃刀法上の認知機能検査改正に伴う事前説明 生活安全企画課長から、銃刀法上の認知機能検査改正について説明を受けた。
協議
今後の公安委員会における運営について協議した。
(編集 総務課)