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劇症型溶血性レンサ球菌感染症(streptococcal toxic shock syndrome: STSS)は、突然発症し、ショックと多臓器不全が急速に進行する重症感染症であり、感染症法に基づく感染症発生動向調査において5類全数把握疾患と定められています。その死亡率は30%以上とされていますが、重症化するメカニズムはまだ解明されていません。
STSSは、通常無菌の部位(皮膚軟部組織、胸膜、髄膜など)に溶血性レンサ球菌(A群、B群、G群など)の毒素産生株が感染することで発症します。
国内におけるSTSSの発生状況は、2023年941人、2024年1888人(速報値)と過去最多を更新しています。山口県においても、2023年12人、2024年17人と増加しており、2025年5月時点ですでに8人の報告がありました。
国立感染症研究所は、2023年12月、A群溶血性レンサ球菌(group A Streptococcus GAS, Streptococcus pyogenes)によるSTSS症例が増加傾向にあり、2023年7月以降、50歳未満の報告数及び死亡数割合が増加したことをIASR速報で報告しました。同時に、GAS咽頭炎の定点あたりの報告数の増加、UK系統株の地域集積も認められましたが、相互関連は不明とされています。
2024年3月には、国内発生状況更新・リスク評価がとりまとめられ、2024年6月には、さらに国内外の発生状況が更新されました。
山口県内のSTSS発生状況は以下のとおりです。
更新日:2025年5月28日