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急性呼吸器感染症(Acute Respiratory Infection:ARI)とは、病原体(様々なウイルスや細菌)の感染により、急性の上気道炎(鼻炎、副鼻腔炎、中耳炎、咽頭炎、喉頭炎)又は下気道炎(気管支炎、細気管支炎、肺炎)の症状を呈する症候群の総称です。
急性呼吸器感染症(ARI)<外部リンク> 厚生労働省
ARIサーベイランスの目的は、症例定義(以下で示すとおり)に合致する症例数及び収集された検体等から、ARIの発生トレンド・レベルを踏まえた、流行中の呼吸器感染症を把握すること、また、広く急性呼吸器症状のある患者を捉えつつ病原体検査を実施することで、ひとつずつの感染症の動向を監視するだけでなく、包括的な患者サーベイランス・病原体サーベイランスを実施することにあります。
第90回厚生科学審議会感染症部会 資料<外部リンク>(令和6年10月9日)
Crafting the mosaic”: a framework for resilient surveillance for respiratory viruses of epidemic andpandemic potential, WHO(2023)
Vision: “All countries develop well-coordinated mosaics of multiple fit-for-purpose surveillance approaches that address priority surveillance objectives for influenza, SARS-CoV-2, and other respiratory viruses of epidemic and pandemic potential according to country context.”
ISBN: 978-92-4-007028-8 https://iris.who.int/bitstream/handle/10665/366689/9789240070288-eng.pdf<外部リンク>
「咳嗽、咽頭痛、呼吸困難、鼻汁、鼻閉のどれか1つの症状を呈し、発症から10日以内の急性的な症状であり、かつ医師が感染症を疑う外来症例」
<参考:感染症法上想定されうる急性呼吸器症状を呈する感染症>
(1)主に上気道炎を呈し、国内で発生がみられる疾患:インフルエンザ、COVID-19、RSウイルス感染症、咽頭結膜熱、ヘルパンギーナ、A群溶血性レンサ球菌咽頭炎、百日咳
(2)主に下気道炎を呈し、国内で発生がみられる疾患:クラミジア肺炎、マイコプラズマ肺炎、レジオネラ肺炎、オウム病
(3)国内で発生が稀な疾患:ペスト、重症急性呼吸器症候群(SARS)、中東呼吸器症候群(MERS)、ジフテリア、鳥インフルエンザ(H5N1、H7N9、その他)、その他の人獣共通感染症(類鼻疽、鼻疽、Q熱、ブルセラ症、ハンタウイルス肺症候群 等)
(4)その他候補となる疾患:他の臨床症状が主体となるもの(風しん、麻しん、伝染性紅斑、流行耳下腺炎、手足口病、侵襲性肺炎球菌感染症、侵襲性髄膜炎菌感染症、劇症型溶血性レンサ球菌感染症、性器クラミジア、淋菌)、慢性呼吸器感染症(結核、コクシジオイデス症)、疾患概念の一部に含まれるもの(後天性免疫不全症候群)
(5)新型インフルエンザ等感染症、指定感染症、新感染症
(6)新たに5類感染症に位置付けられた「急性呼吸器感染症」
※「急性呼吸器感染症に関する特定感染症予防指針」の対象は(1)、(2)及び(6)
「ARI患者サーベイランス」では、定点医療機関ごとに、上述の症例定義に合致した症例数(性別・年齢階級別)が報告されます。
このデータと、従前から実施されている感染症別患者数の報告データを組み合わせたレポートを、原則、毎週水曜日(感染症週報と同時)に更新します。
※サーベイランスの実態に合わせて、予告なく内容を変更することがあります。
▼ 以下をクリックすると、Microsoft Power BIのレポートが表示されます。
※このレポートに関するご質問等は、山口県感染症情報センター(山口県環境保健センター企画情報室:電話番号 083-922-7630)までお問い合わせください。
2022年9月26日(※)~2025年4月6日のARI関連感染症の定点あたりの報告数の推移を示すグラフです。
(※)COVID-19の全数把握が簡略化され、詳細報告対象(65歳以上・入院患者・妊婦・重症化リスクあり)以外の軽症/無症状者は、年代別感染者数のみの報告となった。ただし、COVID-19が5類感染症に移行し、定点把握が開始されたのは、2023年5月8日以降であることに留意する必要がある。
2025年5月以降の掲載開始に向けて準備中です。